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■夏の日の想い出・いろはに金平糖(24)
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2月9日(水)、ワンティスの未発表アルバムとアクアが歌ったトリビュート・アルバムが4枚まとめて発売された。
ワンティス『ワンザナドゥ』
ワンティス(一部アクアと白鳥リズムによる補作)『イン・ヴィア』
アクア『ワンティス・トリビュートアルバム“The Way to Xanadu”』
アクア『ワンティス・トリビュートアルバム“Returned from Xanadu”』
当日は上島先生と雨宮先生、秋風コスモスの3人がネット記者会見を開き、この4枚のアルバムの内容と趣旨について説明した。
「まず『ワンザナドゥ』は2004年1月に発売予定だったワンティスのアルバムで、高岡と夕香さんの急死により発売中止になったものです。その後、音源自体が行方不明になっていたのですが、発売前に放送局などに配っていたデモンストレーション版が実は当時の事務所関係者のご親戚の家で発見されました。そこでそれを譲って頂き、最新の技術でノイズの除去などだけして発売に漕ぎ着けたものです。制作してから実に18年の時を経て日の目を見ることになりました。これは高岡と僕のデュエットで男声+男声のデュエットです」
「『イン・ヴィア』ですが、これは『ワンザナドゥ』を制作する過程で、レコード会社に反対されて収録しなかった曲を集めたものです。これはやはり当時の事務所関係者の別の親戚で見付かった制作途中のプロジェクトデータを収めたハードディスクの中からサルベージしました。12曲入りのアルバムとして調整していますが、3つのグループに分かれます」
と言って、上島先生はプロジェクタに表示する。
B:完成に近い音源・歌入り(4曲)
→完成度には目を瞑ってそのままミックスダウン。上島(男声)+雨宮(女声)
C.演奏はほぼ完成・歌無し(4曲)
→演奏はそのまま活かし、アクア(男声)と姫路スピカ(女声)のデュエットで歌を入れた。
D:未完成の演奏のみ(4曲)
→エレメントガードの演奏で、アクア(男声)と姫路スピカ(女声)がデュエットして収録。
「トリビュートアルバムに関しては私からご説明します」
とコスモスは言い、説明し始めた。
「元々『ワンザナドゥ』というアルバムはバンド名“ワンティス”と音楽の理想境である“ザナドゥ”をくっつけた単語です。元々はこちらに示すように音楽の理想境に到達するまでの旅路を歌ったものでした」
とコスモス言って、楽曲の並びを表示する。
Searching Cow
Long Long Ago
Voyage Romantique
人魚諸島
朝日の海岸
川と花の物語
Deep Mountain
ヴィーナスの涙
極楽鳥
ラピスラズリ
光の柱
生命の水
リズミトピア
Divina Commedia
Back to the Town
「もしかして先頭と最後は十牛図ですか?」
という質問がある。年配の記者さんだ。
「はい、ご明察です。十牛図の先頭の尋牛と最後の入店垂手(*23)ですね」
と言って、コスモスは十牛図の絵を画面に表示する。
(*23)入店垂手の“店”は本当は同音同意の難しい字“鄽”。
「なんか凄い可愛い十牛図ですね」
「夕波もえこが描いてくれました」
「おお」
「パッケージ版には、この絵も封入しています」
「夕波もえこちゃん、あけぼのテレビの何かの番組でも披露してましたが、絵が上手いですね」
「はい。うちの事務所では、明智ヒバリ・佐藤ゆか・夕波もえこが三巨頭だと思います」
「僕たちはこの順序で『ワンザナドゥ』を作るつもりだったのですが、レコード会社に反対されて、結局本来のストーリーが解体され、無関係の楽曲を追加してテーマ性の低いアルバムになってしまったんですよ」
と上島先生がコメントする。
「それでアクアが歌うトリビュートアルバムはこの『ワンザナドゥ』の本来のストーリーに合わせて制作することにしました。当時のワンティスの皆さんは25歳でした。ですから、今回のトリビュートアルバムでは、伴奏も歌も25歳以下の人で構成しています」
とコスモスは説明している。
「それでこのアルバムは23歳の作曲家・紅型明美が監修し、24歳の作曲家・大宮万葉が編曲して、現場での楽器演奏・歌唱の指導は22歳の花咲ロンドが担当しました。なお全体の方向性については、自称・精神年齢25歳の雨宮三森さんに見て頂いております」
とコスモスが言うと、記者たちが爆笑する。
「まあ技術的に未熟な部分はあるけど、音楽って技術が高ければいいものではない。若さはそれ自体がパワーなのよ。だって80歳のベテラン歌手が初恋の歌とか歌っても変よね。逆に16歳が人生に疲れたみたいな歌を歌っても違和感あるし。歌はその歌を歌うに適した年齢というものがあるのよ」
