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(c)Eriko Kawaguchi 2012-07-20
4日後、7月22日。日曜なので理彩に会えるかな?と連絡を取ったら、
「命(めい)の所に行く〜、おやつ用意してて」
などというので、命(めい)は晩御飯用に理彩の好きなトンカツの材料、おやつにティラミスを用意して待っていたら、夕方4時頃、理彩は無地のTシャツにジーンズのサブリナパンツという、あまり色気の無い格好でやってきた。そして
「命(めい)に可愛いの持ってきてあげた」などという。
「なあに?」
「これ」
と言って取り出したのは、レース使いたっぷりの純白のシルクのエプロンである。
「わあ、ちょっとフェミニンな感じだね」
「私にって先輩からもらったんだけどさ、私が付けるより命(めい)が付けるほうがいい気がして」
「なんでー?」
「だって、私たちが結婚したら間違いなく、お料理作るの命(めい)だと思うし」
「ふーん。。。僕と結婚する気はあるのね」
「もちろんさ、マイベイビー」
「まあ、いいや。折角だしこれ付けて晩御飯作ろう」
「あ、待った」
「何?」
「洋服脱いで、下着姿の上にこのエプロン付けてみよう」
「何のために〜?」
とは言ったものの、命(めい)は素直にブラとショーツだけになり、エプロンを着て、トンカツを揚げた。キャベツを千切りにしている所やカツを揚げているところをカシャカシャ写真に撮られる。なんか僕の写真ってこんなのばかり、残っていく!と命(めい)は思う。
その夜は、するのが1ヶ月ぶりだったし、命(めい)としては手術して切ってしまったのだろうかと思っていたおちんちんが戻って来てそれを使いたかったので、たくさん愛し合いたいと思っていたのだが、正常位で1回やっただけで2度目はどうしても立たなかった。仕方ないので指で理彩のを刺激したら気持ち良さそうに逝ったので、その後更にインサートできないまま背面座位のように抱えて後ろからまたクリちゃんとGスポットを刺激してあげたら、叫び声をあげながら逝った。
この時期、命(めい)はずっと体調が悪く、午後仮眠を取ってからシャワーを浴びて夕方から家庭教師先を訪問していた。もう開き直って普通にブラウスとスカート、パンプスという格好で出かけていた。
8月2日にも理彩と会ったが、今度はこちらから理彩のアパートに行った。家庭教師先に行ったあと、そのまま理彩のところに行ったので「上品な女子大生」風のファッションである。
「お、そのまま女子大生として就活できそうだね」などと理彩に指摘されたものの疲れている風なので、「何だか顔色悪いね」と言われる。
「なんか最近胃腸の調子が悪くてね。こないだから何度か吐いたりしたんだよね」
「バイトで無理してない?」
「それは大丈夫。夕方2時間だから。その前に午後仮眠して体調を整えてる」
「夏バテかなあ。ほんと無理しないでね。あまり調子悪かったら、病院で診てもらった方がいいよ」
「うん。そこまでは無いと思うんだけどね」
などという会話を交わして、その夜は理彩が命(めい)の体調に配慮してくれて、2時間ほどで「愛の確認儀式」を終えた。その日も命(めい)は1度しかインサートすることができなかった。
翌3日の朝、命(めい)が帰って行った後、理彩は今日はバイトも休みだし、命(めい)は疲れてるみたいだし、誰か女の子の友だち誘って映画でも見に行こうかと思っていたら、突然ドアにノックがある。てっきり命(めい)が忘れ物か何か取りに来たと思ったので
「マイハニー、忘れ物〜?」
などと言ってドアを開けたら○○であった。
「あ、おはよう。どうしたの?」
「どうしたもこうしたも、近くを通りかかったから寄ってみただけなんだけど」
「あ、そう? まあ、入って入って」
「誰か来てたのか?」
「えっと、友だちよ」
「友だちにマイハニーなんて言うのか?」
「女の子同士ではよく言うよ」
「そうか?」
