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■春避(12)

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この日、晃たちが練習を始めた直後、結構大きな地震があった。
 
「揺れたねー」
「震度3くらいかな」
 
スマホで速報を見たら、震源はS市である。
 
「ずっとあそこは地震続いてるからなあ」
「S市は震度6だったみたい」
「大きな被害出てないといいけどね」
 
女子4人(晃を含む)は、体育館2階のジョギングコース(100m)を軽く10周走って身体を暖めてから、体操・柔軟体操をする。柔軟体操は、舞花と晃、愛佳と美奈子で組む。
 
その後、ドリブル走の練習を10本やってからミドルシュートの練習をする。ただし美奈子だけはスリーの距離から撃つ。これは2階のシュート練習場に行き、舞花と晃、愛佳と美奈子で組み、10本交替で練習した。
 
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これを各々200本やってから、下に降りて2on2の練習を30分くらいやった。更に晃に妨害役をさせて、他の3人がシュートする練習をしたが、晃の技術が4月頃からは上がっているので、美奈子が何度もスティールされていた。
 
坂下君たちが「お前たち、凄い濃厚な練習してる」と感心していた。坂下君たちは1 on 1 とシュート練習(主としてランニングシュート)を休憩を挟みながらやっていたようであった。女子たちはほとんど休憩を入れていない。
 
坂下君たちは16時頃帰ったが、それと入れ替わに奥村先生がやってきた。
 
「君たちも来てたんだ!」
と驚いている。
 
「さっきまで坂下君たちもいたのですが、帰りました」
「へー。頑張るね」
 
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などと言って、先生は先生でジョギングをし、ドリブル走の練習をして、2階のシュート練習場でシュートを練習して、とやっていた。
 

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春貴は18日だけで北信越大会が終わってしまったので、19日は1日寝てようと思った。しかし15:08の地震で目が覚める。結構揺れたなあと思った(氷見市は震度3)。地震速報を見て、S市が震源と分かる。あそこはここ数年地震が多い。
 
目が覚めてしまったので、少し汗を流してこようと思い、パンを食べてから着替えてパッソに乗ってファイアーバードに向かった。年間利用券(*17) を見せて「フラミンゴ」をお使いくださいと言われるのでそちらに入ったら、女子バスケ部の愛佳・舞花・晃・美奈子も居る。
 
「君たちも来てたんだ?」
と声を掛けて、自分は自分で練習を始めた。ここで春貴が彼女たちを“指導”すると、部活になってしまうので、それは避けた。
 
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(*17) 元々買った“火牛スポーツセンター”の年間利用証なら、そのままここも使えるのだが、それはH南高校女子バスケット部名義の利用券に切り替えてしまった。それで春貴はあらためてファイアーバード専用の年間利用券を購入した。
 

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17時頃、中学の時の友人・美由紀から電話がある。春貴は練習中だったので体育館のフロアを出てから取った。
 
「お待たせ」
 
「S市の人形美術館でさ、さっきの地震で崖崩れが起きて、人形美術館がピンチなのよ。人形の運び出しを手伝ってくれない?」
 
「分かった。行く」
「来てくれるなら、今そちらにキャラバンあるんでしょ?」
「うん」
「荷物運ぶのにも使いたいから持って来てくれない?」
「了解」
「それと来る時、協力者を4人ほど乗せてほしいのよ」
 
「いいよ。氷見か高岡の人?」
「高岡1人、氷見1人、射水1人、七尾1人。18:00に氷見漁港で3人、そのあと行く途中、七尾漁港で1人ピックアップして欲しい。全員バイク乗りでそこに集まってもらう」
 
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「4人の性別は?」
 
「全員中性のほうの“男の娘”で、1人は大学生、3人は専門学校生」
「へー」
 
「見た目は女の子に見えるらしい。おっぱいもある。全員女声が出せるからパス度は高い。腕力は普通の女よりあるけど、普通の男には及ばない。まだちんちんは残存してるけど、玉は除去済みだから立つことはないらしい」
 
いや別にそんなことまで聞いてないんだけど。
 
「最近は早めに取る子多いね!」
「玉なんて男の娘は遅くとも高校卒業するまでに取るべきものだよ」
「個人的には同感」
「はるちゃんは小学5年生で取ったんだったよね」
 
え?そういう話になってんの?
 

