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■神様のお陰・神育て(15)

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4月の中旬。大家さんが突然来訪して屋根の修理をしたいと言ってきた。
 
この大家さんは、この家に関してけっこう色々メンテをしてくれる。掛けている費用が、命(めい)たちが払っている家賃より多いのでは?と思ってしまうくらいだが、その点について大家さんはこんなことを言っていた。
 
「あなたたちが入居して以来、突然うちの商売が好調になりましてね。あなたたちは、私にとって福の神ですよ。ですから住みやすいように色々メンテはしていきますから」
 
まあ、実際に神様を2人も住まわせてるんだけどね、と命(めい)は思う。
 

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4月25日金曜日。命(めい)と理彩が吹田の家で2人で夕食を取っていると、家の前に突然 RX-7 が停車した。なんだろうと居間のフランス窓のカーテンを開けて見たら、降りてきたのはまどかだ。こちらを見て手を振っている。玄関を開けて中に入れる。
 
「そこ駐めておいて大丈夫かな?」
「うん。駐車違反監視員は1時間くらいここから周囲500mには入れないようにしてあるから」
「おお、さすが」
 
「でもどうしたんですか?その車」
「今月初めに買った。夕飯の買物に行くのに何か車が欲しいなと思ってさ」
「確かにあの村では車が無いと生活できませんからね」
 
「RX-7で夕飯のお買物ですか?」
「どうせなら格好良い車がいいじゃん。35万だったよ」
「安っ!」
 
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「奈良県内の中古車屋さんを全部ここ1月ほどモニターしてて、入庫したばかりのを押さえた。距離はけっこう走ってるけど修復歴は無いよ」
「神様の力をそういうことに使っていいのかなあ?」
 
「堅いこと言わない。壊れてて動かない状態だったんだけどね。それは自分で修理した。受け取ってから『ちょっと工具貸して』って言って30分で動くようにしたら中古車屋さんがびっくりしてた。そのまま車検に持って行った」
 
「自動車の修理も出来るのか・・・・」
「まあ、どこが悪いかはすぐ分かるし」
 
「こちらへはドライブですか?」
「そうそう。この車は快適だねー。ちょっとギア入れただけで250出るんだもん。気持ち良かった」
「捕まりますよ」
「まだ私30日免停しかくらったこと無いよ。講習受けて1日で済んだけどね」
「・・・・まどかさん、運転免許持ってるの?」
「免許持ってなきゃ運転はできないよ」
「まどかさんって結構人間くさい」
「あはは、人間の振りして20年くらい生きてきたからね」
 
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命(めい)は『20年』に突っ込みたかったが、突っ込むと車のタイヤでも飛んで来そうだと思ってやめておいた。
 
「あ、そうそう。今年もまたちょっとお使いに行ってきてくれない?今年はこれ」
と言って渡されたのは、枇杷の箱が3つである。
 
「今年も九州ですか?」
「去年が暖かい所だったから今年は少し寒い所に行ってくる?」
「シベリア?」と理彩が訊くと
「行きたい?」とまどかが言う。
「いえ。もう少し南がいいかな」
「じゃ、山形ね。羽黒山まで行ってきて」
「今の時期行けるんですか?」
「羽黒山は冬でも行けるよ。除雪してるから。タイヤは念のためスタッドレス穿かせてあるから」
 
「・・・・もしかして、そのRX-7で行ってくるの?」
「あんたたちのヴィッツじゃ長旅はきついよ。高速で200出ないし」
「200は出さなくていいです」
「星も連れて行くといい」
「ベビーシート乗ります?」
「乗るはず。私が取り付けてあげるよ」
 
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ヴィッツの後部座席に取り付けていたベビーシートを外し、まどかはRX-7/FDの後部座席中央にベビーシートを取り付けてしまった。
 
「真ん中に付けるのか!」
「そうそう。端には付かないよね」
「この発想は無かった」
「ふたりともMT運転できるよね?」
「免許はMTで取ったけど、教習所以外では運転したことない」
「じゃ実地で覚えよう」
 
「あ、でも朝晩の祝詞」
「特別サービス。私が留守の間はあげてあげる」
「神様の祝詞セルフサービスですか!」
 

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昨年はまどかのETCカードを借りたのだが、今年は理彩がETCカードを作っていたので、それをセットして出発した。理彩の口座から料金は落ちるが「旅費」
として5万円もらっているので高速代とガソリン代を払ってもおつりが来る。
 
