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■夏の日の想い出・いろはに金平糖(25)
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(C) Eriko Kawaguchi 2022-05-20
その日、門脇真悠(大崎忍)の北区のマンションに妹(元弟)の瀬那が訪ねてきた。
「どうしたの?」
「ちょっと相談したいことがあって」
「うん」
と言って、部屋に上げる。
「お姉ちゃん、ぼくのお股を見て欲しいんだけど」
「は?」
「最近ちんちんが見付からなくて」
「はぁ?」
それで瀬那はスカートをめくり、パンティを脱いで、お股を露出した。
「うーん・・・・・」
真悠は
「ちょっと触るね」
と言って、使い捨てのビニール手袋を付けると、瀬那のお股を触った。
2〜3分触っていたが、やがて真悠は言った。
「ちんちんは無くなってる気がする」
「やはり」
「皮膚の中に埋没して外に出る部分が無くなってしまったんだと思う」
「そんな気がしてた」
「おしっこはどうしてるの?」
「自分でもよく分からないけど、この付近からにじみ出てくるから、おしっこした後、拭くのが結構大変で。どうしても拭きもれが起きるからパンティライナーが欠かせない」
「ああ」
「これどうしよう?」
「実害が無ければそのまま放置しててもいいけど、夏休みくらいに病院で手術してもらったら?」
「手術してどうするの?」
「ちゃんと大陰唇・小陰唇作ってもらえばいいんだよ。そして尿道口はその中に開口させる。そしたらおしっこの後拭くのも楽になる」
「そこまでしたらもうほとんど女の子という気が」
「というか、お前既に女の子になってしまってると思うけど」
「え〜!?」
「もう既に女の子になっているから、女の子として不完全な部分をきちんと整形するだけの手術だよ」
「ちょっと心の準備が」
「高校進学前に手術しちゃったら?手術代くらい出してあげるからさ」
瀬那は4月から中学3年生になる。既に2年近く、女生徒として学校に通っている。
「どうしよう?」
と瀬那はまだ迷っているようであった。
青葉は1月24日に高岡に戻るつもりだったのだが、そこに『ミュージシャン・アルバム』という新たな仕事が発生して3日間、留め置かれた。更に
「大宮先生、ぜひお願いしたいことがあるんですけど」
とコスモスから言われた。しかし青葉は
「向こうのテレビ局にも顔を出さないといけないので」
と言って、やや強引に1月27日(木)、Honda-Jetで能登空港に飛んだ。
能登空港には母が迎えに来てくれることになっていたのだが、来ていたのは真珠である!
「助かった。青葉さん、お帰りなさい。お待ちしてました。霊界探訪の3月放送分を何とかしないといけないんです。取り敢えずテレビ局に来て下さい」
と言われ、そのまま金沢の〒〒テレビに連行された!
そして「これなら浦和に居たほうが良かったかも」と思うことになるのである!
2月12日(土).
月乃梓(月乃岬=東雲はるこの姉)は、受験していた金沢市内G大学の合格発表があるので、大学のサイトにつないでみた。受験番号を入力すると自分の氏名と「合格」の表示がある。国立の試験はこれからではあるが、あまり合格できる気がしないので、ここでいいかなあと思った。
妹に「G大学合格したぁ。学費頼める?」とメールしたら、夕方くらいになって「取り敢えず郵便局の口座に250万送った」というメールが来ている。スマホで口座を確認すると残高が凄い金額になっているので「目の保養」と思い、取り敢えずスクリーンショットを撮った!
月曜日に母に郵便局まで付いてきてもらい、大学から送られてくる筈の納付書を使って納入することにした。
2月12日(土).
