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■神様のお陰・愛育て(9)

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(c)Eriko Kawaguchi 2012-07-18
 
出来あがったのはメイクを始めてから1時間後だった。
「ト、トイレ〜」と言って命(めい)はトイレに飛び込んでおしっこをし、ほっと溜息をついた。メイクって大変だぁ!I
 
10時半に命(めい)のアパートを出てモノレールで理彩のアパートに移動する。そこで命(めい)とお揃いのイヤリングを付けて、梅田に出る。少し遅れそうなので春代にメールで連絡を入れた。向こうも少し遅れそうという連絡。
 
待ち合わせ場所についたのは、約束の時間の10分後だったが、春代と香川君はその5分後にやってきた。4人でスカイビルに行きカジュアルなレストランに入った。
 
「斎藤、凄い美人になってる。最初、一瞬誰だっけと思った」と香川君。
「素でも命(めい)って可愛いけど、お化粧すると、凄い美人になっちゃうねー」
と春代。
 
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「1時間掛けてフルメイクされた」と命(めい)は笑いながら言った。
「睫毛は100回くらいマスカラ塗ったからね」と理彩。
 
「バストもかなり大きいね。もう豊胸手術しちゃったの?」
「そんなのしてないよー。これはブレストフォームだよ」
「ほんとに? 触っていい?」と春代は言って、命(めい)のバストに触ってくる。
「凄いリアル。とてもフェイクとは思えないなあ。時間があったら温泉にでも連れて行って解剖したいところだけど」
 
「温泉なんて入れないよー」
「確かにこの身体では男湯には入れないだろうけど、女湯に入れるでしょ?」
「ああ、命(めい)は間違いなく女湯に入れるよ」と理彩。
 
「命(めい)きっと高校卒業したら、完全に女の子になっちゃうね、なんて拓斗と話してたんだけど、やはりそうなってるみたいね。もう学校にも女の子の格好で行ってるんでしょ?」と春代。
 
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「まさか。行ってないよ。男の子の格好で出て行ってるよ。僕は高校卒業したら女装も卒業するつもりだったんだけど」と言うが
「それ、絶対無理と私は主張してる」と理彩。
「あ、同意、同意」と春代も香川君も言う。
 
「命(めい)は今年中にはおっぱい大きくして、来年には去勢して、再来年には性転換して、その翌年には赤ちゃん産む、と私は予想してるんだけどね」と理彩。
 
「いや、おっぱい既に大きくしてないの? マジで。おちんちんも既に無かったりして」
「どうだろう? 先週裸にしてみた時は胸は無かったし、おちんちんはあったけど、その後手術してたら分からないな」と理彩。
「普通に男の子だけど」と命(めい)が言うが
「いや。絶対普通の男の子じゃない」と3人から言われてしまった。
 
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途中でドトールに移動して会話を続ける。ドトールで席についた時、命(めい)が持っていたシステム手帳から、挟んであった封筒が落ちた。
 
「何?それ」
「あ、こないだの健康診断の結果かな」
「どれどれ。私がメディカルチェックしてあげる」と言って理彩が勝手に開封する。
「あれ〜、赤血球値が低いね」
「そう?」
「うん。女子だと月経があるからどうしてもこのくらいになるけど、男子はもう少し高くなるんだよ、普通。あ、鉄分も低い」
「ねぇ、命(めい)っていつもナプキン持ってるよね」と春代。
「まさか、月経があったりして」
「まさか!」
 
「身長162cm 体重48kg か・・・痩せすぎだよね」と検診結果を覗き込んで春代が言う。
「ほんとほんと。BMIが18.2だもん。私が身長158cm 体重48kg で体重が同じだから、服が共用出来るんだけどね」
「理彩のBMIは?」
「えっと19.2かな」
春代はしばらくその報告書を見ていたが、突然「そのこと」に気付いてしまった。
 
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「ねぇ。。。。命(めい)の性別が女になってるんだけど」
「え? あ、ほんとだ」
「まさか、命(めい)、女子として診断受けたの?」
「えー? そんなことないと思うけどなあ。。。多分」
 
「そういえば、去年1日入院した時は、お医者さんから診察とか受けていたのに女性と思われていて、診察券も性別 F で発行されてたね。病室も女病室に入れられて尿器も女子用を使っていたらしいし。健康診断くらい女で押し通せるかも」
「あはは」
 
「俺、前々から疑問に思ってたんだけど」と香川君。
「斎藤って、女の子みたいな男の子と思っていたんだけど、それでは説明出来ないことが多すぎてさ」
「うん」
「実は本当は女で、男のふりをしているだけ、なんてことは?」
「もし、そうだったら凄いね!」
 
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4時頃、理彩が彼氏と待ち合わせていると言って、1人離脱した。それを見送って春代が言う。
 
「なんで行かせるの?」
「だって・・・・」
「命(めい)、理彩のこと好きなんでしょ? ダメじゃん、他の男とデートなんかさせたりしちゃ。セックスしちゃったらどうするの?」
「もう6-7回セックスしてるはず」
「平気なの?」
「平気じゃ無いよう。辛いよう」
と言って命(めい)は目から涙が出てくる。
 
春代は命(めい)をハグしてくれた。香川君がそばでポリポリと頭を掻いていた。
 
「命(めい)、しっかりしなよ。自分が大事なものは絶対手放しちゃダメ」
「うん」
「理彩が他の男とデートするのが許せない気持ちがあるなら邪魔しちゃいなよ」
「そうだよね」
 
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命(めい)は涙を流しながら頷いた。
 

水曜日の晩。命(めい)はその日も理彩の「デート生中継メール」に悩まされていた。そして「ホテルなう」というメールにとうとう爆発した命(めい)は「帰って来い、この浮気女!!(`´#) 」と返信した。
 
