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■クロ子義経(13)

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(C)Eriko Kawaguchi 2019-05-03
 
明智ヒバリの解説は続く。
 
『壇ノ浦の合戦で安徳天皇が亡くなり、二皇併立の異常事態は解消されたものの三種の神器の内の剣が失われたことは大きな衝撃となりました。源範頼は現地に留まって引き続き剣の捜索を含めた戦後処理をおこない、義経は京都に戻ることになります』
 
『捕縛された平家の武将たちの多くは処刑されることを覚悟していましたが、その中にあって必死の延命活動をしたのが平時忠です』
 

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場面は平時忠(演:本騨真樹@wooden four)が義経(演:?)に何かを申し出たところのようである。
 
『は?何をくれるって?』
という義経の声はアクアだが、顔は映らない。
 
『ええ。ですから、娘の蕨を判官様の妻として差し上げますので』
『うーん。そういうのは勝手にもらう訳にはいかん。鎌倉殿に相談して許可が出たらもらってやる』
『はい、何でしたら鎌倉殿には妹の蕗を差し上げたいのですが』
『分かった。それも聞いておくが、鎌倉殿は北条政子殿ひとすじゆえ、側室は娶らぬかも知れんぞ』
『もしもらって頂けましたら』
 
それで義経が鎌倉に手紙を書き、時忠の意向を伝えると、頼朝は義経と蕨姫の婚儀は許可したものの、蕗姫は要らないと言ってきた。使者に立った義経の兄・阿野全成の腹心は
 
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『いや、最初は頼朝様もくれるものはもらおうという態度だったのですが、政子様が激怒なさって』
 
などとこっそり義経に言っていた。義経はうかつなことは言えないのでただ笑っていた。
 

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そして場面は義経と蕨姫の婚儀のシーンになるが・・・・
 
『判官殿はどうなされた?』
と出席者のひとりが言う。
 
『院(後白河法皇)に呼ばれて外出なさった』
『婚儀の夜なのに?』
『それで弟の能成様が新郎の代理をなさっておる』
『しかしほんとに忙しそうだな』
 
明智ヒバリがまた解説を入れる。
 
『平時忠はまた訴えました。ひとつ、自分は平家の都落ち以来、ずっと三種神器がそこなわれたりしないようにずっと守ってきた。壇ノ浦でも剣は(姉の)二位尼から奪うことができなかったものの、鏡と珠の保護にも貢献した。だから罪一等を減じて欲しい。ふたつ、そもそも自分は武士ではなく文官であるから、死刑の対象外のはず』
 
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『そういった必死の弁明が認められて、彼は能登国に流罪という処断が下ったのでした。彼の子孫は現在でも能登の輪島市で続いており、その屋敷“上時国家”“下時国家”は能登の観光コースにも組み込まれています。平時国は平時忠の子です』
 
場面は時忠の一行が能登に旅立つシーンだが、そこに静が訪れた。
 
『義経殿の御側室殿であったかな?』
と時忠が静に言った。
 
『蕨姫様とはすっかり仲良くなりましたよ。元々主(あるじ)がこだわらない性格なので、郷姫様、蕨姫様、久我姫様、それに私と4人で碁や双六などしたり和歌を詠んだりして楽しく過ごしております。判官殿はほとんど家に戻らず忙しく飛び回っておりますし』
 
『夜のお渡りの頻度は?』
 
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『判官殿は誰とも寝ませんよ。戦場にあっては私が毎晩護衛を兼ねて添い寝させて頂きますが、私も実際には一度も抱かれたことはありません』
 
時忠は困惑した。
 
『もしや義経殿は実は女人ということは?』
『それはないですね。男の方であることだけは確認させて頂きました』
『まあよいか。男か女かなんて些細なこと』
『時忠殿は女人になられる予定は?』
 
時忠は顔をしかめた。
 
『あれ、あまり人に言わないでよ』
『女房装束、似合っていたのに。あ、これ餞別代わりに』
と言って静が時忠に渡したのは、美しい五衣唐衣裳のセットである。
 
『実はうちの妻は能登なんて行きたくないと言って都に残るのだけど』
『ですからお寂しいでしょ?これを身に付ければ気が紛れますよ』
『はまったらどうしよう?』
 
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明智ヒバリの語り。
 
『頼朝と義経の関係は4月中までは良好でした。5月、頼朝から義経に平宗盛親子を連行してくるようにという指示があるので、連れて鎌倉に下っていくのですが、頼朝は唐突に《鎌倉には宗盛親子だけを入れよ。義経は鎌倉に入ってはならぬ》という指示を出し、義経は困惑します。それで義経は腰越の満福寺に留め置かれます。久しぶりに兄と対面出来ると思っていた義経は頼朝の態度に不可解な思いを持つのでした』
 
『結局、頼朝は義経の鎌倉入りを許可しないまま、宗盛親子と、一ノ谷で捕縛していた平重衡を義経に預けて帰京を命じました。義経は結局頼朝の態度が理解できないまま京都に戻り、まずは宗盛・清宗親子を処刑します。そして重衡はその身を東大寺に引き渡しました』
 
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『奈良の人たちは奈良を焼き討ちして多数の一般人の死者を出し、多数の仏像を燃やしてしまった重衡を恨んでおり、重衡は奈良の人たちにより斬首・梟首されました。ただ死の直前に懇願により、壇ノ浦で海中から掬い上げられて生還した妻“大納言典侍”藤原輔子と対面を許可されました』
 
