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■△・第3の女(12)

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ところで貴司と千里の毎月のデートであるが。
 
4月は16日に横浜市内のホテルで密会している。実はその直後にNTCに戻った所で落雷にあって3分裂した。
 
5月は貴司の代表合宿直前だったので、14夜→15朝に、貴司にプラドを大阪から東京まで運転してきてもらい、デートした上で、そのプラドを桃香・早月の退院に使用した。ここで話をまとめたのは2番だが実際にデートしたのは1番である。
 
6月は6月14-15日に海外遠征から戻った千里1が大阪に行き、市川ラボで泊まり込みのデートをした。2013年春以来、貴司にとって、千里(せんり)のマンションは阿倍子との家で、市川ラボは千里(ちさと)との家なのである。毎月決めているデートの日以外でも貴司が市川に行けば、高確率で千里と会うことができるし、会えなくても千里は手料理を置いておいてくれる。
 
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一時期は阿倍子あるいは阿倍子に依頼された興信所調査員の尾行を警戒して、市川ラボがバレないようにするため、大阪市内でデートを完結させていたのだが、最近は阿倍子が貴司と千里の関係をほぼ黙殺しているのに乗じて堂々と市川を使用している。市川だと1日中バスケができるので便利なのである。
 
ふたりのデートの内容の大半はバスケットであり、イチャイチャするのは練習後のブレイクタイムにすぎない。
 
7月は多忙すぎたのでデートをパスさせてもらったが、アジア選手権を終えて帰国した千里3が8月1日に大阪に行き貴司とデートした。実はこの時、小さな事件が起きた。
 

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8月1日は火曜日で平日だったので、千里は夕方いつものNホテルで貴司と会った。貴司の会社は今年の春から残業が禁止になっているのでふたりは18時に待ち合わせしている。それでホテルのレストランでいつものようにモエ・ド・シャンドンのシャンパンを開けてディナーを食べていたら、そこになんと貴司の会社の社長・田中道宗がお客様を連れてやってきたのである。
 
「おや、細川君」
「あ、社長」
というやりとりがあった後で、社長は連れているお客様に
 
「こちらはうちのバスケット部のアシスタントコーチで細川君と言いまして、日本代表に選ばれたり、写真集が出たこともあるんですよ」
と紹介する。
 
「おお、それは凄い選手がいるんですね」
と60代と思われる客は言った。
 
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「そちらは奥さん?」
と客が訊くので貴司が答える。
 
「はい、妻です。妻もバスケット選手でして、日本代表を務めていて今年もアジア選手権にインドまで行ってきて、昨日帰国した所なんですよ」
 
「おお、夫婦そろって日本代表って凄いね。そのアジア選手権は成績どうだった?」
「はい、優勝してワールドカップの出場権を獲得しました。こちらが頂いた金メダルです」
と言って、千里はバッグからメダルを取りだして見せる。
 
「おお、凄い。ちょっと話さない?」
と客が言うので、貴司と千里は結局、社長と客と一緒にレストラン内の個室に入った。
 

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「今回のアジア選手権は運良く優勝できましたし、ベスト5にも選ばれまして、こちらがその賞状です。ついでにスリーポイント女王も獲得してこちらが賞状です」
と言って、千里はもらってきた賞状を見せる。
 
「おお、本当に凄い人なんだ!アジア選手権でベスト5って凄いね!だったらワールドカップでも頑張ってよ」
 
「はい、頑張ります。先生も次の総裁選頑張ってください」
「いや、来年はまだ出馬しないんだよ。今は総理を支えていくつもりだから」
「そうでしたか。でもいづれは総裁、総理大臣ですよね?」
「まあ、そこまで行けたらいいけどね」
 
と言って“先生”は楽しそうに笑っていた。貴司は千里の言葉からこの客が国会議員のようだと気付き、驚いていた。社長が言った。
 
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「ああ、さすがにこちらの先生のことは知っているね」
「それはもちろんです。元国交大臣のS先生ですよね?」
 
「うんうん。実はここだけの話、Wペイントの買い取りについて先生に口利きをして頂いたんだよ。実は先生は僕の遠縁の親戚でね」
 
実際には社長の奥さんの妹の夫の又従兄弟になるらしい。本当に“親戚”といえるのか微妙な関係である。
 
「そうでしたか。あそこは社長が亡くなって経営が迷走していますけど、良い技術を持っていますから、ぜひ欲しいですね」
と千里が言うので、貴司はポカーンとしている。
 
貴司はWペイントなんて会社名、聞いたことなかった!
 