ああ、疑われてる〜、と思う。理彩は浮気はよくする癖に隠し方はうまくない。
「まあ、いいや」と言って入ってくるので、お茶を入れて、ストックしているおやつのクッキーを出す。
「車で来たんだっけ?」
「いや。電車」
「じゃ、クリアアサヒ飲む」
「ああ、飲む飲む。なんかおつまみとかある?」
「スルメでよければ」
「あぶってくれる?」
「おっけー」
などとやりとりをして、クリアアサヒを飲み出すと彼は少し上機嫌になり、けっこう色々おしゃべりをする。○○は4月に付き合った▽▽に比べてセックス自体は弱い感じだが、前戯はよくやってくれて割と気持ちいいし、こうやってセックスせずにおしゃべりしていても割と楽しいので、気に入っていた。
性格もかなり優しくて紳士的だ。猥談などあまりしない。ひょっとして、命(めい)に近いタイプ?などという気もしてくる。やっぱり私って男の子の基準が命(めい)なのかなあ。。。などとも考えてしまったりしていた。
おしゃべりに夢中になっている内に、クッキーを食べ終わって、彼が空き袋を近くのゴミ箱に放り込む。が外れてしまった。「あ、ミスった」と言って改めてゴミ箱に入れようとしてゴミ箱の縁を掴んで。。。今度はうっかりひっくり返してしまう。
「ごめん、ごめん」と言って、こぼれたゴミを片付けようとしていて・・・・彼はそれに気付いてしまった。
「ね・・・この黒い袋何?」
「あ・・・っと・・・・」
○○は、セックスしたあと、理彩が使用済みの避妊具を黒い袋に入れてから捨てるのを何度も見ている。
彼はその黒い袋の口を開けて中をのぞいた。
「これ・・・・まだ使ってから半日もたってない感じ」
「うん・・・」
「理彩、やっぱり俺以外にも男いるの?」
「・・・・ごめん」
「もしかして、俺が来る直前までそいつと一緒だった?」
「・・・うん」
「俺、悪いけど、二股する女とは付き合えない」
「・・・分かった」
この言葉を言われたのはもう3度目である。実は○○、命(めい)以外に更に1人ボーイフレンドを作ろうとして○○にバレて、そちらとは別れて、許してもらったこともあった。命(めい)が来た時に忘れていった男物のハンカチが見つかった時は、こういうの自分の趣味でなどといって誤魔化した。しかしもう今回はさすがに許してくれそうにもない。セックスしたのが明らかだし。ダメか。。。と理彩は諦めた。
「俺帰るわ」
と言って、○○は無表情で荷物をまとめる。
「ごめんね」
と理彩は玄関口で言う。
「まあ。そのもうひとりか、もうふたりか知らないけど、そっちの彼氏とうまくやれよ」
「お願い。最後にキスして」
「その彼氏に悪いからしない」
と言って○○は理彩と握手をしてから、笑顔で手を振って帰って行った。
理彩はどっと疲れて座り込んだ。
理彩は○○の去り方に命(めい)の影を見た。命(めい)がもし自分に愛想を尽かして別れると言い出したら、こんな感じの淡泊な別れ方をする気がする。でも命(めい)・・・・私を捨てたりしないよね? 理彩はちょっとだけ不安になり、浮気はもうやめようかな、という気分になった。
翌日。理彩がボーっとしていたら、お昼前に命(めい)から電話が入った。
「相談があるんだけど、会ってくれない?」
「いいよ。今日はちょっと都合が付かないけど、明日の午前中なら」
「じゃ、いつものあそこで」
「うん。じゃ10時に」
今日会っても良かったのだが、命(めい)に落ち込んでいる自分を見せたくない気分だった。命(めい)がメソメソしていても「しっかりしろよ」って命(めい)を元気づけてきたのが自分だ。あれ? なんか私と命(めい)の関係ってやはり私が男役? まあ、それもいいよね。命(めい)ってとっても可愛いし。
などと思うと少し元気が出てきた。
でも、気のせいかなあ。私、命(めい)が女の子の身体になっているのを何度も見たことがあるような気がする。。。。うーん、夢にでも見たのかな。やはり命(めい)を性転換させたい願望があるのだろうか?私って変態?