と雨宮先生は言っていた。
「それでアルバムは2枚に分かれていますが、『The way to XANADU』が元々の『ワンザナドゥ』に沿ったもの『Returned from XANADU』は、『ワンザナドゥ』の制作過程で追加された、ザナドゥとは無関係の曲を集めたものとなっております。このあたりの曲順についても雨宮先生にご指導頂きました」
とコスモスが言うと、雨宮先生は頷いていた。
それでアルバムの中から5曲、MVを流した。
『川と花の物語』"Wang Xanadu"(高岡+上島 男声デュオ)
『人魚諸島』"In Via"(上島+雨宮 男女デュオ)
『夕暮れ時のスピカ』"In Via"(アクア+スピカ 男女デュオ)
『生命の水』"The way to XANADU"(アクア:女声ソロ)
『雪の恵み』"Retured from XANADU"(アクア:女声ソロ)
"Wang Xanadu"
『Searching Cow』『Long Long Ago』『Voyage Romantique』『朝日の海岸』 『光の柱』『生命の水』『Back to the Town』『リズミトピア』『川と花の物語』 『忘れられた座席』『背中に書いたラブ・レター』『祭り太鼓』
"In Via"
『一杯の水』『ヴィーナスの涙』『ラピスラズリ』『人魚諸島』『夕暮れ時のスピカ』 『深山』『極楽鳥』『神曲』『髪の長い少年』『雪の恵み』『キャット・ウォーク』
『虹色の首飾り』
"The way to XANADU"
『サチ・カ』『Long Long Ago』『ボヤージュ・ロマンティック』『人魚諸島』 『朝日の海岸』『川と花の物語』『深き山に入りて』『ヴィーナスの涙』『極楽鳥』 『ラビスラズリ』『光の柱』『生命の水』『リズミトピア』『神曲』
"Retured from XANADU"
『ただいま』『忘れられた座席』『虹色の首飾り』『夕暮れ時のスピカ』『一杯の水』 『雪の恵み』『髪の長い少年』『キャット・ウォーク』『背中に書いたラブレター』 『祭り太鼓』『時間の忘却』『フィドルの妖精』
「高岡さんの声が懐かしいですね」
と30代くらいの記者が言った。
「上島さんや雨宮さんの声が若い」
「いや、これは40代のアーティストには出ない音だ」
といった声もある。
上島先生本人も
「ワンティスというバンドは無鉄砲さだけで2年半走りきったんですよ。だから今回は僕たちが演奏するのではなく若い人たちに委ねたんです」
と答えていた。
「高岡さんと、お嬢さんのアクアさんと、父娘競演になりましたね」
とベテランの記者から言われる。
「ええ。天国の高岡さんも娘が自分の歌を歌ってくれて喜んでいると思います」
コスモスまで“娘”と言っている!
その後、記者から多数の質問があるので、主としてコスモスが丁寧に答えていった。“事務所の関係者”については、上島先生が、若杉千代さんの息子さんであったことを述べると驚きの声があがっていた。ただ本人の所在などについては、現在は一般人なので、非公開にさせて欲しいと述べ、記者たちも了承した。ただ誰も口には出さなかったものの、きっと鍋島康平との子供なのだろうと想像したようである。
2月14日(月).
バレンタインであるが、プレゼント仕分けをしている§§ミュージックの熊谷分室では、今年は比較的暇だった。
プレゼントは大量に来ているのだが、昨年までより明らかに少ないのである。それで昨年までの量から考えて必要な人数の2割増しほどのバイトさんを雇ったのだが、そのスタッフが超多忙になるほどまではプレゼントの量が無い。実際、スタッフには週3〜4日出て来てくれるよう頼んでいたのだが、実際には週2日で済んでいた(ちゃんと本人があらかじめ届けていた日数分の給料は払う:この業界の慣習)。
プレゼントの宛先は、やはり圧倒的にアクア宛てが多いが、これが例年の半分くらいの量である。それを見てコスモスは今回バイトに入ってくれている人たちに打診した。
「君たち、バレンタインが終わったらホワイトデーの仕分けにも入ってくれない?」
「いいですよー」
と大半のバイトさん(多くが埼玉県・群馬県の学生さん:一部東京・長野・新潟から来ている人もいる)は答えた。
そしてコスモスはバイトさんの管理をしている内海弓枝人事課長に言った。
「ホワイトデーに向けてバイトさんをあと30人追加して」
「え〜〜〜!?」
なお、圧倒的多数のアクアの次は、舞音>リズム>ルビー>パール>夕波もえこ>篠原倉光>木下宏紀>さくら>セレン≒クロムで、その他のタレントはあまり多くない。
ビーナは純粋に女子と思われていると考えられる。多分男の子と思っている人はほぼ居ない!
