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■神様のお陰・神育て(8)

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「ねえねえ、この調子で毎年宝くじを当ててくれるのかな?」
と理彩がわくわくした顔で言う。
 
「それはあり得ないでしょ。これが最後だと思うよ。それに3回も4回も連続で1等が当たるなんて不自然すぎる。2回連続までは、凄くラッキーな人なら、あり得るかも知れないけどね」
と命(めい)はあくまでクールである。
 
「そっかー。でもこんなにお金あるんなら、海外旅行でも行く?」
「どこか行きたい所あるの?」
「そうだなあ。タイとかは?」
「変わってるね。普通はハワイとかグアムとかヨーロッパとか言いそうなのに」
 
「命(めい)を連れてって性転換手術を受けさせる」
「要らない、要らない」
「でも性転換手術の費用くらい、楽に出るよ」
「そんなのする気無いから。それにね。このお金は、そうやって遊びに使うためのお金じゃないと思う」
 
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「そう?だけど、子育ての費用、学費、生活費に使っても、たっぷり余るよ」
「たぶんね・・・・これ、何かに使いなさいってことだと思うんだよね」
「何かって?」
「それを去年からずっと考えてるのさ。もう少し計画が煮詰まったら理彩にも話すよ」
「ふーん。じゃ、エンゲージリングとかも買えない?」
 
「ごめんね。エンゲージリングは僕が自分で稼いだお金で買いたいんだ。大学・大学院を出て、仕事を始めてから、その稼ぎで買いたいから、あと何年か待ってくれない?」
「うん、いいよ」
「でも、ファッションリングくらいなら、いいかな」
「よっしゃ。私、サファイアの指輪が欲しいなあ」
「ふふ。いいよ。今度ね」
 

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8月の上旬。命(めい)は抱っこ紐で星をだっこして町に出ていた。水泳教室で知り合った同年代のママ・媛乃さんと待ち合わせてショッピングを楽しもうという趣旨だった。向こうも1月に帝王切開で出産したということで、共感するものが多かった。
 
新大阪駅で待ち合わせてお茶を飲んだ後、みなみに出て、なんばパークスなどをのぞいたりしてみる。ショッピングと言いつつ何か買うものがある訳でもなく、要するに子育ての息抜きである。
 
「ハイハイを覚えたら、いつの間にか台所に来てたりするから、怖くて怖くて」
と媛乃。
「家の中をちゃんと、お掃除しないといけないよね。赤ちゃんって何でも口に入れちゃうから」
「そうそう。こないだもパチンコ玉を口に入れてて、ぎゃっと思った。それで今、我が家はパチンコ禁止令なの」
「ああ、その類いのものは怖いね」
 
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命(めい)たちはオープンスペースのテーブルに座り、しばしおしゃべりを楽しんでいた。最初眠っていた、媛乃の娘も星も途中で起きて、赤ちゃん同士で何やらおしゃべりしている感じ。ふたりともご機嫌が良い。
 
しばらくそんな感じで過ごしていた時、突然「キャー」という女性の叫び声がした。命(めい)がそちらを向くと、上の方の階の手摺りの所から女性が乗り出すようにして絶叫していて、赤ちゃんと思われる物体が落下中である。
 
命(めい)は反射的に『星、あの子を助けて』と心の中で言った。
『助けてもいいの?』『いい。何とかして』
 
その瞬間赤ちゃんの落下速度が低下する。星が落下にブレーキを掛けているのだろう。そしてその落下していく先の近くにいたスポーツ選手っぽいガッチリした体格の男性が数m突然移動して赤ちゃんが落下していく真下に来た。男性は反射的に落ちてきた赤ん坊を受け止める。しかし星がブレーキを掛けていたから、その衝撃はかなり小さい筈だ。
 
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男性はポカーンとしている。上の階にいた女性は腰が抜けたように座り込んだ。
 
「すごーい。偶然下に居た人が受け止めてくれるなんて、あの子、運がいいね」
と媛乃は興奮して言う。
「ほんとにね」
 
まあ運が良いのは僕と星がここにいたことだろうな、と命(めい)は思ったが。
 
『お母ちゃん』と星が命(めい)の脳内に直接語りかける。
『ああいうの、全部助けてあげないといけない?』
『あ、そうか。お前、かなり広い範囲のものが見えるんだよね』
『僕が見える範囲でたくさん人が落ちて死んでるけど』
『それが見えてしまうのも辛いね。全部助けてたらキリが無いもんね。やはり気が向いた時だけかな』
 
『ふーん。気が向いたって、よく分からないや』
『じゃ自分の本体がいる近くで、助けを求められた時ってのはどう?』
『何だか難しいなあ』
 
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『基本的には神様はただ見ていればいいんだよ。俯瞰って分かるかな?でもたまには助けてあげてもいい。それを人は奇跡と呼ぶんだけどね』
『へー』
『ただ、できるだけさりげなく。奇跡が起きたことを気付かれないようにしないといけない。今の助け方は上手かったよ』
『えへへ』
 

