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■娘たちのお正月準備(5)

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(C)Eriko Kawaguchi 2017-07-01
 
 
千里の大学では2年後期まで体育の授業がある。千里は1年前期でソフトボール、後期でサッカー、2年前期はエアロビクスを希望したもののバスケットボールに振り替えられてしまった。そして最後の体育の授業となる2年後期は水泳を希望した。秋から冬になる時期に希望者は少ないかなあと思ったのだが、希望者が30人ほどいたということで成立。千里は後期は大学構内のプール(25mの室内温水プール)で水泳をすることになった。
 
千里は水泳に関しては小学1〜3年の間は水着問題で、男子水着など着けたくないので体育の時間の水泳の授業を全部見学で押し通した。しかし泳ぐ技術がないと、船などに乗っていて事故があった時に助からないと心配した女子の体育の先生が4年生の時から毎夏、個人授業をしてくれて、千里はかなり水泳が上達した。そして中学・高校では開き直って女子水着で水泳の授業に参加していた。
 
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そういう訳で、クロール、平泳ぎ、背泳ぎ、横泳ぎ、立ち泳ぎに関しては千里はまあまあ泳げる状態になっていた。また千里はスタミナがあるので、スピードはそんなに無くてもかなりの長距離を泳ぐことができる。
 
その最初の授業は10月14日にあった。
 
2時間目が体育だったので、水着やバスタオル、水泳帽・ゴーグルといったセットを持ってプールに行く。今季の授業では朱音が一緒になった。
 
途中で一緒になり、おしゃべりしながらプールの方に行く。それでおしゃべりしながら更衣室の前まで来たので、朱音が小さく手を振った。しかし千里は後ろを振り向いて
 
「あれ?誰か居た?」
などと言いながら、一緒に女子更衣室に入ってしまう。
 
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「ん?」
と朱音は一瞬顔をしかめたものの、そのまま
「うーん・・・」
と考えるような顔になる。そして
「ま、いっか」
と言った。
 

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千里は朱音の表情の意味が分からないので、何だろう?と思ったものの、そのまま朱音と一緒に更衣室の中に進む。朱音は“できるだけ目立たないように”という配慮で、千里を壁際のロッカーに誘導したが、そのことに千里は気付かない。
 
それで結局ふたりでおしゃべりしながら着換えるのだが、数人の女子の視線が千里に注がれていることを朱音は意識していた。しかし千里は全く意識していないように見える。
 
千里がスカートを脱ぎ、ポロシャツを脱いだ所で朱音は微笑む。
 
「なんだ、最初から着て来たのか」
「うん。面倒くさいしね」
 
千里はごく普通の競泳水着を身につけている。
 
「これまるでおっぱいがあるみたいだ」
と言って、千里の水着のバスト部分に触る。
 
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「うーん。そのあたりは想像に任せる」
と千里は言った。
 
「ちんちんも付いているようには見えない」
「女の子にちんちんがある訳無い」
 
朱音は何だか悩んでいる。
 
「脇毛とかは処理してるね?」
「バスケのユニフォームもだいたいノースリーブだから、見えると恥ずかしいから処理してるよ。でも外国選手とかは、別に処理せず見せてる人たちもいる」
 
「ああ、そのあたりは国民性かもね」
 

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授業では最初に参加者の泳力を確認するということで8人ずつ4組に分け、好きな泳法で泳いでみてと言われる。一応1往復(50m)泳げたら上がりということにするが、やはり偏差値の高い大学の学生だけあって、5m付近で立ち上がる子や、そもそも飛び込めなくて、中に入ってから泳ぎ出す子(たいてい10m以内で立ち上がる)、顔を水に浸けるのを怖がり、犬かきのようにして泳ぐ子などもあった。
 
千里は余裕で50m往復してきて「泳げる子」グループに入れられた。朱音はターンができなくて25m泳いで向こうまで行った所でいったん立ち上がり、そのあとまた25m泳いで戻って来たが、やはり「泳げる子」グループに入れられた。10m程度以内で立ち上がった子が「泳げない子」グループ、向こうの端まで行くのに3〜4回立ち上がった子が「まま泳げる子」グループとされた。
 
