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■夏の日の想い出・東へ西へ(1)

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(C)Eriko Kawaguchi 2016-12-22

 
10月23日(木)。私は朝から上島先生のご自宅を訪問し、アクアのデビューに関して意見を交換した。
 
「すみません。すぐ来るつもりだったのですが、テレビ番組の収録で昨日・一昨日はインドネシアまで行っていたんですよ。こちらお土産です」
と言って、私はインドネシアの空港で買った缶入りのチョコレートを3つとマンゴーケーキを渡す。
 
「なんか沢山だね!」
「同行した記者から聞いたのではインドネシアはカカオの生産量が世界第3位らしいです」
「へー。1番はどこだろう?」
 
と言っていたら
「1位はコートジボワール、2位がガーナ」
という声がする。
 
見ると髪もばさばさのままで、眠そうな顔の雨宮先生が部屋に入ってくる。スカートも乱れている!?
 
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「雨宮先生もいらしたんですか?」
「昨夜、下川と3人で飲んでた」
と雨宮先生。
「僕は早々にダウンしたから、結果的にぐっすり寝た」
と上島先生。
 
「下川先生は?」
「まだ寝てる」
「ああ」
 

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雨宮先生はさすがにスカートの乱れは手で直してからソファに座ると
 
「美味しそうなチョコだ」
と言って、勝手にチョコの缶を開けて食べ始める。
 
「ああ、さすが本場だね。美味しいじゃん」
 
「どれどれ」
と言って上島先生も取る。それを見て春風アルトさんも取って
 
「あ、美味しい美味しい」
と言っている。
 
「例の件は後にしましょうか?」
と私は言ったが
 
「この2人なら問題無いから」
と上島先生がおっしゃるので、私はアクアのデビューに関する企画について率直な意見を言った。
 
「基本的にいいとは思うのですが、少し懸念があって」
「うん」
 
「そもそもああいう女の子と見紛(みまが)うような子ですし、それをいきなり女装で登場させた場合、いわゆるニューハーフ・キャラと思われるのではないかと私は心配なんですよ」
 
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「それは実は醍醐君からも言われた」
と上島先生。
 
「ああ、醍醐は昨日お伺いしたみたいですね」
 
この件は現在千里を尾行中の麻央からも連絡を受けている。
 
「うん。しかしあの子も忙しいみたいだね。夕方からバスケの練習があって大会が近いのでと言って3時間ほどで帰っていった」
 
それは上手い言い訳だと私は思った。上島先生のお宅に来ると、しばしば徹夜になってしまう。
 
上島先生は言う。
 
「龍虎は、口では自分は男ですーとか言っているけど、結構女の子の服を着るのを喜んでいるみたいだし。小学生の頃、遊園地とかに連れて行ってたら、だいたい女の子と思われるみたいで、ゲームとかに参加して女の子用の景品もらったりしていた。でも自分では女の子になりたい訳ではないと言っているんだよね、昔から」
と上島先生。
 
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「それって、つまり性同一性障害ではなく、ただの女装趣味なんじゃないの?」
と雨宮先生が言う。
 
「ああ、実は僕も雨宮とかローズ+リリーのタカとかに近いのかなと思った」
と上島先生。
 
「あら、私は普通の男で、女装趣味じゃないけど」
と雨宮先生。
 
しかし私も上島先生もその発言は黙殺する。
 
「先生、タカはテレビ局がおもしろがって女装させているだけで本人は別に女装趣味は無いです」
と私。
 
「え?そうなの?てっきり元々女装趣味があったのを隠していたけど、最近その傾向をカムアウトしたのかとばかり」
と上島先生。
 
「本人もあまり女装させられるので困っているみたいです。でもそのお陰であちこち呼ばれるから、取り敢えずはあの路線で行くしかないみたいですね」
と私。
 
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「その内ふらふらと去勢したくなったり、おっぱい大きくしたくなったり」
と雨宮先生。
 
「それはないですよー。それに彼、12月には結婚しますし」
「それ、双方ウェディングドレス着て、結婚式あげるんでしょ?」
「そんなことしたら、向こうの親が怒りますよ」
「そのあたりは頑張って説得して理解してもらって」
「何を理解させるんですか!?」
 
「精液冷凍しておけば、本人が性転換しても、特に問題無いということね」
「えっと・・・」
 
実はこの時期、雨宮先生は冷凍精液による4人目の子供(後の秋山怜梨)が生まれたばかりだったのだが、私はそのことを15年くらい先まで知らなかった。
 

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私は話を本題に戻す。
 
「それで龍虎君がちゃんと男の子だということを何かで明示しておいた方がいいと思うんですよね」
と私は上島先生に言った。
 
「醍醐君が、男装の写真集を出したらどうかと言っていた」
「ああ、それはいいアイデアだと思います」
 
「裃(かみしも)つけさせて武士の姿とか、パイロットの制服着せたり、男らしい服装の写真集を出す。学生服姿を公開してもいいし」
と上島先生。
 
「じゃついでに最後のページにセーラー服姿とスクール水着姿を」
と雨宮先生。
 
「それはまずいですよー」
 

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「ケイ君もその方針に賛成なら、それ紅川さんに打診して見るよ。11月中に沖縄かどこかにでも連れて行って写真を撮って、1月に発売できるようにしようか」
 
