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■神様のお陰・神育て(12)

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そして1月16日。星の誕生日なので、双方の母も出てきてくれて星も含めて5人で誕生祝いをした。成長を祝って大きなお餅を星に踏ませ。星本人は食べられないがケーキをみんなで食べて、お寿司とピザもつまんだ。理彩はワインを飲んでいた。
 
そして夕食後のおっぱいをあげたら星が寝たので、ベビーベッドに寝せ、みんなでお茶を飲みながらくつろいでいた時、隣の星の部屋に突然光が射した。
 
え?何事?と思って、一同は星のそばに寄る。
 
するとそれまでベビーベッドで寝ていた星が突然立ち上がった。そして口を開いてこう言った。
 
「お父さん、お母さん、そしておばあちゃんたち。これまで僕を育ててくれて、ありがとうございました。僕も神様になる日が来たので、これから父のいる国に向かいます」
 
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一同は夢でもみているかと、目をパチクリさせていた。しかし星は
「では、さようなら」
と言うと、そのまま天井を突き抜けて、空高く飛んで行ってしまった。
 
みな呆然としていた。
 
かなり長い沈黙が続いた後、理彩が
「星、天に還っちゃったのかな。賀茂の玉依姫伝説みたいに」
と言う。
 
命(めい)は涙があふれてきた。
「そんなの嫌だよお。寂しいよ。もっともっと育てたかったのに」
 
理彩が命(めい)をガッチリ抱きしめた。
 

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翌日の昼。理彩は学校を休んで村に行き、まどかの家を訪問した。誰もいない。
 
「まどかさん」
と呼びかけてみるが返事は無い。
 
本当はまどかとのつながりは命(めい)の方が強いので、命(めい)にさせた方が良いのだろうが、命(めい)が茫然自失の状態なので、理彩が代わりにここに来たのである。命(めい)が万が一にも自殺したりしないように、自分の母と命(めい)の母に、しっかり命(めい)を見ていてくれるよう頼んできた。
 
命(めい)と理彩の関係では基本的に理彩が行動の指針を決めて命(めい)はそれに付いてくる感じだ。しかし精神的には理彩はけっこう全てを達観した感じのある命(めい)を支えにしている傾向が強かった。
 
しかしその命(めい)が今うちひしがれている。
 
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星が天に帰って行ってしまった。その星の様子を知ることができるのは、まどかだけだし、星にどんな形ででもいいから戻って来てというメッセージを伝えることができるのも、まどかだけである。
 
命(めい)は何も考える気力が無いようであったが、理彩は微かな希望を持っていた。それは、まどかという先輩神様が、自分たちの前に人間の姿でしばしば現れているという事実である。天に帰って行っても、星はまどかと同じような形でなら、きっと自分たちの前に現れることができるはずだ、と理彩は思った。
 
しかし自宅の祭壇でまどかに呼びかけても返事は無かった。単身車を運転して村に戻り、神社でも反応が無かったので、このまどかの自宅まで来たのである。
 
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黒猫のロデムが奥の方の部屋から出てきて「ニャー」と鳴き、理彩を心配するように見た。そうだ。この子の餌はどうなっているのだろう? 見ていると、ロデムは土間の方へ歩いて行き、そこに置かれた餌入れから餌を食べている。自動給餌機能の付いたものだ。セットされている餌の量からすると、かなり長期間不在にしても、猫は餌と水には困らない感じである。
 
郵便物が結構たまっている。やはりかなり帰宅していない感じだ。理彩は郵便受けの下に落ちていたものを台所のテーブルの上に移しておいた。DMが大半だが西川春貴と書かれた人からの封書もあった。お友だちだろうか。
 
「ロデム、お前、餌はもらってても、ひとりじゃ寂しくない? ちょっとうちに来ない?」
と言って、理彩は猫を抱いて車に乗せた。そして吹田の自宅にロデムを連れて行った。理彩が戻って来たので、双方の母はふたりを気遣い、2階の部屋に移動した。
 
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「あ、ロデム。元気かい?」
とそれまで焦点の定まらない目をしていた命(めい)がロデムを見て言う。
 
