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■神様のお陰・愛育て(4)

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「でも胸が凄くリアル。バストパッドだけじゃ、そこまでいかないよね。谷間がありそう。ひょっとして豊胸しちゃったとか?」と綾。
「してない、してない」と命(めい)は笑って言う。
「そのあたりは企業秘密で」と理彩が言ってくれた。
 
「まあ、いいや、泳ぎに行こう」
と春代が言ったので、みんなシャワーを浴びてプールへ移動する。
 

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女体のボディラインは女の子に見られるのは平気で、むしろ見せたいくらいの気分だったが、男の子に見られるのはちょっと恥ずかしい気がしていたが、そんな様子に気付いた理彩が命(めい)の手を引いて連れて行った。
 
「ブレストフォームでも付けてきたの?」と理彩が小声で言う。
「でも、これでもう命(めい)は男の子には戻れなくなったね。このボディラインを見せておいて、男だなんて主張できないもん」
「確かに最近、ボーダーラインを越えちゃってる気はする」
と命(めい)もそれを認める。
 
「でもね。夏休みはたっぷり女の子の服を着て、9月からは女装はやめようかなと思ってるんだけどね」などと言うと
「それ絶対無理!」と言われた。
 
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女体で泳ぐのは初めてだったので、うまく泳げるかな? と最初心配したものの、特に問題無く身体が動いた。いわゆる「身体が覚えてる」ってのは実際には小脳の記憶だろうから、身体のパーツが入れ替わっていても大丈夫なんだろうな、と命(めい)は思った。胸があるので、その付近の水流の感覚は違うものの、大きな問題では無かった。普通に息継ぎしながらクロールできたし、ターンも普通通りすることができた。
 
泳いでいて1度愛花とぶつかりそうになった。泳ぎを停めて立ち上がって衝突を回避したものの、少し身体が接触する。ちょうどこちらの胸に接触したが、愛花が「え?」という顔をしている。あはは、これリアルバストだからなあ。変に思われたかも知れない。まあ、あとで解剖されないことを祈るのみだ。
 
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命(めい)は男性体に戻されてしまうと自分が女性体であった時のことを忘れてしまうのだが、女体でいる間は過去に女体であった時のことも覚えている。それで女性体の状態でも焦らずに行動することができる。命(めい)はだいたい年に数回くらい女性体に変えられているのだが、たいてい数時間で、今回のようにほぼ1日女性体のままというのは初めてであった。
 

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泳ぎ終わって、更衣室に戻る。命(めい)もかなり女子水着姿をみんなに見せるのに慣れてきたので、リラックスして普通におしゃべりしながらシャワーを浴びて女子更衣室に入った。着替え用のバスタオルを肩から掛けて、その中で水着とアンダーショーツを脱ぐ。そのバスタオルで身体を拭く。そして普通のショーツを穿き、ブラを付けて、次にTシャツを着ようと肩の部分のひもを緩めたら・・・・
 
うっかり、そのままバスタオルを落としてしまった。「あっ」と小さな声を出してしまうが、構わずそのままTシャツを着た。
 
が、愛花がこちらを驚いたように見つめている。あぁ。生バストを見られたっぽいなと思う。まあいいや。見間違いと思ってくれることに期待しよう、と命(めい)は思った。
 
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「万一女子更衣室内で立ったりしたら私が去勢するから」
などと理彩が言っていたので、愛花は
「実はもう去勢済みってことはないの?」と訊いてみた。
 
「昨夜(ゆうべ)の段階では付いてたよ」と理彩が言うので
「昨夜(ゆうべ)、見たの〜!?」と周囲の女子から突っ込みが入っていた。
 
あはは、昨夜Hしたと思われたろうな、と命(めい)は思った。
 
一方、愛花は、理彩は端っからグルで、あたかも命(めい)がまだ男の子であるということにしているだけで、実はもう性転換済みである、という可能性もあるのではという気がして、命(めい)を見つめていた。
 
補習組がプールで息抜きをしたのはこの日だけであったが、命(めい)は補習の間ずっと女の子の服で出てきていた。しかし2学期が始まるとふつうに男子の制服(9月の間はワイシャツに学生ズボン、10月からは学生服)で出てきた。6月にはけっこう、ズボンは穿いていてもブラウスにリボンタイなどと上半身は女子の格好をしていた時もあったのだが、9月にはそういうこともしていなかったし、9月初旬に髪も男子の基準の長さで一度切ってしまっていた。但しブラジャーは常時付けていたし見た目にはCカップ程度の胸があるように見えていたので、愛花は「性転換済疑惑」をずっと抱いたままであった。
 
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命(めい)本人はしばしば「僕もう女装やめたから」などと言っていたが、みんな「無理無理」と言って、誰もその言葉を信用していなかった。
 

