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■春歩(21)

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(C) Eriko Kawaguchi 2022-12-09
 
6月6日(月).
 
春貴が橋口教頭に土日の結果を報告し、3位の賞状を見せると驚いていた。
 
「3位と北信越大会進出は素晴らしい」
「準決勝は負けましたし、順位決定戦はコロナによる不戦勝ですけどね」
 
と春貴は言ったが、横田先生が
 
「準決勝の対戦相手、高岡C高校は春の大会の優勝校です。そこと1点差のゲームをしたのは凄いですよ」
 
と口添えしてくれた。
 
「女子バスケットボール部の練習場所については再度早急に検討しよう」
と教頭は言ってくれた。
 

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部員勧誘だが、絵心のある舞花がポスターを作り、生徒会の許可を取って廊下の掲示板に貼った。愛佳は放送原稿を作って放送部に頼んで校内放送してもらった。
 
「女子バスケットボール部では新加入部員を募集しています。今なら先着7名まではベンチに座れます(←晃が女子選手になる前提!)、女子バスケ部はインターハイ予選で3位になりました。みんなの力でウィンターカップ予選では優勝して東京体育館に行きましょう!なお、あまり運動神経無いけど興味あるという人はマネージャーになりませんか?主としてスコアを付けたり用具やユニフォームの管理、連絡事項の記録、雑用などのお仕事です。うちの部ではユニフォームの洗濯とかはありません。マネージャーは性別も不問です」
 
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女子バスケット部の練習については、当面の処置として、昼休みに第2体育館を使ってもよいという許可が出た。
 
本来、H南高校の部活は平日の各学級での終わりの会が終わった後、18時までと限定されており、早朝・昼休み、また土日祝の活動は大会などの場合を除いて原則禁止である。しかし女子バスケットボール部は、北信越大会出場という快挙を成し遂げたので、特別に17日までの2週間限定で昼休みに練習することを認めてもらった。
 

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部員の勧誘は個人的にも進めた。
 
まず河世が、中学のバレー部で一緒だった同学年の津田秋奈(162cm)と1年先輩(2年生)の砂井梨央(163cm)を勧誘した。2人とも、この学校には女子バレー部が無いので、どこにも入っていなかったのだが、「県大会で3位になるようなチームならバスケットしてもいいかな」と言った。
 
そして夏生が従妹の2年生・山口一恵(158cm)を勧誘した。彼女は中学時代は水泳をしていたが、H南高校には水泳部が無いので、手芸部に入っていた。でも何か運動したいと思っていたらしい。夏生は「顧問の先生はインカレや国体にも出た元水泳選手だよ」と言って勧誘した!ほとんど関係無い気がする。彼女はバスケ未経験だが、水泳をしていたので身体能力は高い。
 
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更に美奈子が友人の藤永弘絵(154cm)を「マネージャーでもいいから」と言って引き入れた。彼女は中学時代は陸上部に入っていたが、陸上部ではあっても100mのタイムが18秒で、中学では400mに出してもらう他は駅伝要員だった。上り坂要員をしていた。彼女はスピードは無いがスタミナはあるタイプである。中3の時は上り坂で10人抜きをしている。但し最下位の30位から20位への浮上である!
 
「自分の力では高校陸上ではみんなに迷惑かけるだけ」
と言って陸上部には入らず、JRCに籍だけ置いていた。でも実際には全く部室に顔を出しておらず幽霊部員だったという。彼女は春貴が副担任をしている1年3組の子である。
 

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新入部員は6月7日(火)の昼休みに第2体育館に集めたのだが、個人的に勧誘した4人に加えて「ポスターを見て」と言って、2年生の子が来た。菓子弥生(かし・やよい)である。松夜が手を振っていた。同じ中学の出身ということだった。彼女は中学時代は弓道部だったらしい。この高校には弓道部が無いこともあり、これまでは部活はしていなかったという。でも何か運動してみようかなと思って来たという。
 
「名前と苗字をよくひっくり返されて記載されます」
「えっと“菓子”が苗字だよね」
「はい、そうです。でも“子”の字が付いてるから、そちらを名前と思われることがよくあるんですよ」
 
