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そして理彩はクリスマスイブの夜、命(めい)に言った。
「私と結婚して」
と。
命(めい)は最初自分はもう男ではなくなってしまったので理彩と結婚する資格が無いなどと言っていたが、理彩がお互いを思う気持ちがあれば充分。男性能力なんて無くても関係無いとハッキリ言うと、感動したようで喜んで婚姻届に署名してくれた。(理彩は先に署名済み)
その夜、理彩は命(めい)に添い寝しながら、命(めい)に指であそこをいじってもらって頭がおかしくなりそうなくらいの快感に到達。更にはまた潮吹きまでしてしまう。それから命(めい)が妊娠が進み男性機能を喪失する前に「型採り」
をして作っておいたシリコンゴム製のペニスを理彩のヴァギナにインサートして命(めい)が手首のバネを使ってそれを出し入れすると理彩はまた逝ってしまう。
(こういうことをすると、実は、まどかの仕掛けた「罠」により、ディルドーは実際には命(めい)の裏ヴァギナに挿入され、まどかが管理している命(めい)の本物のペニスが理彩に挿入される。従って実は理彩は作り物ではなく命(めい)の本物を入れられているのだが、ふたりともそのことは知らない)
「なんでー!? 命(めい)とセックスすると、作り物のおちんちんでも私逝っちゃう。他の男の子と本物おちんちんでHしても逝ったこと1度も無いのに」
「だから浮気はやめなよ」
そんなことをして、ふたりの「結婚初夜」は過ぎていった。理彩もこの日ばかりは「ほんとにもう浮気はやめよう」と思っていた。
理彩は翌25日、婚姻届を村に持ち帰り、双方の両親に署名と婚姻の承認をしてもらい(未成年なので親の同意が必要)、役場に提出した。
そしてその次の日26日、朝から大阪に戻ってくると命(めい)を連れて貸衣装屋さんに行き、命(めい)に合うピンクのマタニティ・ウェディングドレス、そして自分に合う白いウェディングドレスを借り写真館で記念写真を撮った。写真館の人の好意で理彩のデジカメでもたくさん写真を撮ってもらった。それからふたりは宝飾店に行き、ふたりの指に合う18金のマリッジリングを作った。理彩は即左手薬指にはめたが、命(めい)は出産後にはめることにした。
年明けて、1月16日。命(めい)は帝王切開で赤ちゃんを出産した。産まれたのは男の子で、ふたりは「星」と命名した。
その子の「魂が宿る時期」といわれる妊娠6週目(受精の4週間後)に、明るく輝く星が身体の中に飛び込んでくる夢を見て、命(めい)は妊娠に気付いたこと。それから中学時代に理彩と命(めい)が双方の家族とともに四国に旅行した時、夜空に輝く星がきれいで、将来男の子が産まれたら「星とか空とか海とか付けたい」などと話したことがあったのもあった。
出産の一週間後の23日、春代と香川君が噂を聞いて病院にお見舞いに来た。
「俺達にも黙ってるなんて水くさい」
「ごめん、ごめん」
「でも赤ちゃん作るの、大学卒業してからにすれば良かったのに」
「いや、そのあたりは色々な事情があって」
「あれ、でも何で命(めい)がベッドに寝てるの?」
「産んだのは僕だから」
「は?」
ふたりはてっきり理彩が出産したのだと思い込んでいたので、ベッドに寝ていて、授乳しているのが命(めい)の方なので仰天する。
「いくら男女平等社会といっても、まさか男の子が妊娠出産するなんて」
「いや、俺は前から斎藤って、実は本物の女なのでは?って思ってた」
「もう結婚したの?」
「うん。去年のクリスマスに入籍したよ。記念写真撮っただけだけどね」
「そんなのも私たち呼んでよ〜」
「式とか披露宴とかもしてないんだよ。赤ちゃんが退院してから来てくれそうなお友だち集めて食事会してもいいかなぁとかは思ってた」
「よし、その企画は私がやっちゃる」と春代が張り切っている。
「だけど、妊娠中、斎藤はどんな服着てたの?やっぱり普通の妊婦服?」
「ふつうに女物の妊婦服を着てたよ。妊婦服を着ることになる以前から、少し女物に慣れておこう、なんて理彩から言われて、8月頃からずっと女物の服着て出歩いてたけど」
