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■女子中学生・春ランラン(20)

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7月2日(土)留萌駅。
 
12:04の留萌本線留萌行の列車から、中学生っぽい姉妹が降り立った。
 
2人は実はこのようなルートで留萌に辿り着いた。
 
7/01 大阪0:32(サンライズ出雲:サンライズツイン) 7:08東京
この日は皇居に行った後、上野動物園で昼過ぎまで遊ぶ。上野動物園に“お上りさん”っぽい中学生がいても誰も怪しまない。
 
同日 上野16:20(カシオペア:カシオペアスイート)7/2 8:54札幌(*22) 札幌10:00(スーパーホワイトアロー7号)11:02深川11:08(留萌行)12:04
 
(*22) 7/1(金)に札幌行きカシオペアが少なくとも運行予定であったことは2005年7月版乗換案内で確認。カシオペアは通常は火金日に札幌行が運行されていたが多忙期には曜日を無視して隔日運行された。7/1が通常期か多忙期か微妙な気がしたので当時の乗換案内で確認した。
 
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2人は留萌駅近くにあったマクドナルドで姉はダブルバーガーのセット、妹はフィレオフィッシュのセットを食べる。
 
「たまにはこういう庶民的なものもいいね」
と姉。
「私は毎日マクドでもいい」
と妹。
「そう?あんた牛丼も好きって言ってたね」
「うん、あれは美味しい。私は松屋のが好み」
「ああ、松屋とか杉屋とかあるんだっけ?」
「すき家!」
「難しい」
「お姉ちゃんそういうの全然分からないよね。でもカレー粉はバーモントカレーだよね」
「だって美味しいじゃん」
「お姉ちゃん、あまり外食しないもんね」
「私ももっとそういう食べ物に慣れるべきかなあ」
などと姉は言っている。
 

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食事が終わった後、駅前まで戻りタクシーに乗って「C町のP神社まで」と言った。
 
「お客さんたち関西の方ですか?」
と老齢の運転手さんが訊く。
「ええ、三重から」
「もしかして2人だけで?」
「友人を訪ねてきたので」
「ああ、こちらにお友達がいるんですね」
 
運転手さんはひょっとして家出娘ではないかと心配したのである。しかし行き先が(お祭りの時以外は)どう考えても観光客など行きそうもないP神社と聞き、そこにお友達がいるというのであれば大丈夫だろう。宮司さんのお孫さんのお友達か何かかなと思った。
 
でも実は家出娘だったのである!!!
 

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姉が料金を払い、妹が「ありがとうございました」と言って2人はタクシーを降りる。そしてP神社の拝殿でお参りしてから御札授与所に居た女子中生に声を掛けた。
 
「村山千里ちゃん居る?」
「はい、えっとそちら様は・・・」
と言っていたら、当の千里が出て来た。
 
「紀美ちゃん、貞美ちゃん、いらっしゃい」
と笑顔で言う。
 
「千里ちゃん、久しぶり」
 
(このやりとりを見てから運転手さんは安心して帰って行った)
 
「あがってあがって」
と言って社務所の部屋に通す。祈祷を待つ人を入れる部屋だが、この神社で“祈祷を待つ”という事態は年末年始や例祭の時以外ではめったに発生しない。
 
小町がお茶とお菓子を持ってきてくれた。
「あ、これ結構美味しい」
「旭川のお菓子なんだけどね。ちょうど昨日行ってきた人が居たから」
「へー、私たち今朝札幌から旭川行きに乗った」
「50年くらい前は札幌から留萌への直通列車もあったらしいんだけど(*23)今は全部深川乗り換えなのよねー」
 
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(*23) 札幌−増毛間の急行「ましけ」が廃止されたのは1980年10月なので現在(2005年)からは25年前である。
 

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「札幌まではカシオペアに乗って来た」
と紀美。
「おっすごーい」
「展望室スイートだったよ」
「よく取れたねー」
 
展望室スイートは1列車に1室しかないので物凄く競争率が高い。昨年千里が乗ったのは同じスイートでもメゾネット型。これは6室あるので少しだけ取りやすい。
 
「親しくしてる旅行代理店の人が頑張ってくれた。6月3日の金曜日から始めて1ヶ月間、予約のボタンをクリックし続けて12回目での成功」
「すごーい!」
「東京まではサンライズ出雲で」
「へー。今紀美ちゃんたち出雲に居るの?」
「内緒」
「うん、いいよ」
 
(実は家出して来たので目下住所不定!)
 