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お盆の期間中は村に帰り、命(めい)の実家で過ごした。
 
13日の夕方に迎え火を焚いて、ご先祖様を迎え入れる。仏檀が置かれている部屋で星がやたらとキョロキョロしていたので、本当にご先祖様が来ているのだろう。
 
14日は、せっかくみんな地元に戻っているからということで、高校3年の時のクラスで同窓会をした。昨年は命(めい)は妊娠中だったので欠席し、理彩も命(めい)が行かないなら行かないと言って出席しなかったので、卒業以来1年半ぶりになった友人も多かった。
 
東京から戻ってきていた西川君から
「凄く仲よさそうだね」
と言われたので
「えへへ。去年のクリスマスに結婚したんだ」
と言ってお揃いのマリッジリングを見せると
「わあ、おめでとう!」
と素直に喜んでくれた。
 
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命(めい)と理彩が結婚したことを知らなかった子もいたので、一斉に
「おめでとう」
という声が掛かる。
 
元学級委員でもある玖美が
「もう子供もいるんだよ」
と言うと「うっそー!?」という声が上がっていた。
 
「えーっと、でも僕がこういう格好していることについては特に何も突っ込み無いんだっけ?」などと命(めい)が言うが
 
「斎藤が男の格好してきていたら、突っ込んでたな、俺」
などと言われる。
「結婚したことと、子供も出来たというのは驚いたけど、命(めい)は女の子の格好しているのがデフォルト」
などとも言われる。
 
「斎藤の女装は今更だから、気にしないけど、橋本が凄く女らしくなっているのはちょっと驚いた」
などという子もある。
 
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「ね、ね、正美、その胸、もしかして本物〜?」
「え? いやこれはパッドだよ」
「ほんとに〜?」
「ね、この後、みんなで▽温泉に行かない? それで正美の胸が本物かどうか確認しようよ」
「うん。行こう、行こう」
 
しかしこの日、正美は同窓会が終わるとすぐに「ごめん。用事があるから帰る」
と言って、そそくさと逃げていってしまった。
 
「怪しいね〜」
「あれ、絶対豊胸済みだよね」
「下の方も手術してたりして」
などと女子たちは言っている。
 

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「仕方ない。代わりに命(めい)をいたぶるか」
「命(めい)は逃げたりしないよね?」
「ああ。大丈夫。私がつかまえておくから」と理彩。
 
「命(めい)って、女湯に入れる状態なの?」
「性転換手術済みだよね〜?」と京都組から声が掛かる。
「ゴールデンウィークに一緒に温泉に行ったけど、女の子の身体だったよ」と浩香。
「よし、それ確認しに行こう」
 
結局、同窓会に出席したメンバーの半分くらいが、村内にある▽温泉に行くことになった。みんな車で集まってきているので、そのまま各自の車で移動する。ロビーでしばらく歓談したあと、男女に分かれて脱衣場に入る。
 
「斎藤、何ならこっち来る?」と声を掛けてくれた男子もいたが
「ありがとう。でもおっぱい大きくしちゃってるから、男湯には入れないんだ」
と命(めい)が答えると
「ああ。じゃ、通報されないように頑張って」
と言われた。
 
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元クラスメイトの女子たちとおしゃべりしながら服を脱ぎ、浴室に入る。身体を洗って湯船に入り、更にしばらくおしゃべりしていた時、ひとりの女子が
「あ・・・・おしゃべりに夢中になってて、命(めい)の身体がどうなってるか確認するの忘れた」
と言い出す。
 
「あ、そういえば」
「命(めい)があんまり自然なもんで、気付かなかったよ」
「恥ずかしがったりとか、おどおどしたりとかも、全然無かったね」
 
「取り敢えず・・・胸は大きいね。シリコン?」
「ホルモンだけだよ」と命(めい)は普通の表情で答える。
「すごーい。よく育ったね。Eカップくらいだよね?」
「うん。Eカップのブラ付けてる」
 
「お股は・・・湯船の中よく見えないけど、付いてるみたいには見えない」
「そちらは隠してるだけ。まだ取ってないよ」と命(めい)。
「えー?手術済みなんだと思ったけど」と百合。
 
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「僕、隠し方うまいから」
「男性器の存在を確認したら通報してもいいよ」と理彩が煽る。
「うーん。ふつうに女の子のお股にしか見えないのに」
「いやいや、これは絶対手術済みだと思う」と浩香。
 