「待て待て。斎藤は前から女物の服着てたよな」と香川君。
「えー!? 僕高3の秋以降は女装したことなかったし、大学に入ってからはずっと男の子の格好で通学してたんだけどね」と命(めい)。
「ダウト!」と3人声をそろえて言う。
「高3の秋頃って、命(めい)の女らしさが増大してた気がする」
「高校卒業して以降、俺斎藤が男の服着てるところ見たことない」と香川君。
「私も卒業式以降、命(めい)と会った時はいつも命(めい)って女の子の服着てたよ。男の子の格好なんてしていた時期無いと思う」と春代。
「確かに大学に入ってから、私とデートする時もたいてい女の子の服着てたね」
と理彩まで言い出す。
「そもそも、命(めい)って月経があるという疑惑が昔からあった」と春代。「まあ、元々女の子の機能があったからこそ妊娠できたんだろうね」と理彩。
「へー」
「結局、ふつうに女性が妊娠して出産したのと同じなんだね」と春代。
1月末には命(めい)が退院し、2月末には保育器に入っていた星も退院した。星が退院した晩はアパートで3人で至福の時を過ごした。
理彩は星が可愛すぎて、自分も赤ちゃん産みたくなった。もう妊娠するの卒業まで待てないと言いだし、来年休学して妊娠出産すると言い出す。
「その子が生まれた時に、命(めい)まだお乳出てたら、その子にもお乳あげていいからね」
「2年後なら逆に星もまだおっぱい飲んでると思うから、理彩も星におっぱいあげられるよ」
翌日3人は一緒に村に戻る。そして3月2日の土曜日に、神社で辛島宮司により神式の結婚式を挙げた。宮司の娘の梅花さんと理彩の従妹の来海が巫女役を務めた。
理彩の両親、祖父母たち、太造夫婦、命(めい)の両親、祖父母たち、伯母の律子夫婦、が参列する。
まずは宮司さんがお祓いをし、結婚式の祝詞を読み上げるが、「親子共々に健やかに」などと、お宮参りの祝詞もミックスした祝詞になっていた。
この日は理彩も命(めい)も白無垢の婚礼衣装を着たのだが、祝詞の中では
「斎藤友和の長男・命(めい)と奥田雅博の長女・理彩の婚礼(とつぎのいやわざ)」
としっかり男女の結婚であることを述べつつ、「E村の真名子(まなご)・斎藤星、父の名は斎藤理彩、母の名は斎藤命(めい)」と正しい組合せの父母の名前を読み込んで、宮司さんは祝詞をあげてくれた。それをしっかり聞いていたのは命(めい)と太造くらいで、理彩も含めて、ほとんどの参列者は祝詞なんて頭の上を通り過ぎていくだけで、ほとんど中身を聞いてない風であったので、星を産んだのが命(めい)であることを知らない祖父母たちも奇異には思わなかったようであった。
梅花さんが杯にお酒を注いで三三九度をする。命(めい)が授乳していることもあり、県内の酒造メーカーが造っているノンアルコールの日本酒を使用した。それでも命(めい)は一口ずつしか飲まないようにし、大半を理彩が飲んだ。
梅花が理彩の親族に、来海が命(めい)の親族に同じお酒を注いでまわる。それをみんなで飲んで親族固めを行う。命(めい)と理彩が玉串を奉納する。それから宮司さんの太鼓、梅花さんの横笛で、来海が祝いの舞を奉納する。
最後に宮司さんがお祝いの言葉を述べて、婚礼の儀は終了した。
「命(めい)ちゃんも白無垢姿での結婚式なんてしてもいいのか、と一応神様にお伺いを立てたんですけどね。結果が大吉だったので、挙行させてもらいました。赤ちゃん付きの結婚式は年に数回してますしね」
と宮司さんは言っていた。
披露宴は一応「内輪で」しようということにし、理彩の家に双方の親戚20人くらいずつ(理彩の叔父・叔母・従弟妹だけで16人いる)を呼んで、色打掛姿で並ぶふたりに結構な騒ぎの中でもひたすら寝ている星を前に、みんなお祝いをしてくれた。友人ではぜひ出席させてと言った春代と香川君だけ呼んだ。
「命(めい)ちゃんが紋付き袴を着る姿が想像できない気がしてたんだけど、結婚式では白無垢、披露宴では打掛けで安心した」
などと命(めい)の伯母の律子などは言っていた。
披露宴が終わった後、命(めい)の家に両家の7人、春代と香川君、太造さん夫婦の11人が集まって二次会をした。理彩の家でも命(めい)の家でも、部屋と部屋の間の襖を外して広く使った。理彩の家では客間・居間・座敷の3部屋ぶち抜き、命(めい)の家でも客間・居間のぶち抜きである。
