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■神様のお陰・神育て(18)

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食事が終わってから、何人かの女子が「デザート食べよう」と言い出す。綾が巨大なパフェを注文したら、それにならって大きなパフェを頼む女子が相次ぐ。
 
「お前ら、食事した後で、よくそんなの入るな」と三宅君が呆れて言う。「女の子はデザートは別腹だもんね〜」と浩香。
 
「あ。正美も注文したんだ」
「ああ。女子と一緒に遊ぶのが習慣化してるから食生活も女子化してる」
「正美の胃袋も女子仕様なのね」
 
「あれ、命(めい)は?」と言って、そちらを見ると、理彩がイチゴパフェ、命(めい)がチョコパフェを頼んで、分け合いながら食べている。
 
「ああ、考えてみるまでも無かったね」
「ん?どうしたの?」と理彩。
「命(めい)も別腹があるのかな、と思って」
「ああ。命(めい)の身体の中身は小学生の時にまるごと女の子のものに交換済みだからね」
「多臓器移植??」
 
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「心臓・肺・胃・十二指腸・小腸・大腸・直腸・膵臓・肝臓・腎臓・膀胱、ついでに子宮・卵巣・膣」
「完全入れ替えか!?」
「だから当然別腹も付いてきてるよ」
 
「別腹って医学的には何?」
「1番目の胃がミノ、2番目がハチノス、3番目がセンマイ、4番目がギアラ」
「それは牛だろ!?」
 
「子宮や卵巣まで移植した訳?」
「そうそう。だから命(めい)には生理がある」と理彩。
「命(めい)、本当に生理あるの?」
「うーん。出産で止まってたけど、先月末に再開したよ」と命(めい)。
 
「こいつらの言うことはどこまで信用していいのか全然分からんな」
「いや、生理があるというのは本当のような気がする」と玖美。
 

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集まりが終わってから、女子の間で「正美の胸を確認するのに温泉かプールに行こう」という話になる。正美が「プールで勘弁して」というので、明日午前中にみんなで地元の公営プールに行く話がまとまり、プールならということで男子たちも行くことになった。
 
翌日、理彩と命(めい)がお揃いのビキニ(理彩はピンク、命(めい)はスカイブルー)を着て出てくると歓声があがる。
 
「すごーい。よくそんなに露出できるね」
「子供のいる人たちとは思えん」
「身体はいじめてるからね」
「あれ?帝王切開って聞いた気がするけど、傷跡分からないね」
「横切開だから、ヘアーに隠れちゃうんだよ。もちろんビキニの下」と理彩。
「へー」
 
そこに正美もビキニで出てくる。凄く恥ずかしそうにしているので、いじるような雰囲気の歓声が上がる。
 
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「でも正美もスタイルいいじゃん」
「ウェストのくびれが本当の女の子みたい」
「胸、かなりあるんだね」
「うん。Dカップだから」
「命(めい)もだけど、張り切って大きくしてるねー」
 
「ねぇ、それ下も既に取ってしまっているということは?」
「まだ手術してないよ。アンダーショーツで押さえつけてるだけ」
と正美はうつむき加減で言う。何だか頬を赤らめている。
 
「なんか、恥じらってるところが萌えるね」
「うんうん。命(めい)なんか堂々としすぎてて全然面白くない」
「正美、夏は一緒に海水浴に行こうよ」
「うーん。行きたい気もする」
 
「決まり、決まり。命(めい)もついでに来てね」
「いいよ。でも夏はビキニ着ないから」
「どうして?」
「理彩が妊娠予定だから、この夏はビキニ着られないから合わせる」
「また一人作るの!?」
「呆れた奴らだ!」
 
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流れるプールで遊んでいて、何となく命(めい)と理彩は正美と一緒に水中歩行を楽しんでいたら、正美が小声で
「ね、ね、まどかさんって、あの人何者?」と訊く。
「何かされた?」と命(めい)は笑いをかみ殺しながら聞き返す。
 
「去年ふらふらとおっぱい大きくしたい気分になった時に、偶然町で遭遇してさ」
「ああ」と理彩が天を仰ぐ。
「豊胸手術するつもりなら、いい病院知ってると言われて、つい付いて行って」
「うんうん」
 
「病院の入口を入ったところまでは覚えてるんだけど、ふと気がつくとアパートにいたんだよね」
「なるほどね」
「胸は大きくなってるし、手術を受けたんだと思うんだけど、その間の記憶が全然無いんだよね。お金払った形跡も無いし。お金はそのうち請求書でも届くんじゃないかと思ってたんだけど来ないし。その病院探してみたけど、見つけきれなかったんだよね」
 
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「まあ、いいんじゃない? 手術の痛みも全然無かったんでしょ?」
「うん。実は」
「まあ、おっぱい希望通り大きくできたんだから、細かいこと気にすること無いよ」
 
「それでね・・・・先月末にまたまどかさんと会って」
「ああ」と理彩と命(めい)が一緒に溜息を付く。
「タマ取っちゃおうよ、って言われて」
「じゃ、もう無いのね?」
 
正美がコクリと頷き、顔が真っ赤になっている。全く親切な人だ!
 