夜間の運転なので、80〜100km程度ごとに運転を交替した。吹田ICから乗り、名神を1時間ほど走って米原JCTから北陸道に入る。女形谷PAで車中泊した。
 
「RX-7の大きな欠点に気付いた」と理彩。
「何?」
「Hできない」
「ああ、これ色々工作してフラット化でもしないと寝られないね」
「ヴィッツなら何とかできるのに」
『お母ちゃんたち、何かするなら僕寝てるよ』と星。
「星、あんたHとか分かるの?」
『よく分からないけど、子供は見てはいけないものだって言われた』
「まあ、まだ星には早いね」
 
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「ところでこのPA何て読むんだっけ?おやまだに?」
「おながたに、だよ」
「素直に読むんだね」
「わりと素直だね。『た』の重複を省略するだけ」
「命(めい)といつも一緒にいるとつい『女形』の部分を『おやま』と読みたくなる」
「ああ、僕、歌舞伎の女形になりたいと思ってた時期もあるよ」
「命(めい)ならなれたかもね〜」
 
26日は朝早く出発して、北陸道・日本海東北道を走り、朝日まほろばICで高速を降りる。ふたりとも制限速度ぴったりで走った。
 
特に新潟県に入った付近から上越JCTまでのトンネルの多い区間はずっと80km制限なので理彩が「ねぇ、100か120出してもいいんじゃない? 車全然いないし」と言ったが、命(めい)は
 
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「うーん。僕たちは星のお手本にならないといけないから、速度遵守で行こうよ。車の流れに乗っている時は別として」
と言う。理彩も
「そうだね〜。追い越す車は勝手に追い越して行くだろうしね」
と言って、その意見に同意した。
 
高速を降りた後は7号線をひたすら北上し、15時すぎに鶴岡市まで来たが、まどかから「参拝は午前中。今日はそこで泊まろう」というメールがあり宿の電話番号が記されていたので、カーナビにそれをセットして辿り着く。
 

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「西沢か斎藤で予約が入っていると思うのですが」
とフロントで尋ねると斎藤でツインルームが予約されていたのでチェックインしてホテルに入った。ホテルの前庭が駐車場になっていたので車はそこに駐めた。
 
「予約は3泊になってたね」と理彩が言うと
「うん、そうなると思ってた」と命(めい)が言う。
 
「さあ、昨夜できなかった分、今夜はHするぞ!」と理彩。
『僕寝てた方がいい?』と星。
「とりあえず3人で一緒にお風呂入ろう」と命(めい)。
 
バスルームで汗を流し、それから星におっぱいとレトルトの離乳食をあげる。それで星がスヤスヤと寝たので一方のベッドに寝せ、それから命(めい)と理彩のふたりで裸になり、もう一方のベッドでたっぷり愛し合った。
 
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「今日は命(めい)、おちんちん付いてて、ヴァギナは無いのね」
「いつもそうだけど」
「ほんとかなあ」
 
理彩はヴァギナが無いから仕方無いのよー、などと言って命(めい)の「生前のおちんちん」から型どりしたディルドーを命(めい)の後ろに入れる。最近のふたりの関係では、命(めい)が入れられる側になることが多かった。理彩は「入れるの楽しい。私、おちんちん欲しいなあ」などとも言ってから
「あれ?私最近自分におちんちん付いてたことがあるような気がする」
などともいう。
 
「理彩におちんちんがあったら浮気の頻度が上がりそう」
「そりゃ、おちんちんなんて便利なものがあったら、女の子をやってやってやりまくるよ」
「でもおちんちんあったら、赤ちゃんが産めないよ」
「命(めい)はおちんちんあるのに産んだじゃん」
「そうだけどね」
 
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翌27日朝。朝御飯を食べてから出発する。1時間ほどで羽黒山麓の「いでは記念館」
の所まで来る。ここに寄って行くように言われたので、記念館の駐車場に駐め、見学する。ちょっとした休憩になったので車に戻ろうとしたら、出口の所でお婆さんに呼び止められた。
 
「あなたたち神様のお使いですね?」
「あ、はい」
「これを渡してくれと言われました」
 
と言って渡されたのはスノーシューズ!?
 