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2学期の間、特進組は月曜から土曜まで、毎日0時限目から7時限目+その後の勉強会、というスケジュールで鍛えられ、日曜日には各自の自宅でやる方式で実力テストをしていた(日曜日の夕方にH先生と教頭先生が分担して回収)。
 
理彩と命(めい)は相変わらずスクールバスで帰宅した後、夕食を食べてから命(めい)が理彩の家に行って、23時頃まで一緒に勉強するというのを続けていた。春代と香川君も同じ方式で、毎日ではないものの、週に2回くらいは香川君が春代の家に行ってやはり23時くらいまで一緒に勉強していたようである。もっとも向こうは、命(めい)と理彩のように不純な?ことはせず、親もいる居間で勉強していたらしい。
 
命(めい)と理彩の方は、相変わらず勉強中も理彩の部屋でしばしば相手のお股を触ったりしながら、イチャイチャしつつ勉強していたが、一応気合いが入っているので、セックスはもちろん「女の子同士の悪ふざけ」のようなこともしなかったし、1学期頃までは結構していた「命(めい)の着せ替えショー」のようなこともせず、命(めい)もだいたい男装であった。
 
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8月にセックスしたことがお互いの気持ちをとても安定させた感じで、ふたりは「友だち」という建前は守っていても、雰囲気的には完璧に恋人っぽい状態になっていた。毎晩別れ際にはキスをしていたが、ふたりはキスも唇にするのはまだ特別な時だけという認識で、だいたい頬にキスをしあっていた。
 
「最近、命(めい)ちゃん、あまり女の子の服着てないね」
などと部屋にお茶とお菓子を持ってきてくれた理彩の母が言う。
 
「あ、僕も少し男の子の自覚が出てきたんで、もう女装はやめようかと」
「あら、それはちょっと寂しいわね」
 
なんかこちらのお母さんも自分の母も僕を女の子にしたがるのはなぜなんだ?と命(めい)は思う。
 
理彩は笑って
「無理無理。きっとそのうち女の子の自覚も出てきて、完全女装生活になっちゃうよ。まあ、今は時間が惜しいから、私も強制着せ替えタイムはしないけどね」
と言っている。
 
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2学期に入ってから、ふたりともそれまで1時くらいに勉強を切り上げて寝ていたのを2時近くまで勉強するようになっていた。6:45までにスクールバスの停まる集会所前に行かなければならないので6時には起きる必要がある。ふたりともこの時期は勉強が終わると即寝る態勢であった。この頑張りでふたりとも10月には阪大の合格ラインを突破していた。
 

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10月には村の二大祭りのひとつ燈籠祭が行われたが、この時、命(めい)は8年ぶりに行われた「火納式」の使者に選ばれ、巫女さんの服を着て宮司の娘さんの梅花さんと理彩と3人で「火」を那智まで納めに行ってきた。
 
「納める」とは言っても実際には「何か」を迎える儀式だと命(めい)は思った。深夜の那智の聖域で村から持っていった祭りの火を納め、理彩が舞を奉納する。その厳かな式典の中で、命(めい)はとても大きな瑞々しいものに包まれている感覚になった。使者はその場で神と一体化し、そこで燃えていた火を新しいカンテラに移して村に持ち帰る。そして3人の使者は神社の拝殿の中で燈籠祭りのクライマックスである木遣歌の奉納を見守った。
 
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祭りが終わり、宮司さんの家で焼肉を御馳走になってから深夜帰宅する。理彩を自宅まで送っていってから、命(めい)は自分の家に戻った。もう午前3時だ。どんなに遅くなっても朝は6時に起きて学校へ行かなければならない。寝るぞ!と命(めい)は思ったが、目を瞑ったところで、目の前にまどかが出現した。
 
「僕、目を瞑ってるんだけど・・・・」
「目を瞑っても見えるものは見えるんだよ。物を見ているのは脳だから、まぶたは関係無い」
「確かに」
「昨日はありがとう」
 
「やはり、僕たちが昨日迎え入れたのは、まどかさんなんだね?」
「うん。この村の守り神は60年ごと、壬辰(みずのえたつ)の年に交替するんだよ。来年からは私の担当。そのために火納式(ひおさめしき)をしてもらった。まあ最初の1年は引き継ぎで共同管理になるけどね」
 
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「荒っぽい守り神になりそうだ」
「今の神様はいい人だからね。たぶん、命(めい)も近いうちに会うことになると思うけど。でも私は好き勝手にやるよ」
 
「使者が3人なのは、神社の神様が3柱だから?」
「そうそう。私は命(めい)に乗った。今の神様は梅花さんに乗った」
「理彩は?」
「まだ産まれていない次の神様」
「へー。神様だと産まれる前にも行動出来るんだ」
「多少はね」
 
「僕、神様にお願いをしてはいけないことは知ってる。でも、僕の命(いのち)をまどかさんの自由にしていいから、その代わりにお願い。まどかさん事情は分からないけど村に恨み持ってるみたいだけど村を潰さないで欲しい。できれば発展させて欲しい。恨みなんか発生しないような村になるように」
 