「でも堂々と女湯にいるよね」
「かなり場慣れしてる感じ」
「ふふふ。今まで女湯は10回以上入ってるから」と命(めい)。
 
「やはり正美を拉致してこないとダメだな。命(めい)じゃ面白くない」
などとまで言われる。
 

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15日は日中は村のみんなでお弁当を持って墓地に出かけ、お墓の掃除をした上で、みんなで賑やかに大騒ぎしながら御飯を食べた。アルコールを持ち込んでいる人も多く、完璧に宴会の雰囲気である。
 
ご先祖様も一緒に楽しく飲み食いしようという趣旨で、こういうお盆の過ごし方をする地域は、かなり珍しいらしいが、命(めい)は小さい頃からこういうお盆を過ごしていたので、それが普通という感覚である。むしろ他の地域でこういうことをしないことを知って驚いたほどであった。
 
春のお花見の時と雰囲気が似ているが、お盆の宴会では火は使わないことになっているので、お花見の時のようにバーベキューなどをする所は無い。昔は肉・魚も禁止で精進料理だったらしいが、今はそんな堅いことは言わないので、みんなフライドチキンやウィンナーなどを持って来ている。
 
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命(めい)たちは、奥田家・斎藤家合同でお食事をしていた。むろん星も連れてきている。近所の人たちが日本酒の瓶を持って来て「まあ、いっぱい」とやる。命(めい)は授乳中なので、お酒は謝絶していたが、理彩はけっこう飲んでいた。
 
宴も進んでいった中で、まどかが現れる。
「まどかさん、ここに座ってください」と理彩。
「ああ、あんた未成年の癖に飲んだね?」
「まあ、堅いこと言わずに、まどかさんも飲もう」
などと言う理彩は半分出来上がっている感じだ。
 
両方の母は、まどかと何度も会っていたが、父2人は会ったことが無かったので、挨拶をしている。
 
「ああ。東京が長いんですか? こちらには御実家は残ってないんですか?」
「放置してたんですけどね。以前の水害の時に土地もろとも崩れてしまって、今はもう何も無いんですよ」
「そうでしたか。でも、この村、空家もたくさんあるし、どこか買い取りませんか? 安いですよ」
「ああ、そういうのもいいかなあ」
 
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「まどかさん、村に家を持つんなら、僕が適当な物件を選んでおきましょうか?」
と命(めい)が言うと
「ふーん。それもいいかもね。東京の家に置いてる荷物、こちらに持って来ちゃおうかな。最近、関西付近で動いてることが多くて、東京の家は放置に近くなってるんだよね」
「へー」
 
「じゃ、命(めい)に頼んじゃおう。2000万くらいまではすぐ払えるから」
「ああ、うちの村の家は、そんなに高くありません。300万あれば買えます」
と命(めい)は笑って言った。
 

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8月29日。命(めい)は20歳の誕生日を迎えた。吹田の家で、理彩・命(めい)・星に命(めい)の母と4人でお祝いする。理彩が頑張って唐揚げを揚げたが、星は夕飯前におっぱいをたっぷり飲んで寝てしまった。
 
「自分が20歳まで生きられたってのが何だか不思議な感じ」
と星をベビーベッドに寝せてきてから命(めい)が言う。
 
「それは私も同感だね」と命(めい)の母。
「この子が小学校に入る姿見られるのかなあとか、中学に入ってセーラー服で学校に通う姿見られるのかなあとか、思ってたよ」
 
「ちょっと待って。僕のセーラー服姿が見たかったの?」
「ちゃんと見せてくれたから親孝行だね」
「えっと」
 
「私のパソコンにも命(めい)の学生服姿の写真って一枚も無いですよ。中学時代のも高校時代のも制服っていったら、みんな女子制服着た写真ばかりだし。あとは女物の浴衣を着てる写真、キャミソールにミニスカで遊園地で遊んでいる写真、女子用スクール水着を着た写真」
と理彩。
 
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「だって理彩って、そんな写真ばかり撮るんだもん」
「命(めい)が小さい頃に私が空想してた中学生になった命(めい)の姿って、セーラー服姿だったね」と母。
 
「星が大きくなってからそういう古い写真見たら、僕ってずっと女装ばかりしてたみたいに思うかも」と命(めい)は言うが
「いや、いつも女装してたでしょ?」と理彩からも母からも言われる。
 
「でも久しぶりにのんびりとした誕生日だね」
「去年は妊娠中だったし、一昨年は受験勉強中。補習で明け暮れてたね」
「去年も一昨年も、私命(めい)の誕生日って忘れてたよ。ごめんねー」と理彩。
「ううん。別に大丈夫だよ」
 
「忙しかったのに、命(めい)、私の誕生日はちゃんと祝ってくれたね」
「そりゃ、愛しい人の誕生日だもん」
と言って命(めい)は理彩にキスをした。母が微笑んでいた。
 
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