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3月17日(金).
小町は出産から半月ほど経ったことから、この日3匹の子ギツネと一緒にコリンの家から“深川司令室”に移動した。サハリンがカローラに載せて連れてってくれた。深川司令室には先に千里Vが入っているが、忙しくて小町たちの面倒までは見られないので、源次が小町と子供たちのお世話をする。
キタキツネは元々夫婦で子育てする動物である。また夫婦仲が良く、冬になるとオスはたいてい前年の妻のところに行き再度繁殖することが多い。つまり夏から秋口にかけて子育て終了してから次の繁殖までの数ヶ月だけ、オスは巣を離れる。
子供の巣立ちはだいたい秋に行われるが、娘が母のところに戻って来て子を産むこともある。里帰り出産である!結果的に孫の顔を見ることが出来る。つまり女の子の場合は、独立していても親と心理的にはつながっているのだろう。
“一族”の狐の場合、オスは年間通して妻と一緒にいることが多いらしい。やはり母が娘の出産をサポートする場合はあるが、お産が終わるとまた離れていき“大家族”を形成することはない。
3月17日(金).
千里Rは午前中に清香を誘って留萌市役所に行き転出届けを提出した。
公世と弓枝も母と一緒に留萌市役所に行き転出届けを提出した。
千里Fは午後から留萌市役所にいき、転出届けを提出した。
「2人が別々に転出届けを出したね」
「千里Rは“村山千里・平成3年3月3日生・女”と書いて提出した。だから普通に本来の千里の住民票が処理された」
「千里Fは“村山千里・平成3年3月3日生・男”と書いて提出した。本来の住民票が既に抹消されていたから、3年前に神様達が捏造した古い“残像”の住民票が処理された」
「Fが先に行ってたら揉めてたなあ」
「運が良かったというか」
「やはり基本的に千里は運がいいよ」
と2人は他人事のように話していた。
3月18日(土).
ソフトバンクが、携帯電話業界大手のボーダフォンを1兆7500億円で買収する契約を結んだことを発表。これで約2年半のボーダフォン時代は終わり、ソフトバンクに移行することになる。
1991 ツーカーホン関西
1992 ツーカーセルラー東京・ツーカーセルラー東海(以上日産自動車系)
1994 デジタルホン(日本テレコム系)
1996 デジタルツーカー九州
1997 デジタルツーカー四国。これで全国で使えるようになる。
1999 日産自動車が撤退。ブランド名“Jフォン”が定められる。
2003 日本テレコムがボーダフォン傘下に入りブランド名もボーダフォンに変更。
2006 ボーダフォンの日本事業がソフトバンクに売却される。
3月18日(土).
千里Fは旭川の美輪子叔母の所に引っ越した。2tトラックをこちらに持って来ていたので、主として洋服類と本などを積み込んだ。充分余裕があるので、留実子の荷物も積み込ませて2人一緒に引っ越した。
それでミッキーにトラックを運転させ、千里と留実子は、津気子が運転するヴィヴィオのほうに乗って旭川に向かう。父と2人になりそうだった玲羅が
「私も引越手伝う」
と言ってヴィヴィオに同乗し、一緒に旭川に出た。
こういう場合、当然“男の子”の留実子が助手席で千里・玲羅の姉妹が後部座席である。
千里は留実子に言った。
「サーヤさあ、この制服知り合いからもらったんだけど、私には少し大きいのよ。サーヤ着ない?」
それで千里は3年前に青沼静子からもらったN高校の制服を留実子に渡した。
「これ結構大きい気がする」
「PAででも試着してみるといいよ」
それで秩父別PAで駐まった時、留実子は“車内で”その服を着てみた。
「凄い。これぼくでも袖が通る」
「これ着てた人は身長170cm越えてたしバレーしてたんだよ」
「それでか。もらっていい?」
「どうぞどうぞ」
「いや実はトモに乗せられてつい男子制服作っちゃって」
「ああ。大会とかに行くとき以外はそちら着てたらいいよ」
「その辺は少し考えるけど助かる」
「役立って良かった」
車は1時間半ほどで旭川に着く。
最初に留実子の叔母の家に行き、津気子は挨拶だけして、留実子・千里・玲羅の手で荷物を運び込む。
その後。美輪子おばの所に行き、千里の荷物を運び込んだ。留実子は付いてきてこの運び込みを手伝ってくれた。津気子は美輪子に下宿代として3万円払った。津気子は下宿代として毎月3万美輪子に払う約束をしていたのだが、実際に払ったのはこの1度だけだった!
