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(c)Eriko Kawaguchi 2012-08-18
どうも女子達の関心は命(めい)よりも正美の方に移ってしまった感があった。近くのスポーツ用品店で、ワンピース型の水着とアンダーショーツ、水着用のパッドを買う。そしてみんなで奈良市近郊の温泉センターに行った。
まどかが全員分の入場料を出してくれる。
もう逃げ出したくてたまらない顔をしている正美を春代と理彩がしっかり捉まえて女湯の脱衣場に連れ込む。浩香は笑っていたが、ふと命(めい)の方も見る。
「命(めい)は別に逃げたりしないのね」
「うん。開き直った。どっちみち男湯には入れない身体だし」
「胸を大きくしちゃったんなら、もう無理だね」
正美は「トイレで着替えてくる」と言って、トイレに飛び込んでしまった。すると全員の視線が命(めい)の方に来る。しかし命(めい)は平然としてスカートを脱ぎ、カットソーを脱ぐ。
「すげ〜。乳でかっ」と浩香が言う。
「うん。Eカップだからね」と言って命(めい)が平然とブラを外してバストを露出するので、春代が「う〜ん」と言う。
「どしたの?春代」
「いや、少し恥ずかしがるとか、嫌がるのをみんなに無理矢理脱がされるとか、そういうシチュエーションだと萌えるんだけどね〜」
「あ、それは正美の担当ということで」
「でも張り切って大きくしたんだね〜。なんか絞ったらお乳出そう」
と浩香が言うが
「それ、お乳出るよ」と理彩と春代が同時に言った。
「えー!?」
「だから母乳パッドを付けてる」と言って理彩が命(めい)のブラカップの中に入っていた母乳パッドを取り出してみせる。
「やっぱり、命(めい)ってホントに女の子なの?」
「うん。女の子だよ。命(めい)、パンティも脱いじゃいなよ」と理彩が言う。
「うん」
と言って命(めい)がショーツを脱ぐと、豊かな茂みに覆われた陰部が姿を現す。
「付いてない・・・・よね?」
「命(めい)、少しお股を開いてみて」と理彩。
「おちんちん挟んで隠してる訳じゃないね・・・」
「本当に女の子だね」
「でも実際問題としていつ手術したの?」と浩香。
「高2の夏休みじゃないかと私は疑ってるんだけどね。中学校の修学旅行では男子と一緒にお風呂に入ったと聞いたから」と春代。
「命(めい)が女の子になっちゃったのは小学1年の時だよ。それ以降はダミーのおちんちんで誤魔化してただけ」とまどか。
「えー!?」
「その前に3歳頃に理彩におちんちん切られちゃったんだけどね」
「え?さっき理彩が言ってたの本当?」
「切り取ったおちんちんは私が保管してるよ」とまどか。
「ほんとに小さい内に、おちんちん取っちゃったんだ!」
「命(めい)は小学5年生の時から生理もあるよ」と理彩。
「えー!??」
「星は命(めい)が産んだ子供だしね」とまどか。
「うん、それは知ってる」と春代。
「え?そうだったの?」とそのことは初耳の浩香。
「やっぱり生理があったから妊娠できたのね」と春代。
「生理があるってことは本物の女の子なんだ!」
「もう、理彩もまどかさんも冗談がきついんだから」
と命(めい)は笑っている。
「やっぱり冗談なの?」と浩香。
「そのあたり、どこまで冗談でどこまで本当なのか実は私にもさっぱり分からん」
と春代。
やがて正美が水着姿で恥ずかしそうな顔をしてトイレから出てきたので、みんなでしっかり掴まえて浴室に移動する。
命(めい)が普通の女の子と全然変わらない感じだし、女湯で恥ずかしがる様子も無く、平然としていて「萌えない」というので、浴室でも正美にみんなの視線が集中する。
「正美は女湯、何度か来たことあるの?」
「去年の夏、プールの女子更衣室は1度経験したけど、女湯は初めて」
正美はもう消え入りそうな雰囲気で、小さい声で話している。
