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■春歩(24)
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「はい」
と言って千里さんが美奈子にリモコンを渡した。
「これバックボードのアームのリモコンね」
「これで使わない時は壁に寄せておけばいいんですね」
と美奈子は答えながら、なぜスティックが2本なのだろうと思う。
「2本のスティックは各々左右のアームに対応してるから、片方だけ引き出すことで、ボードが斜めになって、斜め方向からのシュート練習ができる」
「すごーい!!」
「狭い場所でシュート練習するための工夫だよ」
「なるほどー」
「でも千里さん、随分お金が掛かっている気がするけど」
と春貴が心配して言う。
「板とかネットとかフェンスはその辺に転がってるの持って来ただけだし、リモコンアームは材料費3000円程度だよ。みんなの練習場所を壊したお詫びで」
「なんか10倍くらい返してもらってる気が」
と愛佳。
「ウィンターカップ頑張ってね」
「はい!」
「でもわらしべ長者みたい」
と夏生が言う。
屋外のゴール1個
↓
屋外のゴール4個+ウッドカーペット3枚
↓
旧美術室+ドリブル練習レーン
↓
体育館の一部を一時的に借りる
↓
実質専用の体育館
「君たちが頑張ったからだよ」
この新しい体育館で、春貴は各々の部員に次のような練習を課した。
美奈子:3Pシュート・ドリブル走!
夏生:3Pシュート・1on1
松夜:ミドルシュート・1on1
河世・晃・舞花:ランニングシュート・1on1・リバウンド
愛佳・五月;ドリブル走・パス・1on1
梨央・秋奈・ミドルシュートとリバウンド
弘絵・一恵・弥生:ミドルシュートとドリブル
日和:ルールのお勉強、時々ジョギング
ドリブルの練習をする子たちには、相手選手に見立てたコーンを置いた所を避けてジグザグに走る練習もだいぶさせた。
横田先生は春貴に言った。
「播磨工務店さんから頂いたお金の一部で女子のユニフォームを作りましょう」
「え?今のと変えるんですか?」
「いや、そうじゃなくて。今女子は白1セットと、濃緑1セットのみですよね」
「はい」
「男子は白・紺2セットずつ持ってるんですよ」
春貴はすぐ意味が分かった。
「1日2試合ある時に確実に着替えられるんですね!」
「そうなんです。女子は今までいつも1回戦で負けてたから1セットで足りていたのですが」
「それはすぐ作りましょう」
これはすぐにスポーツ用品店に制作を依頼した。
制作には1ヶ月ほど掛かるので、北信越大会には間に合わないが、来月の地区リーグでは使えそうである。
6月13日(月).
歩夢が通うN中学校では、今年最初の水泳の授業が行われた。
もっともN中はプール施設を持っておらず、近くのG小学校のプールをこの日の午後借りることになっている。12時台に1年生、13時台に2年生、14時台に3年生、ということで歩夢は13時台である。
更衣室としては、G小学校り空き教室を2つ(男1女1)使わせてもらう。それでこの日はこのようなスケジュールになっていた。↓は脱衣/授業/着衣
J1 1140-55 1200-55 1300-20
J2 1240-55 1300-55 1400-20
J3 1340-55 1400-55 1500-20
歩夢たち2年生は早めに給食を食べ、12:30に中学を出て5分ほどでG小学に入る。そして男子は2階の教室、女子は3階の教室で水着に着替える。1年生女子が教室の後ろ半分に荷物を置いていたので2年生は前半分を使用した。
歩夢は例によって、中学に登校するとすぐ女子制服に着替えている。女子制服を着ているので、自然に他の女子と一緒におしゃべりなどしながらG小に向かい、彼女たちと一緒に3階の教室に入った。
誰も歩夢の行動に疑問を持った女子は居ない。しかし水着に着替える時に、同じ教室に居る女子たちの熱い?視線を受けた。歩夢はそんな視線に全く気付かないかのように、セーラーブラウスを脱ぎ、ブラジャーを外し(熱い視線)、水着のトップを着たが、ヒバリが
「よく育ってるよね」
と言って生バストに触っていた。(ヒバリは朝にも生バストに触ってるのに!)