「弥生という苗字もあるもんね〜」
 
春貴は友人の呉羽大政(現ヒロミ)などの類いだなと思った。
 
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ちなみに“菓子”は富山県では、たまに見る苗字である。
 

入部する5人に自己紹介してもらった後、4月から居るメンバー8人の紅白戦を少し見学してもらった。すると、その途中、体操服を着た背の低い子がもじもじとした感じで入ってきた。メンバーの中で1年生の数人はその子を知っていた。春貴も授業をしているので知っていたが、面白い子が来たなと思った。
 
愛佳が
「入部希望者さん?」
と声を掛ける。
 
「あのぉ、放送を聞いたんですけど、マネージャーとか、まだ募集してますか?」
と可愛い声で言う。
 
「うん、OKOK。大歓迎だよ」
と愛佳が言うと
「良かったぁ」
と言う。
 
「じゃこの部員名簿にクラス、名前と生年月日に身長、出身中学を書いてね」
と言って登録用紙を渡す。
 
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その子は“1年2組 吉川日和 2006.9.22 148cm T中学”と書いた。
 

「名前の読み方は、“ひな”ちゃんかな?“ひより”ちゃんかな?」
「“はるかず”と読むんです」
「まるで男の子みたいな読み方するね」
と愛佳が言うと、その子は真っ赤になって俯いている。
 
それで同じクラスの五月が言った。
「その子、少なくとも学籍簿上は男子なんですよ」
 
「え〜〜〜!?」
「だって女の子にしか見えないのに」
「ごめんなさい。やはり女でないと駄目ですか?」
「そんなことないよ。マネージャーは性別関係無いから。ぜひ入って」
と愛佳。
 
「ありがとうございます!」
と彼女、じゃなかった彼は、嬉しそうに言った。
 
春貴は、この子、千里さんに「女の子にしてあげようか」と言われたら、女の子になってもいいかなあ、とか言いそうと思った。
 
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彼(彼女?)の加入で女子バスケ部員は14人になったのである。県大会までの範囲なら14人全員ベンチに入れる。晃と日和も選手登録したとしても!
 
(バスケットは本来ベンチ入りは12人までだが、都道府県大会以下では15人までベンチに入れる大会が多い)
 

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春貴は横田先生に頼んで新加入の6人をバスケットボール協会に登録してもらい、またスポーツ保険にも加入させた。またすぐにこの6人を含む14人を記載した北信越大会の登録名簿を作成して、主催者にFAXした。新規加入部員はマネージャーの日和以外は誕生日順に登録したので登録はこのようになった。
 
4 谷口愛佳 153 PG
5 高田舞花 159 C
6 山口夏生 154 SF
7 竹田松夜 155 PF
8 原田河世 165 C
9 鶴野五月 152 PG
10 綾野美奈子 158 SG
11 高田晃 168 PF
12 砂井梨央 163 F
13 菓子弥生 161 F
14 山口一恵 158 F
15 藤永弘絵 154 F
16 津田秋奈 162 F
17 吉川日和 148 Manager
 
日和をマネージャーとしてエントリーシートに記入したので晃は選手にしておいた。小柄で華奢な日和は、いかにもマネージャーというのが説得力がある。
 
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コートネームは3年生2人の独断で次のように定められた。
 
4 谷口愛佳 ラブ
5 高田舞花 ルツ
6 山口夏生 サマー
7 竹田松夜 パイン
8 原田河世 キュー
9 鶴野五月 メイ
10 綾野美奈 ビナ
11 高田晃 ルミ
12 砂井梨央 ペア←梨
13 菓子弥生 マーチ←3月
14 山口一恵 ワン←one
15 藤永弘絵 イド←wide
16 津田秋奈 タム←autumn
17 吉川日和 デイ←日
 