「女子更衣室まで来てたなら、女湯も大差無いでしょ?」
「全然違うよ〜」
「どう?女湯の感想は?」
「逃げ出したい」
ほんとに逃げ出したさそうな顔をしているので理彩も春代も楽しくなってくる。
「今日は水着を着てるけど、次は裸で挑戦しようね」
「それは無理〜」
「おっぱい大きくして、おちんちん取っちゃえば裸でここに来れるよ」
「そう簡単に言わないで〜」
「ほら、おっぱい大きくして、おちんちん取っちゃった人がそこにいる」
と命(めい)を指さす。
「正美も、おちんちん取りたいんでしょ?」
「うーんと。。。。」
「正美ちゃん、私がいい病院紹介してあげようか?」とまどか。
「いや、いいです」
「夏までにおっぱいだけでも大きくしちゃおうよ。そしたらビキニが着られるよ」
とまどか。
「えーっと」
「それ私たちもさっき言ってたんです」と春代。
まどかは楽しそうな顔をして正美を見ている。ああ、これは正美は大学卒業する頃までには完全に女の子の身体になってしまうな、と命(めい)は思った。
夕方奈良市内でみんなで一緒に御飯を食べてから、正美はもう直接和歌山に帰り、浩香は市内の下宿に帰るということだったので、命(めい)・理彩・春代の3人で村に戻った。
「だけど今日の命(めい)のおちんちんの隠し方は凄かったね。ホントに付いてないみたいだった」と運転しながら理彩が言う。
「・・・・あれ、実は隠してるの?」と春代。
「そうだよ。僕はまだ下の方は手術してないよ。おっぱいは本物だけどね」と命(めい)。
「ほんとに〜?」
「昨夜は私、命(めい)のおちんちんで遊んだよ」と理彩。
「どうもあんたたちの言葉はどこまで信用していいのか分からん」と春代は言っている。
「でも妊娠出産の影響で全然立たないんだよね。だから次の子供は冷凍保存している命(めい)の精液を使って妊娠するつもり」
「少なくとも今男性機能は無いわけだ」
「うん。立たないし射精も起きない。調べてもらったけど睾丸には生殖細胞が全く無い」と命(めい)。
「睾丸に生殖細胞が無いというより、睾丸自体が無いような気もするけど」と春代。
「小さくはなってるよね。おちんちんも」と理彩。
「うん。かなり萎縮してる。どちらも高校生の頃の半分くらいしかない」
「0の半分は0だけどね」と春代。
「あのサイズだと多分立っておしっこできないよね」
「命(めい)って立っておしっこしてたことあるの?」
「え?去年の夏頃まではふつうに男子トイレで立ってしてたけど」
「ほんとかなあ」
連休明け、命(めい)は自動車学校を卒業し、門真市の運転免許試験場に行き、免許を取得してきた。朝から試験場に行き、書類を書いて持参の写真を貼る。受験料の印紙を買い貼って列に並び学科試験の受験申請をする。
申請書に仮免許証、自動車学校の卒業証明書を添えて提出したら係の人が鉛筆で必要事項が書かれているかどうかチェックしていたが唐突にこちらをチラッと見てから
「性別の所は該当しないのを消すんじゃなくて、該当するのに丸を付けるんですよ。直しておきますね」
と言って、僕が男の方に丸を付けたつもり(なのが楕円形になっていたので、斜線で消したようにも見えた)のところを二重線で消され、女の方に丸を付けられてしまった。
え?え? 僕は何か言おうとしたが
「次は○番で適性検査を受けて下さい」
と言われるので「あ、はい」と言い、僕は書類を持ったまま視力検査を受け、スタンプを押してもらって、学科試験会場へ。うーん。。。性別いいのかなぁと思うが、まいっかと思い取り敢えずその件は忘れることにする。そういえば僕は自動車学校の書類も性別・女になってたな、というのを思い出す。
試験は例によって引っかけ問題の嵐だが、自動車学校でもたくさん模試を受けているので、慎重に回答をしていった。
