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■女子中学生・セーラー服と移転中(7)

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2月7日(火).
 
宮内庁は、秋篠宮文仁親王妃・紀子妃殿下が、第3子を妊娠したことを発表した。
 
これで小泉首相が強力に押し進めていた、女系天皇を容認する政策は、いったん保留されることになる。(2006.9.6 悠仁(ひさひと)親王の誕生により白紙化)
 

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2月7日(火).
 
西宮市のM女子大で合格発表があり、受験した前橋・七瀬・虹彩の3人は全員合格していた。すぐ入学手続きをしした。3人は“専願”で受けたので、ここに実際に入学することにする。
 

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前橋は西宮市内の不動産屋さんに行き、西宮市内北部の山の斜面に100坪ほどの古家付き宅地を1000万円で購入した。ここにM女子大に通うことになった女子三人で住むことにする。通学には不便なのだが、前橋が
 
「1ヶ月で家を壊す自信がある。住宅密集地なら隣家まで一緒に壊す自信がある」
と言うので、ある程度の広さのある土地を求めたのてある。
 
前橋・七瀬はここ1年ほどは留萌山中に古い炭鉱の跡があったところに住んでいた。虹彩は仙台の郊外の家に住んでいたが、さすがに仙台からの通学は大変だ。彼女は仙台育英高校の卒業証書を持っている。
 

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2月9日(木).
 
西宮市のT大学で合格発表があり、受験した九重・清川・南田兄弟は全員合格していた。彼らは姫路市の兵庫県立大にも願書を出しているが、こちらにも一応入学手続きしておく。
 

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2月10日(金).
 
姫路城の天守閣が震度5強の地震で倒壊する恐れがあることが判明。これが平成の大修理(2009-2015)につながったものと思われる。
 

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2月10日(金).
 
札幌の公立高校で推薦入試が行われ、玖美子・柔良(以上南校)、尚子(北高)などが小論文と面接の試験を受けた。
 

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2月10日(金).
 
姫路の家にいる貴子から
「千里、何か荷物が届いてるよ。衣類って書いてあるけど」
と連絡があった。
「それ私の部屋に置いといて」
と千里Gは答えた。
「りょうかーい」
 
(今姫路の自宅には貴子と小糸だけ。コリンは姫路司令室に居る)
 

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2月11日(土祝).
 
バレンタインデーは14日だが、平日なのでこの日または明日の日曜日にプレゼントしたりデートしたりするカップルが多かった。
 
“今年の”千里は、神社に来てワクワクした顔でいる貴司に六花亭のチョコをプレゼントしたし、神社が終わった後、夕方からはデートした。
 
なお、2人は4月から千里が旭川に行ってしまい交際維持が困難になること、千里が入学前に髪を短く切ることを決めたことから、4月の入学式前日のデートで別れることを決めていた。この件に関してはこの時点で、貴司と少なくとも千里Bwの間では特にわだかまりは無かった。
 

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2月11日(土祝).
 
真広と桂花はバレンタインデートをした。札幌の大学に通う真広は10日金曜日の授業が終わったあと、ライラに乗って旭川まで行き、会社が終わった桂花を拾う。桂花はいつものように車の中で女の子の服に着替え、一緒にディナーを食べる。これは女子の友人2人で食事を楽しんでいるようにしか見えない。
 
そのあと、この日はドライブして留萌に行き、留萌市内の一軒の家に行く。杉村家の使用人で、小さい頃から真広の世話をしてくれていた宏子さんが「お帰りなさい」と言って迎えてくれた。宏子は“桂花”のことも子供の頃からよく知っている。
 
居間に通され、お茶とお菓子が出てくるが宏子は「御用の時はベルでお呼びください」と言って下がった。
 
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「ここは?」
「うちの会社が留萌で事業を展開することになったからね。一応社長はお父ちゃんだけど、お父ちゃん忙しいし、度々私が代行することもあるだろうと思ってる。一応私も常務に任命された」
「たいへんだね」
「だからここは留萌に来た時に滞在するために買った」
「へー」
「ここに日曜の夕方まで居ようよ」
「そういうデートもいいね」
 
ここは実は清香の家だったところである。年末に競売されているのを買って(正確には債権者の銀行が自己落札したものをその銀行から買った。銀行が介在したことで権利関係がクリアになっていた)、その後若干の改装をしている。お風呂などを新しいものに交換している。
 
また傷んでいた畳を撤去し、暖房の効果をあげるため二重床のフローリングにした。床材は江差ヒバである。その二重床の間に温風を吹き込むオンドルも作り込んでいる。だから2階にもオンドルが効く。1階だけ、または2階だけにオンドルを効かせることも可能である。今日は全館にオンドルを入れている。
 
