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■女子中学生・セーラー服と移転中(4)

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1月22日(日).
 
千里Gは“鏡”を使って姫路に行くと、先日Rたちが行った所とは別の洋服店に行き、姫路H高校の(女子)制服を採寸してもらってオーダーした。
 

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1月21-22日(土日).
 
今年度のセンター試験が実施され、公世の姉の弓枝、マナの姉の楓、P神社常駐巫女の純代、また九重・清川・南田兄弟および南田兄の息子・令明、弟の息子・追風などが受験した。
 
千里“先生”の生徒達?の中で女子グループについては後述。
 

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1月22日(日).
 
札幌SY高校の単願者の入試が行われ、雅海はこれを受験した。雅海はこれまで志願者向けの講習会に2回出ている。4回出て(課題を提出していれば)筆記試験免除で面接だけだったのだが、回数が足りないので一応筆記試験を受けた。でもとても易しい問題だったので「ぼくにも解けるー」と思った。
 

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1月22日(日).
 
旭川N高校の推薦入試が行われた。千里F・留実子・蓮菜の3人がこれを受ける。ただし実際には千里と留実子は既に内定しているので
 
「うちの高校に来ますよね?」
「はい。入れてください」
というやり取りだけで終わった。蓮菜は1分間程度の質疑応答があったらしい。
 
結果は2月10日“まで”に通知される。
 

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旧早川ラボの2DKに京ぽんの1台(blue)を設置していたのだが、もう1台(AH-K3001V silver) については、GとRが話し合い、玲羅にあげることにした。千里Rはその日P神社に行ってご奉仕し、空き時間に玲羅に言った。
 
「私姫路に行っちゃったら、家のことあまりサポートできなくなるからさ、玲羅、何かあった時のために、このピッチ持っててよ」
「私が持ってていいの?」
「使いすぎないようにリミットが掛けてあるから念のため。その範囲では自由に使っていいし、電話代は私が払うけど、お母ちゃんたちに見られたら何か言われるかもしれないからお母ちゃん・お父ちゃんには内緒で」
「OKOK」
「私の携帯の番号は登録してる。念のため鳴らしてみる?」
「うん」
 
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それで玲羅が登録されている電話番号に掛けると千里の赤い携帯が鳴る。
 
「OKだね。これでいつでも連絡が取れるね」
「さんきゅー」
 

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1月23日(月).
 
この日もマナはセーラー服を“持って”詰め襟の男子制服を着て学校に出てきた。この日から出席簿では“12.佐藤学”の名前が抹消され、新たに“36.佐藤マナ”の名前が追加されていた。34福川司、35高木紀美の次である。出席を取る時
 
「佐藤マナさん」
と呼ばれて
「はい」
と返事をしたが、私ほんとに“マナ”になっちゃったんだ、と思った。
 
この日、4時間目が終わったところで担任の友永先生から言われる。
 
「佐藤さん、生徒手帳の写真撮り直そう。セーラー服に着替えて職員室に来て」
「あ、はい」
 
それでマナは保健室に行ってセーラー服に着替え、職員室で写真の得意な先生にセーラー服姿の写真を撮ってもらった。
 
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「新しい生徒手帳は2〜3日でできると思うから」
「分かりました」
 
私、もう男子中学生ではなくなって女子中学生になっちゃうのかな?とマナは思った。
 
でもその日の午後の授業はセーラー服で受け、セーラー服のまま帰宅した。
 

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「佐藤さん、女の子になっちゃったの?」
と高木紀美は訊いた。
 
「うん。実は朝目が覚めたら女の子になってたんだよ.元々女の子になりたかったから嬉しくて嬉しくて」
「私にヌードを見せてくれない?」
「・・・・まあいいよ」
 
それで保健室の着替え場所でマナは服を脱いで紀美に裸を見せた。
 
「ちょっとごめん」
と言って紀美はマナの陰裂に触った。
「わっ」
「これ本物だね。タックじゃないね」
「タックって?」
「知らなければいいよ。元々女の子になりたかったの?」
「うん」
「だったら射殺するのは勘弁してあげる」
「射殺〜〜!?」
「私は世界中のオカマをこの世から抹消したいから」
「過激だね」
と答えながらこの子、目がマジだよぉと思う。
 
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「でも心が女であるならオカマじゃなくて女のバリエーションに過ぎないから許してあげるよ」
「ありがとう」
「ヌード見せてもらったし、私のヌードも見せようか?」
「いや、いい!」
 

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1月23日(月).
 
