広告:まりあ†ほりっく 第2巻 [DVD]
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■女子中学生・春ランラン(13)

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6月1日(水).
 
この日から中高生は衣替えである。ただし北海道の6月はまだ雪が降ったりするので6月いっぱいは冬服を着てもいいことになっている。また男女とも合服としてこれにベストを着てもよい。むろん男女でベストのボタンの付き方は逆である!
 
沙苗・セナは普通にブラウスとスカートで出て行った。少し寒い気がしたのでベスト(もちろん女子用)を着て行った。
 
公世は普通に?ブラウスと(女子用)スラックスで出て行った。彼は男子トイレの個室を使っており、着替えは保健室である。彼はいまだに自分が着ているのがワイシャツではなくブラウスであることに気付いていない(なぜ気付かないのかは筆者も分からない)。女子用スラックスを穿くのは体型が変わってしまい、男子用が合わないからである。
 
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潮尾由紀も普通に?ブラウスと女子用スラックスに女子用ベストで出て行ったが、クラスメイトから「もうゆきちゃんの服装は女子制服とみなせる。トイレは女子トイレを使うこと」と言われ、トイレに行く時は手をつないでもらった。着替えは女子のクラスメイトが女子更衣室に連れ込もうとしたが「女子更衣室なんて無理〜」と言うので、結局、公世や司と同様、保健室での着替えになった。
 
(女子更衣室に行くと解剖されると思うから逃げて正解)
 
「早朝ジョギングとかしてるんですか?」
と由紀は着替えの時一緒になった公世と司に訊いた。
 
「うん。ゆきちゃんも来ない?」
「行ってみようかなあ」
「自転車で並走してくれる人、お姉さんか誰かを頼んでね。ゆきちゃんが遅れてもぼくたちは置いてくから」
「分かりました!」
 
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それで由紀はお姉さん(高校生でやはり剣道をしている)に伴走してもらって朝のジョギングをするようになった。
 

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雅海はブラウスとスラックスに女子用ベストで出て行った。実は学生服では胸が苦しかったのでそれを脱いでブラウスとベストになりとても楽になった。
 
「雅海ちゃんはこれで完全に女子ということでいいね」
「秋に冬服に戻る時は普通にセーラー服を着るように」
と言われていた。雅海は女子トイレ・女子更衣室を使用している。
 
司はブラウスとスラックスに“男子用ベスト”で出ていった。
「司ちゃんはそろそろ女子更衣室に来ようか」
「女子更衣室なんて無理〜」
と本人が言うので、結局更衣室は今まで通り保健室着替えとなる。司はトイレは女子トイレを使用している。
 

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6月4-5日(土日).
 
野球の夏大会留萌地区予選がおこなわれた。強飯監督はもちろんこの試合の指揮を執った。司ももちろん参加する。試合は1回戦ではH中と対戦した。
 
「なんで向こうは女がマスクかぶってるの?」
「さあ。でもS中はここ1年で物凄く強くなってる。その中で先発メンバーに指名されたのなら女ではあっても多分凄い選手だと思う。甘く見ないほうがいいぞ」
 
(賢明だね)
 
H中は昨年夏の大会でも司を見ているのだが、その頃は司はまだ男にも見えたのである。彼の容姿は新人戦の頃から女子にしか見えないようになってきた。
 
(きっと卵巣がお仕事始めたせい)
 
試合ではH中は司の凄い牽制球を目にし、実際牽制死が相次ぐと
 
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「このキャッチャーがいると、リードは短めにしないと危ない」
という認識になる。
 
試合はS中の1年生小森君が好投し、攻めては前川君のソロホームランで1−0で勝利した。
 

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翌日の準決勝はT中とである。T中は昨年の新人戦で司を見ており、警戒していた。牽制死しないようあまり塁から離れないようにする。T中は昨年同様、前川君の多彩な変化球にうまくミートできず、ゴロが多い。時々ランナーは出るものの、なかなか塁を進められない。
 
一方でこの日は1年・柳田君がヒットで出塁した後、相手ボークで2塁に進み、バントと犠牲フライで生還して1点をあげた。前川は制球を乱しながらも何とかこの1点を守り切って勝った。
 

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この日の夜、司の自宅の部屋に貴子さんが出現した。
 
「あ、貴子さん、いい所へ」
「どうかした?」
「雅海が早く男の子に戻りたいと言ってるんですが、彼の所にも行ってあげてもらえません?」
 
「ああ。でもあの子はそろそろ生理のはず」
「ありゃあ」
「だから戻すにしても生理が終わってからだね」
「仕方ないですね」
 
「あんたもそろそろ生理だから女の子にしておくね」
「え〜〜!?」
 
「目が覚めたら素敵な女の子だよ」
と言って貴子さんは司にタッチしてから姿を消す。
 
「ちょっとぉ!」
 

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6月6日(月).
 