理彩は妄想が暴走しつつあった。嫌がる命(めい)に無理矢理麻酔を打って手術台に乗せて、強制的に性転換手術しちゃうのもいいなあ、私が自分で命(めい)のおちんちん切り取ったら、命(めい)のおちんちんは永遠に私のものだし。そして手術が終わって「おちんちん無くなっちゃった」なんていって命(めい)が泣いていたら、よしよしと慰めてあげて・・・などと想像すると興奮して濡れてくるのを感じたが、自分が医師免許取るまで、命(めい)が男の子でいてくれるとは、到底思えんというのにも思い当たる。うむむ。。。
そんなことを考えているうちにお腹が空いてきた。
理彩は失恋の痛手から自分を回復させようと、その日のお昼は洋食屋さんでステーキランチを食べ、そのあとエステで全身マッサージをしてもらった。そのあとカラオケに行ってひとりで4時間歌いまくった。そして夕方から医学部の女子の友人を誘って居酒屋で飲んで食べまくった。わあ、今日1日で体重が2kgは増えた気がする、などとも思う。
そして翌日、命(めい)に会いに行った。そして命(めい)から
「僕、妊娠しちゃった」
という信じがたい言葉を聞くことになる。
最初は命(めい)はとうとう頭がおかしくなったかと思ったものの、陽性を示す妊娠検査薬を見ると、命(めい)なら本当に妊娠することもあるかも知れないという気がして、恥ずかしがるのを強引に産婦人科に連れて行く。そして、本当に妊娠していることを確認された。
男性の妊娠は維持できるわけがないし、非常に危険だから中絶した方がいいと言う産科医に対して、行けるところまで行かせて欲しいと主張する命(めい)に理彩は感動してしまい、この子が生まれるまで、自分は命(めい)をサポートしてあげようと思う。
医師は妊娠が進むと、命(めい)の乳房は膨らみ、また女性ホルモンが大量に分泌されて、男性としては不能になるだろうし、男性機能は妊娠が終了しても回復しないだろうと言った。しかし命(めい)はそれでもいいから、お腹の中にいる子を優先したいと言う。理彩は命(めい)に「母の強さ」を感じた。
「男性として不能になっちゃったら、もうセックスもしてあげられないね」
「今、すごーく理彩とセックスしたい」
「ふふふ。してあげようか?」
理彩は命(めい)をホテルに誘った。そして命(めい)のお腹に負担を掛けないように、側位と松葉で結合した。そして理彩は自分が○○と別れたことを言い、当面命(めい)をしっかりサポートしていくと言明した。
ふたりは一度実家に戻り、命(めい)が妊娠したことを双方の両親の前で話す。
両親たちは最初、理彩が妊娠したのだと思い「あんたたち、ちゃんと避妊してなかったの?」と言われたが、いや妊娠したのは理彩ではなく命(めい)だと言って妊娠診断書を見せる。両親たちは信じられないという顔をしたが、村には昔から神婚伝説があること、そして過去に男の子が神様の子供を産んだことがあるという話を聞いていることを語り、ふたりの気持ちを尊重し支援してくれることになった。
命(めい)は8月いっぱいは文乃の家庭教師だけをして、9月は日々の買い物に行ったり図書館に行ったりする以外はあまり不要な外出も避けるようにした。また階段の使用禁止を理彩から言い渡されたし、ヒールのある靴やサンダルは理彩が回収した。後期は休学届けを出したのだが、届けは、お腹がもう目立つようになっていた命(めい)に代わり、理彩が提出してあげた。理彩はたぶん拒否されるだろうと思いつつ休学の理由に「妊娠のため」と書いたが、通ってしまった!
命(めい)は健康診断も女子として受けたらしいが、もしかしてその時、学籍簿上の性別も女に書き換えられたのではなかろうか?などと理彩は疑った。
そして9月からふたりは双方の両親の勧めもあり、理彩のアパートで一緒に暮らすようになった。命(めい)のアパートの方は解約した。
「理彩ちゃん、お医者さんの卵だから、いざという時は頼りになるし」
などと命(めい)の両親は言っていたし
「このまま結婚させちゃってもいいですよね」
などと理彩の両親は言っていた。
しかし妊娠が進んで男性能力が消失してしまった命(めい)は、やはり自分はもう理彩とは結婚できないだろう。せめてよい友だちであり続けようなどと考えていた。一方の理彩は、命(めい)との関係を今後どうしていくべきか悩みながら、またまたボーイフレンドを作り、1度はセックスもしてみた。
セックスはしてみたものの、どうしても命(めい)とする時ほど気持ち良くなることができなかった。理彩は命(めい)のペニスが立たなくなってしまっても、夜の生活は続けていた。インサートできなくても命(めい)のペニスをいじってあげると命(めい)は気持ち良さそうにしているし、また命(めい)のフィンガーテクニックは絶妙で、理彩は何度も逝ったし、潮吹きまでした。他の男の子とセックスしたって全然逝けないのに!