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副担任の森本裕子先生がマナを昼休みに呼び出した。
「(担任の)友永先生より、女の私の方が話しやすいんじゃないかって言われたから少しお話聞かせて」
「やはり私男子生徒なのにセーラー服着ちゃいけませんよね」
「そんなことないと思うよ。それも制服なんだから、そちらが良ければそれでいいと思う」
「そうですか?でもこれで通学する勇気がまだなくて。今日はみんなに乗せられて着ちゃったけど」
「女の子になりたいんだっけ?」
「実は女の子になっちゃったというか」
「というと?」
「信じてもらえないかも知れないけど、この夏に性転換手術される夢を見て、朝起きたら本当に女の子の身体になっていたんですよね」
「うーん・・・」
「ちょっと触らせて」
と言って先生はマナの胸に触った。
「結構大きいね」
「今Bカップのブラ着けてます」
「ああこれはBある」
実は姉から小さくなったブラをもらったのである。姉は今Cカップを着けている。
「元々私、女の子になりたいって小さい頃から思ってたから嬉しくて。だから髪も伸ばし始めたんです」
「病院とかには行った?」
「それも怖くて」
「そのあたりは自分の気持ちに任せていいかもね」
「でも先月あたりから少しずつ女の子の服を着て出歩いているんです」
「ああ。そういうのも少しずつ慣らしていけばいいかもね。今までずっと男の子のふりしてたなのが急に女の子として生活するのは怖いだろうし」
「そうなんです!自分としては完全に女の子として暮らしたいけどまだ怖くて」
「少しずつ女の子に移行すればいいよ」
「一応母はこんな書類書いてくれたんですけど」
と言って、母が書いた“性別変更届”を見せた。
「これ預からせてもらっていい?」
「はい」
先生は最後に尋ねた。
「ちなみにペニスはあるんだっけ?」
「もう無いです」
「了解了解」
やはりちんちんがあるかどうかは重要だよね、とマナは思った。
先生はその日の放課後にも再度マナを呼び出し、セーラー服を着ている時は女子トイレを使用してよいこと、また出席簿の名前は来週から“性別変更届”にあったように“佐藤マナ”にすることを伝えた。
この日マナは結局セーラー服のまま帰宅した。
「あらそれに着替えたのね」
と母に言われる。
「うん。卒業アルバムの写真撮ったから」
「なるほどー」
1月20日(金).
札幌。マナの兄・佐藤仁(ひとし)のアパート。ストーブを焚いた部屋の中でフリースと“ロングスカート”姿の仁はずっと勉強をしていた。彼は4月からは大学3年生である。そろそろ就職のことも考えないといけないが、就職する場合も“ある問題について”悩んでいた。
23時頃、トイレに行ってからお風呂に入る。長い髪をパックス・ナチュロンのシャンプーで洗い、コンディショナーを掛けてから身体を洗う。腕を洗い、“豊かなバスト”を洗い、背中を洗い、お腹を洗い、ここでいったん流す。
お股は両手にエメロン赤箱の石鹸で両手に泡を作り、割れ目ちゃんを開いて優しく洗う。いったん流す。それから“むだ毛など無い”足を洗い、、足の指の間をマッサージするように洗う。
顔を洗い、耳の後ろや首筋を洗い、ここでコンディショナーを洗い流すとともに顔にもたくさんシャワーを当ててマッサージするように洗う、
お風呂上がりは髪を拭いて、身体を拭いて、パンティだけ着けてその上にキティちゃんのパジャマを着て、布団に潜り込みしばらく携帯でmixi (*4)を見ていた。仁は寝るのが下手なので、何らかの方法で頭をアルファ状態に導くことで睡眠に入る。
(*4) mixiは2004年2月にサービス開始した。
時計が24時を回って、うとうととしかけた時、部屋の中に唐突に小学2年生くらいの女の子が出現した。
「わっ、君誰?どこから入ってきたの?」
と仁(ひとし)は尋ねる。
「ぼくは“男の娘の味方”魔女っ子千里ちゃんだよ。ちなみにこれは夢だよ」
と女の子は言った。
「夢なのか。びっくりしたぁ」
夢でもなければこんな夜遅く、小学生が突然アパートの中に入ってくるわけないよね?