「そのくらいのタイミングがいいですね。放送が12月29日でしたっけ?」
「そうそう」
 
「だったら1月1日発売が理想的だな」
と雨宮先生が言う。
 
「だったらあまり時間無いね。今すぐ紅川さんに言ってみよう」
と言って上島先生は紅川さんに電話をしていた。
 
「すぐ企画を進めるそうだ。今度の連休に伊豆大島かどこかに連れて行って撮影するという線で」
 
「今から間に合うんですか!?」
「そのくらいの予定で進めていれば、たぶんその翌週になる」
「ああ」
 

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「ああ、そうそう。それと龍虎の歌手デビュー曲なんだけどね」
と上島先生は、何だか言いにくそうに言った。
 
「一応俳優デビューを優先する予定だから、CDデビューの件は少し遅れて公開するらしいけどね」
「ああ、それがいいと思います」
 
「僕もそれでいいんだけど、そのデビューCDに、加藤さんから、上島先生も1曲書いてくださいよ、と言われちゃって」
「なるほどー」
 
「何か自分の息子に曲を渡すみたいでどうも変な感じで」
と上島先生が言うと
「最初だけ書いて、あとは誰かに押しつければいい」
などと雨宮先生は言っている。
 
「ゆきみすず作詞・東郷誠一作曲なんてビッグネーム使うのに、僕まで参加するのは、屋上屋を重ねませんか?と加藤君には言ったんだけど、ビッグネームの共演で華々しくスタートさせたいと言われて」
 
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「いいと思いますよ、そのくらいやって」
と言ってから、私は疑問に思った。
 
「ところで上島先生、アクアのプロジェクトって誰が主導してるんですか?」
「ん?」
「いえ、アクア関連の情報って何だかあちこちから断片的に入って来て、各々の人がどうも全ては知らないまま動いているみたいで」
 
「ああ、それは僕も感じていた。明確なプロデューサーが居ないよね。でも中心は紅川さんか加藤君じゃないの?」
「実は紅川社長に訊いたら上島先生じゃないの?と言われて」
 
「あれ〜〜〜!?」
 
雨宮先生が何だか笑っていた。
 

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上島先生の所に林葉課長から連絡が入り「ああ、ごめん!」と言って先生が何か曲を書き始めたのを幸いに、私は帰ろうとしていた時、★★レコードの加藤課長から連絡が入る。あまり電話では話せない内容というので、私は電車で都心に出て★★レコードを訪ねた。
 
加藤さんは氷川さんにも席を外させ、私と2人だけで話した。
 
「この話を今★★レコード内で知っているのは僕と町添だけなんだよ」
「何の話でしょうか?」
 
私は加藤さんの言い方から、会社の経営にでも関わる重大問題かと思った。
 
「実は上島雷太君の隠し子の娘さんがデビューするんだよ」
「本当ですか!?」
 
私は驚いた。でもそういう話があるなら、なぜさっき私が行った時にそういう話が出なかったのだろう?
 
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「それで、今度ローズ+リリーが全国ツアーをするでしょ?」
「はい」
「『雪を割る鈴』の鈴割り役が要るよね?」
「はい。その人選に関しては、氷川さんの方で各公演ごとに適当なアイドル歌手とかタレントさんなどにお願いするということで、手配をしてくださっていたのですが」
 
「その先頭の沖縄公演に、その子を登場させたいんだよ」
「私は構いませんが、どういう子なんですか?」
 
「歌を聞いたけど、物凄く上手い」
「さすが、上島先生の娘さんですね。上島先生も凄く歌がうまいから。名前とかは決まっているんですか?」
 
「うん。アクアちゃんと言って、今中学1年生なんだよ。凄い美少女だよ」
 

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私は脱力して頭を抱えて笑いをこらえることができなかった。
 
「どうしたの!?」
と加藤さんが驚く。
 
「課長、少し誤解があるようですが」
「え!?」
 
「アクアのことなら私もよく知っています」
「そうだったの!?」
 
「ローズ+リリーのライブへの登場は問題無いですよ。ただ沖縄公演は12月12日なんですが、あの子が芸名“アクア”というのを発表するのは12月29日放送の番組なんです。それは構わないんですか?」
 
「ああ、それは実は指摘があったのだけど、ローズ+リリーの公演で口頭で名前を言うくらいは、むしろ前宣伝になって良いのではということで、公式発表前のフライングということでいいそうだ。そもそもその番組は12月1日に収録するからその時に付けられた名前を12月12日に口にするのは矛盾が無い」
 
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「そういうことであれば問題ないですよ」
「よかった。じゃ、それはそれでお願いするね。でも誤解って何?」
 