『奈良の仏教勢力は、憎き平重衡の身柄を義経が渡してくれたことで、彼をヒーローとしてあがめました。そのためこの後、南都は義経を全面的にバックアップし、義経がこの後頼朝と対立することになっても、ずっと義経を支援してくれたのです』
 

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(**)この時期の元号と西暦年対照
 
1180 治承4
1181 治承5 養和元
1182 治承6 養和2 寿永元
1183 治承7 寿永2
1184 寿永3 元暦元
1185 寿永4 元暦2 文治元
1186 文治2
1187 文治3
1188 文治4
1189 文治5
1190 文治6 建久元
 
主な出来事
1180 以仁王の宣旨 富士川
1181 清盛没
1182
1183 倶利伽羅峠 水島
1184 宇治川(義仲没) 一ノ谷
1185 屋島 壇ノ浦 頼朝と義経の対立 鎌倉幕府の発足
1186 静の舞
1187 藤原秀衡没
1188
1189 藤原泰衡が義経を殺害? 頼朝が泰衡を滅ぼす
1190
1191
1192 後白河法皇崩御 頼朝が征夷大将軍に
1199 頼朝死去 梶原景時が討たれる
 

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《元暦2年9月29日・京都》
というテロップが流れる。
 
旅姿の山伏が歩いていると、義経の郎党のひとり・江田源三弘基とすれ違いそうになる。
 
『あれ?土佐坊殿ではないか?』
と江田源三(演:オーディシヨン選出の簑田くんという高校生。たぶん男子)。
 
『あ、そなたは安芸坊だったな?』
と土佐坊昌俊(演:大林亮平)も嬉しそうな顔で言う。
 
『興福寺に居た頃が懐かしいな』
『ああ、長門坊と3人で随分悪いことしたよな』
 
と2人はしばし懐かしくなって昔のことを語った。
 
『都に来たの?』
『ああちょっと熊野詣でにな。今夜は都で泊まるけど』
『宿はどこ?』
『**寺という所なんだが』
『ああ。あそこか。後で酒でも持っていこうか?』
 
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『それもいいな』
と言ってから、土佐坊は訊く。
 
『ところでお主(ぬし)、暇か?ちょっと人を集めているのだが』
 
『ん?何かあったのか?』
『実は今俺は鎌倉殿に頼まれて一仕事することになって、人数が要るんだよ』
『お前、二品殿の家人になったの?』
『いや、まだ家人ではないのだけどね』
『すまん。俺は伊予守(義経)様の郎党に加えてもらったのよ』
『予州殿のか?』
と言いながら土佐坊はかなり焦っている。
 
『だったら、無理だよな。すまん。このことは予州殿やその家人には言わないようにな』
『あ、うん』
『また後日、酒を飲もう。すまないが今夜は忙しくて』
 
と言って土佐坊は焦った顔で行ってしまった。それで江田源三は首をひねった。
 
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テレビを見ていた政子が喜んでいる。
 
「亮平、出るとは聞いていたけど、土佐坊かぁ。亮平って悪役が似合うよね」
などと言っている。
 
「確かに昔からよく悪役をしてるよね。『立つ!』では善役だけど」
と私。
 
「今回は徳川光義だけど、次は家光をするという話もあるんだよ。暴れん坊将軍」
「暴れん坊将軍は8代将軍・吉宗だと思うけど」
「あれ〜〜?家光って何代目だっけ?」
「3代目だよ」
「うーん。。。もしかしたら3代目の娘かな」
「亮平君は女役はしないと思うけど」
 
「ふふふ。私、亮平のあんみつ姫のビデオ、みちるちゃんに頼んでDVDに焼いてもらったの持ってるよ。かっわいいんだよ。全然女の子に“見えない”のが凄い」
 
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「ああ。亮平君が黒歴史にしたいと言っていたやつか」
 
と言ってから私は政子に訊いた。
 
「ところでマーサ、亮平君との関係はどうなってる訳?」
「付き合ってるけど」
「それは良かった。復活したんだ?」
「結婚しようと思ってる」
「いいんじゃないの?ローズ+リリーはどうするの?」
「もちろん継続。家事も赤ちゃんのお世話も全部亮平がすると言ってるし」
「マーサ妊娠した?」
「まだしてないけど、生でしてるから、その内妊娠するかも」
「まあいいけどね」
 

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江田源三が六条堀川の義経邸に着くと、弁慶(品川ありさ)が
 
『お帰り』
と言う。しかし江田が何か考え事をしているので訊く。
『どうかしたのか?』
『いや、言ってはならぬと言われたのだが』
『誰に?』
『えっと・・・』
『おぬし、まさか殿に隠しごとなどするのではあるまいな?』
『とんでもない』
 
それで江田源三はさっき古い知り合いで土佐坊という男に会ったこと。何か仕事があるらしくて誘われたものの、自分は義経の郎党だからといって断ったこと、彼は頼朝に何か頼まれて人を集めていると言っていたことを語る。
 
『怪しいな』
と義経(後ろ姿)が言う。
 
『しかしおぬしも、そういう時はもっと詳しい話を聞いてから抜け出してくればいいのに』
と弁慶が言うと源三は
『すまん』
と言った。
 
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『まあまあ。源三はそういう謀(はかりごと)には向いてない』
と義経は言う。
 
『私がそいつ、ここに連れてきましょう』
と弁慶は言った。
 

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