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「なんか大きなダブルベッドがある」
「ここでたっぷり愛の確認をしよう」
「うん」
「そうだ。バレンタイン・ブレゼントに私の子種を注入してあげようか?」
「妊娠しちゃうじゃん!」
「赤ちゃん産む時は留萌に来て産むといいかもよ。静かな所だし」
「旭川以外で産みたい気はする」
 
旭川には知り合いが多すぎる。もっともみんな桂花の“女性指向”は知っているけど。中高生時代にだいぶセーラー服とかも着せられたなあと昔を思い出す。
 
「じゃ今日は子種の注入ね。けいちゃん先々週に生理あったし」
「ちょっと待ってぇ!」
「その前に婚姻届に記入する?」
 
ドキッとした。ぼくとうとう真広ちゃんのお嫁さんになれるのかな?
 
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そして次の瞬間悩んだ。
 
婚姻届けの夫と妻のどちらに、ぼく名前を書けばいいんだっけ?
 

2月12日(日).
 
この日はN高校の推薦入学者を対象とした説明会が行われた。千里は母の車で旭川に出て行った。千里は出る時は中性的な格好をしていたが、母の車の中でセーラー服に着替えてしまった。
 
「あんたが間違った制服を着なくて良かった」
と母は言っていた。
 
「間違った制服とかあるんだっけ?」
「いやいい」
 
3月中旬くらいからお世話になる美輪子に挨拶した上で学校に入った。学校紹介ビデオを見たあと、入学手続きをまだしてない人の多くがここで手続きをした。一応手続きの期限は明日である。推薦で入る人には専願が多いが、一部の特に公立と併願している人にはかなり悩ましいところである。
 
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1時間ほどの説明会の後、生徒手帳用の写真を撮りますということであった。一般入試の生徒は、一般入試生向けの説明会の時に撮るのだろう。
 

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「男子は別館1Fの美術室、女子は本館2Fの被服室で撮影します」
と言われた。
 
“この千里は”私は男子だから(←セーラー服着ててなぜそう思う?)、別館1Fの美術室と思い、そちらに行く。ところが別館のほうに立っていた先生から言われる。
 
「君、写真撮影は本館2Fの被服室だよ」
「あれ?そうでした?」
「間違わないで。すぐ行きなさい」
「はい、済みません。ありがとうございます」
 
千里は「あれ〜?男子が被服室で女子が美術室だったっけ?」などと首を傾げながら本館2階の被服室に入る。
 
中に入るとすぐ「これ着て」と言われてブレザーを渡される。まだ制服を用意してない子がほとんどなので、仮の制服を着るのだろう。千里はセーラー服の上にブレザーをを着てボタンを留めた。自分の名前を白いホワイトボードに書く。それを持って撮影用の椅子に座るといきなりシャッターを押される。
 
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「えーん。笑顔を作る暇も無かったよ」
と思った。
 
ブレザーを脱いで係の人に渡し、退出した。
 

「撮影場所間違えなくて良かったね」
と千里Vは言った。
「まあ長い髪の女の子がセーラー服着てれば当然そちらに案内されるよね」
と千里Gも半ば呆れながら言った。
 

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2月12日(日).
 
マナはセーラー服を身につけると母に「ちょっと出掛けてくる」と言って家を出た。母が「可愛いよ」と言って見送ってくれた。
 
バスでMR町まで行く。そしてバス停から歩いて10分ほどの早川ラボに行く。彼は多分ここで練習しているはず。
 
実際早川ラボの駐車場に置いたゲージの中で、ピッチングマシン相手に打撃練習している彼の姿を認めた。近くでは司と杏子がキャッチボールをしている。
 
マナが近づいて来たのに気付き、彼はピッチングマシンのスイッチを切った。
 
「あれ?マナ、今日はセーラー服なんだ?」
「藤太、これ良かったら」
と言ってジャスコの特設コーナーで買ったゴディバのチョコを渡す。
 
「ありがとう。嬉しいよ」
と菅原君。
 
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「そこでキス」
と杏子が煽るが、菅原君はマナと握手だけした。
 

それでマナは帰ろうとしたのだが、ちょうどラボの中で窓から見ていたノランが出て来た。
 
「マナせんぱ〜い、手合わせしてください」
「私、少し弱くなってるよ」
「それでも多分私より強い」
「道具も持って来てないし」
「予備の道具ありますよ」
 
それで結局、千里の竹刀と防具を借り、自分のロツカーに入っていた白い道着を着けて、ノランたちと対戦した。1分でノランから1本取る。
 
「全然強いじゃないですか」
「けっこう行けた」
「もっとやりましょう、やりましょう」
 
やはり筋力が落ちたのを感じてここ1ヶ月ほど毎日腹筋300回と腕立伏せ300回にジョギング10km素振り500回してるのが効いたかな?と思った(←ハードな練習してるじゃん)。
 