「うん。僕もそう思ってね。うちの会社が買い取れば、新しい技術開発の核になると思うんだよね」
と社長は言う。
 
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この日は夜遅くまで、4人の会話は続いた。その時チラッとその話が出たのである。
 
「そういえばP先生のご容態はどうなんですか?」
と社長がS代議士に尋ねた。
 
P代議士は幾つもの大臣を歴任し副総理も務めた人で“政界のドン”とか“キングメーカー”とも言われているが、Sは彼の女婿なのである。
 
「ここだけの話だけど、もう長くない。既にもうほとんど意識が無いんだよ。恐らく1〜2ヶ月の勝負だと思う」
 
「そんなにお悪いんですか?」
「誰にも言うなよ」
 
とSが言うので、千里も貴司も無言で頷いた。
 
しかしこの瞬間千里(千里3)は“上島事件”を予測してその対策を始めることにしたのである。
 
この夜は0時頃にレストランでの会談は終了した。Sが酔ってきたのか下ネタを連発するので千里は内心閉口したものの、笑顔でそつなく対応していた。最後は田中社長は別途呼び寄せた和服の女性に付き添わせ、何やら重そうな紙袋を渡し、ハイヤーに乗せて代議士を送り出した。おそらく性的な接待をさせるために手配していたのだろう。紙袋はおそらく5000万円程度の現金と見た。
 
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でも立つのかなぁ〜?などと千里(千里3)は思った。
 
結構な年だし、かなり酔っていたし!
 
「あ、そうそう。今夜のことは他言無用でね」
と社長は言ったが、貴司も千里も
「もちろんです」
と言った。
 
他言しなくても自分が利用するのはいいよね!?
 

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アメリカのWBCBLに参加していた千里2は、8月6日のプレイオフ決勝戦を見学した後、日本には戻らずそのままフランスに渡り、マルセイユ・クラブの練習場に顔を出した。ここに先月まで参加していたのは千里3なのだが、千里2は同一人物のような振りをして
 
「良かったらこちらに正式参加させて下さい。就労許可を取ってきました」
と言って、絵姫がフランスで、きーちゃんが日本で、並行して手続きを進めて取得した書類を見せた。
 
「おお、これで今季は順位2つはあげられる」
と言って、千里2はチームメイトに歓迎された。
 
「シャルロットは第六の女(*1)確定」
とキャプテンのオリビエが言うので、シャルロットは
「アァ・ノン!」
などと言って頭を抱えている。でもすぐに
「シモーヌを叩き落とそう」
などと言っている。
 
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「第六の男でもいいけど」
「男よりは女がいいな」
 
(*1)バスケットで第六の男(女) sixth man(woman), sixieme homme(femme)というのは、勝負所に投入されて活躍するスーパーサブのことで、器用で勝負に貪欲な選手、しばしばスターターよりも能力の高い選手が務めることがある。多くのチームで出場時間はスターターと同等か、かえって長い場合もある。WNBA シアトル・ストームのSG アレクサンドリア(“アリー”)・キグレーなどは第六の女として活躍した。
 
ここでキャプテンは「スターターから落選」という意味で使っているが、こちらの意味での「第六の女」というのと掛けてこの言葉を使用している。
 

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「キュー、アジアカップの金メダル見せてよ」
とチームメイトが言うので、内心焦りながらスポーツバッグから取り出して見せる。
 
「オー、オー (O! or! おぉ金だ!)」
といって、いっぱい触られた!自分の首に掛けてみたりしている子もいる。フランス、スペイン、イタリアあたりはだいたいこんなノリだが、千里はこういう雰囲気が好きである。
 
もっとも千里2は本当は自分が取った金では無いので、やや後ろめたい気持ちがあった。この金メダルは《きーちゃん》が作ってくれたコピーである。
 
ともかくもそれで千里2はあらためてマルセイユ・クラブと選手契約を結び、千里2もプロ女子バスケット選手となった(給料は千里3がレッドインパルスからもらう給料より高い!)。
 
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7月4日にいったん死亡したものの蘇生した千里1は、白虎・千里2・千里3・青葉・羽衣・虚空らの“修復”作業で少しずつ身体機能と精神力を回復させていくが、この時点では、千里1が霊的な能力まで回復できるかどうかは、修復に参加している者たちの間でも「五分五分」かなと思われていた。
 
眷属たちは精神的なリハビリの一環として、千里1をJソフトでの営業的な打合せに出席させるが、そこで川島信次という男性と知り合う。信次は実は同性愛者だったのだが、千里に何か不思議な魅力があるのを感じ取り、彼としては珍しく女性なのにアタックしてくる。千里1はこの時期、桃香にうまく教育されていて、自分はレスビアンであると思い込んでいたので、男性からのアプローチに困惑し、はぐらかせていたが、とうとう信次は千里にプロポーズした。
 
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困った千里は上司にも相談した上で、自分が性転換者であることを打ち明ける。しかし信次はそれでもいいといってあらためて結婚を申し込む。そんな結婚は信次の親が認めるわけないと言った千里であったが、信次の母というのが、元々の千里の知り合いであったことから、この結婚は承認されてしまう。それで千里は結婚を断る理由が無くなってしまい焦った。
 
桃香に状況を説明すると桃香は激怒したが「1年後に離婚して自分の所に戻ってくること」という条件!?で桃香は千里の結婚を承認した。
 

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結局、2017年9月16日、千里1は川島信次と婚約した。そして17日朝7時、朋子と青葉に電話で伝えた。朋子は千里を祝福したが、青葉は困惑した。
 