千里Rは部活を終えて18:00ジャストに校門を出ると学校前の長い坂を下る。S町バス停で待っている間にコリンが買い物袋(マイバッグ)と白い箱の入った袋を渡すので
 
「さんきゅ」
と言って受け取る。その内、部活を終えた?玲羅が降りて来るので手を振る。玲羅は卓球部で、剣道部の隣のエリア(体育館のステージの上!)で練習している。剣道部より先に上がった。千里たちが女子更衣室に行った時はもう着替え終わっておしゃべりしていた。千里たちが更衣室を出る時もまだおしゃべりしていた。多分先生に追い出されたのだろう。
 
「玲羅、この買物先に家に持って帰って」
「いいけどお姉ちゃんは?」
「小春んちに寄ってくる」
「神社じゃないんだ?」
 
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18:20の羽幌行きバスに乗り、C町で降りる。そして四つ辻で玲羅と別れて小春の家に行く。このC町バス停から小春の家への道はP神社から30m以内を微妙に通らないのがミソである。
 

 

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「小糸、ハッピーバースデイ」
と言って、小糸の“お母さん”である小春に黄金屋のケーキの箱を渡す。
 
「わあありがとうございます!」
と小糸が喜んでいる。
 
ケーキは、6個である。小糸・小春・コリン・小町・千里で6つ。数がおかしい気がするのはきっと気のせい。
 
それでその場に居る小糸・小春・千里(R)の3人でケーキを食べ(小町は神社に居る)、千里(R)は
 
「じゃごはん作らないといけないから帰るね」
と言って帰った。
 
それでRは自宅に戻り、玲羅が一応冷蔵庫に入れてくれていた材料を使って晩御飯を作り、玲羅と母に食べさせた。
 
もちろん先に帰った玲羅が御飯を作ってくれているなどということはない!玲羅は漫画を読んでるだけである。
 
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普段は遅くまで神社で仕事をしている千里(Y)がこの日は20時であがり、小町を連れて小春の家にやってきた。
 
「小糸、ハッピーバースデイ」
と言って、ボンヌ・ドゥースのケーキの箱を渡す。
 
「あ、ありがとうございます」
と言いながらも小糸は戸惑っている。小春はおかしさをこらえながらも
「千里ごめーん。今日は私もケーキ買っといたんだよ」
「あっそうなんだ?」
「千里が買って来てくれた分は冷蔵庫に入れといて明日食べよう」
とコリンが言う。
 
「千里と小町の分も買っといたから食べてかない?」
と小春が言うと小町が嬉しそうに
「食べる」
と言うので、コリンが紅茶を入れてあげて、千里と小町はコリンと一緒にケーキを食べていた。
 
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「そうだ、これも買ってきた」
と言って稲荷寿司も出すので
「わーい」
と言って小糸は稲荷寿司をおいしそうに食べていた。
 
この後、小町はコリンが神社まで送っていき、千里は自宅に戻ろうとしたが、もちろん途中で消滅した!
 
小春と養女の小糸はこの家に、小町は神社に住んでいる。小町のフィアンセである源次は小春の家のお隣、鈿女神社の社務所に住んでいる。御飯は小春が持って行ってあげている。彼は今年中には小町と結婚させてもらえる予定。彼は小町が妊娠したら去勢される運命であることをまだ知らない!
 

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6月9日(木).
 
