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■女子大生・冬景色(4)

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「ねえ、ライラちゃん、最近の私からコピーされたんだよね」
と玲羅はライラに確認した。
「うん」
「だったら今週このあと私の代わりに学校に行って」
「え〜!?」
 
(元のライラなら学力不足で特進の授業が理解できなかった)
 
それで玲羅本人は12月23日(水祝)の午前中、桜ジェットで旭川空港から神戸空港に飛び、ポートライナーと電車を乗り継いで京都南邸に行った。
 
「ああ玲羅今年はこちらに来たんだ?」
「クリスマス近いし」
 
取り敢えずその日の午後は清香と一緒に大阪に行き、メンチカツとお好み焼きを食べた。
 

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24日(木)はロビン自身が玲羅を京都観光に連れて行く。
 
まずは京都御所に行く。入口のところでハガキを見せて入場する。
 
「何かチケット?」
「似たようなもんだけど、京都御所と桂離宮は見学したい人は事前に往復葉書で日付指定して申し込んでおく必要があるんだよ」
「なるほどー。それをちゃんと申し込んでいるのはさすがお姉ちゃんだ」
 
そのあと、清水寺(きよみずでら)に行くが、
 
「お姉ちゃん、お寺大丈夫だったんだ?」
と玲羅に訊かれる。
 
「私(赤)や緑は平気。黄色や青はお寺に入れない」
「なるほどー。大変だね」
「私や緑も教会は入れるけど居心地が悪い。それと“ア”で始まる祈りの言葉が発音できない」
「ああ。私も発音できない。あれは信者さん以外では無頓着な人しか発音できないと思うよ」
「南無阿弥陀仏は発音できるんだけどね」
「私も〜」
 
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実はお寺問題があり、夜梨子には京都ガイドが難しいので、玲羅が北邸に来た場合はコリンか公世に案内してもらうつもりだった。それに木曜日の午前中、夜梨子は京平とデートだし(京平にはクリスマスケーキもあげた)。
 
なお翌月、青は通用口からならお寺に入れることが判明する。要するに山門を通過できないのである。(奥尻島のお寺で桃川春美のノートを発見する)
 

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清水寺・地主神社の後、雅の東山工房に連れて行き、絵付け見学室を見せる。
 
「わあ、こうやって色を付けているのか。きれいなもんだね」
と見取れている。
 
そこに工房長代理の祥代さんが来るので、千里は会釈した。
 
「村山さんの妹さんですか?」
「ええ。玲羅、こちらはここの工房の責任者さん」
「あ、お世話になります」
「こちらこそ。そうだ、妹さんにワイロ差し上げます」
「わあ、ワイロとか袖の下とか山吹色のお菓子(*4) とか大好きです」
「こちらへ」
 
ということで祥代は玲羅を本店の建物に連れて行き、ウールの街着をプレゼントしてくれた。
「友禅の作品でなくて申し訳ないですけど」
 
玲羅は千里に目で確認してから受け取る。
 
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「ウールの着物ってシルクの着物以上に使い手があるよね」
「そうなんですよね。お友達と会うのにとかも使えるし」
 
ちなみに祥代さんが著ているのはシルク製の小紋である。工房で普段に著ている勤務著であろう。
 

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(*4) 東北地方のお菓子屋さんで本当に黄金色の小判の束状のお菓子が発売されたことがある。
 
宮崎康平さんが言っていたが、昔は講演の謝礼というのはきちんと決めてないことが多かった。ある時講演が終わってから「ありがとうございました」と言われて菓子箱を渡されたので今日の謝礼はお菓子か。まあいいかと思った。それで帰宅してそのお菓子を食べていたら底に封筒が入っていた!
 

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玲羅は本店2階の着付け室でこの着物を着付けしてもらい、今日はこの後この服で回ることになる。
 
「これそんなに高いものではないよね?」
と玲羅は千里に確認する。
「8000円くらいのものだと思うよ。だから気にすること無いよ」
「私には高額だなあ」
「祥代さんが著ていたのは7万円くらいのシルクの服だよ」
「着物ってやはり高いんだね」
「安いものもあるんだけどね。木綿の絣(かすり)とか」
と千里が言うと、
 
「何か呼んだ?」
と言って木綿の絣(かすり)の着物を着た女の子が出現する。
「呼んでないから帰りなさい」
と言ってアンパンを渡すと
「はーい」
と言って“魔女っ子千里ちゃん”は姿を消す。
「あの子、どこにでも出てくるよね」
「そして余計なことする」
「よく食べ物をねだられる。おにぎりとかあげている」
 
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「まそれで一般の人は1970年代頃以降、安い普段着はみんな洋服を着るようになったから和服は高めの服で販路を広げようとした。結果的に和服は高いというイメージを持たれてしまった」
「そういう営業政策って難しいね」
「うん」
 

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雅の後は、三十三間堂を見てからタクシーで下鴨神社に移動し、更に上賀茂神社→金閣寺と回った。
 
「和服は・・・歩くのがなかなか大変だ」
などと言っている。下鴨神社は2kmくらい歩いている。さすがに茶屋で30分くらい休んだ。
 
「日本女性がおしとやか、という海外でのイメージは和服で動きを制限されるからというのもあるだろうね」
「うん。これでは走れない」
「有馬温泉で和服の仲居さんが自転車に乗ってるの見たことあるけど」
「パワフルだなあ」
「まあ和服で走り幅跳びはできないかもね」
 
(筆者は和倉温泉で本当に和服で自転車に乗る仲居さんを見たことがある)
 

