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■夏の日の想い出・いろはに金平糖(16)

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新年のネットライブで、連休明けの1月11日(火)はラピスラズリが登場した。会場は地元の火牛アリーナで、仙台でやったボニアート・アサド同様、里帰り公演となった。かほく市役所(=旧・宇ノ気町役場)のロビーで、時に許可を得てパブリックビューイングが行われ、知り合いが多数来て歓声があがっていた。
 
ゲストには、お隣の福井県出身で、来月デビュー予定の∞∞プロの新人・青空香鳴(あおぞら・かなり)が歌った。
 
「うまいねー」
と東雲はるこが感心したように言うほど歌の上手い子だった。香鳴という名前は鳥のカナリアに由来するらしい。
「カナリアの名前に恥じない、凄い上手い人で、私たちも負けそうです」
と町田朱美は笑顔で拍手して彼女を称賛した。
 
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1月12日(水).
 
ネットライブに常滑舞音が登場した。会場は仙台の牽牛を使用した。出演者は舞音・水谷姉妹のみ Honda-JetOrangeで運び、それ以外の出演者を調布からDo228 (定員19)で運んでいる(§§ミュージックの所有機の中で調布を使えるのはこの機だけ)。
 
この日は、CAT Sisers として、紅白にも出た、水谷姉妹・知多めぐみ・宮地ライカ・恋珠ルビー・花貝パールに加え、“サロン”常連の豊科リエナ・箱崎マイコ・三陸セレン・山鹿クロムも加わって、11人でひたすらコスプレしまくるライブとなった。
 
七福神・勢揃いのコスプレもあった。
 
弁天 舞音
恵比寿 パール
大黒 ルビー
毘沙門 水谷姉
布袋 水谷妹
福禄寿 セレン
寿老人 クロム
吉祥天 リエナ
ダルマ ライカ
福助 めぐみ
鍾馗 マイコ
 
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なんか7人より多い気がするのは、きっと気のせい。
 
2時間のライブの間に舞音は20種類のコスプレをして、CAT sisters のコスプレを入れると全部で231種類(よく数えたものだ)の衣裳が登場したらしい。
 
もはやライブというよりコスプレショーだが、視聴者は大いに楽しんだようである。
 
なおオープニングはアマビエで、ラストは黒招き猫であった。
 
なおゲストタイムは立山煌が登場して1月26日発売予定の『山に登りましょう、娘さん』を歌ったが、彼も富山県のゆるキャラ“立山くん”のコスプレをしていた!(これも加えて231種類らしい)。おかげで顔がよく分からなかった!!
 

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2022年1月12日(水).
 
北里ナナの9枚目のシングル『金銀ハート/恋愛は心のパズルなの』が発売された。いつものように『少年探偵団V』の劇中歌で、北里ナナ自身がドラマの中で歌唱している。1月3日の放送で『金銀ハート』は、村正貴金属工業の記念パーティーのシーンで流れていたので、本当はもう少し早く発売したかったものの、§§ミュージック歌手の発売日が立て込んでいて発売日が選べなかったのである。
 
(12/22 アクア 12/29 常滑舞音 1/5 美崎ジョナ)
 

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1月12日(水).
 
この日の夕方、私は若葉から電話を受けた。
 
「冬、飛行機届いたから、取り敢えず熊谷に置いといたね」
と若葉は言った。
 
「飛行機?届いた?」
「CRJ200よ。年末に言ってたじゃん」
「あ、そういえば言ってたね」
 
あれは・・・やはりジョークでは無かったのか。若葉の前で信濃町ガールズの男子メンバーを性転換しちゃおうかなとかジョークを言えば、翌日には全員手術を受けさせられてそうだ(クロムやセレンは泣いて喜ぶだろうけど、きららとかはぐすんぐすんと泣きそうだ)。
 
「安かったから5個買っちゃったのよ。冬が3個で私が2個にする?冬が2個で私が3個にする?どちらでもいいよ」
 
5個〜〜〜!?
 
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しかし若葉は飛行機を1個・2個と数えるんだな。
 
「あのぉ、お値段は?」
「5個まとめて、たった8億円だったのよ。凄い安いでしょ?」
「そ、そうだね」
 
「新品だと確か1個50億円くらいだったと思うんだけど、少し古い機体だからね。売主は、売れるように徹底的にオーバーホールしてくれてたからすぐ飛ばせるよ。JA番号は既に取られているから、国土交通省に所有者変更だけ届ければいいから」
 
「はぁ・・・」
 
「冬3個にする?2個にする?」
 
1個という選択は無いのか!?
 