雅海と司は2度目の生理を経験した。
 
「これ辛いけど1度目ほどではない気がする」
 
「司ちゃん、生理中の練習は大変じゃない?」
「朝のジョギングは公世ちゃんに言われて生理中は休んでる。部活の練習の時は生理用ショーツ着けてないとかなりやばい」
「大変だね」
「由紀ちゃんも生理中はジョギングお休み」
「あの子生理あるの?」
「あるみたいよ」
「うーん・・・」
 
「お母ちゃんからタンポン使ってみる?と言われたけどちょっと怖い」
「ああ」
 
「でも次の試合までには収まってると思うから何とかかな」
「生理に試合がぶつかると辛いね」
「うん。女子選手って大変だよ」
 

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ところで、村山家はC町の古い市営住宅に住んでいるのだが、ここはスケソウダラの漁がかなり盛んだった1960年代に建てられたもので、かなり老朽化している。元は50棟(100世帯)ほどあったのだが、海側の2/3くらいが取り壊されており、現在は15棟(30世帯)しか残っていない。市営住宅が取り壊された後は民間に払い下げられ、そこに(原田)沙苗の家や鞠古君の家などが建つ。
 
村山家は市営住宅群の中でもいちばん上の列にあり、利便性が悪いので民間への払い下げの対象にならず古いまま残されている。ここの道は途中から細くなり、留実子の家のある付近あたりから車のすれちがいが困難な道になる。
 
そして村山家の所より先は車の通れない細い道になる(この道がどこに通じているのかは住人の間でも意見が分かれる!つまり誰も通ってないようなので恐らく途中で通行不能になってる)。
 
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細い道は村山家の前から海岸側へも続いており、この細い道を降りきった右手(神社側)に(原田)沙苗の家がある。
 
(再掲)

 

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千里は毎朝この細い道を駆け下りると沙苗に声を掛け一緒にジョギングをする。そして留実子の家の前を通るところで彼女にも声を掛け、3人で一緒に走る。この一周はだいたい300mくらいあり、3人は毎朝ここを15-20周(5-6km)を走っている。ただしかなり傾斜のある道を走るので負荷的には10km分くらいに相当する。沙苗はだいたい10周くらいでへばるので離脱。毎日15-20周しているのは千里と留実子だけである。
 
でも3人が走っていると近所の人たちは
「男の子1人と女の子2人で走ってるのね」
「男の子がガード兼任だね」
「あそこの坂道は人通りがなくて寂しいもんね」
と言って見ている。
 
もちろん“男の子”というのは丸刈り!の留実子のことである。
 
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この細い道は千里の小学生時代は冬には雪に覆われて通行不能になっていたが、今は千里が眷属に除雪させるので毎朝走ることができる。また夏は女装もとい除草させている。
 
しかし千里が走る前、夜中の2〜3時に除雪作業を行う眷属さんもご苦労様である。(ご褒美は清酒1升)
 

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中学の3年間で1度だけヒグマに遭遇した。
 
先頭を走っていた留実子がギョッとしたように止まり
 
「刺激しないように」
「後ずさりで後退」
と小さな声で言う。
 
千里が無言で前に出る。
 
ヒグマはとうもタヌキを食べていたようだ。千里が熊に向かって歩いて行くと熊がこちらに気付き向かってくる。
 
「千里ー!」
と留実子が思わず大きな声を出す。
 
5mくらいのところでエネルギー弾を頭頂にぶつけて瞬殺。
 
留実子と沙苗がおそるおそる近づいてくる。
 
「脳を瞬間的に破壊したから苦しまなかったはず」
と千里は言う。
 

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「さ、気にしないでジョギングの続き続き」
と千里が言うのでおそるおそる熊の死体を避けて向こう側へ行く。
 
「警察に通報したほうがいいのでは?」
と留実子が言うが
 
「ヒグマの1頭くらいで大げさな」
と千里は言ってジョギングを続ける。
「るみちゃん、早川ラボではこんな感じで月に2〜3頭ヒグマが出没してる。エゾシカも来る、私もなんか慣れっこになっちゃった」
と沙苗。
 
「なんつーワイルドな環境で練習してるの?」
「応援団もあそこで練習する?いくら大きな声出しても苦情来ないよ。今剣道部と野球部が練習してるけど」
「そんなところでやってたら、ひとりずつ食べられていって“そして誰もいなくなった”になりそうだ」
 
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留実子にしてはなかなか気の利いたジョークだった。恐らくショックを忘れようと焦っている。
 
3人が一周してきた時はもう熊の死体は無い。
 
「まだ生きてたのかな」
「カラスか何かが食べたんじゃない?」
 
もちろん九重に命じて早川ラボに持っていき血抜きしている最中である。
 

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女子中学生・春ランラン(13)

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