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春貴はまだ練習していた愛佳たちに声を掛けて
「私は離脱するけど、君たちはあまり遅くならないようにね」
と言った。
 
「何か急用ですか」
「うん。S市の人形美術館が崩れそうになっているから人形を運び出すの手伝ってと言われたんだよ。それで行ってくる。明日の朝には戻る」
 
すると愛佳たちは顔を見合わせている。
「それ少しでも人手が欲しいですよね。私たちも協力します」
「気持ちはありがたいけど、君たちを連れていくわけにはいかない。私が君たちを連れて行ったら、私は顧問をしている部の部員を勝手に学校活動と無関係の作業に徴用したと言われる」
 
すると舞花が即答した。この子は頭の回転が速い。
 
「だったら私たちはたまたまそういう話を聞いて、先生とは無関係に自主的にS市に行ってお手伝いしたというのではどうですか?」
「でも足は?」
「私と晃は母の車で来てるんです。母にS市まで送ってもらいます」
 
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「分かった。私はこれから学校まで行ってキャラバン取ってくるから、それまでに親御さんと話していて」
「分かりました」
 

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それで春貴は、パッソはファイアーバードに置いたまま、ジョギングで学校まで行った。門は閉まっていたが、電話してみたら教頭先生が居て開けてくれた。S市で地震被害にあった知人からヘルプを求められているので、キャラバンで救援に行くと言うと
 
「余震とかあるかも知れないし気をつけて下さいね」
と言われた。
 
「そうだ。北信越大会は?」
 
「すみません。それを先にご報告するべきでした」
と言って、結果を報告する。
 
「初戦突破した後、石川J高校に敗れましたか」
「上位まで行けずに済みません」
「いや、インターハイの常連校相手では仕方ないですよ。北信越大会で初戦突破しただけでも凄いです。また頑張ってください」
「はい」
 
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「明日学校は?」
「多分朝までには戻ります」
「分かりました。戻って来られないようならメールでも下さい」
「はい、その時はご連絡します」
 
それで春貴はキャラバンを出してまずはファイアーバードに行った。
 
舞花のお母さんが春貴に言った。
「こんな時は助け合いですよ。可能な限りお手伝いしますよ」
「分かりました。ありがとうございます」
 
「私も母に承諾を取りました。舞花ちゃんと一緒ならOKと言われました」
「私も母に承諾を取りました。舞花先輩と一緒ならOKと言われました」
 
どうも舞花は信用があるようだ。
 
なお彼女たちは春貴が学校まで行っている間に全員下着を交換したらしい。春貴も下着を交換する。
 
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それで、愛佳と美奈子が、舞花の母のアコードに同乗し、晃のキャラバンと一緒に出発する。まずはENEOSのGSに寄り両方の車に満タン給油した。能登半島では七尾より北には夜間営業しているGSは無いので、満タンにしておかないとヤバい。
 

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春貴は舞花の母に
「これ使ってください」
と言って、自分の ENE-Key を貸した。
 
「すみません。ありがたく使わせてもらいます」
 
その後、お弁当屋さんでお弁当を10人分買ってから氷見市内の集合場所に向かう。18:00集合だったのだが、17:40には全員(3人)揃ったのですぐ出発した。舞花の母と春貴は待っている間にお弁当を食べた。
 
能越道(無料区間)を走り、県境PAで一度休憩、七尾ICで降りて七尾漁港でまた1人乗せる、そのあとS市に向かった。駒渡パーキングで休憩する。県境PAでも駒渡でも晃が他の女子たちに連行されて女子トイレに入ったのは見ぬ振りをした。お母さんも一緒だったし!
 
19:30頃現地に到着。春貴、男の娘4人、女子高生4人(晃は女子高生に分類される)で、人形の梱包とトレーラーへの積み込みに参加した。
 
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千里さんが「来てくれてありがとう。できるだけたくさん人手が欲しかった。これガソリン代とお弁当代」といって3万円くれたので、少し多い気もしたが、ありがたくもらっておいた。
 

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帰りのことも考え、舞花の母には車内で休憩してもらうことにした。でも舞花の母は買い出しに協力し、何度かコンビニに(予約してから)行って、作業している人たちに肉まんやチキン、暖かい飲み物を配ったりした(お金は千里さん、不在の間は代理の広沢さんという男性が出していた)。
 
