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「ん?」
と3人の内2人が声を出した。
「ね、もしかして君、女の子?」
「え?」
と言って、指摘された子は自分のお股を見ている。
「あ、おちんちん無い。僕、女の子みたい。君たちは2人とも男の子?」
「どうかな?」
それで各々自分の性器をチェックする。
「私、これ“本物の”男の子みたい。ほら、おちんちんが大きくできる」
「すごーい!そんなに大きくなっているところ、初めて見た!」
「君は?」
「このおちんちんは、こうちゃんさんが付けてくれたダミーだと思う」
「ということは?」
「僕たち、男の子と女の子と男の娘に分離したんだよ」
「だったらさ、ドラマで女役する時は女の子の私がして、男役する時は男の子の僕がすればいいんじゃない?」
「男の娘の僕は?」
「交代要員。だから男の子の僕は、ブレストフォーム外しちゃいなよ。あれって夏は汗掻いて大変だしさ」
「よし、そうしよう」
と言って、男の子の龍虎はブレストフォームを取り外してしまった。
「女の子の僕さんは、それ胸は本物?」
「本物みたい。感触があるもん」
「そうだ。男の子と女の子と男の娘ならさ、龍虎M・龍虎F・龍虎NあるいはアクアM・アクアF・アクアNと呼び分けない?」
「ああ、それが分かりやすいかも」
それで3人は回鍋肉を3人で分けて食べ、それだけでは足りなかったので冷凍室からお肉を出して来て解凍した上で、ホットプレートで焼いて食べながら、楽しく今後の計画を練ったのであった。取り敢えず明日の担当を決め、明日はNが学校に行き、Fが仕事に行き、Mはマンションに1日居て朝食と夕食の準備をすることにした。
なお、母が来て掃除などもして御飯を作ってくれるのは週末だけである。その時買い出しなどもしてくれている。龍虎たちは話し合い、3人分の食糧を確保するため、ネットスーパーで食べ物を買い、またオイシックスにも申し込むことにした。
(このマンションは荷物は宅配ボックスで受け取れる)
「今度のタイでの写真撮影どうする?」
「3人で交替して撮影。友利恵はF、佐斗志はMが撮影に応じる」
「そうじゃなくてパスポートの問題」
「あ・・・」
「どうしよう?」
「撮影は誰か1人が行ってくる?」
「いや、それだと多分倒れる。なんかハードそうだもん」
その時Nが言った。
「ねぇ、パスポートってふだん使いのサマンサのバッグに入っているよね?」
「あっ」
実はテーブルの上には沢田さんからもらったジュースが3本乗っているのである。もらったのは1本だが、自分が増殖した時にジュースを持っていたのでジュースも3本になってしまっている。
「バッグもそれぞれ持ってるよね?」
分裂した時に、龍虎はバッグからジュースを取り出そうとしているところだったのである。
それで各自バッグの中を見ると、パスポートが各々のバッグの中に入っていた!
「じゃこれを各々使えばいいね」
とMが言ったのだが、Fが否定する。
「それは無理だよ」
「どうして?」
「パスポートを使って入出国すると、それが即外務省のデータベースに反映される。だから出国しているのに、入国せずに再度出国することはできない」
「うっ。何て不便な」
「困ったな」
Nが提案した。
「千里さんに相談しようよ」
「それがいいかもね」
「千里さんなら、きっと何とかしてくれる」
「こうちゃんさんでも何とかしてくれるだろうけど危ないよね?」
「うん。ついでに何されるか分からない」
龍虎の中で千里への信頼は絶対だが、こうちゃんは信用が無い。
それで自分のスマホ(AQUOS SERIE mini SHL24)を出す。これもバッグの中に入っていたので各々同じアクオスを持っている。Nが代表して電話すると幸いにも千里はすぐ電話を取ってくれた。
なお掛けたのはNだが、同時にFとMのスマホも通話中になったので、この3台がクローンであることが分かる。FとMはスマホを耳に付け通話を傍受だけする。
「千里さん、折り入ってお願いがあるんですが、今どこにおられます?」
「羽田だけど」