その後、歩夢は制服のスカートを穿いたままショーツを脱いで、水着のボトムを穿いた。それからスカートを脱いだ(肩透かし!)。
でも肌にピッタリした水着のボトムを見て「本当に付いてないみたい」と囁く声があった。
そけで歩夢は他の子と一緒にシャワーゾーンを通ってプールサイドに出た。
水泳の授業は、A:ターンできる人、B:25m泳げる人、C:10m以上泳げる人、D:10mも泳げない人、と4つのグループに分けられた。Aは7-8レーンで好きに泳いでということになり、Bは5レーンでターンの練習をする一方、6レーンでは自由に泳ぐ。Cは多くは泳ぎ方に問題があったり息継ぎがうまくできてない人なので、クロールの型の確認をし、息継ぎの練習をする。そして息継ぎの時に体勢が崩れないようになどといった注意があり、3-4レーンで練習する。
歩夢は当然Dに入る。Dは桜原先生(女性)が指導する。最初は1レーンで端に捉まりバタ足の練習からである。歩夢は先日少し真珠に手ほどきを受けたおかげでバタ足が割としっかりしていた。
「川口さんはビート板に行こうか」
と桜原先生に声を掛けられ2レーンに移動してビート板につかまり足だけで泳ぐ練習である。それが結構沈まずに進めるので、授業の後半ではビート板を使わずに泳ぐ練習に進んだ。
それでこの日は最長不沈距離13mを達成した。
「川口さんは次回はCクラスだね」
と桜原先生に言われた。
「え〜?でも13mは1度だけですぅ」
「次はきっと20m泳げる」
と先生は言ってから、
「川口さんはフォームはきれい。でも筋力が無いから力尽きて沈む。あまり筋肉付けたくないのかも知れないけど、普通の女の子ても、もう少し筋肉はあるよ。川口さんは多分筋肉付けても女子の筋肉の付き方がするから、男っぽくなることは無いよ。今の筋肉では腕立伏せはできないだろうけど、腹筋とか少しやってごらんよ」
と言っていた。
授業が終わった後はまた3階の教室に戻り、水着から制服に着替える。水着に着替えた時以上に熱い視線があるが、歩夢は気にしない振りをする。
歩夢はまず、水着を上下とも脱いだ(周囲の強烈な視線!)。
何人か、腕を組んで見ている子もある。
歩夢はそんな視線に全く気付かないかのように、バスタオルで身体を拭き、ショーツを穿く。それからブラジャーを着けて、セーラーブラウスを着る。最後にスカートを穿いた。
歩夢はヒバリ・ツバメとおしゃべりしながら着替えたのだが、ヒバリもツバメも着替え用のバスタオルを使用した。歩夢も着替え用のバスタオルは先日水着と一緒に買ってもらったが
「使わない方がいい」
とツバメが言い、ヒバリも賛成したので、恥ずかしかったが、裸体をさらけ出して着替えた。歩夢が完全に女の子の身体であることをみんなに見せた方が女子と一緒に着替えることについて反感を買わない、というのが2人の意見だった。
「隠したら絶対怪しまれるもん」
ということで歩夢は全裸になって着替えたのである。
それで靴下と靴を履いて、みんなと一緒に中学に戻った。
とても平穏な1日であった。
6月15日(水).
歩夢は2度目の生理が来た。
数日前から下腹部が痛かったし、前回の生理から28日経つので、そろそろかなと思い、一昨日くらいからずっとナプキンを付けて生理用ショーツも穿いていた。結局ジャスト28日で来た。女の子って身体にカレンダーを内蔵してるんだなあと思った。
女の子って大変だけど、頑張る!と歩夢は思った。
6月16日(木).
2:27、S市では震度2の地震があった。
この地震自体は大したことなく、深夜でもあるので気付かなかった人も多かったのだが、後から考えると3日後の地震の前震だったと思われる。
歩夢はまた夢を見ていた。
目の前に川が流れていたが、橋は架かっていなかった。歩夢は時代劇のお姫様のような格好をしていたが、おもむろに刀を抜くと、そばに生えていた竹を縦にまっ二つに斬った。きれいに割れたなと思った。そして歩夢はその半分になった半円状の竹を2本、川に渡した。
「これで安心して川を渡れる」
と思ったら、その橋の上を、アリが行列を作って渡って行っていた。アリたちが「道が短くなったね」と話していた。
朝起きてから、歩夢がトイレに行くと、またおしっこの出方に微妙な違和感があった。何?と思い、トイレを出て自分の部屋に戻ってから確認する。
「小陰唇が出来てる!」
既にできていた大陰唇の内側にもうひとつのシャッターが出来ていた。
嬉しい・・・これでもう完全な女の子だよね!