↑津気子はこういうので、どんどん世間を狭くしている。
旭川Q神社のバイト代が入るようになってから。千里が自分のバイト代から美輪子に払おうとしたが「貯金してなさい」と言われた。
ミッキーは“次の予定があるので”荷物を降ろし終わったところでトラックを留萌に持ち帰った。
千里・玲羅・津気子・美輪子は留実子も連れて“女4人男1人”でびっくりドンキーに行って食事をした。美輪子が千里に「ちゃんと女らしい格好をしなさい」と言ったので千里はワンピースを着た。
「午前中の格好はお姉ちゃんじゃないみたいだった」
などと玲羅は言っていた。
お店の支払いは津気子がしたが、千里は母にトイレに立った時に5000円札を渡してあげた。
小春は髪留めに姿を変えて千里Fに付いていった。小春の荷物は実は最初からエルフに積んであり、千里の荷物と一緒に美輪子のアパートに搬入された。これで小春の家は空き家になった。
また千里と留実子が旭川に移動したことから、旧早川ラボでの練習は終了した。千里Vはカノ子さんに頼んで、小春の家に忘れ物が無いかチェックしてもらい、そのあと手の空いている“元男子”キツネ数名に手伝わせて、旧早川ラボの荷物をライフに積み込み、取り敢えず新早川ラボの駐車場に移動してもらった。パソコンと“京ぽん”も回収した。
後でミッキーの手が空いてから荷物は旭川分室に移動してもらう。パソコンと京ぽんも旭川分室で使用する。休憩中の千里がお勉強するのにネット接続で使用する。
また羅笛兄弟に頼んで、道場の建物を(バスケットゴールごと)旭川に運び、貴子(2番)に声を掛けて「ちょっと置かせて」と言って、元道場の建ってた場所に置かせてもらった。
「ちょっとぉ、これなぁに!?」
「すみません。後で置き場所考えます」
と千里は言っておいた。
旧早川ラボに置かれた管理室はそのままである。これはまだ使い道がある。
また旧早川ラボの道場がのいた後には、その日の内に倉庫のような建物が建てられた(すぐやらないと雪が積もって建設不能になる)。
小春の家が空になったので、千里Vは旭川からジャンプして戻ると高木紀美の家を訪れた。
「紀美(きみ)ちゃん、これあの家と土地の権利書と権利譲渡に必要な書類ね。もう住人は全員退出したから自由に使って」
「さんきゅさんきゅ。あそうだ、千里ちゃん」
「うん?」
「私新しい家の設計図を30枚くらい書いてみたんだけど、どうもあれこれ問題があって。これ改善の方法無いかな」
「どれどれ」
と言って千里は見てみたのだが「この子この手の才能が全く無い」と思った。
「これ貞美ちゃんの部屋に入る方法が無い」
「え?・・・あ、ほんとだ」
「ドラモンからどこでもドアを借りて来ないと入れないね」
「うーん・・・難しい」
「こんな感じにしたら?」
と千里は図面を描いてみた。
「あ、これ割とまとも」
と貞美が言う。
「住むのは何人だっけ?」
「私と貞美と善美さんの3人。だから基本は3LDKでいいと思うのよね。ただ、私たちと善美さんの生活動線がクロスしないようにしたいのよ」
「ああ、2世帯住宅だって言ってたね」
「そうそう」
「あ、そうだ、うちの玲羅が今も度々こちらに泊めてもらってるようなんだけどさ、私が留萌を出ると玲羅のお泊まり率が高くなると思うのよね。窓の無い納戸か何かでいいから、一部屋取ってあげて。家賃払うから」
「ああ、家賃は要りません。今私たちここに家賃無しで住まわせてもらってるし」
「じゃバーターで」
「はい」
それで千里、紀美、貞美はそこから3時間ほど議論しながら新しい家の図面を書き上げた。
「これで結構理想的だと思います。これで行きましょう」
ということで出来上がった図面はこのようなものであった。
(但しこの場では、紀美の部屋と玲羅の部屋の隠しエレベータは書いていない。貞美に席を外してもらい、費用等の問題を話し合いながら描き加えた)
「じゃこれで知り合いの建築士さんに建築確認の申請をしてもらおう」
「ああ、建築確認は要りません」
「確認取らずに家を建てると最悪取り壊し命令が出るよ(←自分がこないだ言われたこと)」
「これ今の家のトイレとその隣の居室はそのままですから、単なる改修です。改修なら建築確認要りませんよね?」
「これが改修なの〜?」
「壁1枚でも残ってたら改修です」
「私の部屋と玲羅ちゃんの部屋だけが今のままね。トイレは場所が移動している」
「単なる場所移動よ」
(Before?)