「ニャー」とロデムが鳴く。
「ねぇ、ロデム、まどかさんに連絡してよ。話がしたいって」
と命(めい)が言う。
 
すると、ロデムは座敷の祭壇の所まで歩いて行くと、ニャーと鳴いた。まどかが現れた。
 

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「まどかさん、星はどうなったの?」と理彩が訊く。
 
まどかは厳しい顔をしていた。
「本人が言ったろ? 神様としての修行を始めたんだよ。だから、あんたたちによる子育ては終了」
 
「そんな!」
「ね、星に会えないの?」と理彩。
 
「神様が修行している空間に人間は近寄れないよ。そもそも次元が違うからね」
「修行ってどのくらい続くの?」
「10年くらいかな」
「10年!」
「それが終わってからも、あんたたちの所に戻るとは限らないよ。あちこち武者修行に出る人もいるしね」
 
「まどかさん」と命(めい)が初めて発言する。
「お願い。星に伝えて。僕も理彩も星のこと、愛してるって」
 
「いいよ。伝えてあげる。あ、そうそう。あんたたちは、星の成人式は見ることができると思うよ。じゃね」
と言って、まどかは姿を消した。
 
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成人式を見ることができるって・・・・20年後には戻ってくるってこと?
 
星が神様であり、自分たちとは違う生き方をしていく存在であることは充分承知していたつもりだった。しかし自分がお腹を痛めて産んだ子供、1年ほど育てて来た親として、今星と引き裂かれるのはあまりにも辛すぎる。せめて20年か30年一緒に過ごしてからなら、気持ちの整理も付いたろうけど。
 
こんな思いのままあと20年過ごさなきゃいけないのなら、むしろ今死にたい。。。。命(めい)は辛い思いで心臓が締め付けられるようであった。
 
そしてその後、命(めい)はずっと放心状態であった。
 
学校にも出て行かず、家でボーっとしている。買物したり料理したりも理彩が全部するようにした。御飯ができて命(めい)を呼ぶと一応食べるが、心ここにあらずという感じである。
 
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ロデムが命(めい)の膝が気に入ったようで、よく乗っていたので、命(めい)はしばしばロデムを優しく撫でていた。何かさせた方がいいなと思ったので理彩は命(めい)に、ロデムの餌・水をあげるのとトイレの始末をしてくれるよう言った。
 
星がいなくなっても、おっぱいは張るので、理彩が乳を搾ってくれた。
「ねえ、星が帰って来た時のために、それ冷凍しておいてくれる?」
「うん。いいよ」と理彩は優しく言って、命(めい)にキスをした。
「じゃ、冷蔵庫1台買っていい?」
「うん。2台でも3台でも買って」
「OK」
 
理彩は本当に冷蔵庫をもう1台買い、その冷凍室が搾乳パックで埋まっていった。
 
命(めい)は放心状態になっているが、理学部も後期の試験が始まる。理彩は強い抗鬱剤を入手して、無理矢理命(めい)に飲ませた。それでやっと命(めい)も学校に出て行って試験を受けたようだが、おそらくまともな点数にはなるまいと思った。追試やレポート提出などで救済してくれる先生ばかりだといいのだが・・・・と理彩は思う。
 
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なお、抗鬱剤を飲ませている間に搾乳したものは、理彩は命(めい)が気付かないように廃棄していた。
 

最初の頃、ほんとに放心状態で理彩や命(めい)の母が話しかけても何も答えない状況だったのが、抗鬱剤の作用で、多少口を聞く時もあった。
 
「赤ちゃんが突然いなくなったら、私たちが殺したかと思われたりしてね」
と理彩は言ってみた。
 
「あはは。その時は僕が殺したと言って警察に引き渡してよ。このまま死刑になっても構わないや」と命(めい)は言う。
 
「死刑になった後で、星が戻って来たら、寂しがるよ」
「そっかー」
 
「だから少し頑張ろうよ。今日はちょっと美容院にでも行って来ない?」
「うん。そうだね。ごめんね。なんだか何をする気力も出なくて」
と言いながらも、命(めい)は美容院に行ってパーマを掛けてきた。理彩は「あ、その髪型可愛いよ」と褒め、お化粧もしてあげた。命(めい)が少しだけ笑みを見せた。
 