「仁(めぐみ)ちゃん、何かお悩みかな。ぼくで解決できることなら、解決してあげるよ。例えば女の子になりたいとか、ちんちん取りたいとか、女の子のようにおしっこしたいとか」
仁はドキッとした。実は“仁”という名前は男の子なら“ひとし”とか“ひさし”などと読むが、女の子でもこの名前の人がいて、多くは“めぐみ”と読む。
仁は、学校では“ひとし”の読みで登録しているが、市立図書館とか、また様々な会員登録、ソフトウェアのユーザー登録、また美容院などでも“めぐみ”の名前を登録している。もちろん図書館や美容院などは女装で行く。
「実はぼくずっと女の子になりたかったんだ」
「だったら女の子に変えてあげるよ。赤ちゃんも産めるようになるよ」
「それがもう女の子になっちゃったんだよ」
「あれ〜?だったら何で私、仁(めぐみ)ちゃんの所に行って来てと言われてわざわざ札幌まで飛ばされたんだろう?」
などと女の子は言っている。
「ねえ、もし君がぼくを男の子から女の子に変えることができるのなら、逆に女の子から男の子に変えることできない?」
「なんで〜?女の子になりたかったんでしょ?」
「話が面倒だけど聞いてくれる?」
「うん」
仁の話はこのようであった。
・自分は元々女の子になりたかった。でもその気持ちをずっと隠していた。
・2004年春に大学に入り、ひとりで札幌に出て来て以来、女物の服を買い、それを着て暮らすようになった。大学に行く時以外、ほぼ女装である。将来は性転換手術を受けたいとも思っていた。
・昨年夏に旭川でキャミソールとミニスカで道を歩いていたら通りがかりの車に泥をはねられ、泥だらけになった。運転していた女の人が降りてきて「ごめんなさい。取り敢えずうちでシャワーでも浴びて」と言われたので、車に乗ってその女の人の家に行った。(*5)
・その人の家でシャワーを浴びて、服も洗濯してもらった。服が乾くまでの間といって可愛いシルクのドレスなど着せられた。
・その女の人に「君、女の子になりたいでしょ。女の子にしてあげようか」と言われ、同意したら眠っている間に女の子になっちゃった♪
・それ以降、大学だけ仮面男子として男装で行っているが、その他は完全な女子として暮らし、幸せ一杯である。プールや温泉にも女性として行っている。そのうち戸籍も変更したいと思っていた。
・ところが中学生の弟が自分と同様に女の子になりたいと思っていたらしく、弟も女の子に性転換しちゃった。父が少し怒っていたのを母や妹と一緒になだめて、許してあげるようにした。
・しかし父が怒りを収めてくれたのは、弟以外にも自分という男の子がいたからである。もし自分まで女の子になってしまったら父はショックで寝込んでしまうかも知れない。となると自分は男の子のままでいないといけない。
・だから女の子ライフを楽しんでいたけど、もし可能なら、自分は男の子に戻って女性と結婚し両親に内孫の顔を見せてやりたい。
(*5) 良い子は知らない人の車に乗ってはいけません!
※イカノオスシ
イカない
ノらない
オお声を出す
スぐ逃げる
シらせる
しかし誰かさんは誘拐手法がワンパターンだね。
「女の子になれて嬉しいんでしょ?男の子に戻っちゃっていいの?」
と魔女っ子千里ちゃんは訊く。
「頑張る。息子が2人とも娘になっちゃったら、お父ちゃんほんとにショックすぎると思うもん」
と仁(めぐみ)は答える。
「仁(めぐみ)ちゃんは男として生きられるの?」
「女装男子として生きる。女装を認めてくれる女性と結婚する」
「うーん。。。それなら君の妹になっちゃった弟や、父親への優しい心に免じて一時的に男の子にしてあげるよ」
「一時的に?」
「子作り終わったら女に戻ればいい」
「ああ」
「だから12年間限定で男の子にしてあげる。それではどう?」
「12年後には?」
「自動的に女に戻るようにタイマーをセットする」
「凄い」
「でもその時、奧さんから離婚を求められるかもよ」
「そうなったら仕方無い。謝るしかない」
「じゃこの男性器を取り付けてあげるよ」
と言って“魔女っ子千里ちゃん”は男性器を取り出した。
「それは?」
「君の妹のマナちゃんから取り外した男性器だよ。もっともこの男性器を使って子作りすると、遺伝子的にはマナちゃんを父親とする子供ができる」
「それは大きな問題ではない。マナの子供ならお父ちゃんの孫だし。ぼくはマナの子供であっても自分の子供として可愛がる自信がある」
「じゃこれ取り付けちゃうね〜」
と言って魔女っ子千里ちゃんはその男性器を仁の股間にくっつけちゃった。
「じゃねー。仮面男子がんばってね」
と言って、彼女は去っていた。
(大いなる疑問:マナの男性器って立つの?精子生産能力は?)