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この日はこれで南邸に帰った。公世がケーキを買ってきてくれていて、百合さんがフライドチキンを作ってくれていたので、それを頂いた。
 
翌25日は木嶋坐天照御魂神社(このしまにますあまてるみたまじんじゃ)(*5) ・広隆寺・北野天満宮・平安神宮の後、新京極界隈でお洋服などを見てから、マベルに連れて行く。
 

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(*5) 三柱鳥居で有名な所。名前が難しいことから、しばしば境内社の名前で“蚕の社”(かいこのやしろ)と呼ばれている。御祭神は天照御魂神(天火明神?)。蚕養神社はあくまで境内社。
 
すぐそばにある広隆寺は弥勒菩薩の半跏思惟像で有名。(奈良・中宮寺の如意輪観音半跏思惟像とよく比較される)
 

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マベルでは
「お帰りなさいませ、お嬢様方」
と声を掛けられて玲羅がぎょっとしていた。
 
「こういうお店初めて来た」
「ここはいたってまともな店。最近はいかがわしい店が増えてるけどね」
「なんかテーブルも店内の調度も素敵ね」
「うん。ルイ王朝風。ウェイトレスさんの服もルイ王朝風」
「へー」
「ロココの時代だよね。同じ懐古調でも最近流行りのゴシックとは全然違うでしょ?」
「そのあたりはよく分からない」
「今度東京に行ったら神田のエヴォンという店に行ってみるといいよ。ここの姉妹店だけど、そこはゴシックだから。ヴィクトリア王朝風」
「ふーん」
「ここのオーナーもエヴォンのオーナーも早稲田大学の西洋貴族史講座の卒業生」
「専門家なんだ!」
 
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「だから時代考証もしっかりしてる。ここのウェイトレスさんの制服は、ここのオーナーさんのお友達がやっているネック・マジトゥール(nec mergitur)というお店の商品。1着10万円する」
「ネック?」
「Fluctuat nec mergiturってパリの紋章なんだよ。“揺れても沈まない”という意味。パリって元々船乗りの町だから」

 
「そうなんだ。でも家具にしてもコスチュームにしても凄いお金掛けてる割にはここのメニューの価格は良心的。採算取れるのか心配になる」
「半分趣味という気はするよ」
 
やがてコーヒーが来る。
「美味しい」
「インドネシアのセレベス島で作ってるコーヒー。ここの標高1000m以上のところにある農園でトラジャ族の人たちが育てたコーヒー豆はキーコーヒーが“トアルコトラジャ”の名前で輸入している。ブルーマウンテンと並ぶコーヒー豆の最高級品。でもこの豆は700-900mくらいの場所の農園でトラジャ族ではない人たちが育てた豆。豆の品種は同じアラビカ種なんだけどね」
「へー」
「だから味はワンランク落ちるけど値段は3割くらい安い」
「お買い得じゃん」
「ね」
 
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そのあと来たオムライスも美味しい美味しいと言って食べていた。
 
「ところで玲羅行く大学とか絞った?」
「国公立は無理だから私立だけどね」
「うん」
 
S高校から国公立は無理だろう。以前なら四大自体難しかったが特進科ができてから毎年旭川のA大学に10人くらいずつ送り込んでいる。
 
「札幌文化大学の芸術学部音楽科を考えてる」
「専攻は?」
「ピアノ」
「ピアノ専攻なんて凄い子ばかりなのでは」
「そうでもない。ここは9月から11月にかけて実施されるプレ講座6回のうち4回以上に出席して、後はトルコ行進曲か小犬のワルツが弾けたら入れてくれる」
「トルコ行進曲なら楽勝じゃん」
「うん。目を瞑ってても弾ける」
「トルコ行進曲弾くのに目を開けておく必要は無いと思うけど」
 
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キーボード弾きは指の感覚だけで鍵盤を押せるので鍵盤を見る必要は無い。
 

「まあ最低限の技量があるということだよね。あと4回出席しろというのは、やる気の問題でしょ」
「まあAO入試みたいなものか」
「青のお姉ちゃんが学費は心配するなと言ってるんだけどね」
 
「うん」
「音楽やる場合、自宅での練習が課題だと思うのよ。札幌郊外のどこか安いところでいいから練習場所を作ってくれない?」
「北広島とか江別でもいい?」
「とても素晴らしい。ピアノはCクラスかクラビノーバでもいいから」
 
つまりそこにもピアノが欲しいということである。Cクラスというのはヤマハの廉価グランドピアノである。廉価といっても一番安いので160万する。ちなみに留萌のロゼ家に設置したピアノは500万ほどした。
 
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「あはは。今使ってるのを運んでいくとか」
「それでもいい。その時は留萌にクラビノーバを」
「OKOK」
「あと安いのでいいからヴァイオリンがほしいなあ」
「それは以前使ってたのをあげるよ」
 
これは南邸に帰ってから鈴木のNo.520をあげた。
 
「ありがとう。練習する」
 
中級者用のヴァイオリンだが、玲羅は幼稚園の頃に千里のヴァイオリンを弾いていたので初心者段階は卒業しているはずである。(母が通販で教本付き3万円で買ったもの:ちょっとした騒動で警察の人に壊されてしまった。No.520は中学の時に買ったもので当時12万円だった。現在赤の千里はヤマハの30万円くらいのヴァイオリンを使っている)
 
実際玲羅は双葉にリクエストされてその場で『G線上のアリア』を弾いてみせた。ヴァイオリンに触ったのが10年ぶりであってもこの程度は弾けるのがさすがである。
 
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