そしてあまりの怒りに料理用に買っておいたブランデーを一気のみすると命(めい)は台所で倒れてしまった。
 
ふと目が覚めると23時だ。
 
少し眠ったことで少し気持ちが落ち着いた感じもする。シャワーを浴びてから取り敢えず寝るかと思ったら、玄関のドアを叩く音。
 
何だ?と思い「どなたですか?」と声を掛けると「私。入れて」という理彩の声。
 
ドアを開けて中に入れる。
「どうしたの?」
「帰って来いってメールされたから帰って来た」
「ふーん」
 
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「▽▽とは別れた」
「別れ?」
「うん。恋愛関係解消」
「そう」
 
「こないだ土曜日にケンカしたってのは言ったでしょ?」
「うん」
「そのあと日曜日の晩に話し合って、いったん仲直りしたんだけど」
「ほお」
「今日ドライブデートしてホテルに行って、Hして休んでたところで命(めい)のメールに気付いて」
「うん」
「それ見てたら、▽▽にもその文面読まれちゃって」
「うん」
 
「誰だよ?これって言われて。友達だって言ったけど信用されなくて」
「そりゃ信用しないだろうね」
「それ話している内に、こないだのケンカも再燃しちゃって、もう別れようということになった」
「ああ」
 
「ホテルからは自分ちよりここの方が近かったから、ここまで歩いて来た。ここまでも1時間掛かったけど」
「タクシーとか呼べば良かったのに」
「お金1000円しか持ってなかったから」
「デートする時は普通もっと持ってかない?」
「いや、彼が全部払うと思ったし」
「それは男に依存しすぎ」
 
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「そうかなあ。何だかお腹が空いちゃった。命(めい)、何か食べさせて」
「カレーでよければ」
「命(めい)の作ったカレー大好き」
 
盛ってあげると、美味しそうに食べている。命(めい)は甘い紅茶を入れてあげた。
「あ、紅茶も美味しい。命(めい)は料理もお茶入れるのもうまいなあ」
「そう?」
 
「だけどドライブデートは気持ち良かった」
「へー」
「うん。何か楽しいよ。私も運転免許取りに行こうかな」
「いいんじゃない?」
「夜の高速を走るのってきれいでさ」
「ふーん」
 
しばし理彩は▽▽君との「思い出」を語る。命(めい)はさすがに少しイライラしてきた。30分くらい彼氏との楽しかったことを語った上で
 
「でも命(めい)のメール、嬉しかったよ。やっぱり私を愛してくれてるんだなあ、と思って」
などとぬけぬけと言う。命(めい)は怒りを抑えて
「僕はいつでも理彩のことしか考えてないよ」
と言った。
 
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「えへへ。浮気してごめんね。ああ、でも少し眠くなってきた」
などと言う。
 
「あ、布団敷いてるから、勝手に寝て。僕はもう少し勉強してから寝るから」
と命(めい)が言うと
「命(めい)〜。今日はセックスさせてあげるよ」
などと言い出す。
 
「僕は別に今日はしたくないけど」と命(めい)は言うが
「え〜ん。セックスしようよ〜」と言って理彩は命(めい)に抱きついてくる。
 
「理彩、さっき▽▽君とセックスしたんじゃないの?」
「だって彼とは1晩に1回しかできないんだよ〜。前戯とかもほとんど無いし。命(めい)ならたっぷり前戯してくれるじゃん」
「僕の方がいいんだったら、浮気しなきゃいいだろ?」
「だって、いろんな男を体験してみたいんだもん」
「じゃ、誰か他の男を探してみたら?」
「あ〜ん、邪険にしないでよ」と言ってキスして来ようとするので、命(めい)は拒絶した。
 
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「他の男とセックスした直後に僕としようとするなんて信じられない!」
と命(めい)はとうとうマジで怒った。
 
「じゃ、どうすればいいの?」
「最低シャワーくらい浴びて。それから、ヴァギナもビデで洗って」
「え?ちゃんとコンちゃん付けさせたよ」
「カバーが付いていても他の男のを入れたヴァギナをそのまま使って欲しくない」
 
「分かった。じゃシャワーしてるから、命(めい)、コンビニでビデ買ってきてよ」
「いいよ」
「あ、ついでに、おやつも」
「いいよ」と命(めい)は少し呆れ気味に言った。
 
「下着出しとくね」と言って命(めい)の部屋に置いてある理彩の下着を渡してから、着替えてコンビニに行き、ビデと理彩の好きなおやつを買ってきた。理彩はシャワーを浴びているので、お風呂場のドアをノックして開けてからビデを渡す。
 
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理彩はやがてバスルームから裸で出てきた。
「ちゃんと中まできれいに洗ったよ〜。すぐ脱いじゃうし、下着は朝付ければいいよね?」
「そうだね」
「あ、私の大好きなティラミスだ。命(めい)好き!」
と言ってキスする。今度は命(めい)も素直にキスを受け入れた。ティラミスが『大好き』で自分は『好き』というのは少し引っかかったが。
 
命(めい)がお茶を飲んでいる間に理彩は裸のままティラミスを美味しそうに食べる。命(めい)は微笑ましくそれを見ていた。
 
「美味しかった! 次は私を気持ち良くして」
「いいよ」
 
ふたりはキスをする。今食べたティラミスの味が理彩の口の中から伝わってくる。命(めい)は理彩を誘うように一緒に布団の上に横になった。
 
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その晩は時間も遅いし短めにということで、正常位で1度やった後、指で理彩を逝かせ、その後バックで再度結合したあと抱き合ったまま寝た。
 

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