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■神様のお陰・神育て(7)

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2013年に話を戻そう。
 
命(めい)たちの子育ての奮闘は続いていた。星はあまり病気もせず手の掛からない子ではあったが、それでも夜泣きしたのを外に連れ出して散歩して気分転換させたりするなど、お世話自体はけっこう大変だしどうしてもホルモンの関係で命(めい)はマタニティブルーになりやすい面もあった。しかしおおらかな性格の理彩と日々やりとりをし(この時期は浮気も控えてくれていた)、双方のお母さんが週交替で出てきて、しばしば「お世話しておくから、どこかに気晴らしに行っといで」などと言ってくれることから、何とか精神的に持ちこたえていた。また、しばしばまどかも出てきて、あれこれイタヅラしたりちょっかいを出したりして、命(めい)たちの生活に刺激を与えていた。
 
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5月には4ヶ月検診に出て行ったが
「早産だったとは思えない、しっかりした発達具合ですね。何の問題もありません」
などと言われた。
 
この時期、命(めい)が休学中なので、常時どちらかの母が吹田の家に来ていなくても何とかなるということから、特に平日には双方の母が不在のこともよくあった。
 
この吹田の家のお風呂は浴槽はタイル貼りで滑りやすい上に、けっこうヒビが入っており、多少水が漏れている雰囲気もあった。また釜は外釜方式であった。元々は石炭か薪で焚くようになっていたっぽいが、それを灯油で焚く方式の物に交換して10年くらいは経っている雰囲気であった。
 
石炭釜のように点火に苦労したり、燃料の追加で悩んだりする必要は無いものの、点火と燃焼・種火の切り替えは家の外に出ないとできない。結果的にひとりでお風呂に入ることは困難で、誰かが「釜係」になる必要があった。
 
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どちらかのお母さんが来ている時は、釜をお願いして、命(めい)と理彩と星の3人で一緒にお風呂に入っていたのだが、不在の日はそれができず、またシャワーも付いていないので、理彩は不満をもらしていた。そしてそんな母不在の5月下旬のある日。
 
「命(めい)、お風呂入ろうよ。そろそろ沸いたと思うよ」
「今日はお母さんいないから、交替で入らなくちゃ」
「面倒だな」と言って、理彩はお湯を見てくる。
 
「ねー、今少し熱めなんだよね。これなら3人で入っている内はまだ湯温維持できると思うなあ」
「そう?じゃ、一緒に入ろうか」
 
命(めい)が外に出て釜を種火だけにしてきた。
 
「雨が凄いや。ちょっと行ってきただけでずぶ濡れ」
「お風呂で暖まらなくちゃね」
 
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命(めい)が星を抱いて3人でお風呂に入った。まずは狭い湯船に3人で無理矢理入る。物理的に結構困難なのを命(めい)が少々アクロバティックな姿勢を取ることで何とかなっていた。こういうことをして楽しいのが新婚というものである。
 
交替で星を抱っこして身体と髪を洗う。おしゃべりしつつ、身体を洗いつつ、星をあやしつつ、そして少々Hなことなどもしながら入っていたら、その内お湯がぬるくなってきた。
 
「命(めい)〜、お湯がぬるくなってきたよぉ」と理彩。
「やっぱり無理だったか。どちらが火をつけに行く?」と命(めい)。
「ジャンケン」
というのでジャンケンしたら命(めい)が勝った。
 
「えーん。負けちゃった。でもなんか雨音が凄いよ。命(めい)替わってよ」
「今ジャンケンしたのに。それに僕、風邪引いたら、授乳に影響するから」
「私、来週試験だから、今風邪引きたくない」
 
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などと押し問答をしていたら、ポッという音がして風呂釜が燃焼に切り替わった。
「え?」
「火がついた」
「なんで?」
と言ってからふたりは星を見た。ニコニコ笑っている。
 
「星が火をつけたの?」
「どうもそうみたいね」
「便利な子だ! よしよし、またやってね」
などと理彩が言っているが命(めい)は
「だめだめ。星、こういう時はお母ちゃんたちが困っていても勝手に助けないこと」
と星をたしなめた。星は当惑した顔をする。
 
