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■女子大生・冬景色(13)

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雅の福岡支店にはほぼインテリアとして透明なグランドピアノが置かれており、朝日はお客さんが途切れた時などに、このピアノを弾いていた。
 
曲は『さくら(日本古謡)』『花(瀧廉太郎)』『荒城の月』『春の小川』『おぼろ月夜』、『Grren Sleeves』『Last Rose of Summer』『Amazing Grace』『Home on th Range』『Country Road』『Scarborough Fair』『すみれの花咲く頃』『野ばら』『菩提樹』『ドレミの歌』『エーデルワイス』などといった唱歌の類いやリチャード・クレイダーマンの曲などが多い。今年(2009年)6月に亡くなったマイケル・ジャクソンの曲も声変わり前の『ベンのテーマ』から超大ヒット曲『スリラー』まで結構弾いた。
 
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このピアノは最初は音程がおかしかったが、朝日が弾いているので店長が調律師さんを呼んで正しい音が出るようにしてくれた。
 
朝日がピアノを弾いていると通りがかりの買い物客が結構足を留めてくれる。お店の一角には休憩コーナーもありテーブルと椅子が置いてあるのでそこに座って聴いている人たちもあった。お客様からリクエストがあるとその曲を弾く。朝日のレパートリーは2000曲くらいあるし、最新ヒット曲や名曲の楽譜集も用意しているので求められた曲のほとんどが弾けた。(キーボード弾きにはこういう人がわりとザラに居る)
 
若い女性客が休んでいたら悦美が
「良かったら振袖の試着とかなさいませんか?試着は無料ですよ。記念写真もお撮りしますし」
と声を掛ける。
 
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無料と聞いて結構な客が応じた。高島さんが着付けして、坂口君がチェキ!で記念写真を撮って渡した。お客様の携帯で写真を撮る場合もあった。
 
(チェキ!とは富士フイルムのインスタントカメラ。その場で写真がプリントされる)
 
ここのビル(ミルマ)はデートスポットになっているので結構カップル客も居る。そういう場合は女性に振袖を着せて男性と並んでいる写真を撮ってあげる。男性客も和服の試着希望の場合は紋付き・袴を着せて並んでいる写真を撮ってあげる。
「もう結婚式の記念写真はこれでいいことにしようよ」
などと女性側が言っているカップルもあった。雅福岡店オリジナルの金印模様の婚姻届けも配布した(篠崎君の発案で坂口君が作った)。
 
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普通は女性のほうに振袖を着せるのだが、時々男性のほうに振袖を着せてという要望があり求めに応じていた。こういう客が週に一組はあった。それで実は下記の“男の子編”か発案された。
 

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朝日がここのピアノでバダジェフスカの『乙女の祈り』を弾くところが撮影されて福岡ローカルのCMに使われた。悦美に振袖21を着せて
 
・レンタルより安い8万円
・セパレートだから着付け不要。誰でもひとりで着れる。
・セパレートだから身長の許容範囲が広い。身長150cmから180cmまでOK。
・家庭の洗濯機で洗濯可能
 
とアピールしたら結構人が来てくれた。試着してみる人も多くたくさん売れた。金閣寺(刺繍の無い金閣寺Bを含む)が福岡店だけで10枚売れたし、福岡店限定の金印&福岡タワー、金印&黒田武士もも各々製作した分が年末までに全部売り切れた。
 
12月のボーナス後に買いに来た人が結構居た。学生さんはやはり20回払いが多かった。
 
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(身長の適合サイズだが標準の振袖21は170cm程度まで。それ以上はワイド幅のシルック反物を使用したT(Tall)サイズの商品で対応する。女子バレーチームの新成人に提供したのもそれである)
 
《汚しちゃった編》
 
「大変。振袖汚しちゃった」(悦美)
「でも大丈夫。振袖21なら洗濯機OK」(朝日)
 
