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「司先輩」
と言って揺り起こされる。
「あれ?朝だっけ?」
「今は23時過ぎです」
と尚美ちゃん。
「どうかしたの?」
「今から一緒にお風呂に行きません?」
「えーっと」
「だって先輩、明日は登板なのにお風呂に入ってぐっすり寝ないと疲れが残りますよ。もし多少の不都合があったとしても知り合いの女子と一緒ならきっと何とかなります。それに私さっきも言いましたけど、司先輩の裸を見ても、性別のことは誰にも言いませんよ」
司は考えた。確かに彼女と一緒にお風呂に行くというのがいちばん上手い方法のような気がする。
「一緒に行こうか」
「はい」
それで司はお風呂セットと着替え、部屋に用意されていたタオル、バスタオルを持ち、水野尚美と一緒にお風呂に行ったのである。
地下まで降りて、目の前には今どき珍しい遊戯室がある。後で加藤君たちに聞いたのでは、エアーホッケーとかスマートボール!とかクレーンゲームとかが並んでいたらしい。(一応ここで遊ぶことは禁止と言われている)
ここから左手に行くと男湯、右手に行くと女湯である。司は
「もうぼく男湯に入ることはないかも知れないな」
と思いながら、尚美と一緒に右手の女湯のほうに行った。
夜中なので人が少ない。20代の女性が数人いる。でも司は気にせず、尚美と並びのロッカーを選び、服を脱いだ。司の下着姿があらわになる。でも尚美は特に変な顔もせず、自分も服を脱ぐ。司がブラジャー(試合中はスポーツブラを着けていたが終了後普通のブラに交換した)を外しショーツを脱いでも特に何も言わずに自分もブラジャーとショーツを脱いだ。さすがに彼女のバストは直接見ないようにする。
それで浴室に移動し、各々洗い場で身体を洗う。
やはり疲れた後はお風呂だなあと思った。汗と共に疲れが流れ落ちていく感じである。髪を洗い、顔を洗い、豊かなCカップのバストを洗い、腕を洗い、お腹を洗い、お股を丁寧に洗う。そして足を洗い、指先まできれいに洗った。
全身にシャワーを掛けてから浴槽に入る。司が浴槽に入ってから1〜2分して尚美が入ってきて、近くまで来る。
「ちょっとだけ触らせてください」
と言って尚美は司の胸に触った。
「Cカップですよね?」
「去年の春頃はAだったけど、腕立伏せとかしてたら大きくなった気がする」
「やはり腕立伏せって効くんですね!」
「水野さんも頑張るといいよ!」
「はい」
「ただし試合中はスポーツブラが必要」
「そうですよね!」
「でないと胸の筋を痛めると思う。今日は下着メーカーの5000円くらいのスポーツブラ着けたけど明日はスポーツ用品メーカーの8000円くらいのスポーツブラ着ける」
「ああ。凄い」
その後はごく普通の話題を話した。NEWSやKAT-TUNの話とか、一部で流行り始めていた目の周りを真っ黒に塗るパンダみたいなメイク、ドラえもんの新声優陣の話、などなど。司も乗っていき、1時間くらいおしゃべりしたところでアクビが出た。
「あ、ごめんなさい。疲れてますよね」
「そうだね。そろそろあがろうか」
「はい」
それで2人はお風呂からあがり、身体をバスタオルで拭いて新しい下着を着けた。司はポカリスウェットを自販機で2本買い、1本は尚美に
「おごり」
と言って渡した。
「ありがとうございます!」
そして部屋に戻ると
「私寝るね〜」
と言って、布団に潜り込んでぐっすり寝た。1日たくさん運動してお風呂に1時間入ったので、夢も見ないほど完璧に熟睡した。
翌日朝起きた時に、凄く身体が軽い気がした。トイレに行くとたくさんおしっこが出た。
「このおしっこの出方が普通になっちゃったなぁ」
尚美と一緒に朝食に行き、部屋に戻ってから1時間くらい目を瞑ってイメージトレーニングする。10時頃、バスで会場に入った。
準決勝が行われる。相手は春の大会で1回戦で当たったG中である。もちろん彼らは司を馬鹿にしたりしない。しかしこの試合には司が先発したので
「あの女子、キャッチャーだけじゃなくてピッチャーもするのか」
と感心していた。
司は
「女の身体では今一(いまいち)スピードが出ないなあ」
と思いながらも丁寧なピッチングで相手を押さえていった。
司は現在女の身体ではあるが、120km/h近いスピードボールなら出る。これは男子の高校生チームでも一応ピッチャーができる速度である。元々彼は小学校の時パワフルなエースだった。
G中は春の大会で最後にトリプルプレイを食らって負けたリベンジに燃えていた。特にその三重殺打を打ってしまった相手エース・丸井君は無茶苦茶気合が入っていた。しかし気合が入りすぎて球筋が定まらない。
初回いきなり先頭の橋坂君にデッドボールを与えてしまう。続く柳田君のバントを丸井君自らが捕って・・・二塁に投げた!