歩夢は涙が込み上げてきた。
この日、歩夢は女子制服を着て朝御飯の食卓に出て来た。そして母の前で宣言した。
「私、今日からはこの制服で登校する」
遙佳、そして祖母の薫がパチパチパチと拍手する。
「で、でも・・・」
と母はためらっている。
「もう衣替えから半月経ったもん。いいかげんちゃんと夏服にすべきよね」
と遙佳は言う。
母は少し考えた。そして言った。
「そうだ!上半身はその格好で、下半身はズボンにしたら駄目?」
「女子の夏服にズボンは無いもん」
「あれ、ズボンがあってもいいと思うんだけどねー」
と遙佳。
「この服にズボンで出て行ったら、校門の所に立ってる先生から叱られるよ。ちゃんとスカート穿いてこいって」
と祖母の薫も言う。
母はそれでも「うーん・・・」と悩んでいたが、歩夢は悩んでいる母を放置して「行ってきまーす」と言って出掛けてしまった。
そういう訳で、この日から歩夢は完全女子制服生活に移行したが、先生たちは誰も何も言わなかった。
クラスメイトたち(特に女子の大半)は
「やっと“正しい”制服を着て出てきたか」
と言った。その後、女子トイレや女子更衣室もごく普通に利用した。水泳の授業でみんなに全裸の状態を見せていることもあり、歩夢を女子として受け入れてくれる子は確実に増えて行った。
先生たちが何も言わないのは、歩夢の女子制服姿があまりにも違和感が無く、不自然さを感じないことが最も大きい。担任の先生などは校長との話し合いで女子制服の着用許可が下りたのだろうと思いこんでいる。何人かの先生は「確か4月に異装許可が出てたはず」と思っている:4月に正式に許可を取って1日だけ女子制服で過ごしたのが実は利いている。
その日の夕方、歩夢が自分の部屋でモーツァルトのフルート協奏曲1番をマイナスワン音源で吹いていたら、祖母が入ってきた。最後まで聴いてから拍手をするので、歩夢はカーテシーで応える。
「上手に吹くね」
「おばあちゃん、美術館のほうはいいの?」
「今日は少し頭痛がしたから、お母ちゃん(歩夢の母)に任せて帰ってきた」
「大丈夫?寝てたほうがいいよ」
「御飯食べたら寝るけどね。ふと思い出したことがあって」
「うん」
「あんた、金沢での展示会の後で、お人形さんの中に“プリエール・ヴィエルジュ”って子が居ないかと訊いたじゃん」
「うん」
「それはフランス語で“乙女の祈り”という意味だと言ったけどさ、よく考えたら“いのり”というのは、あんたの亡くなったお姉ちゃんの名前じゃん」
「あ・・・」
遙佳(はるか)は現在高3、歩夢(あゆむ)は中2であるが、本来はその間の高1になるはずだった姉:祷里(いのり)も居たが、死産だったのである。
「あんたは祷里と同じ誕生日だったし、亡くなったお姉ちゃんが、あんたを守ってくれているのかもね」
そうか。もしかしたら、お姉ちゃんが私に女の子の身体をくれたのかも、と歩夢は思った。
「お祖母ちゃんには見せてあげる」
と言って、歩夢は服を脱いで全裸になった。
「え〜〜〜〜!?」
Timeline
24朝 -Testicle ビスクドールが合体する夢
25朝 +Ovary 卵がお皿に載っている夢
27朝 -精嚢+スキーン線 セーラー戦士がラグビーボールみたいな物体を破壊
28朝 +卵管 トロンボーンの夢
5/1 -Prostate 兵士と天女の夢 吹奏楽の大会
5/2 +womb 風船の夢 女子更衣室初体験 ナプキンを買う
5/3 姉にブラをもらう。ホルモン中断
5/4 排卵(+14=5/18) 卵を産む夢
5/5 柱を埋めていく夢
5/6 おしっこが近くなったと言っている
5/8 短くなっていることに気付く
5/14 +Vagina 最終意思確認 ペニスが5mmサイズまで縮小。5/9 34mm 5/10 29mm 5/11 24mm 5/12 18mm 5/13 12mm 5/14 5mm
5/18 初潮 洪水の夢
6/01 2度目の排卵
6/03 +labia majora クレバスの夢
6/04 吹奏楽 一言主神社到達不能 アクアゾーンで泳ぐ
6/13 水泳の授業
6/15 2度目の生理
6/16 +labia minora 竹を割る夢 女子制服登校開始
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春歩(24)