受験時の忙しい中、高校の時の担任、H先生がちょっとだけ顔を出してくれた。
「お前たち、高校時代からいつもイチャイチャしてたからなあ」
などとH先生は言う。
「何でも早く仕上げるのはいいことだが、学生結婚で子供産んじゃうのは少し早すぎるぞ。でも、可愛い子供だ。この子、物凄く頭が良くなりそうな顔してるぞ」
などとも言っていた。
「先生、命(めい)がウェディングドレスを着てる件についてひとこと」と春代。「まあ、斎藤は高校出たら、すぐこうなることは予測してたけどな」とH先生。
「あ、もしかして斎藤が性転換するつもりで、生殖能力のある内に子作りしたとか?」
「いえ、そういう訳では無いですけど、念のため精子は冷凍保存してますが」
「ああ、それがいいだろうね」
「親戚の反応は心配だったけど、田舎って物事にこだわらないのがいいよね」
と理彩は言った。
「都会は何も言わないけど冷たい。田舎は噂こそ立てるけど許容的」
と春代も言う。
「まあ、何言われてもいいや。僕は理彩と結婚できただけで幸せだから」
と命(めい)が言うと
「ごちそうさま」とみんなから言われた。
H先生が帰った後は、何となく、理彩と命(めい)の父、太造、香川君という男組と、理彩と命(めい)およびその母、太造の妻、春代、という女組に別れて話が進んでいく。男組はお酒が進んで段々混沌の世界に突き進みながら仕事の話などをしていたが、女組は紅茶にクッキーなど食べながら色々な人の噂話などが進む。
結局0時の時報を聞いたところでお開きとなる。最初香川君は春代と一緒に理彩の家に泊まる予定だったのだが、酔いつぶれて寝てしまっていたので、放置して春代だけ理彩の母・太造の妻と一緒に移動した。理彩の父と太造もそのまま放置である。
結局、酔いつぶれた男組を客間に集めた上で、居間と客間の間の襖を戻して居間は使えるようにし、命(めい)の母は厨子(つし)2階、命(めい)と理彩と星は奥の部屋に引っ込む。母はもうそのまま寝ると言っていたが、命(めい)と理彩は交替でシャワーを浴びてきた。
なお、この家は、奥の部屋、座敷、居間、客間、台所が横に並ぶ構造である。斜面の段々になった土地に建てるため細長い構造になっている。
間取り図
各部屋には廊下から独立してアクセスできるが、各々の間の襖を外すと連結して細長い大部屋としても使える。厨子2階は居間の上にあり、座敷には誰もいない(客を泊める時に使う建前ではあるが実際は物置と化している)ので、奥の部屋で小さな物音を立てても母の所には伝わらない。普段、命(めい)の両親は居間で寝ている。厨子2階は母のプライベートスペースである。
理彩の家も命(めい)の家とほぼ同じ構造だが、離れがあり、また座敷は理彩の父の書斎として使われている。
「さあ、今夜は結婚式初夜だよ」
と理彩が何かを期待するような目で言う。
「元気だね。僕少し眠い」
という命(めい)は今になって起きた星におっぱいをあげている。
「最低1回はしないと許さない」
「僕たち既に初夜を5回くらいしてるような気もするんだけど」
「そのくらいやったかな・・・・まあ、いいじゃん」
「じゃ、星が寝てからね〜」
「星は良い子だね。披露宴の最中ずっと寝てた」
「さすがにウェディングドレスでは授乳できないからね」
「命(めい)が授乳してたら、さすがに、みんな仰天してたよ」
披露宴に出席していた親戚の中で、星を産んだのが理彩ではなく命(めい)だと知っていたのは、太造や春代たちくらいである。他の出席者は常識的に理彩が産んだものと思っていたようである。
星がなかなか寝ないので、理彩が「おっぱいあげながらでもいいからしてよ」
などと言い出す。命(めい)は「もう、しょうがないなぁ、まいだーりん」
などと言って、理彩を寝せて下着を下げ、星に授乳しながら理彩のクリちゃんを揉んであげる。すると理彩は気持ち良さそうにして少し声を出していたが、やがて逝ったようで、そのまま眠ってしまった。命(めい)は微笑んで理彩の隣に寝て、横になったまま、星に授乳を続けた。