すると俊足の橋坂君は二塁に滑り込んでセーフ。二塁手から一塁手に送球したらこれを一塁手が捕れない!
結局、ノーアウト23塁になってしまう(投手の野選と二塁手のエラーが記録される:中高生の試合ではわりとありがち)。
そして迎えるバッターは春の大会で丸井君からサヨナラ本塁打を打っている菅原君である。初球はレフトへの巨大飛球だがわずかに逸れてファウルとなる。内野手が集まる。ベンチから伝令が走る。丸井君は何度も首を振っていたが最後は受け入れた。でも不満そうである。
結局菅原君は敬遠の4ボールとなる。
塁が埋まる。
そして4番の阪井君を迎える。
いきなりデッドボール!
押し出しでS中は1点を先制した。
G中は丸井君をライトに回し、2年生の谷口君をマウンドにあげた。谷口君は前川君に内安打を打たれて2点目を失ったものの、小林君を三振、加藤君をインフィールドフライ、宇川君をショートゴロに打ち取りピンチを切り抜けた。
2回以降は司と谷口君の投げ合いが続く。谷口君はスピードはあまり無いもののナックルなどというS中の打者が経験したことのない決め球を持っており、打てそうでなかなか打てない。毎回ランナーは出るものの後続を断つ。ただコントロールが微妙でキャッチャーが捕れない投球も多かった。(元々ナックルは捕球しにくい)
しかし6回裏、先頭の加藤君が振り逃げで一塁に生き、宇川君がバントできっちり送って1アウト二塁となる。バッターは司である。
相手は内角へのストレートで1ストライク、外角へのカーブがぎりぎり入って更にストライクを取り、0−2と追い込む。次はボールで打ち気を外すかなと思ったら飛んできた球は微妙に揺れ動く。ナックルだと思う。司は「当てようと思っても当たらないからタイミングだけ合わせよう」と思いバットを振った。
そしたら当たった!
ただ元々球速が遅いからあまり飛ばない。
打った感触はスタンドまで行きそうな気がしたのだが、打球は1バウンドしてからスタンドに入った。
エンタイトルド・ツーベースである。
二塁の加藤君が生還する。司は二塁まで安全に進塁する。これで0−3。
谷口君は点を失ったことより得意のナックルを打たれたことがショックだったようである。次の東野君にフォアボールを与えてしまう。
ここでライトに入っていた丸井君が戻ってきて、柳田君を三振。そして因縁の菅原君をピッチャーゴロに打ち取ってこの回を終わらせた。
そして7回表、相手は左打者の代打を出してきた。外角低めの外す球に無理矢理バットを伸ばして当ててテキサスヒットとなる。しかし司は冷静である。次の打者がバントを試みたのをダッシュして捕球。矢のような球を二塁に送ってランナーを殺し、更に二塁から一塁に送られて打者走者もアウトになる。
そしてまた出て来た代打の左打者を司は120km/hのスピードボールで三振に取ってゲームセットである。それでS中は春の大会に続き、北北海道大会の決勝に進出した。
決勝は次の土曜日に行われる。
なおこの試合を旭川T中の監督と選手たちがじっと見ていた。この日は第1試合でT中が決勝進出を決めており、留萌S中は第2試合だった。それで自分たちの試合が終わったT中の部員たちがこの試合を偵察したのである。
S中では6月20-22日(月火水)、期末テストが行われた。千里Yと千里Rはまた例によって分担して試験を受けた。
R:国語・英語・社会・美術
Y:数学・理科・保健・音楽
ただYは理科の試験を受けている最中に難しい問題で考えている内に“消えちゃった”!びっくりした千里GはそこにVを即転送した!
Vは顔を洗っている最中を転送されてギョッとする!
