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■女子中学生・春ランラン(3)

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23日には小平町でバスケットの大会が行われた。S中女子はシードされていたのだが、千里と留美子が双方居ないと得点もできないしリバウンドも取れない。成長中だった点取り屋の伸代まで居なくなったのでM中にダブルスコアで敗退。早々に消えた。
 
昨年R中と何度も死闘を演じたチームとは思えない、あっけない敗退だった。R中は対S中の秘策を練っていたのにSが初戦で消えるとは“想定外”(*2)で、拍子抜けであった。
 
数子は1年生たちが何か話し合ってる風なのが何とも不気味な気がした!
 
男子のほうも、昨年の3年生の学年が抜けたことで実力が落ちまくっており、こちらも初戦敗退してしまった。
 
(*2) この年、ホリエモンこと堀江貴文が使った“想定内”“想定外”が流行語となった。
 
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4月24日(日)、増毛町体育館と増毛中学を舞台に、中体連剣道の大会が行われた。
 
今回の大会で団体戦の参加校は男子10校、女子6校である。男子は1回戦→2回戦→準決勝→決勝(4校が1回戦から/6校が2回戦から)となるが、女子は1回戦→準決勝→決勝である。4校が1回戦から、2校が2回戦(準決勝)からであるが、当然S中とR中が1回戦不戦勝でシード(*3)されている。
 
団体戦
9:00 男子1回戦(2) 女子1回戦(2)
9:30 男子2回戦(4) 女子準決勝(2)
10:00 男子準決勝(2)
10:30 女子決勝(1)三決(1)
11:00 男子決勝(1)三決(1)
 
(*3) シードとは「種を蒔く」という意味で、大会の組み合わせ表(bracket)において強いチームをトポロジー的に遠い所に置き、対戦ができるだけ後で起きるようにすること。不戦勝が発生する場合不戦勝できる場所に置くことが多いが、不戦勝そのものをシードというのではない。この付近は時々誤解している人がいる。
 
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S中は9:30頃からの2回戦(準決勝)からだが、先鋒・次鋒・中堅までで3勝して順当に決勝戦となる。当然相手はR中である。両者のオーダーはこのようであった。
 
先鋒:月野聖乃(1級)2年
次鋒:原田沙苗(二段)3年
中堅:羽内如月(初段)2年
副将:沢田玖美子(初段)3年
大将:村山千里(二段)3年
 
先鋒:山倉綾耶(1級)1年
次鋒:中村桃実(1級)1年
中堅:田詩歌(1級)2年
副将:前田柔良(初段)3年
大将:木里清香(二段)3年
 
S中は新人戦の時とオーダーが変わってないが、R中は先鋒・次鋒を変えてきた。部員数が多いから多分実力僅差の部員が多いのだろう。S中の場合、清水好花が伸びそうで伸び悩んでいる。男子かと思うほどの長身だが、その体格が必ずしも有利に働いていないようである。
 
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先鋒戦、相手の山倉綾耶は長身の選手であるが、パワー勝負になると最近筋力を鍛えている聖乃も負けていない。2分までに2本取って勝つ。次鋒の中村桃実はあまり体格が無く、その分スピードのあるタイプ。でも沙苗の敵では無かった。あっという間に沙苗が2本取る。
 
ということで、最初の2試合はあっけなくS中が勝った。安藤先生が頭を抱えていたので、もしかしたらオーダーの読み違えかも知れない。後で沙苗と玖美子が話していたが、向こうはこちらのオーダーを、ノラン/如月/沙苗と予想していたのかも。
 
中堅戦の如月vs詩歌は、普段からたくさん対戦している同士の組合せとなった。激しい戦いが繰り広げられる。双方一歩も引かない攻防が続く。しかし時間切れ寸前、如月が胴で1本取った。
 
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それでS中の優勝となった。千里は優勝はしたものの木里さんと対戦できなかったので不愉快だった。木里さんも負けたことより、千里と対戦できなかったのが不愉快なようであった!
 

