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■娘たちのクランチ(13)

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(C)Eriko Kawaguchi 2018-06-09
 
「ではただちに保釈金を徴収します」
と言って刑務官?が寄ってきて貴司を拘束し、連れていく。
 
ちょっと待って。保釈金が男性性?って・・・徴収って・・・何する訳??
 
貴司は結局手錠を掛けられたまま鉄格子のある護送車に乗せられてどこかに連れて行かれた。着いた所は病院である。ここで何するの?と思っている内に貴司は手術室に運び込まれてしまった。
 
「それではただいまより被告から男性性を徴収します。執行猶予期間が終了したら返却します」
と執行官?が宣言した。
 
男性性の徴収???
 
やがて医師と看護婦数名が入ってくる。
 
「服を脱がせて」
と医師が指示すると、看護婦数名で貴司の服を脱がせてしまう。
 
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「剃毛して」
「はい」
 
それで貴司のあの付近の毛がきれいに切られ、そのあと剃られてしまった。貴司は男性機能が封印されているので、看護婦さんに触られてもそこは一切反応せず小さいままだった。
 
でもまさかそこを剃毛したということは?
 
「麻酔が必要ですか?」
と医師が訊く。
「して下さい!」
と貴司は言った。
 
「麻酔をした場合、保護観察期間が1年延長されますが」
「構いません!」
 
すると医師はその付近に麻酔を掛けた。感覚が無くなったようである。
 
「では徴収します」
と言うと、医師は貴司の男性器をまるごと握ると、その根本にメスを当てる。
 
ちょっと待って〜〜!
 
と思ったものの、医師はそれをスパっと切断してしまった。
 
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「これは保護観察期間の終了まで冷凍保存されます」
と医師は言い、何やら銀色の箱の中に入れてふたを閉めた。
 
貴司はあらためてあの付近を見る。
 
全部無くなってる!
 
そんなぁ。
 
「執行官、被害者から嘆願が出ています。ちんちんが無いと男湯に入れないけど、胸もなければ女湯にも入れないので不便だろうから、胸を付けてやってくれと」
 
「ああ、それは確かに。では胸をつけてあげよう」
 
胸を付けるって・・・それじゃ俺、ほとんど女みたいになっちゃうじゃん!
 
「ちょうど余っている胸があるのでそれを付けたいと思います」
「了解」
 
それで銀色のトレイに載った形の良い乳房が2つ運び込まれてくる。貴司はそれを見て「きれーい」と思った。
 
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「ではこれをくっつけます」
 
と医師は言うと、貴司の胸の付近に麻酔をし、今ある胸付近の皮膚を丸く切り取る。その皮膚もさきほどの銀色の箱に一緒に入れられた。そしてトレイに乗せられていた乳房をその部分に乗せる。麻酔が効いているので痛みは無いのだが、その乳房が乗せられた時、貴司は「重い」と感じた。女の子って、こんな重たいものをいつも身体につけているのか。大変そうと思う。
 
それで医師はその乳房を貴司の胸の所に糸で縫い付けてしまった。
 
「以上で執行は終わりましたので釈放します。但し保護観察期間中は常に自分の居場所を千里に通知すること」
「あ、はい・・・」
「これが発信器です。これをいつも身につけていることで居場所は自動的に千里の携帯に通知されます」
「へー!」
 
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しかし左腕につけられたのが、結納式の時に千里からもらったクロノグラフなのでびっくりする。
 
「バスケの試合に出る時とか以外は絶対にこれを外さないこと。長時間外していたら執行猶予は取り消され、ただちに死刑が執行されます。また浮気などをした場合も即死刑が執行されます」
 
そういえば俺死刑になったんだった!
 
「分かりました。いつも付けています」
「では釈放します」
と言って医師たちは部屋を出ていった。
 

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そこで目が覚めた。
 
「夢か・・・」
とつぶやいて貴司は汗を掻いているのに気付く。
 
「確かに俺死刑になってもいいようなことを千里にしてしまったのかも」
とつぶやく。
 
「でもここどこ?」
と思って周囲を見回すと、千里(せんり)のマンションだ!
 
あれ〜?いつの間に帰ってきたんだろうと首をひねる。確か東京駅を歩いていた時に逮捕されて・・・・
 
その時、貴司は左手に何か「重さ」を感じたので見る。するとクロノグラフを付けているのでギョッとした。
 
これは千里に返したはずなのに!?
 
貴司はさっきの「判決執行」を思い出していた。
 
「これはずっと付けていなければならないのかも知れない」
と貴司は思った。
 
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取り敢えず汗を掻いているのを流そうと思う。シャワーしている間は外していてもいいよね?と自分に言って腕時計を外し、バスルームに行く。服を脱いで裸になり、シャワーを出す。温度を手で確認してから、まずはあそこを洗・・・・おうとして仰天した。
 
え〜〜〜〜〜!?
 