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それで実際問題として、8つのコースの中で1〜2コースを泳げない子に割り当て、ここでは先生がひとり付いてバタ足の練習やビート板を使っての練習などをした。いちばん人数の多かった「まま泳げる子」を6〜8コースに割り当て、そちらも先生がひとり付いて、クロールの型の確認や息継ぎの仕方の練習などをしていた。実際問題としてこのレベルの子たちは息継ぎさえ覚えたら、スピードが出なくても25mまでは泳げるはずなのである。
 

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「泳げる子」グループは男子5人と女子2人(千里と朱音)であった。このグループはほぼ放置されることになり4〜5コースを割り当てられ『好きなように泳いでいて』と言われた。実際問題として4コースを往路、5コースを復路としてみんな自由に泳ぐことにする。
 
「紙屋君って、おっぱいは無かったのね」
などと朱音が水泳パンツ姿の紙屋君を見て言う。
 
「そりゃ僕はふつうの男だからおっぱいは無い」
と紙屋君は言うものの
「その『普通の男』というのには疑問点がある」
と渡辺君は言う。
 
「ブラ跡もついてないし」
と朱音。
「僕は女の子パンティは穿くけどブラジャーはつけないよ」
などと紙屋君は言っている。
「やはり開き直ってるな」
と朱音。
 
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「でもやはり村山はおっぱいあったんだな」
と山本君が言うと
「それは当然あるに決まっている」
と渡辺君が言っている。
 
「お股の所も女の子みたいに見えるんだけど」
という声に
「そりゃ村山は女だし」
 
と紙屋君は言い、朱音は「ふーん」と小さな声をあげた。
 
そして「まま泳げる」組に入った女子たちからは
「千里ちゃん、ウェストのくびれがすごーい!」
という声が飛んできていた。
 

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しばらく自由に泳いでいたのだが、朱音がいつも壁の所で停まっている。それでターンがうまく出来ないというので、千里と紙屋君が教えてあげることにした。緩衝領域として空けてある3コースを許可をもらって使用する。
 
「これ最初はかなり恐いんだけど、慣れたら凄く楽しくなるから」
と言って紙屋君が模範演技を見せてくれる。
 
「原理とかは教わったんだけど、試しにやってみたら身体がぐるぐる回転して訳が分からなくなった」
 
「じゃ朱音の身体を支えてあげるから、やってごらんよ」
と千里が言う。
「えー!?」
「紙屋君に支えられた方がいい?」
「いや、千里でいい」
 
それで千里が朱音の身体を掴まえて、手で助けて回転を掛けてあげた。
 
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「あ、何となくいい感じだった」
「少しこれ何度かやってみよう」
 
と言って、朱音が壁に向かって泳いでくる所からくるっと回って壁を蹴り身体を半回転させる所まで千里が支えて何度もやってみた。
 
「ちょっとひとりでやってみる」
「うん。やってみて」
 
それでひとりでやってみるも最初の2回はうまく行かなかった。しかし3回目できれいにターンすることができた。
 
「できた、できた」
「うん。なんか気持ち良かった」
 
それでそのまま何度も練習する。たまに遠すぎて壁を蹴ることができなかったのもあったが、その距離感も次第に分かっていったようである。
 
「だいぶできるようになったね」
「うん。これ気持ちいい!今日はこのままもっとターンの練習しよう」
と言って、朱音もかなり楽しくなったようであった。
 
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水泳の授業が終わってから女子更衣室に行く。朱音は千里がどうするのだろうと思ったら、ちゃんと着換え用のラップタオルが出てくる。
 
「なるほど〜。ちゃんと問題無いようになってるな」
「何か問題があった?」
「ううん。OKOK」
と言って、朱音は楽しい気分で自分も水着を脱いでタオルで身体を拭き、下着と服を身につけた。
 
