[携帯Top] [文字サイズ]
■夏の日の想い出・いろはに金平糖(2)
[*
前p 0
目次 8
時間索引 #
次p]
12月22日(水).
アクアの27枚目のシングル『風よりも速く
PantherQuality』が発売された。1月から3月まで放送予定の、『少年探偵団V』の主題歌と挿入曲である。
2021年12月22日(水).
この日はローズ+リリーの20枚目のアルバム『ラブコール』も発売された。
前回10月に発売した『ランチセット2021』はベストアルバム、昨年12月に発売した『ホームワーク』は企画物だったので、オリジナルアルバムとしては実は2020年1月に発売した『十二月』(じゅうにつき)以来、1年11ヶ月ぶりのアルバムとなった。
ローズ+リリーのオリジナル・アルバム:−
2013.07.03(水) RLA9『Flower Garden』290万枚
2014.12.10(水) RLA10『雪月花』340万枚
2015.12.02(水) RLA11『The City』195万枚
2016.12.07(水) RLA12『やまと』320万枚
2018.03.14(水) RLA14『郷愁』148万枚
2020.01.29(水) RLA17『十二月』320万枚
2021.12.22(水) RLA20『ラブコール』
(枚数はいづれも、国内盤・国外盤を合わせた数字)
「え?マーサ妊娠したの?」
私は政子から聞いてびっくりした。
「今3ヶ月目に入った所」
「大輔さんの子供?」
「内緒」
「まさか貴昭君の子供?」
「彼とは1年半くらいセックスしてないよ」
つまり、1年半前にはセックスしたのか!?
「まあ子供の父親は生まれてから教えるよ」
「でも大輔さんと結婚するんでしょ?仲は復活したみたいだし」
ここの所、政子はかなり頻繁に百道大輔とデートしているようなのである。
「大輔と結婚するつもりはない」
「そうなの?」
「でもニューイヤーライブは大丈夫かなあ」
「まだ3ヶ月だから大丈夫だよ」
「そのくらいの時期がいちばん不安定なんだけど」
「平気だよぉ」
「じゃ医師に付いててもらおう」
「まあいいよ」
「震災復興支援ライブはどうしよう?」
「やるよ。平気だよ」
「かなり月数が進んでない?」
「そのくらいになると、よけい安定期だから平気」
「じゃ、いつかみたいに椅子に座って歌おう」
「ああ、それでいい」
この時、私は政子のお腹の中の子供の父親は、政子は曖昧な言い方をしているが、きっと大輔さんなのだろうと思っていた。しかし本当の父親を知るのは、1年後の2023年、大輔さんが亡くなった後になってしまう。
12月24日(金).
あけぼのテレビでは、クリスマス特別番組が放送された。19時から21時まで2時間を使い、あけぼのテレビ第12スタジオからの生放送である。
鈴鹿あまめ・夕波もえこ・古屋あらたの“あけぼのテレビ3人娘”による、18:30-19:00の前説を経て、19時から『くるみ割り人形』が上演される。
クリスマスの夜、お母さん(石川ポルカ)とお父さん(花咲ロンド)が3人の子供、ルイーゼ(石条ぼたん)・フリッツ(立山きらめき)・マリー(美崎ジョナ)(*1)にプレゼントをあげた。
立山きらめき・美崎ジョナは1月1日から活動開始の予定だが、うちわの、あげほのテレビなので、先行登場となった。石条ぼたんはAチャンネルに登場するのは初めてである(Bチャンネルには度胸付けで何度か出演している)。この3人は前説にも登場して、鈴鹿あまめから紹介されていた。特に美崎ジョナは1月発売予定の曲『岬・別れと出会い』を歌った。
今年度の新加入者は大半があちこちで活躍中で、実はこの3人だけが未だメディア未登場だった。今年はとにかく急に売れた子が多く、人手不足でデビュー前の子がどんどん徴用されることになり、“2022年デビュー”という契約を結んでいた(本来は最速デビューの意味だったはずの)美崎ジョナ・立山きらめき、がかえって取り残される結果になってしまった。
(*1)くるみ割り人形に出てくる3きょうだいは、E.T.A.ホフマン(Ernst Theodor Amadeus Hoffmann 1776-1822) の原作ではルイーゼ、フリッツ、マリー (Luise, Fritz, Marie) で、お嬢様人形の名前がクラルヘン(Klärchen)である。この話は元々ホフマンが友人、ジュリアス・ヒッツィヒ(Julius Eduard Hitzig) の家に招かれた時に、ヒッツィッヒの子供たちのために即席で作った話が元になっている。ヒッツィッヒの子供たちの名前は、上から、アントニー、フリードリッヒ、ユージェニー、クララ、マリー (Antonie, Friedrich, Eugenie, Klara, Marie) で、ホフマンはこのマリーがお気に入りだったが、13歳で亡くなっている。