地方信濃町ガールズの本部生への昇格試験を実施した。
最初に辞めると言い出した太田芳絵は結局活動を続けることになったものの、2月頭時点で、3月いっぱいでの退団を申し出ている子がA契約の3名とB契約の4名で合計7名おり、何人かは撤回するかも知れないが、半分くらいは本当に退団するかも知れない。現時点でもかなり人手不足になっていることを考えて、今回は8名程度昇格させる方針で臨んだ。
秋の臨時昇格オーディションで即昇格とはしなかった3名は本人が希望すれば無審査で昇格させることにし、各々に連絡してみた。すると3人の内2人が昇格を希望した。もう1人は別の事務所のオーディションを受けて合格したらしい。事務連絡をしていた佐々木春夏は「おめでとう。頑張ってね」と励ましておいた。
これで2人昇格するので、残り6名程度を一般試験で昇格させることになる。
昇格試験の受験資格は、小6〜中3の女子(2006.4.2-2010.4.1生、つまり4月から中1〜高1になる女子)で、日本語を使えること!、と日本で労働する資格を有する人(外国人の場合は実際問題として永住資格が必要)という条件である。事前に親権者の芸能活動許可証の提出が必要である。
事前に提出してもらったビデオによる予備審査を通過したのは下記13名である。
北海道1・東北1・関東3・北陸1・東海1・関西2・中国1・四国1・九州1・沖縄1
私たちはビデオ審査の段階で、地方ガールズの水準が非常に高くなっていることを感じた。こちらで期待していた水準に到達している子は20名以上居たのだが、6名程度しか昇格させないのにたくさん呼んでも仕方ないので、ビデオ審査段階で昇格予定人数の倍程度まで絞ったのである。ただし各支部から最低1名は呼ぶことにした(全員“最低水準”は越えている)。これは中央のレベルを各支部に伝えて欲しいからである。
受験生は、2/10 木曜日の夜までに、親権者を必ず含む家族または友人(1人につき最大2名)と一緒に最寄りの空港まで来てもらい、感染検査の上で近くのホテルに泊めた。そして2月11日(金祝)、各地に飛行機を飛ばして熊谷に連れて来た。
Tiger 稚内→庄内→熊谷
silver 出雲→小松→熊谷
Yellow 徳島→小牧→熊谷
Blue 那覇→宮崎→熊谷
Red 小浜→熊谷
(Orangeは常滑舞音が使用中!)
関西の2人は舞鶴(京都府)と丹波市(兵庫県)で、いづれも伊丹より小浜が近かったので、そちらから連れてきた。実はこの2人は昨年8月16日のアクアライブにも参加していた。あの時は大阪に緊急事態宣言、京都・兵庫にまん延防止等重点措置(16日付けで緊急事態宣言に切り換え)が発令されていたこともあり、近畿圏からは呼ばない方針だったのだが、小浜にごく近い地域に住んでいるメンバー5人を特別に呼んでいた。実は福井と山陰のメンバーだけではレベルに少し問題があったためである。一応政府の要請に従い、簡易検査キットではなくPCR検査で陰性確認している。その時の5人の内の2人が今回予備審査にパスして本選に参加することになった。
関東の3名は車で連れてくるつもりだったが、実際には3人とも保護者の車で熊谷までやってきた。
この13名+家族等はホテル赤城に泊め、土曜日の朝、再度感染検査をして陰性確認してから試験に参加してもらった。
今回の昇格試験では、様々な才能を確認するため、秋の臨時昇格試験に準じて次のようなテストを課した。
・クイズ大会!