「今回も全然手術の記憶が無くて。病院の入口入ったところで記憶が途切れてるんだよ。去年とは別の病院だったけど」
「まあ、気にすることないよ」
 
「まどかさん自身がお医者さんだから、色々コネも多いみたいだよ」
「へー」
 
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「でも去年豊胸、今年去勢なら、来年は性転換だね」
「うう・・・・なんかフラフラと手術受けてしまいそう」
 
きっとまどかのことだから「生理付き・出産機能付き」の性転換をしちゃうだろうなと命(めい)も理彩も思った。
 
「でもひとつだけ確実に言えることは」と理彩。
「就職カードはもう女で出すしかないね」
 
「やはりそうなるのかなあ・・・・」
また正美は恥ずかしそうな顔をしていた。
 

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午後からは紀子と西川君が東京に戻るということで、紀子は仲の良い浩香・綾の車(運転はもっぱら河合君)に同乗して奈良市まで行き、奈良線で京都に出るコース、西川君は命(めい)と理彩(と星)の車に同乗して大阪に出るコースで帰ることになった。
 
西川君と命(めい)は高校時代一時期ちょっと怪しげな雰囲気があって理彩も軽い嫉妬を覚えたりしたのだが、もう命(めい)と理彩が結婚した今となっては三人三様に何もわだかまりは無いので、純粋に様々なおしゃべりをしながらドライブを楽しんだ。西川君は後部座席に星のベビーシートと並んで座る形になるので、「ほんと可愛い子だね〜」と言っていた。星もご機嫌だった。
 
午後4時には大阪に着いてしまったのだが、新幹線は19時のを予約しているというので
「じゃ、うちで少し休んでいかない?」と理彩が誘ったので
「じゃ、お邪魔しようかな」
と西川君も言い、吹田の家に招き入れて、お茶を入れ、ストックしているお菓子を出してくる。
 
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「わあ、広い家だね〜」
「子育てしながら勉強もしてとなるとね。星の面倒を見るのに来てくれる母ちゃんの部屋も必要だし。でも家賃は5万だから」
「何、その安さは?」
 
「オンボロだからだろうけど。どう見ても築50年は経ってる」
「なるほど」
「それに区画整理に引っかかる可能性があるらしくて、その時は速やかに退去しますって一筆入れてるよ」
「ああ」
 
「東京ではお父さんとどんな所に住んでるの?」
「2DKの公団だよ。親父と俺とで一部屋ずつ使って、台所が共有スペースって感じかな」
「ふーん」
「そこにお母さんが時々来るのね?」
 
「うん。最近は月に1度くらいかなあ。来ると何だか親父とイチャイチャしてるから気を利かせて俺は自分の部屋に籠もったり、外出してくることもある」
「へー。でも仲がいいのはいいね」
「うん。だから何で結婚しないんだろうなってよく思ってたよ」
「まあ、当人達の問題だしね」
 
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「でも俺が高3の時、親父が先に東京に転勤してしまって1年間E町でひとり暮らししてた時は、かなり頻繁に母ちゃん来てくれたんだよ。特に受験の最後の追込みの時は、ほぼ毎日来て御飯作ってくれたから」
 
「それって・・・もしかしてお母さん、E町かその近くに住んでいるとか?」
「だと思う。だから東京には月1回くらいしか来ないんだと思う。でも住所を教えてくれないんだよなー」
 
「何か変わってるね」と理彩が言うが
「うちも変わった家庭だよね」と命(めい)は言った。
 
「全くだよね。夫がこんな感じでほとんど女だし」と理彩が言うと
「確かに、星ちゃんが大きくなったら他の家庭と違うんで悩むかもね」
と西川君も言う。
「でもどこの家庭もそれぞれ変な所持ってるかもよ」と命(めい)。
「うんうん。変じゃない家庭なんて無いかも」
と理彩も頷きながら言う。
 
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1時間くらいおしゃべりした後で、そろそろ新大阪駅に行こうかという話になる。出かける準備をしていた時。座敷で音がした。
 