先週H高校の制服を頼んだお店から「できあがりました」という連絡があったので、ミッキーが行って3人分受け取ってきた。千里たちにはその連絡だけ入れておいた。
 
「3人のセーラー服取ってきたよー」
「ありがとー」
 
(ミッキーが“3人のセーラー服”と言っていることに注意!)
 

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1月23日(月).
 
元船長の鳥山さんから、武矢と岸本さんに110万円ずつの振込があった。これは未払いだった9-11月の給料と退職金として充当される。何でも宝くじに当たったので支払うことができるようになったらしい。
 
武矢は津気子に申し訳無さそうに言った。
「他の人からはもう借りたりしてないのだけど、実は弾児からは合計100万円借りてて残金があと60万あるんだよ」
「すぐ返してあげて!」
 
「弾児さんにはそれ以上借りてないのね?」
「借りてない」
「他の人や会社とかから借りたお金は?」
「無い。どこからも借りてない」
 
全然信用できない!
 
しかし弾児さんのところは郵政民営化で収入が減っていたので凄く助かったと連絡があった。ローンで払っていたものの返済が苦しくどうしよう?と思っていたところだったらしい。
 
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それで津気子の手元に50万円残ったので津気子は学校まで行き、授業が終わって出て来た千里に30万渡して言った。
 
「あんたも色々お金が掛かる時に助けてくれてありがとう。父ちゃんの退職金が出たから、自動車学校の費用、出してもらった40万の内30万は返すよ」
「あれはいいのに」
 
なお津気子がわざわざ学校まで来たのは、千里は家に帰ってこない日が結構あるから、自分が使い込んでしまわない内に早く渡したかったからである。
 
「でもお陰でお父ちゃんが免許なんて取るのは無理だと分かったし」
「そう思えばまあ良かったのかもね」
「ほんっとにお父ちゃんの行動は信じられないよ」
と津気子はまだ怒っていた。
 
ちなみにこれを受け取ったのは千里Vである。
 
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1月24日(火).
 
千里と留実子の自宅に旭川N高校から合格通知が送られてきた。千里は特待生なので入学金は半免である。ただし後述の試験を受けると全免になる可能性があり、この時点では3万円だけ納めた。留実子の入学金は親の経済状況が悪いことからやはり半免になる。この金額を姉の敏美が出してあげた。
 
千里Fと留実子は一緒に高速バスで旭川に出て入学手続きを済ませた。むろん往復のバス代は千里が出してあげた。
 
留実子の家がなぜこんなにも貧乏なのかは千里にも謎である。
 
なお千里R、清香、公世は既にH高校の入学手続きを終えている。
 

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1月24日(火).
 
西宮市のM女子大で入試が行われ、4月から新設される建築科を、前橋、七瀬、および前橋の娘の虹彩が受験した。3人はこれを“専願”で受験した。
 
ここはセンター試験を利用していない。それでこの3人はセンター試験を受けなかったのである。
 

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1月25日(水).
 
西宮市のT大学で入試が行われ、建築科を九重・清川・南田兄弟が受験した。
 

1月25日(水).
 
千里は姫路にいるサハリンに電話し、エルフトラックをこちらに持ってくるように指示した。サハリンはトラックを運転してその日のフェリーに乗り、1月26日の深夜に留萌に到着した。
 

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1月25日(水).
 