物語の中では、フリッツ(フリードリッヒ)とマリーが主役になっているが、登場シーンの少ない姉・ルイーゼのモデルはユージェニーで(ひょっとしてミドルネームか何か??)、クララの名前は人形の名前“クラルヘン”に転用されている。アントニーは他の子たちよりずっと大きい(アントニーはフリードリッヒより11歳年上)ので、登場しなかったものと思われる。
デュマ親子によるフランス語への翻訳(というより翻案)では、ルイーゼは登場しない。マリウス・プティパによるバレエ作品(チャイコフスキー作曲)では主役はクララ(Клара"Klara")になっているが、これはお嬢様人形の名前から採ったものと思われる(プティバはドイツ語が読めなかったので、デュマ親子のフランス語翻案をベースにバレエ台本を書いた)。
なおくるみ割り人形のバレエでは主役の女の子の名前はクララにしている劇団と、ホフマンの原作に準拠してマリーにしている劇団とがある。今回の信濃町ガールズたちによるお芝居では、原作通りマリーにした。
クリスマスプレゼントで、ルイーゼ(石条ぼたん)は可愛いお人形をもらい、フリッツ(立山きらめき)は格好良い飛行機のプラモデルをもらったのに、マリー(美崎ジョナ)は不格好な、くるみ割り人形をもらっただけである。
「私も可愛いお人形さんがいい」
と姉に言ったが
「あんたもお人形もらったじゃん」
などと言われて不満である。
クリスマスの夜、マリーが寝ていると、ネズミの王様(演:山鹿クロム)(*2)が多数の手下を連れて出て来て「お菓子を寄こせ」と要求する。すると、くるみ割り人形が等身大になって(演:太田芳絵)多数の人形たちを引き連れて登場し、ネズミの王様の軍隊と戦い、追い払ってしまう。
ここでネズミ軍団・お人形軍団には、信濃町ガールズ関東のメンバーが出演している。人形軍団は白い衣裳、ネズミ軍団は黒い衣裳である。
(*2)西洋では大型のネズミと小型のネズミを別の名前で呼ぶ(総称が存在しない)。英語なら大型のものが rat (ラット)で小型のものが mouse (マウス)である。mouseの複数形は mice (マイス)と不規則に変化する。一般に、mouse は可愛い動物、rat は嫌な動物という認識がある。また中世にヨーロッパ人口の半数に相当する死者を出したペストは、大型のクマネズミにより媒介されたので、そのイメージもあって、rat は嫌われる。
ヨーロッパでのペストの流行は、モンゴル帝国連合の成立(1301頃)で東西の交易が盛んになったことで起きたとされる。ペストは元々は東洋の病気だった。ヨーロッパではこの“パクス・モンゴリカ”成立直後の1348年にペストの大流行が起きたのを皮切りに、1720年頃まで断続的に何度もエピデミックが起きている。
ところが1737年、ロシアに棲息していたドブネズミがボルガ川を越えて大量にヨーロッパに浸入すると、ドブネズミがクマネズミを駆逐してしまい、それでペストの大流行は起きなくなった。ロシアのドブネズミがヨーロッパを救ったのである。
ドブネズミとクマネズミは近隣種でどちらも rat であるが、ドブなど水のある所を好む肉食のドブネズミと乾燥した家の中を好む穀物食のクマネズミは生態が大きく異なる。クマネズミは人間の近くで生活しているので、人間に(蚤を介して)病気を移しやすい。天井を走り回ったり、現代の高層ビルを闊歩しているのはクマネズミ。下水道などにいるのがドブネズミ。
『トムとジェリー』のジェリー(Jerry)はマウス、ミッキーマウスもマウス、トッポ・ジージョもマウス(Topoはイタリア語でmouseに相当する語。ジージョはルイージの愛称なので英語に直訳するとルイス・マウス、ドイツ語に直訳するとルードヴィッヒ・マウス?)。
シンデレラでは御者になったのがラットで、馬になったのがマウス(フランス語ではスーリ)である。
親指姫を助けてくれたのはFeldmausという動物で、恐らく日本のハタネズミ(畑鼠)に近い動物、ハムスターの近隣種と思われる。サイズは10cmくらいで、マウスのやや大きめなものになるかも?