「じゃ2個で」
「OK。所有者は§§ホールディングでいい?」
「あ、ごめん。私個人の名義でいい?」
「OKOK。じゃ今日明日には登録しておくね。パイロットは見込みで3人雇っておいたから今6人体制だけど、今居る人たちのコネであと3〜4人雇いたいかな」
 
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「ああ、それがいいかもね」
 
ということで、私個人所有のCRJ200が2機、運用に入ることになってしまったのである!
 
私が個人で買うことにしたのは、先日§§ホールディングでホンダジェットを1機買ったばかりで、会社に負担を掛けるのは申し訳なかったからである。
 
私は取り敢えず3億2千万+消費税をムーランの口座に振り込んだ。
 
そしてコスモスに何と説明しようかと私は悩んだ。
 

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1月13日(木).
 
ネットライブのラストとして、アクアが登場した。会場は小浜のミューズシアターである。
 
アクアはいつものように、前半は豪華なドレスで北里ナナの歌を歌い、後半は王子様風の衣裳にしてアクア自身のヒット曲を歌った。
 
例によって「後半はいらん」と言われた!
 
「アクアはもう女の子になったんだから、自分が女だという意識をしっかり持つべき」
 
ゲストタイムには、薬王みなみが登場して2月発売予定の曲を歌ったが
 
「今年デビューの3人の中で最高にうまい子だ」
という評価をする人が多かった。
 
演出的には美崎ジョナは正統派ポップス歌手、薬王みなみはアイドル歌手的な路線で、曲もそういう曲をアサインされているのだが、歌唱力は結構差があるように感じられたようである。
 
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「みなみちゃんは、アクア、東雲はるこ、常滑舞音の次に上手い」
と評価する人もあった。
 
「舞音ちゃんの歌が最近凄く進化したと思ってたけど、こんな新人が入ってきたら、頑張るわけだ」
と内情をきれいに推察している人もあった。
 
実際には、常滑真音・薬王みなみ・七尾ロマンの3人が抜きつ抜かれつ激しい争いをしている状況だと思う。この3人は仲も良く、お互いによく話し、また自分の歌唱を他の2人に聴いてもらって素直に批評を聞いたりもしているようである。ライバル同士で仲良く出来るのは、派閥的な行動を嫌うコスモスの強い意志もあるが、舞音の寛容的で穏やかな人柄で成立しているのだと思う。
 
彼女たちは「いかにアクアを抜いて自分たちがトップになるか」という悪巧み?をしているようである!
 
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2022年1月15-16日(土日).
 
今年の大学入試共通テストが実施された。これを、町田朱美の姉・翠や、信濃町ガールズを3月いっぱいで退団予定の太田芳絵などが受験した。
 
太田芳絵こと、本名・諸田望美は豊島区のT大学で共通テストを受けた。信濃町ガールズを退団することを決めて秋からかなり勉強してきていたのだが、正直、問題は「さっぱり分からん!」という感じだった。
 
かろうじて国語の現代文は何とか考えながら解いたものの、古文も漢文もまるで宇宙人の書いた文章を見るようだ。英語は問題文を見ても何を書いてあるのか全然分からないし、発音の問題とか見当も付かない。アクアさん、夏休みに外人の俳優さん?と英語?で話してるの見たけど、忙しいのによく英語を勉強する時間とか取れるよなあ、とあらためてアクアを尊敬する。
 
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16日に試験が終わってから、会場近くにある巣鴨の商店街を何気なく散歩していたら、
「おはようございます」
という声があるので振り向く。
 
「信濃町ガールズの太田芳絵さんですよね。私、信濃町ガールズ関東所属の隅田可愛(すみだ・かわい)と申します」
「あ、おはようございます。お疲れ様」
と芳絵も笑顔になる。
 
「こちらはお仕事ですか?」
「ううん。ちょっとプライベート」
「こないだの少年探偵団見ましたけど、格好良かったですね」
「そう?ありがとう」
「クリスマスの時の、くるみ割り人形も格好良かったですし、やはりああいう格好いい路線なんですか?」
 
あれ?そういえばそういう役が続いた気がする、と芳絵は思った。
 
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「うーん。たまたまじゃないかなあ」
「私今度の昇格試験受けるつもりなんですよ」
「わあ、それは頑張ってね」
「全国200人の信濃町ガールズの中でも頂点の本部生はほんの20名くらい(*16)だもん。凄く憧れるんですよね」
 
