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■夏の日の想い出・いろはに金平糖(3)
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「でも外国にも金平糖ってあるんですね」
などと“金平糖の踊り”を見ていた宮地ライカが言っているので、花ちゃんが
「本当は別のお菓子なんだけど、日本語訳した人が日本人に分かりやすいように金平糖と訳したんだよ」
と教えてあげた。
「ああ、別のものですか」
「まあスパゲティを知らない日本人のために、スバゲティをうどんと訳したようなものだよ」
「そんなに違うんですか!」
と隣にいた地多めぐみが驚いている。
「チャイコフスキーとプティバの原典ではДраже(ドラジェ, dragée)というお菓子になっている」
と言って、花ちゃんはネットで検索して画像を見せてあげた
↓(wikipediaより)
「金平糖とは全然違いますね!」
「日本語でいちばん近い単語は多分“糖衣”だと思う。正露丸糖衣の糖衣」
「へー」
「だから様々なドラジェがあるんだよ。ピーナッツとかアーモンドに砂糖やチョコをコーティングしたものとか、小粒のワッフルにチョコをコーティングしたものとか。麦チョコもドラジェだし、ケーキに飾るアラザンなんかも実はドラジェの一種。あれは英語ではシルバー・ドラジェと言う」
「へー!要するに何かコーティングしたお菓子ですか」
「そうそう。金平糖の語源になったポルトガル語のコンフェイト(confeito) というのも、この手のお菓子を指す単語だったみたいね」
「じゃ語源でつながってたんだ!」
「現代英語では dragéeのほか、Jordan almond, Sugared almond, confetto などと呼んでいるみたい。 dragéeはフランス語だけど、confettoはイタリア語らしい。ポルトガル語のconfeitoと同源の単語だろうね」
「くるみ割り人形のバレエでは、プティバの原典ではфея Драже(フェヤ・ドラジェ, fairy of dragée)だけど、フランス語訳では Fée Dragée」、英語では Sugar Plum Fairy と呼ばれている。元々のロシアではクランベリーにコーティングしたものが多かったらしいけど、英語圏ではプラムにコーティングしたものが多かったのかもね」
「へー」
「でも日本語では金平糖の精で通(とお)っている」
「なるほどー」
「ついでにバレエに詳しい人以外には、プリマが踊る役であることが全く認識されていない」
「そうですよね。チョコレートとかお茶とかコーヒーとか出てくるから、その仲間だろうと思ってる人多いですよ。曲も地味で目立たない曲だし。くるみ割り人形といえば、花のワルツだもん」
とクロムも言っていた。彼はセレンの練習にかなり付き合っていた。
番組をテレビ(スティック受信機を差している)で見ていた政子が言った。
「ねね、いろはに金平糖ってのもあるよね」
「それも一種の尻取り歌だよね」
「なんで、金平糖の前に“いろはに”が付くの?」
「“いろはにほへと”をもじって“いろはにこんぺいとう”でしょ」
「そうだったのか!今まで気付かなかった」
「さよなら三角、またきて四角から始まるのもある」
「あ、それ似てるなと思ってた」
私は両方歌ってみせた。
「いろはに金平糖、金平糖は甘い、甘いはお砂糖、お砂糖は白い、白いはうさぎ、うさぎははねる、はねるはカエル、カエルは青い、青いはお化け、お化けは消える、消えるは電気、電気は光る、光るはおやじのはげ頭」
「さよなら三角、またきて四角、四角は豆腐、豆腐は白い、白いはうさぎ、うさぎははねる、はねるはカエル、カエルは青い、青いはお化け、お化けは消える、消えるは電気、電気は光る、光るはおやじのはげ頭」
「うさぎで合流するのか」
「途中経過は他にも色々バリエーションあるけど、最後は、おやじの禿げ頭に到達する。例えば“青い”からこうなるのもある」
「青いは柳、柳は揺れる、揺れるは幽霊、幽霊は消える、消えるは電気、以下同じ」
「あ、それも聞いたことある」
「電気の代わりに電球と言うバージョンもあるけど、これは蛍光灯が普及してから電気のことを電球と呼ぶようになってから出来た新しいバージョンだと思う」
「蛍光灯が普及したのっていつよ?」
「昭和40年代だと思うけど」
「じゃこの歌、そんな昔からあるの〜〜?」
「たぶん明治時代に生まれたものだと思う」
「そんなに古いんだ!?」
「歌詞のバリエーションの中に“十二階”が出てくるものがあるらしいから大正時代にあったのは確実」
「じゅうにかいって何だっけ?」
「正式名称は確かリョウウンカクとかじゃなかったかな(*4)。階数が12階だったから“浅草十二階”と呼ばれた。今の花やしきのある付近に、明治30年頃に建てられた当時としては驚異的な高層建築だったけど、関東大震災で倒壊したんだよ」
「わあ」
(*4) 凌雲閣(りょううんかく)は当時の眺望ブームに合わせて東京と大阪で建築された高層建築である。大阪の“キタの9階”が明治22年(1889)に、東京の“浅草十二階”が明治23年(1890)11月11日に建築された。十二階には日本初の動力式エレベータが設置された(人力でも良ければ日本最古のエレベータは天保13年(1842)に水戸偕楽園・好文亭に作られたものである)。