スピカやラピスラズリなど、女性的なタレントはホワイトデーの方で来るものと思われる。ビーナも多分そちらだろう。なお、ネオンはやはり結婚したことから昨年より激減している。
なお、届いたブレゼントは(廃棄になったもの(約3割)と本人がもらった少数以外)多くは全国各地の児童福祉施設などに届けている。伊丹・小牧にはA318, 佐賀・花巻・能登・丘珠などにはCRJ200を飛ばして運んでいる。その先は昨年くらいから成立しているボランティア組織の手で各福祉施設に配送される。
またファンクラブの人たち、ファンクラブに入ってなくても昔からのファンの人たちは実物ではなく、お菓子券などで送って来てくれているので、これも各地区のボランティア組織に現品と交換して福祉施設に届けてくれるよう委ねている(F社やC社などは自社で直接福祉施設に届けてくれている)。
§§ミュージックがバレンタイン・ホワイトデーのプレゼント仕分け・配送・廃棄、またお礼状(アーティストの生写真葉書:文章は印刷)の発送などに使っている費用は2019年に5000万円、2020年6000万円、2021年8000万円と増加傾向にあるが、今年は多分舞音効果で1億円を超えそうである。
(多くの事務所はそんな費用を掛けられないからプレゼントは全廃棄する。そもそもX線検査機などを持っている所が少ない:適当な事務所だと何の検査もせずにタレントに渡すので、変な物が混ざっているお菓子などを食べて具合が悪くなったり、盗聴器入りぬいぐるみでプライバシーを暴露されたりする)
2月14日(月).
バレンタインなので、あけぼのテレビではバレンタイン特集の生放送番組をおこなった(CM付き無料放送)。
この日は最初の20分間、ミニドラマを放送した。
内気な女の子(甲斐絵代子)がバレンタインに告白しようと思ってチョコレートを買いに行き、好きな男の子(白鳥リズム!)に勇気を出してチョコを渡し、告白するまでの物語。クラスメイトや、ライバルなどとして多数の信濃町ガールズが出演した。主人公を応援して告白に向かわせる親友の役として薬王みなみが出ている。絵代子の演技が下手なのは仕方ないが!白鳥リズムにしても、薬王みなみにしても演技力があるので、わりといい感じの仕上がりになっていた。
(内気な女の子を演じられそうなのが、甲斐絵代子・東雲はるこ・夢島きらら・直江アキラくらいしか居ない:全員男の娘だ!)
後半は、鈴鹿あまめが司会をして歌謡ショーとなる。下記の高校生歌手が歌った。
石川ポルカ(高3)
白鳥リズム(高2)
七尾ロマン(高1)
ラピスラズリ(高1)
水森ビーナ(高1)
常滑舞音(高1)
2月19日(土). ♪♪音大の合格発表があり、落合翠は合格していた。しかし本命の∫∫音大の合格発表を待つことにする。もっともここに合格していたことから翠は既に合格し、入学手続きも済ませていた♭♭音大には、入学辞退する旨の連絡をした。この場合、入学金は返らないが、初年度の授業料・施設費等(約200万円)は4月29日(金)に返金するということであった。
2月20日(日).
北京オリンピックは閉幕したが、不穏な空気はますます大きくなってきた。ロシアはウクライナ国境近くに軍を集結させている。
フィギュア・スケートでドーピングが疑われるロシアのカミラ・ヴァリエヴァは、スポーツ仲裁裁判所の裁定により出場したものの、IOCはもし彼女が3位以内に入ってもメダル授与式は行わないと発表。結局本人はミスを連発して4位となり、疑惑は曖昧なままになった。
ロシアは友好国・中国のメンツを潰さないように、北京オリンピック開催中は軍事的な動きを控えるのではと想像されていた。つまりオリンピックが終わると即開戦される可能性が指摘されていた。
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