広告:オトコの娘コミックアンソロジー恥ぢらひ編 (おと★娘シリーズ4)
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■△・第3の女(1)

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(C)Eriko Kawaguchi 2019-03-23
 
2017年3月下旬。
 
龍虎(アクア)は学校の春休みを利用して集中的に行われていたTVドラマ『ときめき病院物語III』の撮影でくたくたになって(高校通学のため)赤羽駅の近くに新たに契約したマンションに辿り着いた。
 
「疲れた。自分のスペアが欲しい」
などと独り言を言い、シャワーも浴びずにベッドに潜り込んで爆睡した。
 
死んだように眠っていて、ふと起きたら薄暗い。時計を見ると6時すぎである(*1).
 
「きゃー、朝7時に六本木に行かなきゃいけないのに」
と言って慌てて起きて取り敢えずトイレに行く。
 
ズボンとパンティ(*2)を下げて便器に座る。
 
おしっこをするが、感覚が異様である。
 
「ん!?」
 
と思って自分のお股を見てギョッとする。
 
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「嘘!?ちんちんが無くなってる!?」
 

龍虎はおしっこが終わってからきちんと拭いた後で、腕を組んで考えた。
 
『でもちんちん無くなったの久しぶりだなあ』
 
1分ほど考えていたものの
 
「また“こうちゃんさん”の悪戯かなぁ。ま、いっか。お仕事には関係無いし」
 
などと言ってパンティをあげトイレを出る。
 
取り敢えず、ちんちんよりお仕事が優先である!
 
シャワーを浴びたい気はしたものの時間が無いのでパスして、下着から全部服を交換する。ブラジャーをつける時に胸に“感触がある”ことにも気付く。ドラマその他の撮影で頻繁に女の子役をさせられるため(実際『ときめき病院物語』でも佐斗志と友利恵の兄妹を演じている)、龍虎は常時胸にブレストフォームを貼り付けている。だから胸はあっても、シリコンなので触った感触が無いはずなのである。
 
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ところが今日は胸に触ると触られた感触がある。つまりこの胸はブレストフォームではなく本物のようである。ちんちんが無くなっていたことから、この程度は想像の範囲なので気にしない!
 
それで普通に女の子下着を着けた上に、キャミソールにブラウス(*3)を着て、学校の制服(ブレザー *4 とズボン)を着て龍虎はマンションを出、駅に向かった。
 

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歩いていて大いに戸惑う。
 
今は6時20分くらいのはずなので、そんなに人が多くないだろうと思っていたのに、人が物凄く多いのである。
 
なんでこんなに朝早くから人がいるの〜?お祭りでもあったっけ?などと考えていると、何だか酔った感じの会社員風の男性なども見掛ける。この人たち朝からお酒飲んでる訳?と顔をしかめる。それでも何とかして赤羽駅まで行き、Pasmoで入って埼京線新宿方面の7番ホームに行く。放送局に入るには新宿まで行ってそこから大江戸線に乗り換える。所要時間は30分くらい。遅刻はもう免れないが、駅を出たら局までダッシュだな、などと考えている。
 
それで電車を待ちながらふと発車標を見て「へ!?」と思う。
 
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新宿  18:26
新木場 18:30
新宿  18:37
 
のように表示されているのである。
 
龍虎は「なんでそんな先の電車が表示されてるの〜?」と考えてから少しして自分が重大な勘違いをしていたかもということに気付く。
 
ブレザーの内ポケットから愛用のAQUOS SERIE mini (Pink)を取り出す。電源を入れてそこに表示される時刻を見る。
 
「うっそー!?」
と龍虎は思わず声をあげた。
 

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そこには 18:21 3月24日金曜日 と表示されているのである。
 
朝の6時じゃなくて夕方の6時だったの〜〜!?
 