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男子のほうはこういうオーダーだった。
 
春女秀香(1)/吉原翔太(2)/潮尾由紀(2)/竹田治昭(3)/工藤公世(3)
 
例によって
「なんでそちらは女子が3人も入ってるんですか?」
と言われ、
「工藤さんも潮尾さんも春女さんも男子への参加が認められています」
という説明で始まる。
 
(完全に“女子選手だが男子への参加が認められている”ということにされている(*4))
 
しかし2回戦も準決勝も大将戦に行く前に勝って上位に上がっていく。そしてS中とR中で決勝戦になった。しかし今度は大将戦に回る前に、副将の竹田君のところで負けてしまい、準優勝に終わった。竹田君が
「ごめーん」
と言っていたが、総合力では向こうが強いからやむを得ない。
 
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結局団体戦では公世は一度も試合をしていない!
 

(*4) 剣道部男子に異様に男の娘が多い問題について、当人も小さい頃はよく女の子と間違われていたという佐藤君は
「たぶん女性的な性格だから『男らしくなるように』と武術をやらされた結果」
と言っていた。
 
佐藤君自身は思春期以降は女の子と間違われることはなくなったという。
「まなちゃん、女の子になりたくなかった?」
「べ、べつに」
 
(怪しい)
 
彼は長髪の多いS中運動部男子の中で珍しい坊主頭である。その件に付いて沙苗は『たぶん髪を伸ばすと女の子に間違われるから』と言っている!
 
ただ、佐藤君は身長が174cmもあり、女装する場合はそれがネックになる。
「欧米に行けばその身長でも女性に見てもらえるかも」
「別に女装する趣味は無い!」
 
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(怒る所がますます怪しい)
 

12時から個人戦が始まるが、個人戦は男子は増毛町体育館(8面)、女子は増毛中学校体育館(4面)と分離される。
 
「なんかいつも女子が狭い会場に移るの差別と思わない?」
「そんなこと言っても男子のほうが参加人数多いし」
「多い人数は広い会場でないとさばけない」
「女子の参加人数のほうが多ければ、女子が広い会場を取ることになると思う」
「うむむ」
 

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女子のスケジュールはこのようになっている。参加者は77人である。
 
12:00.1r 26->13 (77->64)
12:28.2r 64->32 (64->32)
13:24.3r 32->16
13:52.4r 16->8
14:06.QF 8->4
14:16.SF 4->2
14:26.三決
14:36.Final
 
まず、1回戦から出た丸橋五月・棚橋揺子・佐倉美比奈はいづれも敗退した。2回戦で消えたのが3年生の世那と真由奈、1年生のエヴリーヌとカレンであった。3回戦で、聖乃、真南、ノランが消える。今回、好花はここを勝ち上がり、Best16にS中は5人(千里・玖美子・沙苗・羽内如月・清水好花)残った。
 
4回戦はこうなった。
 
千里S○−×倉岡C
吉田M○−×田R
桜井F○−×羽内S
前田R○−×神田H
沢田S○−×木下M
中村R○−×清水S
原田S○−×井上C
木里R○−×広島K
 
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R中の中村さんは1年生で唯一Best8に残った。これは組み合わせの運が良かったのもある。本人も「まぐれまぐれ」と言っていた。
 

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そしと準々決勝。
千里S○−×吉田M
前田R○−×桜井F
沢田S○−×中村R
木里R○−×原田S
 
順当に最強の4人が残り、準決勝では千里と木里清香が勝ち、この2人での決勝となる。2004年1月の新人戦以来、5回連続である。ここまでは村山3勝・木里1勝であったが、2人の実力がほぼ等しいのは誰の目にも明らか。
 
例によって息つく間もない、激しい勝負が展開される。どちらも本割では1本が穫れず延長戦となる。時間切れ寸前、双方最後の勝負。お互いに面打ちに行ったところで「面あり」の声。旗を見ると赤1白2。判定が割れたものの清香の勝ちであった。千里は挨拶をして下がった後、思わず首を振った。しかしこの2人の勝負では審判の旗が割れやすい。実際戦っている本人たちもどちらが早かったが、分からなかった。
 