「ありがとうございます」と言って受け取ったが、これって・・・・
 
「もしかして車で山頂まで行くんじゃなくて、参道を歩けということでは?」
「ひぇー!?」
 
神様の思し召しでは従わざるを得ない。加護はしてくれるだろうし、ということで、車の所で靴を履き替え、星が寒くないように毛布を掛けた。随神門をくぐって参道を登り始める。雪道を歩くのは地元の村で小さい頃からいやというほど経験はしているものの東北の雪道はあなどれない。特に星を抱いている命(めい)は足下をしっかり見ながら慎重に歩いて行った。
 
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残雪の中の五重塔が美しい。身が引き締まる思いだ。命(めい)と理彩は2時間ほど掛けて出羽神社までの参道を登り切った。
 
山頂の鳥居をくぐり、厳島神社・蜂子神社にお参りする。蜂子神社で女性の神職さんから「あなたたち、女ふたりで赤ちゃん連れて参道を登ってきたの?お疲れさまでした」と苦労をねぎらわれると、気持ち良かった。
 
「でも凄くきれいな場所ね」と理彩は言った。
「清々しい場所だよね」
 
三神合祭殿のほうへ行く。大きな神殿だ。命(めい)が抱っこ紐で抱いている星が緊張した顔をしている。お偉いさんが居るのかな?と理彩は思った。
 
そこでお参りしてから末社の方を回っていた時、40代くらいかなという感じの男性がいた。命(めい)が
「こんにちは。E村のN大神からのお届け物です」
と言って、理彩が背中に背負っていたリュックの中から枇杷の箱をひとつ取り出して渡すと、男性は笑顔で受け取り
「ここまでお疲れ様でした。車はここの駐車場に回送しておきましたから」
と言う。
 
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「わあ、助かります。帰りもあの雪道を歩くのかと思ってました」
と理彩が言うが、理彩はふと命(めい)が箱をひとつしか渡してないのに気付き
「あれ。命(めい)、あとふたつの箱は?」
と訊く。
 
「それは月山と湯殿山ですよね?」と命(めい)が言う。
「ええ。そちらにお願いします。ついでにこれを持って行ってもらえますか?」
と言って男性は日本酒を2本渡したのでそのまま理彩のリュックに入れる。
 
「了解です。ところで月山へどうやって行けば良いか分かりますか?」
「今の時期は冬山登山をする覚悟が必要ですね」と男性が言うと
「きゃー」と理彩が軽く悲鳴をあげる。
 
「装備はお貸しします。案内人も付けますよ」と男性は笑顔で言い、星の頬を撫でて「いい子だ。大物になる」と言ってから消えた。
 
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山頂の駐車場にRX-7が駐めてあったので、その日はそれで鶴岡市内のホテルに戻り、お昼を食べたあと、鶴岡市内を少し見学してまわった。
 
翌28日早朝。命(めい)と理彩がベッドの中で裸で抱き合ったまま寝ていたら、
「こら、起きられよ」
という声がする。慌てて飛び起きると、山伏の衣装を着け少し変わった顔の少年がベッドのそばに立っていた。
 
「えーっと、命(めい)、この人、何に見える?」
「天狗様ですよね?」と命(めい)は笑顔で言った。
「そのようにも呼ばれておる。まだ修行中だが」と少年は答える。
 
「出発致す。すぐ服を着られよ」と言うので、急いで服を着る。
 
「そなた、おのこなのか、おなごなのか、よく分からん」
などと少年が命(めい)を見て言う。
「乳がでかいのにカモもある。小さいが。まるでサネのようなカモじゃ」
「そうですね」
「ふたなりか?」
「ああ、それに近いかも」
少年は命(めい)の身体に興味津々という感じで、まだ聞きたそうにしていた。
 
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「山頂は寒い故、これを」と言って、ウィンタージャケット、ズボン、靴下、冬山用の靴、帽子、サングラス、などの入った箱を渡された。理彩と命(めい)が身につけるが
「星にはどのような服を着せると良いでしょう?」と訊くと
「その御子は神の子にして、装備の必要は無い」と言った。
星も目を覚まして、ニコニコしている。
 
それでも一応毛布でくるんでから抱っこ紐に入れ、冬用抱っこ紐カバーを掛けた。
 
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神様のお陰・神育て(15)

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