「あれ?誰かいるの」と西川君。
「ああ、友だちのお姉さんが来たんだと思う」と理彩。
 
果たして、座敷と居間の襖を開けて、ロデムを抱いたまどかが出てきて
「ああ、疲れた疲れた。今日はここで晩御飯食べていい?」
と言った。
 
その時、西川君がポカーンとした表情でまどかを見た。まどかも手を口の所に当てて、息を呑んでいる。
 
「お母ちゃん、なんでここに居るの?」
と西川君は言った。
 

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40年前に戻って1973年4月。
 
まどかは医科大学への編入試験に合格して医学生となり、新たなキャンパスで新しい学生生活を始めようとしていた。今までの2年間は文学部で比較的のんびりとしたキャンパスライフを送っていたが、これからはかなり忙しくなるだろう。しかも医学関係の単位で他の学生は1-2年の内に取っているものを自分は余分にこれから取らなければならないから相当大変だ。身が引き締まる思いがする。
 
そんな思いで朝、新しい大学に行くため電車に乗っていたら
「あれ?西沢先輩?」
と声を掛ける男の子がいた。
 
「あ、西川君だったっけ?」
それは高校の吹奏楽部で一緒だった、2学年下の西川春貴だった。
 
「ええ。先輩はどこまで?」
「****駅だけど」
「奇遇ですね。僕も****駅です。M大ですが。先輩はM大?N大?」
「**医科歯科大学」
 
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「すげー! でも先輩達の学年でそこに通った人がいたとは知らなかった」
「編入試験を受けたんだよ。今年からここになった」
「それって普通に1年生として合格するより遥かに難関なのでは?」
「うん。試験は難しかったね」
 
ふたりは何となく電車の中で話し込んだ。
 
その後、ふたりは朝の電車の中でよく遭遇し、その度に何となく会話を交わした。元々ふたりの住まいが同じ路線上にあり、だいたい同じくらいの時刻に大学に着くように出ているので、けっこうな遭遇率があるようであった。ただいつしかふたりは「乗る車両」は決めておくようになっていった。
 
それはまだ携帯電話などというものもなければ、メールなどというものも無い時代の小さなエピソードだった。
 
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それから18年が経った1991年。
 
西川春貴は失意の中にあった。10年連れ添った妻に離婚され、2人の子供の親権も向こうに行った。更に会社のリストラで職を失った。さすがに自暴自棄になり最近酒量が増えていた。なかなか新しい仕事が見つからない。30代後半で公的な資格も持っていないと、そう簡単に職は無いのである。彼はそれまで社内資格はたくさん取っていたが、そんなものはその会社を離れると全く無意味であった。
 
春貴が水割りのお代わりを注文しようとした時、その手を停める手があった。
 
「そのくらいでやめときなよ」
「まーちゃん・・・・」
 
それは10年ぶりに再会した、まどかであった。
 
春貴とまどかの関係はあくまで「友人」という域を出ないまま春貴が結婚するまで8年間続いていた。春貴自身、元妻と結婚する時に、かなりの迷いはあったものの、彼女の方とは肉体関係があっという間にできてしまい、まどかとはキスもしていないという状態で、まどかも「幸せになりなよ」と笑顔で言ってくれたので結婚に踏み切った。そして結婚生活を送っていた間、まどかとは一度も会わなかった。
 
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「はるちゃん。明日10時20分に職安に行ってごらん」
まどかはそう笑顔で言って、バイバイして店を出て行った。ふと気がつくと伝票が無くなっていた。
 
翌日、まどかに言われた通りの時刻に職安に行くと、春貴の経験で応募可能な仕事を紹介してもらえて、その会社に行くと「そういう経験をしているなら心強い」と言ってもらえ、春貴は新しい職を得ることができた。
 
採用通知をもらい、新しい会社に出社するため、出かけようとしたらアパートの前にまどかがいた。
 
「ありがとう、まーちゃん。おかげで良い仕事が見つかった」
「良かったね、はるちゃん。また頑張ってね」
と笑顔で言ってまどかは去ろうとしたが
「あ、待って」
と言って呼び止める。
 
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「ね。ここの会社、たぶん夜8時くらいには終わると思うから、その後会ってくれない?」
「うん、いいよ」
 
そしてふたりの「交友」は復活した。
 

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「でも、まーちゃんは全然変わらないね」
「はるちゃんはちょっと老けたね」
 
その夜、ふたりは居酒屋で水割りを飲みながら話していた。
 
「俺、47〜48に見えるみたい」
「あはは。でも管理職やるには、年齢が上に見えるのはいいんじゃない?」
「うん。それはあるね」
「私の見た目が変わらないのは・・・・分かってるよね?」
「うん。多分、俺が想像しているようなことだろうと思う。敢えてその言葉は言わないけど」
「それを分かってくれている人とは私自身付き合いやすいわ」
 
「でも俺、今ならそれを承知でまーちゃんにプロポーズできる気がする」
「・・・・」
 
まどかはそれに返事をしなかった。しかしその夜、ふたりは初めて結ばれた。
 
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