留萌地方は1月に入ってから、ひたすら雪ばかり降っていたのだが、この日は珍しく晴れていた。それでこの晴れ間を利用して今年のS中スキー大会が行われた。
 
昨年は2月19日に行ったら雪崩が発生して、公世と牧野先生が危ないところで助かった。あれは2人の運動能力が高かったので助かったとしか言いようのない事件だった。
 
それで今年は全層雪崩が起きるとは思えない1月に実施したのである。表層雪崩は1月に起きることもあるが、あれは急に気温が下がった時に起きやすい。雪がやんだ日に起きるとは思えないので実施した。
 
本来はスキーの授業をたくさんして、その仕上げにスキー大会をしたいところである。今年は授業の真ん中に入る形になってしまうが。やむを得ない。スキーの授業自体は来月も続く。
 
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大会は今年も滑降が全員参加。ノルディック競技から、距離(レース)かジャンプのどちらかに1種目参加するというものである。そのほかに昼休みの時間帯に回転と大回転が行われ、これは希望者のみの参加である。
 
千里は1年生の時は、滑降と距離の5kmに出て、距離5kmはブービーだった。昨年は滑降とジャンプに出た。ジャンプではあまりの怖さに“飛んで”しまい物凄い距離が出て圧倒的優勝だった。但し着地したところで気を失ってしまった。
 
しかし昨年が優勝だったので「ぜひ今年もジャンプに出て」と言われて「嫌だぁ」と泣いていた!そこに沙苗がアドバイスした。
 
「千里ちゃん、ジャンプに出たくなかったら回転に出たら?」
「あ、その手があったか」
 
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実は回転・大回転に出た生徒はノルディックをパスしてもいいのである。留実子などはたくさん出たいので大回転に出たあと、距離にも出るのだが、千里はこの手を使って、回転に任意で出場することでノルディックをバスした。
 
昨年は滑降には千里Rと千里Yが出て、ジャンプにはRが出た。滑降ではRが上にいる間は30mルールでYが出現できないので、Rが滑り降りたあとでYが上に出現した。千里たちは30mルールが無くなってしまったが、今回はFが滑り降りた後でRが上に転送出現することで2人とも滑降を滑った。
 
回転にはRが出て、出場者8人中4位だった。
「手を抜いてない?」
「抜いてないよう。方向転換が大変なんだもん」
「君は大回転に出れば良かったかな」
「やだ。あんな怖いの」
 
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(“大回転”という名前からは“たくさん曲がる”という印象がするが、大回転とは回転より曲がりが少なくそれだけスピードの出る競技である。このあたり、訳語の出来が悪い気がする)
 

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この大会で佐藤マナは女子として参加した。滑降では野球部の司・バスケ部の数子・ソフト部の麦美、そして留実子!と同じ組(3組の女子最強組)に入れられ、ごく自然に最下位ゴールできた。
 
司から
「マナちゃん手抜きしてない?」
と言われたものの
「いやこのメンツにはマジで負ける」
と言った。
 
午後のノルディックでは距離5kmに出て、3年生の女子参加者12名中8位だった。マナは昨年は男子として参加してやはり5kmを走り、2年生の男子14名中12位だったので女子に来て少し順位をあげた?
 

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スキー大会の翌日、1月26日(木)、マナは朝のホームルームで担任の先生から、新しい生徒手帳を渡された。最後のページを開いてみるとセーラー服を着た自分の写真が転写されており、「出席番号36 佐藤マナ 性別:女」と記載されている。
 
「見せて見せて」
と言ってみんな見に来る。
 
「これでマナちゃんも立派な女子中学生になったね」
「この写真の通り、ちゃんとセーラー服を着よう」
などと言われる。
 
「あ。そうそう。佐藤さん、前の生徒手帳はそのまま持っていていいから。男子制服着ている時はそちらを使って」
と先生は言った。
 
「はい」
 
「司ちゃんも前の生徒手帳持ってる?」
「私のは穴を開けて無効化して返された」
「もう後戻りできないわけだ」
「マナちゃんだってもう後戻りはできない」
と司は言う。
 
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そうだよね。私もう男の子には戻れないよね、とマナも思った。
 
「マナちゃんの男子の生徒手帳も穴開けてもらったら?」
「まだ勘弁して〜」
 
この日は体育があったが、マナは女子のチームに入れられた。なお柔軟体操は司ちゃんと組んだ。
 
でも体育の時間の後はうまく乗せられてセーラー服で授業を受けて、やはりセーラー服で帰宅した。マナの母は、マナはどうも男子制服で出ていき、セーラー服で帰宅するパターンにしたのかなと思った。
 
 
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女子中学生・セーラー服と移転中(4)

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