「アクアは上島先生の子供ではなく、高岡さんの子供です」
「へ?」
 
「高岡さんと夕香さんの間に2001年8月20日に生まれた子供なんですよ。再度上島先生に確認してみてください」
と私は手帳で誕生日を確認しながら言った。
 
「嘘!?夕香ちゃんが子供産んでたの?」
「だから2001年当時、夕香さんはほとんどライブに出演していなかったはずです」
 
「あれ〜〜?どこでそんな勘違いが起きたんだろう」
 
「それともうひとつの問題ですが」
「うん」
 
「アクアは女の子ではなく男の子です」
 
「それ何の冗談?」
と加藤課長が言う。
 
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「何でしたら、お医者さんに見せて性別判定してもらいます?」
 
「え〜〜〜〜!?だって女の子にしか見えなかったよ」
 
「まあ、デビュー前に手術受けさせて女の子に変えちゃう手もありますが」
と私は言った。
 

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2014年10月。私は南へ北へと18000kmに及ぶ大移動をした。
 
10.16-17(木金) 『光る情熱』の音源製作のため福岡に。同行者:政子・千里・ 風花・氷川・スターキッズ。現地共同作業者:里美・純奈・明奈 
10.18-19(土日) 織絵を避難させに札幌へ。同行者:蔵田・樹梨菜・政子・千里・ 織絵・龍虎。 
10.21-22(火水) 番組収録のためジャカルタへ。同行者:松原珠妃, Elise,  高柳記者。現地合流:麻生杏華。 
10.22(水) 帰国後そのまま札幌へ。同行者:上記4人。 
 
それで、さすがに私も疲れたのだが、私は千里と4日間にわたる旅をしていて、彼女が「元バスケ選手」ではなく「現役バスケ選手」なのではという疑惑を抱いた。それで親友の麻央に千里を尾行してもらった。するとやはり千里が間違い無く現役選手であったことが確認されたし、千里の《不倫相手》が大阪に住んでいることも分かった。また、千里が「一体いつ寝ているのか?」とマジで悩むような物凄い生活をしていることも知る。
 
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26日の午後、私の恋人・正望が突如来訪した。
 
「フーコ、お腹空いたぁ、何か食べさせて」
と言ったのだが、あいにく私は忙しい。
 
「ごめーん。今とても手が回らないから、悪いけど何か適当に作って食べて」
と私がCubaseと取っ組み合いながら言うと、
 
「もっと彼氏には優しくしなよ」
と政子が言って
 
「どれどれ私が御飯を作ってあげる」
と言う。
 
「ほんと?助かる!」
と正望はありがたがっている。私は政子の作る料理なんて恐ろしいと思った。しかし手が空かないので、そちらは政子に任せて私はCubaseでスコアの調整作業を続けていた。
 
やがて政子の料理が出来たようである。
 
「えっと・・・・これ何だろう?」
と正望は政子に頼んだことを少し後悔しているような声。
 
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「えっとね。カレーヌードル御飯のトマト味かな」
 
私は吹き出した。正望がこちらを恨めしそうに見ている。
 
「御飯をフライパンで炒めて、味付けにラーメンスープを入れたんだよね。仕上げにカレーパウダーを振って、最後にトマトピューレを加えてみた」
 
「政子さん、これ味見とかはした?」
「私は出来上がるまでは味見はしない主義だよ」
 
「そう?でもありがとうね。頑張って挑戦してみる」
と言って正望は食べ出したが、いきなり口を押さえて
 
「ごめん。水かお茶ちょうだい」
「だったら、これあげるね」
と言って伊右衛門の2Lペットボトルを持ってくるので
 
「助かる」
と言って、それを自分で取ってきたコップに注ぐと飲み干している。それでも正望は何とか、政子のそのカレーヌードル云々という料理を食べ続けた。こんなに頑張って食べてくれるなんて、良く出来た彼氏だなぁ、と私は他人事のように思いながら作業を続けていた。
 
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「でも正望さん、今日は何だっけ?冬の誕生日はこないだ過ぎたし」
「実は司法試験予備試験の口述試験が昨日・今日と2日間あったんだよ」
「へー。何か試験だったんだ?」
「でも順番の関係で今日はお昼を食べ損なったんでお腹空いてお腹空いて」
「コージュツシケンって何するの?」
「まあ面接みたいなものだね」
 
「へー!」
 
正望は、政子の作った正体不明の御飯をしっかり完食してくれた後、出てきたお菓子を「これ美味しいね〜」と言いながら食べ、その後、政子と3時間近くおしゃべりしてから帰った。
 
私とセックスしたがっているのは分かっていたのだが、申し訳ないが今日は時間が無いのである!
 

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正望が帰ってから少しして、仁恵が加藤課長から言付かったという書類を持ってうちに寄ってくれたので、これ幸いと彼女に頼んだ。
 
「ごめん。政子が焼肉に行きたいと言っていたんだけど、今夜私は忙しくて手が回らなくてさ。代わりに付き合ってあげてくれない?」
「軍資金、そちら持ちなら」
「もちろん」
 
それで政子は仁恵と一緒に出かけたので、これで仕事がはかどり、私は何とかこの日の20時までに仕上げてスターキッズと氷川さんに渡さなければならなかったツアー用のスコアを完成させることができた。
 

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