千里の後ろの席に座っていた蓮菜は
「今千里が一瞬消えた気がするけど、多分気にしない方がいいよね」
と思った。
教室内を巡回していた先生は千里を見てびっくりする。
「村山さん、なんで顔がずぶ濡れなの?」
「すみみませーん、考えても分からないから水でもかぶったら分かるかなと思って」
試験中なのに教室中が爆笑する。
「でも顔は拭いてから試験解いたほうがいいね」
「そうします」
と言って千里(V)はハンカチで顔を拭き、私入浴中でなくて良かったあと思いながら、試験問題に取り組んだ。
ということで理科は半分くらいVが解いた。
技術・家庭・美術の実技は普段の授業の状況で評価すると言われた。音楽の実技はY、体育の実技はRが受けて、そこそこの評価を取った。
Yは
「今日は調子が悪いみたいね」
と言われたが
「左右の卵巣が同時に生理になったからかも」
と言って、また笑われていた。
でもYにはIPS細胞から作った卵巣と、小春の卵巣があり、卵巣を4つ持っている。もっとも小春の卵巣はもう既にほぼ機能喪失しているが。
千里(R)は、映子から声を掛けられた。
「千里ちゃん今年も吹奏楽の大会に出てくんない?」
「いつあるの?」
「8月6日土曜日」
「うーん。微妙な日程だな」
Rは千里Gに直信して訊く。
『ねね、私8月6日は留萌に居る?』
『居るよ。7日から旭川に移動する』
とGは即答する。
「6日は居るみたい。私が居なかったら多分別の千里が代理する」
Gが苦笑している。その時はVにやらせようと思っている。
「じゃお願い。これ楽譜。これのフルート2を頼みたいの」
実際譜面のフルート2の所にマーカーで印が付けてある。
「OKOK。でも練習には出られないと思う」
「本番でちゃんと吹いてくれたらいいよ」
「じゃそういうことて」
その日の夕方、千里Rは部活を休むとタクシーでW町まで行く。そしてGに直信する。
『私の居る場所たぶん分かるよね?星子ちゃんをちょっとこちらに寄越してくれない?』
『了解』
それでGの指示で星子が出ていく。
「久しぶり〜。この楽譜、“私”に渡しといて」
「分かりました」
「じゃねー」
それでRは軽くジョギングして駅前まで戻った。
Vが訊いた。
「Rはこの付近だろうという所まで突き止めたのかな」
「いやこの場所は分かったと思うよ。ただ自分が30mルールでここに到達できないのも分かったから星子を使ったのだと思う」
とGは言った。
星子は翌日学校に行くと
「これ楽譜のコピー取りましたから」
と言ってコピーを1部Rに渡した。
「サンキュー。お疲れ様」
貴子さんは楽しそうに言った。
「あんたとうとう女の子になりたくなったのね。よしよし。可愛い女の子に変えてあげるからね」
「明日水泳の授業があるんです。男の身体ではやばいので女の子になりたいんです」
と雅海は言う。
なおブレストフォームは既に取り外している。
「そのまま永遠に女の子でいいよね?」
「取り敢えず、修学旅行が終わるまででお願いします」
「遠慮することないのに。このままずっと女の子ライフを楽しみなよ」
「後のことはまた後で少し考えさせてください」
「分かった。取り敢えず少し眠りなさい。目が覚めた時はもう醜いちんちんも無くなって、可愛い割れ目ちゃん、気持ちいいクリトリス、お嫁さんになるために必要なヴァギナができて、おしっこも楽に出来るようになって、素敵なバストができて、君はもう女の子だよ」
それで雅海は眠りに落ちて行った。
貴子は不快そうに言った。
「どうして男の娘に戻りたいのよ。女の子のままでいいじゃん」
「明日水泳の授業があるんです。女の子のままでは水着になれないので」
と司は言う。
「可愛い女子水着着ければいいじゃん」
「ぼく男子選手ということになってるのにそんなことできません」
「面倒くさいね。でもその内女の子になりたいよね?」
「後のことはゆっくり考えますけど、取り敢えず今は男に戻してください」
「まあいいや。じゃ少し寝ててね。目が覚めた時は残念だけど男の娘だよ」
「お願いします」
「でもちんちんは無くてもいいよね」
「え〜〜!?」
と言いながら司は眠りに落ちて行った。
6月23日(木).
今日はS中の体育館1階にあるプールで3年生の水泳の授業が行われる。
沙苗・セナは女子生徒なので普通に女子用スクール水着を持って出掛けた。
公世は「女子用スクール水着用意しておいたよ」と姉から言われたものの「ぼくは男の子だから」と言って普通にトランクス型の男子用水着を持ってでかけていった。
雅海は女の子の身体に変えてもらったので安心して女子用スクール水着を着て出て行った。
留実子は不本意ながらも女子用スクール水着を持って行った。
鞠古君は女子用スクール水着と男子用トランクス型水着を持って行った。これを重ね着するのである。バストがあるのでトランクス型水着だけではまずい。ちんちんが付いてるので女子水着だけでもまずい。
さて司の場合はこうであった。
彼はもちろん男子用のトランクス型水着を着るつもりで用意していた。そのために男の娘?に戻してもらった。
朝起きてみたらバストは消失して男のような胸になっていたもののお股は女の子の形でちんちんは無く、割れ目ちゃんがあったのは気にしないことにした。取り敢えずバストが無ければ男子水着になれる・・・と司は思った。
ところが・・・・・
朝母が入ってくる。
「つかちゃん、あんたの水着買っておいたよ」
と言って女子用スクール水着を渡す。
「ぼくそんなの着ないよ。これ着るよ」
と言ってトランクス型水着を見せるが、叱られる!
「つかちゃん!女の子がこんな水着を着れるわけないでしょ!おっぱい曝したら警察に捕まるわよ!ちゃんと女子用水着を着なさい」
と言って、トランクス型水着は没収された!
(当然!)
「うっそー。今日はおっぱい無いのに女子用水着なんて着られないよぉ!」
と司は困った!
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女子中学生・春ランラン(16)