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その驚いている貴司を見て《こうちゃん》は頷くようにし、他の子たちを促してマンションを後にした。
 
「私本当にあいつを死刑にしたいんだけど」
と《びゃくちゃん》は怒ったように言う。
 
「貴司が死んだら千里がいちばんショックだよ。だから絶対に浮気できないようにしとけばいいのさ」
と《こうちゃん》は言った。
 

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桃香は7月7日は「前から予約してたんだ」と言って千里をホテル・オークラのディナーに誘った。
 
「2ヶ月前に予約してたんだよ。実はキャンセルするの忘れててさ」
と言って桃香は遠くを見ている。
 
ああ、季里子ちゃんと食事するつもりだったんだろうなと千里は思った。桃香も辛い体験をしたんだもん。それなのに頑張ってる。私も頑張らなきゃと千里は思った。実際、6日の夜、7日の日中とずっと桃香がいてくれたおかげで、千里は随分と精神力を回復させたのである。
 
物凄い喪失感、心の一部が失われた感じが激しく、少しでもそのことを考えると辛くてたまらない気持ちになる。でも今は桃香と一緒にいようと千里は思った。
 
その夜もホテル・オークラのダブルのお部屋で、桃香の誘いに応じてたくさんセックスをした。
 
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「昨日の千里も今日の千里も随分スムーズに入るなあ。何だかまるで女の子としてるみたいな感覚だ」
 
などと桃香が言うのを千里は微笑んで聞いていた。
 

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7月7日(土).
 
龍虎は親友の宏恵の家にお邪魔していた。この時来ていたのは、他に彩佳と桐絵で、実はこの4人は小学2年生の時以来ずっと同じクラスで仲が良いのである。
 
宏恵の部屋で4人でボードゲームをしながらおしゃべりしていたら、宏恵のお母さんが入って来た。
 
「宏ちゃん、ちょっと町に出るけど、今度の宿泊体験の時のお洋服選ぼうよと言っていたのどうする?」
「あ、忘れてた」
 
「何何?お出かけするなら、私たち帰るよ」
と彩佳は言ったのだが
「みんなは宿泊体験の時の服はどうするの?」
と宏恵は訊く。
 
「普段着って話だったからふだん学校に着て行ってるような服で行くつもりだった」
と桐絵。
「明日買いに行こうかなと思ってた」
と彩佳。
「ボクは適当な服で」
と龍虎。
 
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龍虎はいつも川南がたくさん服を持って来てくれるので、タンスがあふれているのである。ただ、川南が持って来てくれる服は全部女の子用であるというのが問題である!龍虎はいつもその中から男の子でも着られそうな服を選り出して着ているが、時々左前袷の服とか、前開きの無いズボンとかを着ていて友だちに指摘されることがある。
 
「だったら一緒に出かけて下見だけでもしない?」
「あ、それもいいね」
「みんな行くんだったら、ごはんくらいごちそうするよ」
「わーい!」
 
ということでみんなで出かけることになった。
 

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宏恵のお母さんが運転する車に4人が乗ってイオンに行った。お昼近いのでまずはマクドナルドで腹ごしらえをし、それから洋服売場に行く。ちなみに龍虎はガールズの服が売ってある付近を歩くのは全く平気である。
 
「あ、これ可愛いね〜」
「わあ、でもお値段も可愛い!」
「この色、宏ちゃんに似合わない?」
などとお母さんも含めて5人でわいわい言っている。
 
それで試着したりもして可愛いチュニックと7分丈のコットンパンツを選んだ。
 
「下着も少し買っていきましょう」
とお母さんが言った時、彩佳と桐絵が一瞬視線を交わしたが、まぁいいかという雰囲気になる。実際問題として龍虎は宏恵たちと一緒に平気でランジェリーのコーナーに行く。
 
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「あんたもそろそろジュニアブラくらい着けてもいいよね」
などと宏恵のお母さんは言って、その付近を見ている。
 
まだクラスの女子でブラジャーを着けている子はいないが、宏恵は少し胸が膨らんで来ており、カップ付きキャミソールを着ている。
 
「宏ちゃん、胸あるもんね」
などと桐絵が言っている。体育の時の着換えでけっこうクラスメイトの女子には見られているのだが、さすがに龍虎はそういう所までは知らない。
 
「でも私の胸に合うようなブラってある?ブラってもう少し胸の大きなお姉さんがつけるのかと思ってた」
と宏恵。
 
「ジュニアブラで少し練習した方がいいのよ。カップの小さなものもあるよ」
とお母さんは言っている。
 
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それでお母さんは店員さんを呼び止めて、宏恵のバストサイズを計ってもらった。
 