というのでネットに入れて洗濯機に投入。それで洗濯してから乾かした振袖21をまた着たところを流す。
 

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《おばあちゃん編》
 
「この振袖。誰でも着れるんだよ」
「へー、私でも着れるかね」
「おばあちゃん、もう成人式終わってるのでは?」
「来年4回目の成人式だよ」
 
このCMには福岡ローカルのおばあちゃん役タレントさんに出演してもらった。もちろん振袖21を着たところまで流した(これ楽でいいねと言っていた)。
 
《男の子編》
 
「この振袖。誰でも着れるんだよ」
「へー、僕でも着れるかな」
「うん。くにちゃんならきっと着れる」
 
というので坂口君が振袖21を着る。(似合ってると評価は高かった)
 
「僕お嫁さんになってと言われたらどうしよう?」
 
やはり坂口君が赤ちゃん産むのだろうか?
 
しかし坂口君の熱演のお陰で、男の娘っぽい客がかなり振袖21を買いに来てくれた。3割程度がTサイズである(171cmの坂口君は標準サイズ)。世の中には男の娘って多いんだなと思った。
 
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ちなみに男の娘は男装と女装が半々くらいだったが、男装していても朝日の目にはすぐそれと分かった。ブランド物の服を着てるなどお金のありそうな客には普通の振袖も勧め、25万円の振袖を買ってくれた人もあった。女装でレベルの高い人は悦美の目には普通の女性に見えたらしい。
 

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12月31日は木曜日なので京平は京都北邸にやってきた。夜梨子は姫路に行っているが、代理の夜詩子が京平と遊んであげた。また年越し蕎麦ということで、今日は油揚げとエビ天の載ったおそばをあげた。昆布巻き、ぜんざいなども出した。
 

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千里は年末の挨拶回りでは、ロビンが京丹後市で絹恵と2人で慶子さん、初美さん、更には幸子さんのところも訪れて“おたべさん”と宇治茶(急須を使わなくても湯飲みに直接入れてお湯を注ぐだけで飲めるタイプ)を渡した。
 
また姫路では夜梨子がイーグレット、母里酒造を訪れ“おたべさん”とブラジルのサントスコーヒー(中細挽:ペーパーフィルター用)を渡した。これはリオ・タンゴ・シルクのアルテス社長のお兄さんがやってる農園の製品である。金閣食品で輸入している。挽いたのは金閣食品の京都工場(北区)である。
 

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年越しは、ロビンは京都南邸で清香と「明けましておめでとう」と言って三ツ矢サイダーで乾杯した。北邸には夜詩子がいたが、姫路の夜梨子とリモート乾杯した。留萌のロゼ家では、玲羅とロゼがコーラで乾杯した。関東司令室ではグレースとヴィクトリアで、関西司令室ではジェーンとアイリーンで乾杯した。グレースはゆきを豊中市の貴司のマンションに送り込んだので、貴司は千里と熱い年越しをすることができた。
 

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元旦、貴司は目が覚めると千里が居なかったので帰ったのかなと思った。電話しようかとも思ったが、うかつなことを言うと
「あら、どなたと熱いお正月を迎えたの?」
などと言われて浮気を疑われそうな気がしたので、やめておいた、
 
(貴司からの電話はブレンダに繋がり、ブレンダはデートした覚えが無い。貴司とセックスするのはたいていゆきかブルームなのでこの手の事故はとても起きやすい。一方ブレンダは時間が組み替えられているのでグレースとしてもうかつなことができない)
 
「千里ってすぐ自分のしたこと忘れてて人の浮気を疑うんだから」
 
(そのくらいたくさん浮気してると思いますが)
 
台所のIHに鍋が載っていて餅の袋も置いてある。切り餅だからこの付近で買ったものではない。商品表示を見ると「千葉県香取市」とある。やはり千里が持って来たものだと思う。東に向かって「千里ありがとう」と言う。そして貴司は餅をオーブントースターで焼くと温めた鍋に入れてお雑煮を食べた。そして歩いて15分ほどの千里天神(せんりてんじん)まで初詣に行ってきた。
 