龍虎は千里が羽田に居ると聞き、困ったなと思ったものの、幸いにも千里は明日にも東京に戻ってくると言う。千里が明日の夜中でも会えないかというと千里は龍虎が本当に困っているようだと感じ取ったようで会ってくれることになった。
それでこの日、龍虎たちは安心して寝ることにしたのである。
「布団が1人分しか無い」
「じゃ、掛け布団と毛布と敷き布団の選択」
「じゃんけんで勝った人から選ぶ」
それでFが最初に勝ち抜けて敷き布団を取り、それをかぶって寝た。次にNが勝って掛け布団を取った。それでMは毛布をかぶって寝た。風邪を引かないようにエアコンを強めに入れて寝ることにする。
「お布団買おうよ」
「うん。すぐAmazonで注文する」
と言って、Fがパソコンを操作して注文していた。
「ね、ね、学校の制服も3つ作らない?」
「ああ、それがいいね」
「どうせ作るならこうしない?」
とFが提案する。
「Mが着るようにさ、右前合わせのブレザーを作ってもらうんだよ。僕は今ある左前合わせのブレザー着るからさ」
「ああ。なるほど。Nはどうすんのさ?」
「右前にして」
「じゃブレザーは右前のを2つ作る。ボトムはどうする?」
「ズボンで」
とMとNが言った。
「じゃ僕がスカート穿くね。ズボンは1本だけ注文すればいいね?」
「よし、だったら明日お留守番するMがC学園の制服を作っている業者さんに電話して事情を説明した上で頼んでよ。2個作るのは洗い替えとか言っておけばいいと思う」
「分かった。連絡する」
タイで雨宮先生を“救出”した千里3は4月17日(月)14:30に成田に戻ってきて雨宮先生を三宅先生に引き渡した。
三宅先生は、千里がガラケー使いのためLINEで連絡が取れないので“雨宮先生が”料金を払うからスマホを1台持っていてくれないかと言われ、SHARP AQUOS Phone SERIE mini SHV38 champagne-pink を渡された。千里3はこれはいいものが手に入った、千里1・2に知られずに連絡が出来る、と思った。
Aquos Phone Serie を使う人:-
龍虎 Serie mini SHL24 Pink (2014.2発売)
青葉 Serie mini SHL24 blue (同上)
千里3 Serie mini SHV38 champagne-pink (2017.2発売)
和泉 Serie SHV34 Navy (2016.6発売 miniではない)
音羽 Serie SHL25 pink (2014.6発売 miniではない)
なお、ゆまもAquos Phoneを使用しているが、AUのSerieではなくDocomoのAquos Phone Zeta SH-06E blue (2013.5発売)である。
三宅先生からは今回面倒を掛けたお詫びに率のよいお仕事をあげると言われ、AYAの曲を頼まれた。それで千里は矢鳴さんを呼んで少しドライブしながら構想を練ることにする。矢鳴さんに連絡してから《わっちゃん》に言った。
『矢鳴さんが来る前に都内にホテル取ってそこに行って少し仮眠しててくれない?そして夜中に龍ちゃんのマンションに行って欲しいんだけど』
『私でいいんですか?』
『私自身が動くと2番に知られるからね。それで取り敢えず彼の話を聞いて欲しいのよ。連絡もらったら必要な処置はとる』
『分かりました』
千里3はUQ Mobileのショップに行き、UQ Wimaxのモバイルルーター W04(Huawei, Wimax2+/au 4G-LTE両用), Zenfone3 Laser (Asus, Silver)
を購入し、初期設定してもらい、アドレス帳もT008からコピーしてもらった。
千里は T008, Zenfone3, Aquos Serie のコピーを《くうちゃん》に頼んで作ってもらい、片方は“工作用”に《わっちゃん》に渡した。
それで《わっちゃん》はこの3台の携帯とルーターを持ち、赤羽駅近くのホテルを予約すると電車でそちらに移動してチェックイン。シャワーを浴びて寝た。《わっちゃん》は蛙なので、シャワーで水分をたっぷり肌に当てると、生き返るような気分になる。
千里3の方は16:20頃にアクオス・セリエから《きーちゃん》に短いメールを送った。