「これならもうSTEP2のジュニアブラがつけられますよ」
と店員さんは言った。
 
「STEP?」
 
「初めてブラジャーをつける時は、まだバストサイズが大きくないので胸囲だけで選んでいいんですよ。STEP1のブラはカップが柔らかい伸縮性のある生地でできているので育ちはじめの胸を優しく守るんです。少し膨らみ始めたらアンターバストと、カップサイズの組み合わせでブラを選ぶようになります」
と店員さんは説明した。
 
「まだまだと思っていても、意外にSTEP2の段階に入っているお嬢様が多いんですよ」
「へー!」
 
宏恵はSTEP1のブラならSサイズだが、STEP2のブラならAA70で行けるということだった。
 
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「何かAカップとかBカップとかCカップとか言いますよね」
と彩佳が訊く。
 
「AやBやCはアンダーバストとトップバストの差を言います。これが15cmあればCカップ、12.5cmならBカップ、10cmならAカップ、7.5cmならAAカップですね。AA70というのは、アンターバストが70cm, トップバストが77.5cmというサイズです」
と店員さんは説明した。
 
「なんで2.5cm単位なんですか?2cm単位とかの方が分かりやすい気がするのに」
「これはアメリカのブラジャーサイズが輸入されたからなんですよ。向こうはインチ刻みで、1インチが2.5cmなので」
「なるほどぉ!」
 

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「それ、もっと小さい膨らみの人はどうなるんですか?」
「そうですね。差が5cmならAAA、差が2.5cmならAAAAになりますね」
「差が0cmなら?」
「AAAAAかな」
と店員さんは真面目に答えてあげている。
 
「トップバストの方が小さかったら?」
という凄い質問が出る。
「私はそういう方は見たことないですが、トップがアンダーより2.5cm小さかったらAAAAAAかも」
と店員さんも笑いながら答える。
 
「あんたAAAAAAAAくらいじゃない?」
「いや、あんたはAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAくらいかも」
などと言い争っている。
 
ちなみにAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA (A21)というのはAAAAAより更に16インチ=40cmカップサイズが小さいということになり、アンダー60cmならトップは20cmということになる。A29でトップが0cmになる!
 
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「みなさん計ってみましょうか?」
と店員さんはその場にいる全員のバストサイズを計ってくれた。
 
すると桐絵はAAA80, 彩佳はAAA65, そして龍虎はA55ということだった。
 
「龍ちゃんがAカップ!?」
と言ってみんな驚く。
 
「龍ちゃん、そんなにバスト大きいんだっけ?」
「この中でいちばん小さく見えるのに」
 
みんな胸の大きさで男の子に負けるなんて!?という気分である。
 

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「それはアンダーバストが小さいからですよ」
と店員さんは説明した。そして4人全員のサイズ計測値を紙に書き出した。
 
宏恵 u70 t77 お勧め AA70(70/77.5) or S
桐絵 u81 t85 お勧め AAA80(80/85) or M
彩佳 u63 t67 お勧め AAA65(65/70) or 2S
龍子 u55 t64 お勧め A55(55/65) or 2S
 
この時店員さんから字を聞かれて龍虎は「空を飛ぶ龍に、吼える虎のコです」と自分の字を説明したのだが、聞き違いか勘違いか、あるいは女の子なら「子」だろうと解釈したのか店員さんは「龍子」と書いてしまった。が、龍子と書かれてしまうのは日常茶飯事なので誰も気にしない。
 
「なるほど、龍はアンダーが異様に細いから結果的にカップサイズが大きくなってしまうのか」
と彩佳が納得したように言う。
 
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「龍は痩せてるもんね〜。お肉がほとんど無いもん」
女子たちの上半身裸をさすがに龍虎は見ていないものの、龍虎の上半身裸はけっこう女子たちに見られている。
 
「腕を動かすのに最低必要な筋肉の分だけトップがあるんだよ」
と桐絵が鋭い分析をする。
 
「基本的にはブラジャーはトップサイズで選べば何とかなるんですけどね。ですから、AAA80(80/85)で合う人ならA75(75/85)でもつけられることが多いです」
「なるほどー」
「だったら、龍はA55だけど、AAA60でもいけますよね?」
「はい。多分行けると思います。少しカップが浮きますが」
「AAAAA65でもいける?」
「入りますけど下が完全に浮いてしまいますし、AAAAAカップはブラジャーとしての役目を果たせないですね」
「確かに!」
 
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「じゃ龍はブラジャーを自分で買う時はA55かAAA60を買うように」
と彩佳が言うと
「うん。覚えておく」
と龍虎は平然として答えた。
 

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娘たちのクランチ(13)

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