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「ふーん。命(いのち)を自由にしていいの? じゃ、今すぐ奪おうか?」
「まどかさんがそうしたいのなら、そうしてもいい」
 
「でもまあ、私に会ってなかったら命(めい)は多分5-6歳で死んでたろうからね」
「うん。だから僕の命(いのち)はそもそも、まどかさんのものなのかも」
 
「まあいいや。奪おうと思えばいつでも奪えるけど、自分が育てて来た花を安易には手折りたくない気分だよ。それにあんたの命(いのち)もらっても、私には何のメリットも無い」
「まどかさん、実は優しいよね」
 
「私の本性知ってるくせに。まあ、村を発展させたければ、命(めい)、あんたが自分でやんな。私は気が向いたら協力してやるよ」
「ありがとう」
「実際問題として復讐はもうほぼ完結してるんだけどね」
「そう・・・」
 
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「それと来年、あんたはとんでもない体験をするだろうけど、頑張りな」
「どんな体験だろ?」
「まあ、その時になれば分かる。でも苦労のしがいのある苦労だよ」
「ふーん。。。。」
「凄く辛い気持ちになるかも知れないから、いいこと1つだけ教えてあげる」
「ん?」
「理彩と来年中に結婚できるよ」
「・・・・・・」
「心が折れそうになったら、私がそう言ってたことを思いだしな」
「うん。ありがとう」
 
「ああ。もうすぐ4時だね。今日は学校休み?」
「まさか。6時には起きて御飯食べて出かけなきゃ」
「ひぇー。学生さんって大変だね」
「受験生だから」
「じゃ2時間で8時間分寝せてあげるよ」
「それはありがたい」
「じゃ、おやすみ。私は夕方くらいまで寝る」
「うん。おやすみ」
 
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命(めい)と理彩はその後も頑張って勉強を続け、1月のセンター試験、2月の二次試験を無難に乗り切った。二次試験が終わった後、ふたりは試験のため泊まっていたホテルで8月以来のセックスをした。8月のセックスはある意味特別なもの、例外的感覚だったので、その日こそがふたりにとって「初夜」
の感覚だった。ふたりとも物凄く燃えて6回もした。命(めい)もさすがに精魂尽き果てて、足腰も立たないし、理彩にどんなに刺激されてもおちんちん自体立たない状態になった。理彩も「まだしたーい」などと言ってはいたが充分満足することができた。実際理彩は命(めい)をふだん「女の子」とみなしているが、その夜は「男の子の命(めい)」を満喫出来た。
 
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命(めい)は中学3年の時以来、理彩との関係を「友だち」ということにしていたので、やっとこれで「恋人」になれたと思ったのだが。。。。翌朝理彩はあと1年は「友だち」の状態を続けたい。そしてその間に他の男の子と付き合いたい、などと「浮気宣言」をした。命(めい)は自分は女装もやめるつもりだし(実際9月以降していなかった)、男として頑張るから、今すぐ恋人になって欲しいと主張したが、口のうまい理彩にうまく言いくるめられてしまう。
 
ふたりは微妙な感情のまま、その日の夕方村に戻った。そして各々の母親から「向こうでセックスした?」と訊かれたものの「何もしてないよ」と答えた。理彩は行く前に母親から渡されていたのと同じ避妊具の未開封の箱を母親に返そうとした(大阪で「証拠隠滅」のため買った新しい物)が、どうせすぐ使うだろうから持ってなさいと言われた。
 
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そしてその翌日2月28日(火曜日)。
 
命(めい)は理彩が自分の親戚に配るのに買ったお土産の袋を自分がうっかり持って来てしまったことに気付き、それを渡すのに理彩の家を訪れた。学校はもう出席を取っていないので理彩たちはこれまでの受験勉強の疲れもたまっていることから今月いっぱい、29日までは休むつもりでいた。
 
神棚に挨拶し、お母さんに挨拶して、袋を渡すが、理彩から「一緒に勉強しよ」
と誘われる。ふたりとも試験は感触が良くて「合格してる」という自信はあったが、合格発表までは油断ができない。もし阪大に落ちていた場合は信州大学の後期試験を受けることにして、一応既に願書は出して受験票も受け取っている。
 
阪大用に受けたセンター試験の科目で医学部・理学部ともに受けられる大学を探してみたら、信州大学が一番近いという結論であった。ふたりは「同じ大学に行く」というのは絶対条件と考えていた。
 
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母に電話して勉強していくと伝える。勉強道具は持って来ていないが、信州大の過去の入試問題を一緒に解いていった。お昼を頂いて(こういうのはお互いに全く遠慮しない)、その後更に勉強しようとしていたら、お母さんが「午後からちょっと出かけてくるね」といって出てしまう。
 
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