ちなみに日和は本当は“はるかず”と読むということは、みんなから速攻で忘れられ“ひより”ちゃん、更に短縮して“ひよ”ちゃんと呼ばれるようになった。女の子っぽい呼ばれ方をするのが本人も快適っぽかった。彼は教室では概ね“吉川さん”と呼ばれている。彼を“吉川君”と呼ぶ子は居ない。
 
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この日、昼休みは既存メンバー8人の紅白戦とその見学だけだったが、放課後は、旧美術室に集める。
 
新規加入メンバーは、美術室というので、そこでルールの説明とかでもするのかと思ったようである。ところがそこでドリブル練習とシュート練習をするというので、仰天していた。
 
「こんな所で練習してるんですか」
「まあ体育館が空いてないから仕方ない」
 
「先生、宝くじ当てて
専用体育館を建てましょう」
「ドリームジャンボ買ったよ」
「当選金はいくらですか?」
「一等前後賞当たったら5億円。だから連番で買った」
「当たるといいですね!」
 
なお、日和には取り敢えずバスケットのガイドブックを渡して、基本的なルールを勉強してもらった。彼(彼女?)を練習のサイクルに入れると邪魔になってしまうのでやむを得ない。
 
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新規加入メンバーは、最初は美術室でバスケの練習なんてと当惑したものの、その濃厚な練習に驚いていた。
 
「これ結構きついです」
「疲れたら休んでね。部活は楽しく」
「そうそう。辛かったら続かないもん。楽しいから部活するんだよ」
「無理して故障したら元も子もない」
 
それで新規加入メンバーの中でスタミナのある弘絵以外はかなり休みながら練習していた。ても雰囲気が明るいので
 
「なんか楽しいから続けてもいいかな」
と言っていた。
 
元バレー部の2人は
「さすが県3位になるチームですよ。練習の密度が濃いです」
「かなりやる気が出て来ました」
などと言っていた。
 

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17時半くらいで切り上げて、(日和も含めて)終わりのジョギングに出る。
 
「ぼくがヒヨちゃんには付いてますから、先生は他の女子の後尾に付いてください」
 
と晃が言うので、日和は彼に任せて、春貴は他のメンツの最後に付いた。最後尾を走るのは、元陸上部の藤永弘絵である!
 
「練習の最初じゃなくて最後にジョギングするって変わってますね!」
「だって、最初にジョギングしたら疲れて練習できないじゃん」
「女子バスケット部って、なんかイメージしてたのと違う」
「思った。北信越大会に行くなんて、凄い厳しい練習してるかと思ったのに」
「今は根性漫画とかの時代じゃないよ」
 

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それでジョギングコースを走っていたら、焼肉店跡の所で何か工事中のようである。工事用のシートが掛かっている。
 
「背の高い建物みたい」
 
シートの高さから見て4階建てくらいの高さがありそうだ。
 
「何かのビルかなあ」
「工場とかかも」
「コンビニではなさそうだ」
「残念」
「でもビルができて1階がコンビニかもよ」
 
どうも何とかコンビニができて欲しいようだ。
 
「でも昨日ジョギングした時は何も無かったのに」
「今日から工事始めたのかもね」
「今日一日で足場を組んだんでしょうね」
「仕事が速いですね」
 
折り返し点では晃と日和が到着するのを待ってから出発した。
「ごめんなさい」
「ノープロ。こちらは休めていい」
 
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それで帰りもゆっくりと走って戻った。
 

6月7日(火).
 
日本水泳代表で、フランスのカネ・タン・ルシヨン (Canet-en-Roussillon) で合宿していたグループはいよいよハンガリーに入国。ホードメゼーヴァーシャールヘイ (Hodmezovasarhely 正確には Hódmezővásárhely. (*30)) に移動した。
 
カネ・タン・ルシヨン近郊のペルピニャン・リヴサルト (Perpignan-Rivesaltes -PGF) 空港から、ムーランのA330で、ブダペストのリスト・フェレンツ (Liszt Ferenc -BUD) 空港に移動。そこからバスで3時間ほどかけて到着した。
 
ここはハンガリー南部の都市で人口は5万人ほどである。
 
(*30) őはウムラウトëではなくダブルアキュートő. 長音を表す。
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