青くなる。
 
僕、夕方まで寝ちゃった?どうしよう?撮影は僕抜きで進められていただろうか?橋元プロデューサーも他の出演者の人もきっと激怒してる。僕、役を降ろされちゃうかも。それとともに“人気を鼻に掛けてわがままな行動”とか書かれて凄いバッシングされたりして・・・
 
そんなことを考えていた時電話が鳴る。見るとその橋元プロデューサーである。龍虎はオフフックするなり謝った。
 
「アクアです。本日は本当に申し訳ありませんでした」
「え?どうかしたの?ああ、あの『ヒポクラテス』を『ヒポポタマス』(*5)と言っちゃった件?あのくらい気にすること無いよ。まあアクア君にしては珍しいNGだったけどね。主役の三崎京輔君なんて毎回10個はNG出してるし」
 
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などと橋元さんは言っている。
 
「いえ、今日はすっかり寝坊してしまって」
「ああ。そういえば今日は到着したのが開始10分前だったね。でも遅刻じゃないから全く問題無いよ」
「え?私撮影に出ました?」
「・・・出てたけど」
「あれ〜〜!?」
 
「なんか混乱してる?あ、それより明日の撮影の場所を伝えるのを忘れていたことに気付いて。鱒渕さんの電話が繋がらなくて、それで直接君の携帯に電話したんだよ。明日の撮影は六本木のスタジオじゃなくて、山本病院の方でやるから」
 
「はい、分かりました」
「集合時刻は朝8時ね」
「はい。ちゃんと30分前には入れるようにします」
「うんうん。でもハードな撮影が続いているから今日はゆっくり休んでね」
「はい、休みます」
「じゃ鱒渕さんにはこちらからもメールしてるけど、君からも連絡しておいて」
「はい」
「じゃ明日も頑張ろう」
「はい。ありがとうございました」
 
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それで龍虎は電話を終えたものの、腕を組んで考える。とりあえず鱒渕さんには明日の撮影場所の件をメールした。そして更に考えたが、プロデューサーから『ゆっくり休んで』と言われたことを思い出す。
 

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「寝よ」
と言うと、アクアはそのまま改札を出てマンションに戻った。
 
(この場合、自動改札機は通れないので係員のいる所で乗車を中止したことを申し出て処理してもらった)
 
「夢でも見てたのかなあ。僕眠ったままお仕事出かけて、演技したのきれいに忘れちゃってるのかしら?」
などと独り言を言う。
 
制服を脱いで、下着も脱いでシャワーを浴びた。髪を洗い、コンディショナーをして、そのあとボディソープをつけたソフトスポンジで身体中を洗う。胸を洗う時、シャワーを当てていると少し気持ちいい気がした。お股も丁寧に洗う。中も指で洗うが、あそこに指が触れるとちょっと気持ちいい。女の子っていいなあ、などと思ったりする。しかし2年ほど前にもこの状態は経験しているので、懐かしい気はするものの、興奮したりはしない。
 
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身体を拭いて少し考えたものの、龍虎は結局裸のままベッドに潜り込み、そのままスヤスヤと眠った。(龍虎は性欲が無いのであそこをいじって楽しんだりはしない)
 
翌日起きた時、そっとお股に手をやると、おちんちんは存在した。胸に手をやってみると、おっぱいはあるが感触が無い。それでここにあるのはブレストフォームであることを認識する。スマホの電源を入れる。3月25日(朝)5時である。
 
「昨日のはやはり夢だったのかなあ」
と口にして、龍虎はトイレに行ってくると、10分ほど掛けてお股を接着剤でタック。女の子の形に偽装した上で、裸のまま!?朝御飯を作り始めた。
 

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このように、寝過ごしたと思ったら自分はちゃんと撮影に行っていた、というできごとが実はこの後4月16日まで何度も起きた。性別についてもどうも不安定で男の子になったり女の子になったりしていた。その男の子になっている場合もおちんちんが《こうちゃんさん》が付けてくれたダミーの場合と“本物”になっている場合があることに気付く。
 
これって、こうちゃんさんの悪戯だろうか?
 
でも数日に1度まるごと休めて楽〜!と龍虎は思っていたのである。
 
ただ不思議なのは丸一日寝ていた日も、その日の撮影で起きたことを自分がちゃんと覚えていることだった。ボディダブルを務めてくれている西湖や、共演者の馬仲敦美ちゃんとおしゃべりした内容を覚えている。
 
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龍虎は古典の時間に習った胡蝶の夢という話を思い出していた。撮影に行ったのが夢で現実の自分は寝ていたのか、寝ている自分が夢で本当はちゃんと撮影に行ったのか、どちらとも取れる気がした。
 