やがて試験が終わり、合格発表。自分の番号がモニターにあるのを確認。ICの暗証番号2個(理彩の誕生日と星の誕生日にした)を登録。手数料を払ってから写真撮影をされ、免許証の発行まで待つことにする。
ロビーで自宅に居る母に電話して合格を報告し星の様子を聞いたあと、持参したおにぎりを食べていたら「あ、命(めい)ちゃ〜ん」と声を掛けられる。
見ると麻矢だ。
「あれ?麻矢ちゃんも免許?」と命(めい)。
「うん。合格してた」
「わあ、おめでとう!!AT?MT?」
「ATなんだけどね。命(めい)ちゃんも合格?命(めい)ちゃんはどっち?」と麻矢。
「うん。合格してた。私はMT」
「おめでとう! MTいいなあ。私もMTで受講してたんだけどね〜、チェンジレバーの操作があまりに下手だったんで、あんたATにしなさい。どうせ運転するのはATなんだからと言われて、ATになっちゃった」
「あはは。確かにMT車を運転する機会ってあまり無いだろうね」
「そうなんだけどね〜」
「また後で限定解除の講習を受けて解除してもいいしね」
「そうだね。少し慣れてから解除受けに行くかなあ」
「うんうん。運転に慣れてからの方がいいよね」
「あ、そうだ。赤ちゃん生まれたんだよね?」
「うん。1月に。帝王切開だけどね」
「わあ、それは大変だったね。見せてもらっていい?」
「うん。じゃ。免許受け取ったら一緒にうちにおいでよ」
麻矢は命(めい)が妊娠中に町で偶然遭遇したことがあり、命(めい)が「妊娠のため休学」したことを最初から知っていた、希少な友人である。
やがて免許が交付され、少しお話があり、それから解放される。命(めい)は麻矢と免許を見せ合う。
「あれ?免許の色が違う」
命(めい)の免許はグリーン、麻矢の免許はブルーである。
「うん。私、高校時代に原付の免許取ってたから」
「へー」
「グリーンは最初だけだよ。次の更新でブルーになって、その次の更新では、ブルーかゴールド」
「ゴールドは無事故無違反5年間だよね」
「そうそう。それって実際に運転していたらまず無理。ゴールド持ってる人のほとんどはペーパードライバーだよ」
「なるほどー」
「警察の取り締まりはえげつないからさ。私も去年、一度切符切られたからなあ。ピザの配達のバイトで走ってたんだけどね。まだ行けると思って赤になったばかりの信号通過したら、そこにパトカーいるんだもん」
「ああ」
「バイト代が半月分飛んじゃったよ」
「交通安全施設の整備に寄付したのね」
「うんうん」
自宅に案内すると「わあ、大きな家に住んでるね」と言われる。母がお茶を入れてくれて、ストックしているお菓子を出してきてくれた。星がこちらを見て泣いたので、抱いておっぱいをあげる。
「わあ、なんか幸せな構図。私も赤ちゃん産みたくなっちゃう」
「苦労する分、こうしてる時は確かに幸せだよ」
「確かに苦労も多いだろうね〜」
「子供育てるのに夫婦とも学生だからさ。双方のお母ちゃんが一週間交替で田舎から出てきて、昼間赤ちゃんの面倒見てくれるんだ。こちらうちの母」
「わあ、それは助かるね。どうもお世話になります」
「いえ、こちらこそ。命(めい)の大学のお友だち?」
「高3の夏休みの講習で一緒になったんだよ」
「わあ」
「学部は同じだけど科が違うから、あまり学内では会わなかったね」
「へー」
「まあそれで、赤ちゃんを育てる部屋、勉強する部屋、お母ちゃんに泊まってもらう部屋で3部屋はいるなというので探してたら、ここが3LDK 5万円だったから」
「凄い安い家賃!」
「ここ、微妙に不便な場所だからね。ただ多少どこかの駅まで歩く気があれば意外にどこにでも出られるんだけどね」
「ああ。大学にはどうやっていくの?」
「摂津駅からモノレール」
「摂津駅まで30分か40分掛からない?」
「それでそこまで車で行く」
「なるほど!それで免許が必要になったのか!」