「そういえばそうかな」
 
「200人の信濃町ガールズ自体も、結構ハードル高いですけどね。私の友だち入団試験に3回落ちたけど、また頑張ると言って、4月の試験も受けるらしいです。私は幸運にも1回で合格したけど」
 
「君も優秀じゃん。頑張ってね」
「はい。ありがとうございます。そうだ。サインとかもらえませんよね?お守りにしたくて」
「いいよ!」
 
それで、芳絵は、彼女が持っていた画用紙に、サインペンで“いつかサインを求められた時のために”練習していたサインを書き、日付と“隅田可愛さん江”という宛名を書いた。
 
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太田芳絵が誰かに渡した、初めてのサインである!
 

(*16) 現時点での信濃町ガールズ本部生は下記23名。
 
信濃町ミューズ 10名
19歳(1)三田雪代
高3(1)太田芳絵
高2(3)斎藤恵梨香、大仙イリヤ、夢島きらら
高1(5)直江ヒカル、今川容子、青木由衣子、左蔵真未、山本コリン
 
信濃町ガールズ 13名
中3(4)鹿野カリナ、箱崎マイコ、松島ふうか、花園裕紀
中2(5)直江アキラ、豊科リエナ、石条ぼたん、山鹿クロム、三陸セレン
中1(4)宮地ライカ、知多めぐみ、長浜夢夜、鈴原さくら
 

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隅田さんを笑顔で見送りながら、芳絵は考えていた。
 
芳絵は地方ガールズを経ていない。だから“狭き門”を経て地方ガールズに入った、200人のガールズたちの“頂点”などという意識は全く無かった。
 
今まで自分は上ばかり見ていた。でも自分を見上げている若い子たちがたくさんいるというのを初めて意識した。
 
思えば2年半前、自分は自信に満ちあふれていた。自分は歌が上手いという自信があった。2019年にロックギャルコンテストに応募し、都区西部予選、東京都予選でいづれも圧倒的トップで通過して本選に進出した。
 
ところがここで彼女は自信を粉砕された。凄まじい歌唱力で優勝した月乃さん(月乃岬=東雲はるこ)、それに充分対抗していた雪渡さん(雪渡知香=七尾ロマン)に比べて、自分の歌は明らかに劣っていた。
 
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振られたエントリー番号から推測して多分優勝候補のひとりと思っていた坂井さん(坂井光子=斎藤恵梨香)は生バンドをバックに歌った経験が無かったようで、曲の出だしが分からずに失敗してしまったものの、最終的に自分が4位になったこと自体が信じられないほど、凄い人たちばかりだった(坂井さんは10位。なお3位は落合茜=町田朱美)。
 
取り敢えず上位入賞したので、レッスンを受けながら2〜3年後のデビューを目指そうということになって信濃町ガールズに入ったが周囲が凄い人たちばかりでどんどん自信を失っていった。翌年は前年2位だった雪渡さんが優勝。同点優勝になった新里さん(新里好永=恋珠ルビー)はパンチの利いた歌で、雪渡さんなどとは違った魅力を持っていた。3位・4位に入った2人も明らかに自分より上手かったが、その3位・4位の人が男の娘と知って更に仰天した。
 
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私、男の娘にも高音で負けてるよぉ。
 
更に2021年には、鈴鹿あまめ・花貝パール・美崎ジョナ・立山きらめき・夕波もえこ・薬王みなみ・鈴原さくら、など更に凄い人たちが次から次へと入ってきた。彼女らは2019年のオーディションに出てたら優勝争いしていたレベルだと思った。これだけ優秀な人たちが揃っていれば、自分がデビューできるチャンスは、まず無いと思った。
 
そんな時に親から、もう諦めて大学進学して、就職してOLになったら?と言われたのである。
 
そうだよね。自分には歌手なんて無理かなあと思った。
 

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その日、芳絵は寮に戻ってから2日間の試験の答案を自己採点した。あまりにも酷い点数に我ながら呆れる。
 
この点数で入れる大学なんて存在しないのでは?と思って大学をサーチしてみたが、一応存在する!でも聞いたことのない名前の大学ばかり並んでいる。
 
そして不安がよぎる。
 
私、今の高校でも、全然授業に付いていけてないのに、大学に行って講義が理解できるような気がしない。私、大学生とかできるのだろうか。
 
 
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夏の日の想い出・いろはに金平糖(16)

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