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(*1)2017年3月24日の東京地方の場合、
 
夜明5:07 日出5:39 日入17:56 日暮18:28
 
となっている。従って夕方の6時(18時)過ぎなら急速に暗くなっていく時間帯だが、朝の6時過ぎなら既に日出もしていて充分明るい。つまり薄暗い訳がなかったのである。
 
(*2)忙しい龍虎に代わって、数日前、彩佳たちが熊谷市の実家から赤羽のマンションへの引越の作業をしてくれたのだが、彩佳たちはその時龍虎の男物の服を下着も含めて全部棄ててしまった!それで男物の服が無いので、龍虎は仕方なく(?)女物の下着をつけている。女物の服はファンから大量に送られてくるので、どっさりある。
 
ありすぎて困って少し西湖や後輩、また年上だが川内峰花(後の山下ルンバ)などにも分けてあげているので、峰花などは洋服代が助かる!と言っているが、西湖の部屋にも女物の服があふれている。
 
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ファンの間の口コミで、アクアはパンティはS、ブラジャーはC70、スカート(アクアにズボンを送ってくるファンは存在しない)はSもしくはW56あるいは7号、アウタートップはLもしくはB85または11号、といった数字が出回っている。ボトムが7号に対してトップが11号という極端なアンバランスなのは、ウェストが56cmと細いのに対してバストがCカップで84cmほどあり既製服を着ようとするとバストに合わせて11号になってしまうためである。
 
ファンの中にはわざわざアクアのスリーサイズ B85-W55-H82 に合わせてオーダーして作ったものを送ってきてくれる人もある。実はプロのデザイナーで毎月試作品(?)を送って来てくれる人まである。事務所では“おなじみ”の人の場合は信用してノーチェックでアクアに渡している。
 
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(*3)龍虎はバスト偽装しているので男子用のワイシャツが入らない。それで女子用のブラウスを愛用している。
 
(*4)龍虎が通うことになったC学園高校は今回が初めての男子生徒の受け入れで、しかも男子枠は最大3名なので、男子制服が定められておらず「学生らしい服装」とだけ言われている。それで龍虎は彩佳に唆されて買ってしまった女子制服の上だけを利用し、下は制服のスカートと同じ布のズボン(女子仕様で前開きはダミー)を作ってもらい、それを穿いている。なおブレザーの前合わせし右前に変更している。
 
(*5)ヒポクラテス(Hppokrates)は古代ギリシャの医者(c.460-c.370 BC)で、「医学の父」と呼ばれる。病院の物語なので古代医学の元祖として名前が出てきたのだろう(多分)。ヒポポタマス(hippopotamus)は動物のカバ(河馬)である!
 
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2017年4月1日時点での主な登場人物の年齢・学年:-
 
千里・桃香・玲央美26歳、京平1歳9月、貴司27歳、阿倍子37歳、美映30歳、花園亜津子27歳、高梁王子24歳、冬子・政子・コスモス25歳、青葉19歳:大2、彪志23歳、龍虎(アクア)15歳:高1、西湖(今井葉月)14歳:中3、高崎ひろか・品川ありさ17歳:高3、桜木ワルツ18歳:高校を卒業したばかり、鱒渕水帆21歳。
 
コスモスは2015年春に§§ミュージック社長に就任した。
アクアのデビューは2015年1月。
 
鱒渕は2年前の2015.3に川崎市内の音楽系短大を卒業して§§プロに入りアクアの担当になった。音楽系を出ているので実はピアノも歌もかなりうまい。楽器も色々な楽器をわりと弾く。ギターやサックスは並みのスタジオミュージシャン程度の演奏技術を持つ。
 
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高梁王子は2012.3に日本の高校を卒業。2012.9-2016.6にアメリカの大学に通ってNCAAで活躍。ドラフトの対象となり2016年春からWNBAにも参加。つまり花園亜津子の渡米より1年前からWNBAで活動している。ジョイフルゴールドと二重在籍だがシーズンがぶつからないので問題無い(WNBAは5-9月)。その代り日本とアメリカを頻繁に往復するので「どこでもドアが欲しい!」と言っている。亜津子はそんなに往復する体力はないと言って、ほぼアメリカに行きっぱなしである。
 
貴司は2013年8月に阿倍子と結婚、2018年1月に離婚。2月に美映と結婚する。
 

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