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そういう訳で、今回は清香が優勝て千里が2位であった。
 

男子のほうでは公世が圧倒的な強さで1位。R中の所沢君が2位、3位がC中の広瀬君、4位にS中の竹田君が入った。BEST8に潮尾君(さん?)が入っている。
 

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休み明けの25日、バスケ部の1年生3人が揃って退部届けを提出した。そして波頭由紀は女子剣道部に参加を申し込み、残りの2人は女子バレー部に加入した。
 
千里は数子と由紀と3人で話し合い、“日程が重ならなかったらバスケ部の試合にも参加する”
という条件付きで、女子剣道部に入ることになった。だからバスケ協会の登録も維持する。バスケ協会の会費、スポーツ少年団の余分な会費は千里が払う!
 
「千里先輩が払って下さるんですか」
「私、留美子の会費も払ってるし。もはやついで」
 
これで女子バスケ部は彼女を入れると5人確保できることになる。
 
「でもきっと剣道部のほうがバスケ部より練習はきついよ」
「素敵です。私身体を鍛えたいから。男に負けない力を付けたいんですよね」
「うん。女は強くなくちゃね」
 
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「でも由紀ちゃんが2人になるね」
 
(潮尾由紀もほぼ女子とみなされている:彼女の名前を「よしのり」と読む人は居ない)
 
「ああ、潮尾さんでしょ?小学校の時は、向こうが“ゆっこ”で私が“ゆっきー”でしたね。ついでにバスケ部の雪子さんは“スノー”で」
 
「そうか。君がバスケ部に行った場合もゆきちゃんが2人なのか」
「ゆきってありふれた名前なんですよ」
 
しかし彼女を入れて女子剣道部1年は7人の大所帯となった。(2年4人3年5人)
 

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2005年4月25日9時18分頃、JR福知山線でスピードを出し過ぎた電車が脱線して近くのマンションに激突。車両が潰れる悲惨な事故で、運転士を含む107名が死亡、562名が負傷。1991年の信楽高原鐵道列車衝突事故(死者42名)を上回る戦後4番目の大事故となった。
 
この事故を上回る戦後の事故というと、八高線の列車脱線転覆事故(1947 184名)、鶴見事故(1963 161名)、三河島事故(1962 160名)であり、安定期に入ってからは信じがたいほどの大事故となった。
 
そして今回の事故を引き起こした要因としてJR西日本がおこなっていた“日勤教育”という前時代的な懲罰制度が国会でも問題にされた。
 

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今年のゴールデンウィークの状況は下記であった。
 
4.29(金)みどりの日(*5)
4.30(土)
5.01(日)
5.02(月)平日
5.03(火)憲法記念日
5.04(水)国民の休日
5.05(木)こどもの日
5.06(金)平日
5.07(土)
5.08(日)
 
(*5) この年“昭和の日”を創設する法案が通り、2007年から実施された。そのため、2006年までは4月29日は「みどりの日」であった。
 

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3-5日がきれいに週の真ん中に入ってしまい、あまりゴールデンではない。千里や清香たちは今年は旭川には行かず、“早川ラボ”で準合宿をすることにした。また如月たちは天野道場のほうで練習をする。
 
早川ラボで準合宿をするのはこのメンツである。
S中:千里、玖美子、沙苗、公世
R中:清香、柔良
指導者:道田、弓枝
 
早川ラボ組は、早朝海岸に集合して5kmジョギング(公世は10km)。保護者の車で早川ラボに移動して1日練習。夕方また海岸に移動して5km(公世は10km)ジョギングである。
 
むろんS中は休み中の部活は禁止なので、建前的には、
「個人で練習しているが、たまたま同じ場所での練習になったので手合わせもしている」
ということになっている。
 
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天野道場で練習したのはこのメンツである。
S中:如月、聖乃、真南、潮尾由紀
R中:詩歌、中村桃実
指導者:忌部
 
潮尾由紀は女子制服を着て道場に来ていた。
「もう連休明けからはそれで学校に来る?」
「そんなとても恥ずかしくてできません」
「その格好で外を歩いているなら今更だと思うなあ」
 

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女子中学生・春ランラン(3)

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