・朗読テスト
・トークテスト
・演技テスト
・ダンステスト
・歌唱テスト
例によって、クイズ大会(司会:川崎ゆりこ、アシスタント:三田雪代)は「正しくなくてもいいから面白い回答をする」ことを要求した。これはみんな試験だということを忘れて楽しんでいた。
朗読テストは、その場で渡した原稿(近代小説の一部)を朗読する。感情を込めて自然に聞こえるように読めることを第一とした(棒読みはアウト)。多少の読み間違いや噛むのは、減点はするものの大きな問題とはしない。読めない漢字の所などで詰まって止まってしまうのや、やり直しは(やり直したのが余程うまくない限り)アウトである。読めない漢字は適当に読んでしまうのが推奨。実際ニュース原稿を読む時に、停まってしまっては困るのである。
鼻濁音については、使っても使わなくてもよい!NHKのアナウンサーは鼻濁音が発音できないとアウトらしいが、§§ミュージックでは鼻濁音は東日本方言にすぎないと考えている。実際、参加者中で鼻濁音を使ったのは2名にすぎなかった。(元々厳格な鼻濁音使用の規則を持っていたはずの東京方言でも、若い人の中には使わない人が増えているという報告もある)
トークテストでは、与えられた2つのテーマを含んだ話を即興で作って指定された時間のトークをする。Aで始まってBで終わるのが理想だが、面白い話をしていれば良しとした。
演技テストは「オリンピックで転んだけど金メダルを取った」とか「彼氏にアタックしたけど玉砕した」とか「先生に叱られて残されたが偶然帰りが彼氏と一緒になった」などといった、指定されたシチュエーションをパントマイムで演じるというもの。
この3つは各々個室に呼んで行う。審査員を3部屋に分けて流れ作業方式で行った。
この後、昼食タイムとなり、各自の部屋でお弁当を食べるが、例によってこれを隠しカメラでモニターし、“審査員の見ていない所で”変な言動をしている子は悪いが落とさせてもらう。そういう子を合格させると他の子への影響も甚大である。今回はそういう問題のある子は居なかった。
食事後少し休憩をとってからダンステストになる。
ロックギャルコンテストでやっていたのと同様、レオタードになってもらい、ひとつのフロアに全員を入れて先生(ジュン広多)のお手本を見せ、練習時間を少し与えた後で、再度先生が踊るのに合わせて踊るというものである。
歌唱テストは、未発表の楽曲の譜面を渡して、みんなが見ている前で初見歌唱するものである。前の人が歌い出した所で譜面を渡され、その人が歌っている間に譜読みし、前の人が歌い終わったらすぐステージに立って歌わなければならない。最初に花咲ロンドが1曲歌い、最初の受験生はロンドが歌い始めた所で譜面が渡される。伴奏は信濃町バンドのピアニストとキーボーディストを2人ずつ連れてきており、交替で伴奏した。キーボードがフルート音でメロディーを弾くので、音程が怪しい時は、それに合わせることができる。
生伴奏なので、テンポは歌唱者に合わせてくれるが、歌い出しのタイミングなどはある程度譜面が読めてないと分からない可能性がある。実際例年これで歌い出しが分からなくて失敗する子がいる。今回も出だしに失敗した子が1人いた。一方、譜面と全く違ったメロディーで堂々と最後まで自信ありげに歌った子が居て、多くの審査員がハイスコアを付けた。
審査の間、全員を別室で待機させた。そして上位の人から呼び出して6名まで合格を告げ、その場で契約書にサインしてもらうことにする。上位6人は下記であった。
1.東海林椿希 山形県酒田市 中2
2.長岡飛鳥 島根県雲南市 中2
3.藤真理奈 宮崎県都城市 中3
4.鳴田あゆな 愛知県碧南市 中1
5.杉本ひかり 兵庫県丹波市 小6
6.糸川穂美 福井県越前町 中1
最初に山形県の東海林椿希(とうかいりん・つばき)ちゃんを呼び出す。
「“しょうじ”じゃなくて“とうかいりん”なのね」
と川崎ゆりこが確認する。
「そうなんです。東海林クレアさんとか、東海林愛美さんとか“しょうじ”と読む有名人がいるから、この苗字見ると『しょうじさんでしょ?難しい読み方するよね』と言われるんですけど、この苗字の本家筋は、そのまま“とうかいりん”と読むんですよ。“しょうじ”は秋田から広まった傍系なんですよね」
と本人は言っている。
この子はひじょうに歌がうまく、将来の歌手デビュー候補生だと思った。家族は下に弟と妹が1人ずついるらしい。付き添いはお母さんと叔母さんであったが、電話でお父さんとも連絡を取った上で、お母さんが契約書にサインした。
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