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■女子大生・冬景色(16)

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1月16-17日はセンター試験がおこなわれた。
 

1月19日 - 日本航空が会社更生法の適用を申請(事実上の倒産)。
 

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朝日は12/31-1/1の後、1/5-6、1/12-13に和彦と一緒に過ごし、その間は魔女っ子千里ちゃんに女の子の身体に変えてもらっていたのだが、1/2の朝、1/7の朝には男の身体に戻ったのに1/14朝には戻らなかった。朝日は
「魔女っ子千里ちゃん」
と彼女を呼んだ。
「男の身体に戻らなくて女の子のままなんだけどなぜ?」
「ああ。生理が近いからだよ。生理が終わったら男の娘に戻るよ」
「生理?」
「ナプキン浸けていた方がいいよ。着け方分かる?」
「うん」
「男の娘はみんなナプキンの使い方は分かるよねー。じゃ頑張ってね」
 
生理は15日朝に来て3日ほど出血は続いた。生理ってこんなに辛いのかと思った。毎月これやってる女性は偉いよ。って私もこの後毎月これするの?
 
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生理が落ち着いたところでまた和彦とのデートの日(19-20)になったため、結局男の娘に戻ったのは21日朝であった。
 

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留萌では1月18日(月)から学校が再開された。
 
1月20日(水)、アキの小学校では“着物会”が開かれた。留萌和服普及連合会とかいうところの協賛で、児童はみんな和服を着せてもらい、体育館に集合する。体育館にはストーブが焚かれ、折り畳みテーブルとパイプ椅子が並べられており(5−6年生で並べた)、そこに座って冬の星座などの映像をプロジェクターで天井に張ったスクリーンに映したのを見ながら、お茶とお菓子をいただく。
 
星の解説は札幌のプラネタリウムの人がしてくれた。オリオン座などの冬の星座の解説、織姫と彦星の話とか、北極星の見つけ方とかみんな興味深く聞いていた。
 
お茶は抹茶の薄茶で紙のコップに注がれている。お菓子はヤマサキの三色団子である。
 
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「三回回すんだっけ?」
「紙コップではあまり回す意味無いと思う」
 
和服は女子は赤やオレンジ・ピンクなどの系統の着物、男子は紺色や灰色の着物で、全部洗濯が簡単なポリエステル製である。着付けは男女別に部屋を分けて、市内の呉服店の人たちがしてくれた。アキは当然!女子グループに入れられ、赤い絣(かすり)模様の着物を着て、黄色い帯を締めてもらった。
 

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「女子は色鮮やかだな」
「沼田君も女子の和服着る?病院に行ってちょっとお股の形を直してもらえば女子の着物が着れるよ」
「いや、いい」
「大内さんは直し済みなんだっけ?」
「お前女になれと言われて手術したらしいよ」
「ああ。市民病院でチョキンと切ってもらった。沼田も切ってもらいなよ。邪魔なチンコ無いとすっきりしていいよ」
「僕は切りたくないし、邪魔でもない」
「今チンコ切るの流行ってるんだよ。東京じゃ去年1年間にチンコ切った人が1万人いたらしい」
「そんなに?」
「女物のパンツの売上が凄く伸びてるらしいね」
「へー」
「いとこの中学なんて、男子テニス部員が全員チンコ切って女子部員になってショートパンツからスコートに穿き換えたって。みんなスコート穿きたかったって嬉しがっているらしい。うちも先々月父ちゃんがチンコ切っておっぱい作って女になってスカート穿いて会社行ってるし、先月は母ちゃんがチンコ切って、先週は月曜日に中1の兄貴がチンコ切って姉貴になって制服も学ランからセーラー服に変えてコーラス部でテノールからソプラノに移動されたし、水曜日には5年生の兄貴がチンコ切って姉貴になって男子ソフト部から女子野球部に移籍になって、金曜日には3年生の兄貴もチンコ切って姉貴になって、今週はぼくがチンコ切って女になったし、来週は幼稚園の弟がチンコ切って妹になる予定」
 
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「じゃ一家全員女になったんだ?」
「そそ。こないだまで男物のパンツ7枚洗濯して干してたけど、来週弟が妹になれば女物のパンティ7枚干すようになる予定」
「凄い家だ」
「性別変更届けを7枚、市役所に出した」
「ああ」
「家のトイレも男便所を女便所に改造した」
「男トイレ使う人が居なくなるからね」
 
「でもお母さんにもちんちんあったの?」
「女湯に入った時にちんちん見られて恥ずかしかったけど無くなったおかげで、恥ずかしがらずに済むって喜んでた」
 
ってか、ちんちん付いてるのに女湯に入っていいの〜?
 