《新しいスマホを借りたから電話番号とメールアドレスを伝えておくね》
葛西駅で矢鳴さんと落ち合い、彼女の運転するアテンザで東北道・磐越道を走る。磐梯山SAで車中泊する。
22:30頃《きーちゃん》からこういうメールが入る。
《今脳内通信が不調なんです。今居る場所を教えてください》
千里3は、きーちゃんは“3人の千里”の存在に気付いたようだなと思い、苦笑しながら返信する。
《きーちゃん!?よかったぁ。心細かったよ。今は磐梯山SAの新潟方面。今夜はここで車中泊になると思う》
《そちらに行きます。そして取り敢えず私とは交信できるようにします》
《わっちゃん》は23時過ぎに仮眠から目覚めると、再度シャワーを浴びてたっぷりお肌に水分を補給する。それから千里に擬態して身支度をし、歩いて龍虎のマンションまで行った。
千里のアクオス・セリエのクローンで龍虎に電話し、中に入れてもらう。
「あれ?千里さんじゃない?」
と龍虎は言う。千里に擬態していても本人でないと分かるようだ。さすがである。
「私は千里の眷属の《わっちゃん》だよ。私のことは内緒でね。千里が“ミッション”中なんで私が代わりに来たけど、話を聞いて千里に連絡するから。それで千里は必要な措置を取ってくれると思う」
「だったら、わっちゃんさん、よろしくお願いします」
と龍虎はぺこりとお辞儀をすると、隣の部屋との障子を開けて
「出ておいでよ」
と言った。
すると“龍虎”が2人出てきたので、わっちゃんは仰天した。
「誰?君たち!?」
《わっちゃん》は“龍虎たち”の話を聞き
「それは協力できると思うよ」
と言い、自分の Zenfone3 Laser から千里の Aquos Serie mini SHL24 に電話すると事情を説明した。T008を使わないのは通話記録を千里2に見られないようにするためである。
千里3は話を聞いて驚いたものの、すぐに事態を理解し、直接龍虎とも電話で話して、いくつかのことを確認した。それで《くうちゃん》と話し合い、当日龍虎3人の内2人を日本からタイに転送してあげることにした。
わっちゃんも龍虎の支援のためタイに行くことにし、千里のクレカを使い、アクアが泊まる予定のホテル内に千里の名前で部屋を予約した。
その夜、千里3が磐梯山SAのアテンザ内で仮眠(前列に矢鳴さん、後列に千里が寝ている)していると、午前3時頃、《きーちゃん》がミラに乗って来た。ミラの車内に移って話す。
《きーちゃん》は、出羽の方で眷属の使い方について注意され、しばらく他の眷属と通信が出来ないと説明する。千里は内心《きーちゃん》も苦しい言い訳するなあと思いつつ、彼女と新しい通信鍵を交換した。
(きーちゃんはここに来る前に用賀のアパートで寝ている千里2の通信鍵を書き換えている。この段階できーちゃんは、3人の千里が全員分裂に気付いていないと思っていたが、実際には2も3も既に気付いていた)
3番は朝になってから矢鳴さんの運転で新潟→佐渡往復→関越で東京に帰還し、深川で少しバスケの練習をしてから18日夜は【葛西】に入って休んだ。その夜、千里1は【経堂】で寝ており、それを確認して千里2は京平と一緒に【用賀】で寝た。
19日、千里3はレッドインパルスの体育館(川崎市)に行って少しバスケの練習をしたので(近いから)【用賀】に泊まった。その日、千里2は京平を合宿が終わった貴司にランドクルーザー・プラドごと引き渡し、深川アリーナでバスケの練習をしてから【葛西】で寝た。
3人の千里が泊まった場所:-
4/17(Mon) 1=経堂 2=用賀 3=磐梯山SA
4/18(Tue) 1=経堂 2=用賀 3=葛西
4/19(Wed) 1=経堂 2=葛西 3=用賀
19日の寝る場所が前日と入れ替わったのに《きーちゃん》は肝を潰す。こんなんで千里が再統合されるまで3〜4年(くうちゃんの予想)もやっていけるだろうかと不安を感じた。
4月20日(木)午前中、千里2は《きーちゃん》を呼び、自分が分裂していることに気付いていることを話した。そして、一緒に3人の千里の居場所調整をやっていこうと話した。ここに、千里2・きーちゃん・京平の3人による“△”プロジェクト(trinity project) がスタートしたのであった。