美術館のオーナーの夫が経営しているレストランからもおにぎりなど炊き出しの軽食を運んでいた。だから結局お母さんはあまり寝てないはず。
 
人形は、取り敢えず輪島市の材木屋さん?の営業所敷地に運ぶということだった。そのため、何台もトレーラーを持って来ていた。
 
22時の段階で氷見組の高校生は帰すことにする。舞花の母が自分の車(アコード)を運転して帰ろうとしていたのだが、千里から頼まれた南野鈴子さんという人が
「お疲れの所事故があったらいけないので私が運転します」
と言う。
 
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ああ、それがいいな、お母さん結局仮眠とかしてないもん、と春貴は思った。
 
「でも私たち5人なのですが」
と舞花の母。
 

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「うーんと・・・」
と南野さんは少しだけ考えてから神谷内さんに声を掛けた。
 
「エスティマ貸してください」
「ああ、いいよ」
と言ってキーを貸してくれた。
 
それで南野鈴子は、
「アコードはあらためて回送しますから」
と言い、エスティマに、氷見組の女子高生4人と舞花の母を乗せて氷見に向かったのである。
 
「皆さん寝てて下さいね」
と言うので、舞花たちは遠慮無く寝せてもらった。ここで座席割りは舞花の母が助手席、2列目に舞花と晃、3列目に愛佳と美奈子である。美奈子の家、愛佳の家に寄ってから舞花の家に行くことにする。
 
鈴子(すーちゃん)がエスティマを借りることを考えたのは2つの理由である。
 
・舞花の母が双方の親に挨拶する必要があるので、舞花の母を置いていく訳にはいかない。だから6人以上乗れる車が必要。
 
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・キャラバンを使うと、それが奥村先生が使っている車という認識があるので、愛佳や美奈子の親が、奥村先生が連れ出したのではと思う危険がある。
 
それで春貴と無関係のエスティマを使うことにしたのである。
 

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すーちゃんは駒渡パーキングで休憩した後、23時頃(*18)、美奈子と愛佳を各々の自宅にポストし、その後舞花の家で、舞花・晃および母を降ろした。そして氷見の道の駅で朝まで眠った。
 
(*18) 時間がおかしいのは愛嬌。本来なら24時近くになったはずだが、くうちゃんに頼んで途中ワープした。これは特に高校生たちを早く休ませるためである。
 

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春貴は最後まで人形搬出の作業をした。23時頃に最後の人形たちを送り出した。
 
ここで明日学校があるので離脱させてもらう。
 
春貴が連れてきた男の娘4人は明日の作業のため残るという。春貴が乗ってきたキャラパンは荷物の運搬に使われて輪島に行っている。しかしうまい具合に舞花の母が運転してきたアコードがあるので、この車の回送を兼ねて運転して行くことにする。春貴は自分で運転するつもりだったが、千里さんの友人の花山さんという30歳くらい?の女性が運転して行きますよということだった。
 
「氷見方面の方ですか?」
 
「違いますけど、私と米沢(コリン)は、作業してくださった方をお送りするのに呼ばれたんですよ。それで搬出作業には加わらずに、仮眠してから作業のメドが付く頃にこちらに来ました。人はそれぞれ役割があるから、君たちは待機しててと千里さんに言われたので」
 
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「千里さんはそのあたりが偉いなあ」
「あの人最初に全体像を俯瞰してるんですよ」
「ああ」
 
それで春貴は花山(星子)さんの運転するアコードで帰宅することになった。カーナビに春貴の住所を聞いて入力した。
 
「でも氷見でどこか泊まる場所あります?」
「先行して氷見に行った南野さん(すーちゃん)が向こうで休憩しているはずなので、彼女に拾ってもらいます」
「なるほどー」
 
うまい具合にできてるなと春貴は思った(*19).
 

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(*19) 作者もうまく収まることに驚いた。最初は金沢に邦生たちを送っていったコリンに回収させるつもりだった。星子がコリンが来るまで休憩のためファイアーバードに行ったら、猛禽の到来におキツネさんたちがパニックになる!などという文章も書いたがすーちゃんと合流できることに気づき、そちらはボツにした。
 
氷見の女子高生4人が行くことにしたのは実は“晃を救う”ためである。(救わないほうが面白いけど)
 
 
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春避(12)

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