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■春歩(7)
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4月27日(水).
歩夢は夢を見ていた。目の前にラグビーボールを大きくしたような物体があり、左右にパイプが出ていた。
そこに
「お嬢さん、下がってて」
という声がする。
見るとセーラー戦士の格好をした、真珠さんと明恵さんである。
2人は歩夢の傍まで走り寄ると歩夢をかばうように前に出る。そして、剣のようなものを振って、右側のパイプを切断した。
そして
「ムーン・ウォーター・パワー・メイクアップ!」
「ソラリス・ファイアー・パワー・メイクアップ!」
と呪文?を唱えると、ふたりの合わせ技?で光線のようなものを発射して、ラグビーボールのような物体を爆破した。爆破された物体の中から大量の白い液体が流れ出した。真珠さんが、破壊した物体の代わりに小型の物体を左側のパイプに取り付けた。
「これで安心だね」
「敵の弾薬庫は破壊した」
と2人は言っていた。
弾薬庫だったの!?白い液体は爆薬か何か??でも弾薬庫を爆破するって凄く危険な気がする!
4月27日(水).
春貴はここ1ヶ月間オンラインで受講していたE級コーチ、およびE級審判の講座をこの日修了し、試験にも合格して各々のライセンスを取得した。
「まあ、次の大会からだな」
と春貴は思った。
春貴は、翌日(4/28 Thu) 横田先生に報告し、横田先生は Team JBA のシステムを操作して、春貴の登録情報に、コーチと審判のライセンス番号を登録してくれた。
「6月にD級コーチの講習会があるから、それも受けるといいですよ」
「分かりました」
「6月に入ってからの申し込みですから」
「忘れないようにしないといけないですね」
「D級審判はどうします?」
「もう少しバスケットのルールをしっかり理解してからにします」
「あはは、それがいいかもね」
と横田先生は笑っていた。
4月28日(木).
この日の朝、歩夢はまた夢を見た。歩夢は、吹奏楽部で
「この曲ではトロンボーンを頼む」
と言われて、トロンボーンを渡されたのだが、
2本!?
「2本もどうすんの?」
「頭数が足りないから、2人分吹いて」
「私、口はひとつしか無いんだけど」
「2本咥えることはできるはず。手は2本あるから、2本同時に吹けるよ」
それで言われて2本同時に咥え、左右の手を伸ばしたり縮めたりして各々の音階を鳴らすが、頭の中が混乱しそう!それに息が物凄く苦しい。そしてある部分で思わず止まる。
「バルブ操作ができない!」
「足で回すとか」
「スカートめくれちゃう!」
と言ったところで目が覚めた。
変な夢を見たせいか、お腹の中でトロンボーンが伸び縮みしてるような感覚を覚えた。
「トロンボーンのスライドを伸び縮みさせるのって、おちんちんが伸びたり縮んだりする象徴かなぁ。私のおちんちんはもう伸びなくなってから久しいのに、まだ男の子の機能は完全には死んでないんだろうか。しつこいな」
と、歩夢は少し憂鬱な気分になった。
4月29日(金).
朝7時頃、歩夢がセーラー服姿で
「行ってきまーす」
と言って、出掛けようとするので、母は焦って
「待って。あんた、今日もその格好で登校するの?」
と呼び止めた。
「お母ちゃん、今日は休みだよ。吹奏楽部の練習があるから行ってくるんだよ」
「なんだ部活か」
と母。
「お母ちゃん、今日は昭和の日だよ」
と、パジャマのまま、のんびりとコーンフレークを食べている遙佳が言う。
「ああ、ゴールデンウィークが始まったのね」
などと母は言っている。
それで歩夢はショートブーツを履き、水玉模様の可愛い傘を持って出掛けて行った。
「でも今年はあまり連続して休みが無いよね」
とロングTシャツにハーフパンツという、女の子と見紛うような格好をしてハムとチーズを挟んだ分厚いトーストを食べている広詩が言った。
28平29○30○1○2平3○4○5○6平7○8○9平
「どうでもいいけど、広詩、まるで女の子みたいな格好してる」
「楽だから着てるだけだよ。僕は女装趣味は無いよ」
「だったらいいけど」
「広詩、精液の冷凍を作っておく?」
などと遙佳が言う。
「何それ?」
「万一、朝起きたら女の子になってたとかいう場合でも、冷凍精液があれば子供を作れる」
「そんなラノベみたいなこと起きるわけない」
「事実は小説より奇なり、と言うからね」
「女の子になっちゃったら、広詩が子供を産めばいいんじないの?」
などと祖母が言う。
「僕が子供産むの〜〜?」
4月29日(金祝).
富山県春季バスケットボール大会の男女準々決勝が行われた。H南高校男子は、これに参戦したが、大差で負けてしまった。それで今年春の男子はBest8どまりということになった。
女子は見学を兼ねて応援に行きたい所だったが、ベンチに座る人以外は入場できないので断念した。
4月30日(土).
富山県春季バスケットボール大会の準決勝と決勝(+シード順決定戦)が行われ、女子では高岡C高校が富山B高校を破って優勝した。
結果的に春貴たちの学校は、BEST16ではあるが、優勝したチームに負けたチームということになる。
5月1日(日).
歩夢はまた夢を見ていた。歩夢が学校でトイレに行き、ドアの前で迷った末に男子トイレのドアを開けて中に入ると、槍を持って甲冑を着けた兵士がずらっと立っているのでギョッとする。
「お前は女ではないのか?ここは男便所だぞ」
「女の子になりたいけど、まだ女になってないんですー」
「だったら今は男なのか?」
「はい」
「では男かどうか、確認するから、我々が見ている前で排尿しろ」
「え〜〜!?」
それで歩夢はズボンを脱ぎ、透明の便器に腰掛ける。
「やはり、チンコが無い。お前は女ではないか」
「小さいだけですー」
そんなことを言っていたら、そこにセーラー服を着た・・・真珠さんと明恵さんではなく、クラスメイトのツバメとヒバリがやってくる。そして2人でマシンガンを構えると、槍を持った兵士を全員倒しちゃった!