千里(実は千里2)は昨日(16日)、青葉といっしょに金沢市内で「タクシーただ乗り幽霊」の処理をしていたのである。青葉が困惑したのは、そんな話があったのなら、なぜ昨日その話をしなかったのかということ、また千里は細川貴司さんのことが好きだと思っていたのに唐突に他の男性と婚約と言われて納得できなかったこと、また実際電話越しに千里と話していると、千里はこの結婚に積極的とは思えず「だって向こうが熱心だったから」とか「お母さんに気に入られて」など、言い訳めいた事ばかり話した。それで青葉は言った。
 
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「私はこの結婚に賛成できない」
 
それで青葉は電話を終えた後、そのことで朋子とも言い争いになってしまう。
 

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朋子から諭されたものの納得出来ずに自分の部屋でムカムカしていた青葉の所に10時頃、また千里から電話が入る。
 
「昨日そちらから帰る時、免許証とか財布とか入ったバッグを忘れてきたみたい」
「待って。確認する」
 
千里が使っていた(桃香の)部屋に行ってみると、確かに千里のバッグがあり、中に免許証やパスポートに大量の現金などが入っている。
 
「ちー姉、今どこ?」
「今、東部湯の丸SA。御飯食べようと思ったらバッグ持ってないことに気付いて。免許証も無いから身動きできなくて」
「まだ東部湯の丸なの!?」
「うん。ここで車中泊してたんだよ」
 
青葉は頭の中が混乱した。さっき「婚約した」という電話をしてきた千里は東京の用賀のアパートから掛けてきたのである。今朝東京にいたはずの千里がなぜ今まだ東部湯の丸に居る?その時青葉は、ずっと違和感を感じていた理由に思い至る。千里は昨日婚約したと言ったけど、昨日は丸1日自分とタクシータダ乗り幽霊の対処をしてたじゃん。その千里が東京で婚約などできる訳がない。
 
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青葉は何か自分の理解出来ないことが起きているのを感じ、千里のバッグを持って自分のトヨタ・アクアに乗り北陸道・上信越道を走って東部湯の丸に行った。到着したのが9月17日14時頃である。
 

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東部湯の丸で“千里”と会った青葉はその千里が今朝婚約したと電話してきた“千里”とは別人であることに気付いた。そのままふたりは東京まで走り、千里は葛西のマンションに青葉を招待する。
 
「こんな所にマンション借りていたなんて」
「青葉と出会う1ヶ月くらい前、2011年1月末のことなんだけど、日本代表の活動で海外に行ってて帰国してみたら、アパートが大雨で崩壊していたんだよ」
「ああ、それは聞いた気がする」
 
「それで取り敢えず桃香のアパートに同居させてもらったんだけど、すぐに代りの部屋を不動産屋さんに探してもらって、それで契約したのがこのマンションだよ。状況が状況だったから、礼金とか無し」
 
「へー。でもなんか凄い場所だね」
と言いつつ、青葉は落ち着かないようである。
 
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「前の住人さんは自殺している」
 
青葉は顔をしかめた。
 
「ちー姉も桃姉もそんな物件ばかり借りるんだから!」
 
桃香が大学・大学院の6年間暮らし、千里も後半4年間同居したアパートも前の住人は自殺している。
 
「でもだから本来の家賃5万円の所を2万4千円にまけてもらった」
「なるほどー」
「霊道が2本クロスしてるからね。まあふつうの人はすぐ出るか死ぬかだよね」
「この部屋だけ強力なシェルターになってる」
「他に住人がいないから夜中に楽器を鳴らしても苦情が来ない」
「まあ苦情を言う“人”は存在しないよね」
 

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それで千里は4月に落雷に遭った時、自分が3人に分裂してしまったことを語った。便宜上1,2,3と呼んでいて、自分は千里2であることを語る。
 
「7月の事故で死亡して蘇生したけど霊的能力を失い、身体能力も激落ちして日本代表から落とされたのが千里1、代わって日本代表入りしたのが千里3」
 
「あの急激な回復は実はそういうことだったのか」
 
「川島信次と結婚しようとしているのも千里1だよ」
「ここにいるちー姉は、貴司さんのことが好きなんだよね?」
「もちろん」
と言って、千里(千里2)は貴司からもらった豪華な婚約指輪を左手薬指に填めているのを見せる。
 
「3番とも会ってくるといいよ」
と千里2が言うので、青葉は自分のアクアで、川崎市内にあるレッドインパルスの練習場まで行き、千里(千里3)と落ち合い、その後、一緒に遅い夕食を取る。
 
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その会ってみた千里3は
「言い忘れてたけど、川崎市内にマンション借りたんだよ」
 
と言って、住所を教えてくれた。
 
千里が“手書きのメモ”をさっと青葉に渡したことで、この“千里”はある程度の霊感があるようだと青葉は思った。
 
その日必要になるものが分かって、全部用意しているというのは千里が元々持っている能力である。タクシー幽霊への対処で千里2がその能力を持っているのは分かっていたが、桃香の話などを聞いていると、千里1はその能力を失っているようだ。早月ちゃんの予防接種に出かけて雨が降ってきて困ったという話を聞いた。看護婦さんが傘を貸してくれて助かったと言っていたが、たぶんその“看護婦さん”というのは千里姉を守護している眷属だろう。
 
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△・第3の女(12)

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