各国語での rat /mouse の言い方
英語 rat / mouse
フランス語 rat / souris
ドイツ語 Ratte / Maus
イタリア語 ratto /topo
ロシア語 крыса/мышь
さて『くるみ割り人形』に出てくる“ネズミの王様”だが、E.T.A.ホフマンの原作では Mausekönig, デュマの翻案では、roi des souris, プティパのバレエでは、Король мышей (King of mice) になっている。
つまりここでマリー(クララ)を脅しているのは。大型のクマネズミではなく小型のハツカネズミなのである。そんなちっちゃい動物にお菓子をゆすり取られるというのが、マリーのひ弱さなのだろう。
「くるみ割り人形さん、ありがとう」
と言って、マリー(美崎ジョナ)がくるみ割り人形にキスすると(寸止めならぬ尺止め!)くるみ割り人形は魔法が解けて、素敵な王子様(演:鈴原さくら)に変身する。
(くるみ割り人形がクリスマスツリーの陰に入り、王子様が反対側から出てくる演出)
そして、王子様はマリーをお菓子の国に招待するのである。
ここから、お菓子の国でのパーティーが始まり、様々な踊りが入る。
チョコレート(スペインの踊り)
甲斐姉妹・水谷姉妹・鹿野カリナ&斎藤恵梨香
コーヒー(アラビアの踊り)
今川容子・青木由衣子・左蔵真未/箱崎マイコ・豊科リエナ・大仙イリヤ
お茶(中国の踊り)
ヴァンドール(佐藤ゆか・南田容子・山口暢香・高島瑞絵)
トレパーク(ロシアの踊り)(*3)
花園裕紀・弘原如月・木下宏紀・篠原倉光・山本コリン
葦笛(フランスの踊り)
直江姉妹・長浜夢夜/宮地ライカ・知多めぐみ・松島ふうか
フランスの踊りは3人組で踊るのだが、直江姉妹+長浜夢夜の組を見て、原町カペラが「男の娘組だ」と言ったら、花咲ロンドが
「あの子たちは全員性転換済みだから、女の娘組だ」
と訂正?していた。
「女の娘って何ですか?」
(*3) トレパーク(Трепак, ウクライナ語ではトロパーク:Трoпак/あるいはトリパークТрiпак) はウクライナ北東部のスロボダ・ウクライナ地方(紆余曲折を経て1920年以降はウクライナとロシアが分割統治)の伝統的な踊りであり、くるみ割り人形で使用されているメロディーもウクライナ風のものらしい。
“トロパーク”ということばは、元々“ねじり飴”のことで、そこから、この踊りを candy cane と英訳している劇団もあり、ねじり飴風のスティックや輪っかを持って踊ったりする。
↓ねじり飴のイメージ(小麦粘土で作ってみました!)
↓candy cane (wikipediaより)
ねじり飴は16-17世紀にフランスの宮廷で大流行し、ダンスのトロパックの名前は私の想像だが、ねじり飴のように激しく回転する所から来たのかも知れない。
マリンスキー劇場やボリショイ劇場の踊りはyoutubeなどで検索してもらえば分かるように、かなり地味なものであるが、この曲の振付に関しては様々な劇団が、独自の振付で踊っており、コサックダンスの動きを入れたり、高速回転したりなど、激しい動きを入れた振付が好まれている(たぶん元々のウクライナの踊りの要素を入れた)。
今回の信濃町ガールズのお芝居では男性メンバーだけで踊るつもりが、コリンが「やりたい!やりたい!」というので、彼女にも男性衣裳を着せて踊らせた。(いちばん上手かったので中央で踊ることになった)
キャラクターダンスが終わった後は、ここまでの出演者全員で『花のワルツ』を踊る(マリーと王子も中央でパドゥドゥ風に踊る)。
そして最後に“金平糖”(演:三陸セレン)が登場して、美しい踊りを見せて第1部は終わりとなる。
金平糖は、完璧に踊れるのはアクアくらいだったので、花咲ロンドがアクアに「踊ってよ」と言ったが、アクアは「セレンちゃんにやらせよう」と言い、セレンは1ヶ月前から必死に練習して、踊れるようになったのであった。彼はちゃんとトウシューズで踊っている。(今回トウシューズを履いたのは彼だけ)
[*
前p 0
目次 8
時間索引 #
次p]
夏の日の想い出・いろはに金平糖(2)