東京の浅草十二階(52m)は1923年、関東大震災により上のほうの階が崩壊した。当時展望台に居た人は、1名を除いて全員転落死した。その助かった1人というのは、履いていた足袋が福助足袋の看板!に引っかかって停まっていたのを救出されたものである。その後、建物は危険なので解体爆破された。
大崎のキタの九階(39m)は、いつ頃まであったかが不明である!昭和初期には既に姿を消していたらしい。何かで倒壊したのかあるいは解体されたのかも分からない。こちらは螺旋階段を登って上の階まで行く仕様だったらしい。
なお、大阪には、明治45年(1912)7月3日に108mの通天閣(初代)が完成している。
王子(鈴原さくら)と踊ったマリー役の美崎ジョナが、首を傾げているので
「どうしたの?」
とロンドが尋ねる。
「いえ、さくら君の手を握った感触がまるで女の子の手みたいだったから」
などとジョナは言ってる。
「たぶん、あの子も男の子を既に廃業してるんじゃないのかなあ」
「性転換したんですか?」
「そこまではしてないと思うけど、去勢はしてるとみてるんだけどね」
「すみません。去勢と性転換って違うんですか?」
まあ普通の人はそのあたりの違いが分からないかも知れない。
「去勢というのは睾丸を取ること。性転換というのは、ちんちんも睾丸も取って割れ目ちゃん・クリちゃん・ヴァギナを作ること」
「すごーい。ヴァギナまで作るんですか?でもそこまでしたら、ほとんど女の子じゃないですか」
「割れ目ちゃんさえあれば性別変更して戸籍上も女になって、男の人と結婚できる」
「男の人と結婚するためにそういう手術受けるんですか?」
「違うと思うよ。自分は女なのに、ちんちんとか付いてるのは嫌だと思うから、手術して取ってもらうんだと思うよ。イボがあるのを取ってもらうのと似た感覚だと思う」
「あれはイボなのか!」
「邪魔らしいね。男性と結婚できるようになるのはオマケ」
「うちのプロダクションって、男の子はそういう手術受けないといけないんでしたっけ?」
「そんなことはないが、元々女の子になりたい男の子が多いみたいね」
「はあ」
「きらめき君はたぶん女の子にはなりたくない」
と彼の名前を出すと、ジョナは顔を引き締めていた。
第2部は歌謡ショーとなり、“売れたらいいなシスターズ”(花咲ロンド・原町カペラ・石川ロンド)が進行役を務めて12組の歌唱者が登場した。
(あけぼのテレビ3人娘は中学生なので20時以降の番組には登場できない)
常滑舞音 with CAT sisters(水谷姉妹・宮地ライカ・知多めぐみ)
花貝パール&恋珠ルビー
(20:00の時報 by 大崎志乃舞)
品川ありさ
高崎ひろか
西宮ネオン
原町カペラ
七尾ロマン
水森ビーナ
姫路スピカ
白鳥リズム
ラピスラズリ
アクア (Pf伴奏:今井葉月)
常滑舞音は黒猫のコスプレで登場した。CAT sistersは、白猫・ゴマ色猫・三毛猫・トラ猫に扮している。
アクアはサンタガールの衣裳で歌った。葉月は対照的に白いドレスでピアノを弾いた。
「アクアは最近いつも女の子衣裳だね」
「もう男の子衣裳では歌わないのでは?」
「なんか今月正式に性別の変更が認可されたらしいよ」
などと視聴者の間では噂されていたようである。
そして葉月のピアノの最後の余韻が消えるのと同時に信濃町ミューズのメンバーがサンタガールの衣裳で入ってきて、ダンスパフォーマンスの中、直江ヒカル・山本コリン・今川容子の3人が北里ナナのヒット曲『シルバークリスマス』を歌って番組は終了した。
(3人しか歌わないのは感染拡大防止対策)
なお、第1部終了後、出演者にはショートケーキとケンタッキーのチキン2個ずつが配られた。例によって、各自の部屋で食べてねという趣旨である。第2部で歌った人にも同じ物が配られた。この部屋で各自がケーキやチキンを食べている様子がBチャンネルで流れていた。
この日はこのクリスマス・スペシャルの後、21時からは特例有料放送でステラジオのネットライブが行われる。
今回の一連のネットライブで21:00スタートになったのは、ステラジオだけである。本当は、24日は§§ミュージックのクリスマス特集番組を流すのでライブは入れない予定だった。
しかしステラジオは敢えて21時からの時間帯を選んだ。彼女たちの曲にはまるで薬物でトリップしたかのような異様な情景を歌った曲が多数ある(おかげで、ステラジオは頻繁に薬物検査を受けさせられている)。そのため、中学生などに聴かせるにはふさわしくない曲が多い(下ネタの多いスリルボカンとは別の意味で危ない)ので、その時間がいいとアルトに言ってきたのである。
ネットライブは最初の5分はノーチケットでも見られる(その後はチケットが無いとBチャンネルに飛ばされる)。それでクリスマススペシャルを見たついでに何となく見ていて興味を持った人がチケットを買ってくれ、ステラジオは想定していた倍の視聴があり、ΘΘプロでステラジオ担当の大堀浮見子(フロート大掘)副社長が仰天したらしい。
12月25日(土).