(After?再掲)
各部屋にバストイレが付いたアメリカンスタイルである(元々2軒の家だった名残)。紀美は“2世帯住宅”と言っていたが“4世帯住宅”っぽくなった。シェアハウス的。実際高木姉妹、七尾善美、村山玲羅のシェアハウスのようなもの。
ここの敷地は66坪だから建蔽率はクリアしている。建築確認を取っても通ると思う。それとこれ固定資産税が変わると思う。
3月18日(土).
杉村古広と新婚生活を送りながら子育てをしながら女子大生をしていた柚美はこの日大学を無事卒業し、取り敢えず専業主婦になった。
これで柚美の大学への通学送迎をしていた義浜裕恵の任務は終了した。裕恵に関しては近い内に新しい辞令が出ることになっている。当面はハイジがしていた菌床きのこの温度管理の仕事をしてと言われシフトに入った。
3月18日(土).
U高校の入学手続きが締め切られた。振込は金曜日までしかできないが、締切りの土曜日にも入学金を持参して申し込む手がある。
3月18日(土).
公世・千里・清香の引越をおこなった。
この日、ミッキーは千里Fの引越で2tトラックで旭川まで往復し、13時頃留萌に戻ってきた。
ミッキーが帰ってきたところで、今度はサハリンに交代し、まず2tトラックに早川ラボの千里と清香の荷物を積んだ。この時、例によって千里の荷物を佐川急便の箱、清香の荷物をヤマト運輸の箱に入れている。そのあと、公世の家に行き、公世の荷物とついでに弓枝の荷物を積む。公世の荷物はアート引越センターの箱、弓枝の荷物は松本引越センターの箱に入れている。
「じゃね」
と公世
「時の輪の接する所で」
と弓枝。
「何それ〜!?」
それで弓枝は弟の大樹とともに母のサニーに乗り、公世は星子のカローラに乗る。トラックはサハリンが運転する。
トラック(サハリン)荷物。まず旭川へ
サニー(工藤母)弓枝・大樹。旭川へ。
カローラ(星子)千里・清香・公世。新千歳へ。
それでサニーとトラックは旭川に行き、弓枝と母と大樹およびサハリンの手で荷物が弓枝のアパートに運び込まれる。
「夏川さん、ありがとう。千里さんによろしく言ってください。これおやつ代にでも」
と言って、公世の母はサハリンにJCBの商品券を5万円分もくれた。サハリンはそのあと小樽港に向い、その日(3/18)深夜の舞鶴行きに乗った。
一方、星子が運転するカローラは新千歳空港に行き、千里・清香・公世の3人は次の飛行機で伊丹に飛んだ(カローラは星子が運転して深川に戻った)。
新千歳空港18:30(JAL2016)20:25伊丹空港
伊丹空港にはコリンがエスティマで迎えに来ていたので(この間姫路司令室はGが見ている)、それに乗って千里・清香・公世は、3/18 22時前に姫路の自宅に到着した。夕食は新千歳の手荷物検査を通った後で買ったものを食べてはいたが、安芸百合さんが酢豚を作ってくれていたのを主として清香がもりもり食べていた。千里と公世も少しいただいた。
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女子中学生・セーラー服と移転中(14)