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「それでさ、千里ちゃんジャンケンしない?」
「ジャンケン?何の?」
「いいから」
「うん」
 
それでジャンケンすると、紀美がパーで千里はチョキである。
 
「負けたぁ」
と言って紀美は悔しがっている。
 
「負けたから潔く教主の地位は千里ちゃんに譲るわ」
「理数協会の?私はそんなものには興味無いよ」
「そうなの?じゃ貞美が継ぐ?」
 
「かったるーい。そんなのより私パイロットになりたいな」
「パイロットとか凄いね」
「ボーイング767ジャンボを操縦してみたい」
「ジャンボは747だけど」
「あ〜れ〜」
 
この姉妹なかなかいいコンビだなと思った。
 

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「じゃ教主は**ちゃんとかが継ぐのかなあ」
 
例の光辞を恵雨さんが書写させてみた人だ。一度会っているが、典型的な巫女タイプの人だと思った。ある程度の霊的な力がありそうだった。
 
「やりたい人がやればいいんじゃない?紀美ちゃんが継ぐのかと思った」
 
この子そういうのが好きそうだし。この子が教祖を名乗れば多分1000人はすぐに信者が付く。
 
「千里ちゃんにジャンケンで負けたから継がない」
「ふーん」
「だって曾祖母ちゃん無茶苦茶ジャンケン強いんだよ。私どうしても勝てない」
「ああ強いだろうね」
「私**ちゃんにも##ちゃんにもジャンケンで勝てるのに」
 
「ジャンケンで決まるのか」
と貞美が呆れている。
 
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「ねね、ここに“光辞”がフルセットあるんでしょ?見せてくれない?」
「いいよ」
と千里は言うと奥の部屋に案内する。桐の箪笥があり、その中に光辞の“写し”は納められていた。光辞は和紙に書かれている。
 
「すごーい!でもこれ私にはチンプンカンプン」
「意味が分かって読めるのは恵雨さんだけだと思う。私は読むけど意味が分からない」
「へー」
と言って紀美はその記号の列を眺めていた。
 
(これは“写し”ではなく“コピー”なのだが、和紙にインクジェットで印刷されたものなので、コピーであることが分かりにくい。本物の写しは実は物置きに置かれている)
 

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「紀美ちゃんたち明日帰るの?」
と千里は何気無く訊いた。
 
「ううん」
「まさか日帰り?」
「いやずっとここに居ようかと思って」
「ああ、もう夏休み?」
「いやここに住もうかなと」
「え?お母さんは?」
「母ちゃんが集会に行ってる隙に出て来た」
 
千里は少し考えた。
 
「まさか家出〜〜!?」
 
「私は付添い。お姉ちゃんが1人で旅したら絶対目的地に着けない。留萌に行くつもりできっと鴨居(神奈川県)か雲井(滋賀県)、へたすると中国の廈門(あもい:福建省)に行っちゃう」
と貞美。
 
北海道の留萌(るもい)に行こうとして間違って中国のアモイに着くなんてことは・・・紀美ならあり得るかも!?
 

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「ねぇ、取り敢えず今夜泊まるとこどこか無いかな」
と紀美は言う。
 
千里は腕を組んで考えた(*24).
 
「お母さんにちゃんと連絡するなら斡旋(あっせん)してもいい」
「まあ母ちゃんには連絡しないと叱られるかな」
と紀美も言う。
 
それで紀美は自分の携帯から母(真理)の携帯に掛けた。
 
怒声が聞こえる。かなり叱られているようだ。しかししばらく話している内にどうも向こうは落ち着いて来たようである。
 
「母ちゃんが千里ちゃんに代わってって」
「OKOK」
 
それで千里が代わると真理は最初に光辞の作業が中途半端で終わったことを詫びた。その件では千里が、夏休みに河洛邑に行って作業の残りをすることで恵雨さんと話が付いたことを述べた。その上で紀美たちについて夏休み中だけでも、適当な所に泊めてやってくれないかと頼まれた。費用は全部出すからというので了承した。
 
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「じゃ案内するよ」
と言って千里は紀美・貞美と一緒に出掛ける。
 
(*24) 千里Yが考えている内にGと入れ替わった。だから紀美たちを沙苗の家の隣(正確には1軒及び道を挟んで隣)に案内したのは千里Gである。
 
┏━━┓┏━━┓細┏━━┓
┃原田┃┃斉藤┃い┃★★┃
┗━━┛┗━━┛道┗━━┛

 

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神社から150mほど離れる。
 
「この家を自由に使って」
「ここは?」
「私の別宅みたいなもの。今何にも使ってないから取り敢えず夏休みが終わるまで紀美ちゃんたちが使っていいよ。布団とか最低限の食料はあとで持って来させる」
 