留萌司令室。
南階段下での衝突事件(1/20)のあと、千里VはGに尋ねた。
「ねね、千里RもFも消えなくなったし、3月の卒業式の後は、旭川と姫路に別れて住むし、このあとの“調整”って何をすればいいんだっけ?」
「確かにRとFの衝突みたいなことは、3月下旬以降は起きにくくなるだろうね」
と言ってからGも少し考える。
「千里Fは髪を切るなんて馬鹿なこと言ってるから、私たちが代理することもできないしね」
とGは言う。
「深川と姫路に司令室を作ったこと自体が無駄だったりして」
「まあ確かに千里って思わぬことをしてくれるからなあ」
「元々千里がたくさん居たからその調整が必要だったんだし」
「うーん・・・」
「私たちリストラされて、マカオの売春宿に売られるかマグロ漁船に乗せられたりして」
「いや仕事はあるぞ」
と言ってA大神様のエイリアスが示現する。
「それともマグロ漁船で労働したい?」
「船酔いするから無理です」
「特にFについては結構な調整が必要だと思う」
と大神様は言う。
「Fは大きな収入源を持っていない。多分その内自分で何か見付けるとは思うが」
「たぶん旭川Q神社にご奉仕しますよね?」
「すると思う。どうも留萌Q大神と旭川Q大神の間で千里の譲渡に関する合意が出来ているようだぞ。千里は旭川Q大神がもらって、沙苗は留萌Q大神が取る」
「ああ、人身売買だ」
「でもそれが当面の千里Fの学費・部活動費の原資になるだろう」
「ええ」
A大神は千里Fが多分もっと大きな収入源を見付ける気がしたが、この段階ではそれが何なのか、まだ分からなかった。
「ところがどう考えても、神社でのご奉仕とバスケット部の活動は両立しない」
「無理でしょうね」
「結局千里Y1がQ神社でご奉仕し、千里Bwが表面人格となる千里Fが男子バスケ部の活動をすると思う」
「Bsは?」
「Bsは千里が髪を短くしている間は決して出てこない」
「ほんとに髪を切るとか馬鹿なことはやめてほしいです」
「そうなると、Q神社のY1と、男子バスケ部のBwは接近してY1が消えることがある」
「ああ」
「旭川N高校と旭川Q神社の距離は6kmくらい。Fが意図的にQ神社に行かなくても、近所を通って“通過消し”する可能性もある」
「アン・パッサン(*6)ですよね。中学時代もかなりやられました」
「そんな時が君たちの出番だよ」
「良かったぁ。お仕事がある」
「売春宿に売り飛ばされずに済みそうだね」
「売春宿に勤めたいなら紹介してやってもよいが。君ならきっとたくさん稼げる」
「遠慮します」
「それに毎週週末にY1を電話で起こしてQ神社に行かせる必要がある」
「やはり朝のモーニングコールか」
(*6) アン・パッサン (en passant) はチェス用語。“通過取り”と訳される。チェスではポーン(Pawn 将棋の歩)が、相手の駒を取って更にその先に進むことがある。これをアンパッサン(通過取り)と言う。
「姫路のほうは調整必要ですか?」
「Y2が寝ている間は1人しか居ないから調整不要だと思う」
「やはり」
「ただY2が起きたら、きっとY2はRが苦手な理科の授業に出ると思う。しかしY2が学校に行っている間は、R自身が暇だからR本人に調整作業をさせればいい。両方稼働している状態はあまり無いと思う」
「なるほどー」
「だから姫路司令室はRに任せて、君たち2人が深川司令室勤務かな」
「やったぁ!私ひとりだけでは不安だった」
とVが喜んでいる。
「まあ1人では交替要員がいないからね」
現在GとVは交替で休んで、どちらかはいつも司令室のモニター前に居るようにしている。
それでRを司令室に呼んでこの方針を伝えると
「自分で自分の調整をするの〜〜?」
と言っていた。
「まあセルフサービスということで」
「ミッキーを姫路司令室の留守居役に使って、サハリンを深川と姫路の連絡役に使うといいよ」
「雑用係が必要なら誰かキツネの女の子を1人常駐させればいい」
佐藤仁(ひとし/めぐみ)はトイレで思った。
「ちんちんが付いてても、おしっこは女の子の位置から出るの〜?」
紙で拭く時も、男性器が付いているがために拭きにくい!(*7)
「これ邪魔だなぁ」
(ところで精液はどこから出るんでしょうね?精液を生産できたらだけど)
(*7) 膀胱の真下は、陰嚢の裏付近になるので、男性器と女性尿道口は両立可能である。
↓は17年後の“誰かさん”の股間
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女子中学生・セーラー服と移転中(3)