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その年の祈年祭。真祭の夜が明けた2月14日の朝、踊りは30分続いたという報告を神職さんから受けた。去年の10分からすると大進歩である。
 
理彩が命(めい)に言う。
「きっと星がまどかさんに干渉してるんだよ。理さんからも星からも言われちゃ、面倒臭がり屋のまどかさんも、しゃーねーな、という感じになるんじゃない?」
 
「じゃ、星は頑張ってるんだね」
「うん。神様だもん。あの子は頑張る子だよ」
「そうだね」
 
そんな会話をして、命(めい)も少しだけ元気が出た様子であった。
 
「よし。レポート書こう」
「私も少し手伝ってあげるよ」
 
その日は理彩も少し手伝ってあげて、落とした試験の追試代わりに課されたレポートを3本仕上げて翌土曜日、大学まで提出しに行った。月曜日には追試も4つ受けなければならない。理彩はその4つは落として再履修になってしまうかもなあ、と思っていた。場合によっては卒業が更に1年遅れそうだが仕方ない。
 
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週末は、理彩が命(めい)にハッパを掛けて追試の分の勉強をさせたが必ずしも頭に入っていってない雰囲気である。ただ、星が元気に頑張っているようだというのが分かったことで、命(めい)も少しだけ気力が回復した感もあったので抗鬱剤の服用も控え、様子を見ておいた。
 
そんな感じで迎えた17日月曜日の朝。
 
命(めい)が日出の祝詞を唱え、巫女舞を奉納してから、理彩とふたりで朝御飯を食べていた時、突然、星の部屋にまた光の柱ができた。
 
ふたりがびっくりして飛んで行くと、その光柱の中をゆっくりと星が降りてきて
「ただいま」
と言った。
 
「星?」
「帰って来てくれたの?」
 
「うん。本当は神様としては生まれて1年もたてば1人前だから、神様としての修行をしないといけないんだけど、お前のお父さん・お母さんが寂しがってるから当面は、ふたりの子供として人間の世界にいなさいって言われた。それで、祈年祭が終わった所で戻って来た」
 
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「それ、誰に言われたの?」
「うーんとね。。。。それ人間の言葉では表現する単語が存在しないかも」
「当面ってどのくらい?」
「そうだなあ。50年くらいかな。その間は、一応人間界にはいるけど、時々神様の国に行って修行もするね」
 
「嬉しい!」
命(めい)は駆け寄って星を抱きしめた。
「お母ちゃん、ちょっと強すぎるよ」
 
その日行われた追試で、命(めい)はしっかりとした解答を書き、全科目で合格となった。これで命(めい)の留年は回避された。
 

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星が戻って来たと聞いて、その日の午後には双方の両親に神職さんも駆けつけてきてくれた。
 
命(めい)があまりにも衝撃を受けて沈み込んでいたので、両親は何も言わなかったものの、両親も相応の衝撃を受け悲しんでいたので、星の姿を見ると、命(めい)の母も理彩の母も泣いて喜んで星をかわるがわる抱きしめていた。
 
辛島宮司も星に向かって「よろしくお願いしますね」と言った。すると星はニコっとしてウィンクをした。
 
宮司が驚いて、「この子、言葉が分かるのでしょうか?」と訊く。
 
「神様ですからね。分かるかも知れませんね」
と理彩は言って微笑んだ。
 

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星が戻って来た翌日。まだ少し怪しげな雰囲気の命(めい)に代わって理彩が星を12ヶ月健診に連れて行った。予定の日程から大幅に遅れたことを叱られたが、風邪を引いていたのでと答えておいた。
 
健診が終わって帰ろうとしていた所にまどかが現れた。
 
「理彩、あんたこの1ヶ月くらいずっと自分が泣きたいのに泣かずに頑張ったね」
「だって・・・」
 
まどかは理彩をハグした。
「あんただって泣いていいんだよ」
「うん」
理彩はそれから10分くらい泣き続けた。
 
「まどかさん、もう星はいなくなったりしないよね?」
と理彩が涙声で言う。
 
「50年後。星が51歳になるまではね」
「またこんなことあったら、私が死にたいよ」
「大丈夫だよ」
まどかは優しく理彩の背中を撫でてあげていた。
 
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