「でも千里に身体を触られても何も感じなかった」
「そりゃ女同士触ってもお互い何も感じないでしょ」
「うん。普通に女の子に触られている感じだった」
「私が女の子じゃなかったら何なのさ」
 
と言って千里が笑っているので、朱音は「こいつは・・・・」と思いながら可愛いティアードスカートを穿いた千里を見た。
 
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千里が「女の子のボディラインにしか見えない」ごく普通の女子競泳水着姿を授業中さらしていたので、この終わりの着換えの時には、特に誰も千里には注視していなかったようであった。
 

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さて、新学期になってから千里は毎日スカートを穿いて学校に行っていたのだが、その千里のスカート姿について、初めて「指摘」があったのは、10月15日(金)の午後、数物科・生物科合同の女子会がいつものガストで行われた時である。
 
「あ、そういえばここ2〜3ヶ月、千里はスカートが多い気がするね」
などと玲奈は言った。
 
「2〜3ヶ月って8−9月は夏休みだったけど」
「だったら、6月くらいから?」
「前期はバスケ活動でほとんど大学に出てない」
「だったら、去年の秋くらいからかな」
 
「去年の11月頃、私はお化粧してスカート穿いている千里を見た」
などと優子が言っている。
 
「6月の上旬にも千里はスカート穿いて学校に来ている」
という指摘もある。
「ああ、あの時もお化粧してた」
 
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ん?それもしかして、きーちゃんでは?と思うと、きーちゃんは目をそらしている。
 
「まあ、基本的にみんな千里のことは女の子としか思っていないから、女の子の千里がスカート穿いているのを見ても誰も奇異には思わないんだな。だからスカート穿いているというのに誰も気付かなかったんだと思うよ。私も全然気付かなかった」
と真帆が言う。
 
「私は個人的には千里のスカート姿は何度も見ているから、今言われて今日スカートだったことに気づいた」
などと桃香は言っている。
 
「まあ千里がおかしな男装して学校に来たりしない限りはこの話題はここまでだな」
と友紀が結論づけるように言う。
 
ということで、以後、千里の《女装》が話題になることは無かった!
 
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10月16-17日、旭川ではL女子高体育館とN高校体育館を使用して、ウィンターカップの旭川地区予選が行われた。14校が参加し、L女子高とN高校がシードされたが、結局この2校が決勝戦まで勝ち上がり、67-49というロースコアでN高校が勝ち優勝した。
 
優勝したN高校、準優勝のL女子高が来月の道大会に進出する。
 

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10月19日(火)。千里がアパートの鍵を閉め、ファミレスのバイトに行くのにインプを駐めている駐車場に行こうとしていたら、車が停まる音がして真っ黄色のライフから何と雨宮先生が降りてくる。
 
「千里、あんたのインプ貸して。代わりにこのライフ貸すから」
「いいですけど、どうしたんです?」
「ちょっと沖縄まで走って来たいのよ」
「沖縄までは道路が無いと思いますが。それにフェラーリの方がパワーあるのに」
「ちょっと、自宅に戻れないのよ」
「ああ。またどこかの女性歌手とトラブルですか?」
「あまり詮索しないで〜。代わりに山村星歌の曲書かせてあげるから」
「山村星歌ですか!?」
「あの子のCDは固定ファンが大量買いするから、毎回確実に50万枚売れる。印税だけでも3600万円だよ。まあ葵が歌詞書くなら葵と折半で」
「美味しい仕事ですね」
 
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「あんたのインプは葛西?」
「いえ。今近くの駐車場に駐めてます」
「だったら、そこまで乗せて」
 
それで千里がライフの運転席に座り、雨宮先生が助手席に座って駐車場まで行く。駐車場に駐めているインプの鍵を開け、ETCカードや大学の構内駐車許可証などを取ってから、先生にインプの鍵を渡した。
 
「ガソリンは適当に入れて使って下さい」
「うん。助かる。あ、私もETC自分の挿さなきゃ」
と言ってライフに入れていたETCカードを抜き取り、インプに挿した」
 
「じゃね」
と言って先生はインプレッサに乗り、逃亡していった。
 

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