「なんで〜?」と理彩も言うが
「神様の力はこういうことで安易に使ってはいけないの。人が自分でできることは、人にやらせなきゃダメ。人知を尽くしてできないことを神様はしてあげるの」
と命(めい)は言った。
 
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3人の様子を勝手に居間でお茶を飲み、おやつを食べながら見ていたまどかは
「へー。命(めい)って、ほんとに神様の教育係として、しっかりしたこと言うね」
などと思った。
 
むろん、まどかはこういう時に風呂釜の点火をしてあげるような親切心は持ち合わせていない。
 

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それからしばらくした日のことであった。またまた命(めい)たちは3人だけの日に、理彩のアバウトな予想に従って、お風呂に入っていて、またまたお湯が途中でぬるくなってきて、その日はまたまたジャンケンで負けた理彩が、しぶしぶ途中で風呂釜のスイッチを入れてきた。理彩と命(めい)でジャンケンをすると昔から理彩が勝つ確率が高かったのだが、このお風呂のジャンケンに関してはなぜか命(めい)の勝率が高かった。
 
「ああ、寒かった。集中豪雨って感じだったよ」
「お疲れ様。ゆっくりぬくもって」
「うん。少しゆっくり入ってよ」
 
などと理彩は湯船に入っていたが、のんびりしていたら、今度は熱くなりすぎてきた。
 
「えーん。ちょっと熱いよ。命(めい)、停めてきてよ」
「そうだね。さっきは理彩だったから、行ってくるか」
と言い、命(めい)は星を理彩に預けて外に行こうとする。
 
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「ああ、でも本当に不便なお風呂だなあ。いっそ壊れたら、新しいのに替えてもらえるだろうに」と理彩が言った。すると、突然ガツン!という凄い音がして、風呂釜の燃焼が停まった。
 
「何?今の?」
「風呂釜が・・・・壊れた気がする」
「もしかして?」
とふたりは星を見る。星がにこにこしている。
 
「星、お母ちゃんたちが、勝手なこと言っている時、それを聞いてはいけません」
と命(めい)が星を叱る。星はまた当惑した顔をする。理彩が言ってた通りのことをしてあげたのに叱られるというのは、どうにも納得がいかないだろう。
 
「だけど、理彩、僕たちもあまりわがままなことを口にしないようにしておかなくちゃね」
「絶対言っちゃいけないのは、誰とか死んじまえ、みたいな発言ね」
「それ、結果が怖すぎる」
「神様を育てるのって、大変なんだね!」
 
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またまた居間で理彩のパソコンを使いゲームをしながらおやつを食べていたまどかは「誰々死んじまえか・・・・私、母ちゃんに言われてそれでだいぶ殺したなあ・・・」とつぶやき、遠い所を見るような目をした。
 
「西沢のおばちゃんとの出会いが無かったら、私ってとんでもない性格に育ってたかも知れないな・・・・・」
と口にするまどかは、今でも自分が結構とんでもない性格であるという自覚が無い。
 
風呂釜に関しては大家さんに連絡して見てもらったら「ああ、完全に壊れてますね。もう10年くらい経ってるから寿命かな」と言い、最初釜だけ交換するような話をしていたのだが、理彩が
 
「こちらでその分の費用を出していいですから、シャワー付きの内釜に変更できませんか?」と言ったら
「確かに、今時シャワーも無いのは不便ですよね」
 
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と大家さんも言って、お風呂場を完全に改装。シャワー付きのガス風呂にして、浴槽も滑り止めの加工がされたホーロー製のものに交換してくれた。費用は大家さんが出してくれた。浴槽はこれまでの1.5倍くらいの広さで、それだと命(めい)がアクロバットをしなくても3人で一緒に入ることができた。
 
そういう訳で本格的な夏を迎える前に、吹田の家の風呂はシャワー付きで、ひとりでも入浴可能なタイプになったのであったが、この件で、うっかり星を褒めたりしないように、命(めい)と理彩は充分気を付けるようにした。
 

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この手の「神様を育てるために気をつけないといけないこと」については、ちょうど6月29日に「1日繰り上げの大祓」を吹田の家の分社でするため辛島宮司が大阪に出てきてくれた時に、3人で話し合い、
 