「沼田君もちんちん取って女湯に入っても恥ずかしくないようになろう」
「女湯とか入らないよー」
 

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会では6年生の女子・若林さんがピアノで『冬の星座』を弾き、また5年生が『森は生きている(原題:12月(じゅうに・つき))』の劇もした。またプラネタリウムの人が月のこと、満月のことを解説した。月の満ち欠けが起きる原理がプロジェクターで説明されたが、アキたち1年生にはよく分からなかった。でも月がいつも同じ面を地球に向けているので、月の裏側の様子は月ロケットができるまでわからなかったというのは「へー」と思った。また月の模様が国によって色々なものに見えるとされているお話とかはみんな興味深く聞いていた。
 
・うさぎの餅搗き
・ハサミを振り上げている蟹
・編み物をしている女性
・木の下で休む男
・吠えているライオン
 
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「でも若林さん、ピアノ上手いね」
とアキが言うと、由真が
「うん。美由紀さんは、うちの教室で一番上手いと思う。中学生よりよく弾くよ」
と言う。
「ああ、由真ちゃんもピアノ習ってるんだったね」
 
由真はよく神社に置いてある電子ピアノやエクレトーン?も弾いている。
 
(エレクトーンでっせ)
 
「うん。アキちゃんも習わない?」
「そうだなあ」
 
それでアキが母に訊いてみると
「練習するのなら習ってもいいよ」
と言う。それでアキは由真も通っている町中の音楽教室に通うことになった。また家での練習用に電子キーボードを買ってもらった。ほかに神社には電子ピアノが置いてあるので神社に行った時はそれも弾かせてもらっていた。
 
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千里が12月に製作依頼していた備前榧の碁盤・将棋盤が取り敢えず4個ずつできたので具(そなえ)に持ち込み、展示した。日向榧の碁盤も具に持ち込んでいるが、これは展示はしていない。「日向榧の碁盤あります。詳細はスタッフまで」と掲示しているだけである。これは日向榧の碁盤なんて高額ゆえにそう売れるものではないので、長期間展示していて日光などで劣化するのを避けるためである。なお購入する場合、振袖などと同様、分割払いが可能である。
 
でも日向榧の碁盤は2010年中に東山店と四条店とあわせて5個も売れた!日向榧の将棋盤が欲しいという要望もあったので千里は夏には2本目の日向榧を棋花に持ち込んで碁盤・将棋盤を半数ずつ製作依頼した。薩摩柘植の将棋駒も製作してもらっている。
 
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千里は公世を連れて雅の東山本店に行った。祥代さんが応対してくれた。本店の責任者は副店長の前田さんなのだが、お客様によっては隣接する東山工房の責任者である祥代さんが対応している。
 
「私の友人が成人式で着る和服を作りたいと言っているのでお願いできないかと思って」
「それはぜひ手描き友禅で」
「いえ、色無地の三つ紋でお願いできないかと」
「あら、そんな地味な。付き添いのお姉さんと間違われちゃいますよ。振袖着ましょうよ」
「いえ、この子は男の子なので」
「そうでした?ごめんなさい」
「医学的には結構微妙らしいんですけどね。本人が自分は男だと主張しているので」
「分かりました。バストとかが目立たないようにサイズにゆとりを持たせてお作りしましょう」
「お願いします」
 
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それで祥代さん自身で採寸してくれた。色はサンプルを見て、おしゃれな茶色系統の色に決める。
「紋の入れ方は?」
「日向紋(ひなたもん)の、プリンタでいいですから、描き紋とかではない本当の染め紋でお願いできないかと」
「今の時期からなら大丈夫ですよ」
 