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年末年始、ブレンダはウィンターカップとオールジャパンのために東京に出て来ている旭川N高校の女子バスケット部に付き合っていたが、ゆきは千葉L神社でご奉仕していた。
 
夜梨子は姫路立花K神社でご奉仕している。京都のM神社ではセリア(セリアB)がご奉仕している。玲羅とロゼは留萌の三泊P神社でご奉仕する。
 
ライラは両親と一緒にP神社に初詣に行き、おみくじは吉、福引きはお皿セットを当てた(武矢はポケットティッシュ、津気子はコーラ)。お雑煮はロゼが作って転送した。お代わりの餅はライラがオーブントースターで焼いて入れた。
 
京丹後市では絹恵、ロビンの代理のジェーンが、千鶴子を車椅子に乗せ千里が押して近くの住吉様まで初詣に行って来た。
 
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京都北邸では夜詩子が香澄と一緒に上賀茂神社まで初詣に行って来た。
 
京都南邸ではロビンが清香・コリン・百合と一緒に伏見稲荷まで初詣に行った。京平が出て来て「お母ちゃん明けましておめでとう」と言う。京平は昨日の大晦日には北邸で夜詩子と遊び、年越し蕎麦を食べている。
 

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「お母ちゃん」という声を聞いて清香が「誰?」と訊く。
 
「これ私の息子の京平」
「千里いつの間に子供産んだ?」
「5年後にどれかの千里が産む。誰が産むかはまだ分からない」
「千里の話はいつも時系列が無茶苦茶だ」
「京平、このお姉ちゃんをお山に案内してよ」
「うん。お姉ちゃん、行こう」
 
と言って京平は清香と一緒に伏見のお山を駆け足で一周してきた。千里は四つ辻のところで待っていたが京平と清香は30分で戻って来たのでかなりのハイペースである。(普通なら1時間くらい掛かる)
 
「ああ、いい朝練になった」
と清香が言っていた。麓の食堂できつねうどんと稲荷寿司たくさんを食べた。京平は
「こんなに食べていいの?」
などと言いながら稲荷寿司を15個くらい食べた。清香も
「運動したからカロリー補給」
と言って、15個くらい食べた。千里・コリン・百合は3個くらいずつ食べた。(ここの食堂は稲荷寿司一皿が40個だった)
 
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1月2日は年始回りをした。ロビンはきーちゃんを連れて桜製菓→プリンス→雅と回った。プリンスの田上の態度が変だった。
「どうしたんだろう?」
と言うと、きーちゃんが
「嫉妬だよ」
と言う。
 
「嫉妬?」
「千里が最近雅にばかり関わっているから」
「なるほどー」
「先日は奈良県の地方紙が“雅グループのプリンス”なんて書いたから機嫌が悪い」
「あはは」
「雅の昨年の売上はプリンスの倍だからね」
「エレガントと比較すればプリンスのほうがずっと大きいんだけどね」
「ポニーの買収では感謝してたね」
「企業買収の好きな人だねー」
 

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昨年田上は千里と共同で奈良県の地域スーパー“ポニー”を買収した。これでプリンス・プリンセスグループは、和歌山・大阪(主として南部)・兵庫・京都・奈良の5府県に店舗を持つことになった。
 
プリンス:和歌山北部・大阪南部
ホリデイ:和歌山南部
サカス:大阪南部
プリンセス:兵庫県西部
ハーバー:兵庫県東部
エレガント:京都府
ポニー:奈良県
 
(エレガント大津店やプリンセス敦賀店は例外的存在)
 
この時に奈良県のローカル紙が「ポニーが京都の呉服店“雅”のグループ企業、プリンスと提携した」と書いたのでお冠だったのである。
 
田上は次は大阪北部を狙っているようである。またスーパー以外でも和歌山県内の幾つかの企業に興味を持っている。
 
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ちなみに“ポニー”は奈良県にある石舞台古墳から来ている。石舞台古墳の被葬者は蘇我馬子で、馬子→ポニーという発想である。今回の買収で田上が筆頭株主、千里が第2株主となった。ふたりで過半数を押さえている。
 

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