「ありがとう」
 
「電気と水道は来てるから何とか暮らせると思う」
「電気と水があれば何とかなるかな」
「あ、そうそう。下水道は無いから台所やお風呂の排水は家の前の溝にそのまま流れるから」
「トイレは?」
と貞美が訊く。
「汲取り(くみとり)」
「つみとりって何だっけ?」(*25)
 
(*25) 紀美たちは生まれた時から下水のある所で暮らしているのでバキュームカーを見たことがない。1960年代頃からバキュームカーが登場する以前はほんとに作業員さんが桶で汲み取って屎尿運搬車まで運んでいた。前後に2つの桶が付いた天秤のようなものを使っていた。
 
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千里はA大神の指示でW町の家に用意していた寝具を星子に頼んでライフで持って来てもらった。
 
千里Gも大神からは「お客様が2人来るから」とだけ聞いていて紀美たちとは思いもよらなかつた。
 
ついでに基本的な鍋と調理器具、炊飯器、ケトル、食器もジャスコで買って運び込ませた。また簡単にできるものとして、カレーの材料とお米2kgを買って来た。
 
ここで星子はいつものくせでバーモントカレーを買ってきたが紀美は
「あ。私の好きなバーモント・カレー甘口だ」
と喜んでいた。それでこの家のカレーも以降バーモントカレー甘口になる。
 
「毎日P神社で夕方から勉強会してるから、紀美ちゃんと貞美ちゃんも来るといいよ。同年代の女の子がたくさんいて、話も結構合うと思う」
と千里は言う。
 
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「女の子だけなの?」
「男の子は女装するなら参加してもいい」
「面白ーい!私女装して参加しよう」
「紀美ちゃんなら性別ばれないと思うよ。でも女装男を射殺するというのはやめたんだ?」
「心が女だから女の服を着てるという子はOK。心が男のくせに女装している変態野郎は射殺してやる」
「ほほぉ」
 
田代君、射殺されなきゃいいけど、と千里は心配した。
 

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「そうだ。紀美ちゃんお金大丈夫?何なら少し貸そうか?」
「あ、それは大丈夫。持ってきたから」
と言って旅行バッグを見せる。
 
「まさかそれ着替えとかじゃなくて現金なの〜?」
 
逆にこの2人は着替えをあまり持っていなかったので、白虎と南田兄に留守番をさせておき、星子が今度は姉妹を連れてジャスコに行き、少し買物させた。
 
千里は現金を大量に持っておくのは危険といって地元の銀行に口座を作らせ、そこに入金することにした。真理さんに委任状を送ってもらい、コリンが付いていって(南田兄に銀行前まで護衛させた)地元のS銀行に口座を作る。
 
(南田兄が行内に入らないのは銀行強盗と誤認!?されないため)
 

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「口座を作りたいんですけど」
「はい、ありがとうございます」
 
「友人の子供でしばらく留萌に滞在するんですけど、夏休み中多額の現金を持ち歩くのも不用心だし、地元の銀行の口座使うと、こちらでは引出し手数料がもったいないのでこちらの銀行に口座を作らせて頂こうと」
 
「分かりました。御本人の保護者さんが一緒でない場合は委任状か何かが欲しいのですが」
「持って来ました。それとこれ本人の住基カードです」
「了解です。これでお作りします。本日はいくらかご入金なさいますか」
「はい。これお願いします」
と紀美はカバンをカウンターに置く。
 
「あのできたらカバンから出して頂けないかと」
「出すのが大変なので」
「と言いますと・・・」
と窓口の係の女性は戸惑っている。
 
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「お姉さん、中見たら分かる」
とコリン。
「はい?」
と言って窓口のお姉さんは笑顔でカバンの中を覗いた。
 
ギョッとする。
 
こんな田舎の支店でこんな量の現金を目にすることはなかなか無い。
 

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結局行員が5人掛かりで1時間かけて数え何度も確かめて、2億9430万円あることが分かった。数えている間、コリンと紀美は支店長が応対し、極上の紅茶とケーキを頂いていた。
 
「この金額でよろしいでしょうか」
「そちらで数えてそうならそれでいいと思います。箪笥の中から適当な額をカバンに移して持って来たから(←ふつうそれを窃盗と言う)」
「はあ、箪笥の中ですか」
 
支店長は、この家は無造作に何億円もの現金が箪笥に入っているのか、凄い家だと思った。
 
(ちなみに真理は現金が3億円ほど無くなっていることに気付いてない)
 
とにかくそれでこの銀行の通帳とカードを発行してもらった。
 
「ちなみにいくらか定期にしていただくことは」
「じゃ切りのいいところて2億円分は定期に」
「はい。すぐ移動させていただきます」
 
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女子中学生・春ランラン(20)

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