公世は「千里ちゃんと一緒に来てよかったぁ。一人で来てたら絶対振袖を作るはめになってた」と思っていた。家紋とかの用語も全然分からないし。
 

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紋の入れ方には輪郭だけを描く陰紋(かげもん)と、中身までちゃんと描く日向紋(ひなたもん)がある。日向紋が正式で陰紋は略式になる。名家などでは、本家の人が日向紋を使い、分家の人は遠慮して陰紋を使う場合がある。
 
染め紋というのは、生地に紋が染まっているもので、完全なオーダーメイドになるから時間もかかるし当然料金も高い。略式の物は家紋を刺繍で入れてしまう。これを“縫い紋”という。更には家紋のシールやワッペンを粘着したり縫い付ける“貼り紋”もある。レンタルの着物に家紋シールを貼ったり中古の着物にワッペンをアイロン貼りしたり、縫い付けて使うこともある。
 
ここで染め紋にも数種類あり、多くは予め紋を入れる予定の所に白抜きの円(石持:こくもち)を作っておいて注文されてからそこに地色と同色の染料で手描きする。これを描き紋という。
 
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千里が言ったのは、そうではなく生地を染める時に本当にその紋を染めるものである。普通の呉服屋さんではできないこともあるが、雅のように生地の染めからやっているお店なら、やってくれるところもある。当然描き紋より時間もかかるし料金も高くなることが多い。しかし雅はプリンタ染めにするなら実は描き紋などより安い!千里はそれを知っていたので頼んだのである。
 
描き紋などは熟練の職人さんによる手作業だし、染め抜き紋でも昔は反物に防染剤で家紋を描いたあとで染めに出していた。しかしプリンタ染めならパソコン上でペーストするだけであとはプリンタがやってくれる。ただし生地から作るので時間は掛かる。
 
なお紋の数は格式が高いのは五つ紋で、三つ紋→一つ紋と格式は下がるが、成人式には五つ紋は堅苦しすぎるので三つ紋くらいが好まれる。
 
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五つ紋:背中の中央、両袖の後側、両胸
三つ紋:胸の紋を入れない。背中と両袖。
一つ紋:背中のみ
 
かつては振袖にも紋を入れていたが、今日では入れる人はほとんど居ない。
 

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「ところで工藤様の家紋は何ですか?」
「え?」
 
ここに至って公世が自分の家紋を知らないことが判明する。
 
公世は最初、姉の弓枝に電話したが姉も知らないと言う。姉が母に尋ねてくれたが、母も知らなかった。結局父のお姉さんに訊いて“三つ引き両”であることが判明した。
 
「いや最近は家紋なんて使う機会が無いから自分の家紋を知らない人多いですよね」
と祥代さんも言っていた。どうしても分からず適当な紋(通紋)で作ることもあるという。
 
通紋というのは誰が使ってもいいことになっている紋で、レンタルの着物は通紋で作られる。花菱紋、桐紋とか揚羽蝶とかは通紋として知られている。
 

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1月31日(日・定ん)、ブラウンホテルの土地が雅に引き渡された。四条店の建て替え作戦が始まる。
 
四条店が1ヶ月半にわたって使えなくなるので、雅は仮店舗を設置することにした。四条通りをはさんで向かい側になってしまうのだが、お年寄り夫婦が土産物店をもうやめようとしていたのを1/31-3/30の2ヶ月間借りることにした。それで一部の着物をそちらに運び込み、その後は大力工務店が雅の旧店舗とブラウンホテルの建物を一晩で撤去。基礎工事を始めた。仮店舗は(旧)四条店の半分の面積だがやむを得ない。ご注文を頂いていたお客様に仕上がった服などを渡すのが主たる目的である(電話などで連絡をもらえたら、東山本店や京極店などで渡すことも可能)。
 
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仮店舗に入りきれない服や生地などは東山工房の3階に移動している。
 
工事計画
 
1/31(定ん)ブラウンホテルの土地引き渡し/四条店一時閉店(引越開始)
2/07(開く)建築工事開始/仮店舗オープン
3/22(定ん)竣工(戻し開始)
3/30(建つ)新四条店オープン
 
 
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女子大生・冬景色(16)

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