岩本卓也主演『セロ弾きのゴーシュ』が放送されたが、2時間半の放送の中でほんとに最初は下手だった岩本君のチェロが、少しずつうまくなっていく様子に、感動の声があがった。たぶん岩本君のファンが10万人は増えたのではないかと思う。
12月27日(月).紅白歌合戦の歌唱順が発表された。発表されたのは“順番”だけであるが、その順から、だいたいの歌唱時刻が次のように推測された。
19:55 紅 常滑舞音 with CAT sisters
20:07 紅 白鳥リズム
20:25 紅 羽鳥セシル
20:43 紅 北里ナナ
21:16 紅 ラピスラズリ
常滑舞音は高校生だが、バックダンサーとして踊らせたいと申し入れていたCAT sistersが全員中学生なのでNHKは舞音の演奏時間をギリギリ20:00前にしてくれた。他19時台には中学生歌手が多く入っている。
19時代の出場者:−
19:33 紅 倉田ミチコ
19:37 白 伊東浩美
19:41 紅 UFO
19:44 白 羽田小牧
19:48 紅 スパイミッション
19:52 白 千夜子遅刻
紅組は、女子高生の倉田ミチコの後は、UFO,スパイミッションともにメンバーが全員中学生である。白組は、トップが超ベテラン歌手の伊東浩美さんで、その後、羽田小牧は中学生、千夜子遅刻(チョコレイト)にも中学生メンバーが居る。
北里ナナことアクアはカウントダウンライブのラストを務めるので、紅白での演奏が終わったらすぐ解放してもらえるようお願いしている。
なお紅白のリハーサルは29日から始まるが、§§ミュージック系列の紅白出場組は全員忙しくてとても全てのリハーサルには出られないので、下記がリハーサル役を務めることで、NHK側の了承を得ている。
常滑舞音(158cm)→坂田由里(160cm)
CAT sisters →本人たち参加!!
白鳥リズム(159)→鈴原さくら(161)
羽鳥セシル(171)→夕波もえこ(172)
町田朱美(162)→甲斐波津子(162)
東雲はるこ(161)→甲斐絵代子(166)
北里ナナ(158)→薬王みなみ(159)
坂田由里は常滑舞音自身の指名である。水谷姉妹が使えたらいいのだが、水谷姉妹は身長が低すぎる。坂田由里だと舞音と身長が近い。そもそも由里はこの春から、非常に頻繁に舞音の付添い役を務めていて舞音の歌や演技を最も間近で見ているし、舞音同様“猫系”タレントで、雰囲気が近いので結果的にリハーサル役としても適任だったのである。坂田由里は
「え〜〜!?紅白のリハーサル役ですか!!?」
と焦っていたが!
東雲はるこの代役・甲斐絵代子は身長が5cmも違うのだが、身長以前に大事な“雰囲気”で、東雲はるこのようなタイプが§§ミュージックでは他に見当たらず、いちばん雰囲気の近いエーヨを選んだという事情がある。そしてエーヨとの相性から、姉の波津子が町田朱美の代役を務めることになった。そもそもこの2人は過去にかなりラピスラズリの代役をしているのである。
昨年は七尾ロマン・恋珠ルビーが“ロマン&ルビー”と称してラピスラズリのリハーサル役を務めたが、今年はルビーが多忙で29-30日を完全に空けることができず、甲斐姉妹に回ってきた。
他も代役は、第1優先:雰囲気、第2優先:身長や体型、で選んでいる。薬王みなみは夏のライブでもアクアのリハーサル役を務めている。またアクアは声域が広いので、アクアの歌を原キーのまま歌える人は、葉月、ビーナ、ロマン、東雲はるこ、常滑舞音、に薬王みなみなど少数しかいない。ロマンはアクアと雰囲気が違いすぎるし、ビーナは本人が忙しくて紅白のリハ役まではとても手が回らない。
甲斐姉妹・水谷姉妹が紅白のリハーサルに出るのでカウントダウンライブでの演奏順序が変更になった(詳細後述)。
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