うっそー!?
「あゆちゃん、君は女の子なんだから、ちゃんと女子トイレを使わなきゃダメだよ」
と言って、ふたりは歩夢を女子トイレに連れて行ってくれた。
トイレの中にはふわふわした感じの衣裳を着けた美しい天女がたくさんいて、
「のんびりとトイレタイムを楽しんでね」
と言った。
それで歩夢はホッとして、便器に座り、おしっこを・・・
しようとした所で目が覚めたので、慌ててトイレに行って、(夢の続きで?)おしっこをした。
歩夢は、朝食の後、ひととおり曲を練習してから、フルートを分解し、ケースに入れた。セーラー服を身につける。
そして、デイパック(*12) にハンカチ・ティッシュ・生徒手帳・財布などの入っているバッグと、フルートケースに楽譜を入れる。スマホは制服スカートのポケットに入れて
「吹奏楽大会、行ってきまーす」
と母に声を掛け、茶色のローファーを履いて出掛けた。
この日は吹奏楽の大会がある。
歩夢はセーラー服で“学校外”に出掛けるのが好きだ。ふつうに誰もが自分を女の子として扱ってくれるし、女子トイレも普通に使えるし!
それでS市民ホールに行き、演奏に参加した。S中学は地区1位で来月の県大会に進出した。
(*12)よく誤解・誤記されるが、デイパック(day pack) が正しい。デイバッグ(day bag) は誤り。「1日分の荷物をまとめたもの」という意味。
ちなみに、紅茶の茶葉が入っているのはティーバッグ(tea bag) であって、ティーパック(tea pack) は誤り。ティーバック(T-back) ならパンツ!
pug パグ:犬の一種。
bug バグ:虫。プログラムやシステムの誤り。
hack ハック:プログラムの上書きによる変更(悪い意味は無い)。
bag バッグ:かばん。
pack パック:包んだもの。まとめたもの。
Puck パック:妖精の名前。
back バック:うしろ。
大会が終わった後、友人たちと別れて父のレストランに向かう。休日なので人手が足りない。それで歩夢は土日にはレストランのお手伝いをすることが多い。実はウェイトレスさんのユニフォームを着られるのも楽しみである。基本は給仕を担当するが、実は一部調理もする。
それで、レストランに行き、18時頃までお手伝いをした。
給仕していて、ひとりのお客さんに言われた。都会人っぽい。
「ここのテーブルクロスって物が滑らないのね」
「申し訳ありません。最近S市は地震が多いので、万一大きな地震があった時に、テーブルの上の皿やナイフ・フォークが落ちにくいように、摩擦の大きなテーブルクロスを使用しております」
「ああ、そういうことだったんだ!」
「滑らないから掃除が大変なんですけどね。アルコール入りのお掃除シートで押さえるようにして掃除しています。フォーク・ナイフ類も柄が付いてて滑りにくいタイプを使用しています」
「色々工夫してるね!」
「スープ類も本来のサイズよりひとつ大きいサイズの器を使用して、揺れた時にこぼれにくいようにしてるんですよ」
「なるほどー!いや、洋食屋さんって、一般にお皿だけ大きく料理はちょこっとという所が多いから、そういう流儀かと思った!」
「以前はうちは並々と盛る流儀だったんですけどね」
「へー!」
バイトを終えてから、セーラー服に戻る。歩夢は中学生なので、基本的にはバイトは18時までということにしている。
着替えていて思った。。
「なんかここ数日ブラがきついような気がする」
でもAカップのブラを3月に買ってもらったばかりなのに!
「中学2年生なら、そろそろジュニアブラは卒業しようか」
と言われて、Aカップのブラを取り敢えず5枚買ってもらった。もっともAカップなんてたくさん“余る”ので、カップが潰れないように、歩夢はウレタンパッドを入れていた。パッド用のポケット付きのブラなので“落下”事故は起きる心配が無い(小学生の時、一度落として、友だちのヒバリちゃんに拾ってもらって、あれは恥ずかしかった)、
でも歩夢は、例の玉が無くなった日以降、パッドを入れなくてもいい気がして、ここ一週間はパッド無しで着けている。
そういえば、お姉ちゃんが、女の子の胸って、突然急成長する時期があるのよね、とか言っていた。私も急成長の時期なのかなぁ?
その日の夜、お風呂に入っていて、胸を洗っている時
「やはり、大きくなってる気がする」
と思った。ほんとに私、おっぱい成長期なのかも。
でもこないだ買ってもらったばかりなのに、新しいブラジャーが欲しいとかお母ちゃんに言えないよぉ、と歩夢は思った。
「そうだ。明日の帰り、取り敢えずスーパーフック買って来よう」
と歩夢は考えた(←セーラー服で下校する気満々)。
「あん、もうこれ少し触るとすぐ大きくなっちゃう」
と真珠は文句を言った。
「そりゃ大きくなるよ」
と邦生。
「せっかく、女の子みたいに、ぐりぐりしてあげようと思ったのに。あれ凄く気持ちいいんだよ」
「構造が違うんだから仕方ない」
「いっそ玉を取る気無い?そしたら大きくならなくなるよ」
「嫌だ」
「精液の冷凍はあるんだから、玉は用済みじゃん。取っちゃわない?」
「用済みなのかよ!?」
「くーにんみたいな美人が男っぽくなったら世界の損失だから、25歳になるまでには玉を取ろう」
「あと4ヶ月しか無いじゃん!」
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