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この日来ていたメンツではさすがに如月・由紀・詩歌の3強には負けたものの、それも僅差だった。それ以外のメンツには指導をしてあげられる余裕があった。
 
更に練習している内に調子が出て来て、最後のほうは、由紀や詩歌からも1本取れるようになる。如月からは1本取れなかったもののお互い充分稽古になった。
 

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夢中になって練習している内に17時半のチャイム(ドヴォルザーク『新世界より』のオルゴール版)が鳴る。
 
「道場10周してから整理体操」
という声が道田・道場主から掛かる。それでマナも道場の周囲を走っていたら・・・藤太が自分を見ていることに気付いた。
 
きゃっ恥ずかしい!
 
他の子と一緒に整理体操し、一部の子は地下のロッカールーム、一部の子はシャワー室に消える。マナは藤太の傍に寄った。
 
「恥ずかしー」
「かっこいいと思った」
「そう?」
「マナちゃん、高校では剣道部に入るかどうか決めてないと言ってたけど、入りなよ。お互い野球部と剣道部で頑張ろうよ」
「そうだなあ・・・」
 
夕方からの稽古のため起きてきた千里が言う。
 
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「そんなところで立ち話もなんだから地下のお部屋で話しなよ」
「そ?そう?」
「誰も邪魔しないし。“秘密のお話”してもいいよ」
「・・・・・」
 
結局2人は地下の部屋に案内してもらう。おやつにピザ2枚とお茶(やかん丸ごと)を渡し「ごゆっくりー」と言って千里ちゃんは出て行った。
 
それでマナと藤太は、まずは抱き合ってキスした上で、順番に部屋付属のシャワーを使う(一緒にシャワー室に行く勇気は無い)。その後たっぷり“秘密のお話”をした。そして19時過ぎに満足気な顔で一緒に帰宅した。もう暗くなっているので管理人の三泊(カノ子)さんが車で送ってくれた。
 

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2月13日(月).
 
P神社の巫女長(現在産休中)梨花が最初の子供となる女の子・月奈(つきな)を出産した。陣痛が始まってから12時間ほどの安産だった。
 
梨花はちょうど1年前の2005年2月13日に結婚しており、1年目の結婚記念日に出産した。
 
「これで私たちの結婚記念日は絶対忘れられることはないけど、いつもこの子の誕生日と一緒にされるな」
などと梨花は言っていた。
 
「月奈って名前見て「ディアナかな、ダイアナかな。ルナかな」と思ったら素直に“つきな”だったんですね」
「ああ、みんなをたくさん悩ませるかもね」
 

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2月13日(月).
 
現在高校3年生の杉村古広は旭川市内のA大学に合格した。入学手続きもすぐおこなったが、大学に入るには高校を卒業しておかなければならず、彼女が無事女子大生になれるかは、来月高校を卒業できるか次第である!
 
P神社常連巫女の純代もA大学に合格した。これで純代は4月から留萌を離れることがほぼ確定した。
 
また佐藤マナの姉・楓もA大学に合格していた。それで楓とマナは旭川市内でアパートを借りて一緒に暮らすことにした。マナが進学するR高校は男子寮・女子寮もあるので、マナは女子寮に入る道もあったが、
「さすがに女子寮に入るのは怖い」
と思っていた。それで姉と一緒にアパートに住むことになりホッとした。
 
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A大学とR高校の間はバスを乗り換えて1時間ほどかかるが、これはやむを得ない。
 
一方楓は「マナをたくさん“女子教育”してあげよう」と張り切っている。もちろん春休みの間に“プールデビュー”“女湯デビュー”“エステデビュー”をさせるつもりでいる!
 
なお楓はこれまでR高校の女子寮に住んでいた。
 

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2月14日(火).
 
関西学院大で合格発表があり、令明・追風の2人は合格していた。一応入学手続きしておく。
 

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2月15日(水).
 
玖美子と柔良のところに受験した札幌南高校から合格通知が届いた。また札幌北高校を受けた尚子も推薦で通っていた。尚子は推薦でダメだったら一般入試で再挑戦するつもりだったが、多分ギリギリで届いていたようだ。
 
翌日には各々の母が入学金を振り込んで入学手続きをした。
 

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女子中学生・セーラー服と移転中(7)

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