「こういうことは言ってはいけないね」
とか
「こういうことは積極的に声に出して言った方がいい」
などと言ったことを列挙した。
 
特に「ありがとう」とか「嬉しい」とか「好きだよ」とかいったポジティブな言葉をたくさん星のまわりに満ちあふれさせようというのは重要ポイントとして同意し、双方の母にも協力をお願いした。
 
結果的に星を育てるということは「正しい生活」をするという感じになっていき、宮司さんも「うちも見習わないといけないな」などと言っていた。
 
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7月。命(めい)は理彩の勧めで星を連れてベビー水泳教室に出て行った。
 
星にスイムパンツ(プール用紙おむつ)を穿かせてベビー用のワンピース水着を着せ、命(めい)自身はドレスタイプの水着を着て、教室に参加する。星はふだんお風呂に浮かべていても、けっこう楽しそうにしているが、プールもとても楽しそうで、音楽に合わせて身体を動かしたり、ボールで遊んだりして喜んでいた。
 
女子更衣室で着替えるのは、さすがに慣れた。もうほとんど何も緊張感を感じない。参加者の他のお母さんからいろいろ声を掛けられ、こちらも向こうに
「わあ、可愛いですね」
などと言って、いろいろ会話が成立する。みんな子育てをしていると同じようなことを体験して似たような悩みを持っていたりするので、半ば苦労自慢になってしまいがちである。お姑さんとの関係に悩んでいるママにはみんなで「気にしないこと」「テレビがしゃべってると思おう」などとアドバイスした。
 
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そんな話を帰って来てから理彩や母としていたら
「命(めい)、完全に女の中に埋没してるね」
と言われる。
「うん。最近自分が男ということを忘れてる」と命(めい)は言った。
 
「だけど嫁姑関係って、悩む人は大変なんだろなぁ」
「それでなくても赤ちゃん育てるだけで精神的に負荷があるのに、そこに姑さんからあれこれ言われたら、たまらないね」
 
「うちはそれだけは無いね〜」
「お互いに相手のお母さんと小さい頃から仲良しだもんね」
「子供の育て方についても、あんたたちに任せっきりだしね。私も眞穂さんにしても」
 
「お母ちゃんたちも、都会で羽伸ばすのが目的の半分って感じ」
「もちろんよ。そのついでに孫と遊ぶって感じ。星って本当に手の掛からない子だしね」
「病気もしないよね。僕なんか大変だったでしょ?」
 
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「うん。あんたに先代宮司さんの提案で女の子の服を着せるようになるまではもう命(めい)が死ぬかこちらが先に心労で死ぬかという思いだったね。あんた育てるのでさんざん苦労したから、星では楽させてもらうわ」
 
命(めい)たちは最終的に4人の子供を育てたが、星も月も光も手の掛からない子であった。唯一、海だけがよく熱を出してハラハラさせられたが、海は4人目なので親としてもある程度精神的な余裕があった。
 

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水泳教室から帰ってから、命(めい)がメールチェックするのにパソコンを操作していたら、星が『ジュース』と脳内直伝で言う。
 
「あ、ジュースが飲みたい?」と言って冷蔵庫からジュースを取ってくると、星が勝手にパソコンをいじっていた。
 
「おーい、勝手にいじらないでね〜」
と言ってから、ふと画面を見ると、みずほ銀行の某支店のページが表示されている。そしてよく見ると、Google Bar に「15 1100」という数字が打ち込んであった。
 
「15日の11時に、ここで宝くじを買えっての?」
と言うと、星はニコリと笑った。
そして『ハラ』と言うので「バラ?」と訊くと『あ、それそれ』と言った。
 
そこで命(めい)はその日の11時、星を抱っこしたまま、その支店前に行き、11時ジャストに「ソーミーショーリョー」と唱えてから、サマージャンボをバラで10枚買った。
 
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そしてこの宝くじがまたまた1等4億円当たったのであった。
 
昨年同様に父に代理で受け取ってもらうことも考えたのであるが、自分自身の誕生日が近かったので、誕生日が過ぎて20歳になってから受け取りに行くことにした。
 

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