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■夏の日の想い出・東へ西へ(2)

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データを送信して、ほっと一息ついた所で政子が帰宅するが、入って来たのを見ると、青葉と一緒なので、びっくりする。
 
「ちょうど玄関の所で一緒になった」
と政子は言っている。
 
「ちょうど来た時、政子さんが居たので声を掛けました」
と青葉。
 
青葉は20日から今日まで、札幌に行き織絵のヒーリングをしてくれていたのだが、織絵の様子を私に報告するために、夕方の飛行機で新千歳から羽田に飛んできたのである。
 
「やはり最初はホントにショックで何も考えられないという感じだったのが、少しは落ち着いてきた感じです。最初は音楽も聴けない状態だったのが、今はもうXANFUSの過去のアルバムとか聴いているんですよ」
と青葉は言った。
 
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「随分改善したね! でもありがとう。助かるよ。実際問題として、いちばん心配したのが発作的に変なことしないかという心配でさ」
と私が言うと
 
「変なことというと性転換?」
などと政子が茶々を入れる。
 
「それも早まったことという気はするけど」
「織絵さん、男になりたいと小さい頃は結構思っていたそうですよ。でもそういう女の子はわりと普通にいますから、FTMとかではないみたい」
 
「あの子、バイだよね?」
と私は訊いたが
「すみません。今回のご依頼内容と直接関係ないと思われる個人の秘密については、依頼者といえどもお話できないので、必要であれば直接本人に聞いて下さい」
と青葉は答える。
 
「うん、いいよいいよ」
と私は笑って答えるが
 
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「これだから青葉は信頼できるけど、それだから青葉は使えん」
と政子は言っている。
 
「しかし男の子になりたいと思う女の子は正常で、女の子になりたいと思う男の子は概して異常とみなされるのはなぜだろう?」
と政子が疑問を呈する。
 
「そのあたりは色々説はあるけど、ほとんどの説が非当事者の人が考えたものだから、かなり的を外している気がするよ」
と私は言う。
 
「例えば男性優位説というのがあるよね。男の方が女より優れているから、女がより優れた男になりたいと思うのは正常だけど、男がより劣った女になりたいと思うのは異常だというの」
 
「なんか違う気がするなあ」
と政子まで言う。
 
「これの変形でこういうのもある。やはり男が女より優れているという前提で、女がより優れた男に変身するのは困難だと思って諦めるけど、男はランクダウンして女になるのは容易だと思って女になってもいいと考える」
 
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「それはおかしいです。女の子になりたい男の子は、みんな女の方が優れていると思っています」
と青葉が言う。
 
「だよねえ」
 
「女性だけにある、子供を生み出す力にそういう子は憧れているんですよ。子宮羨望と乳房羨望というのが、女の子になりたい男の子の主たる原動力という気がします。もっとも乳房羨望は決断さえできたら実現できるけど、子宮羨望は今の医学技術では実現不可能で、子宮羨望に付随する膣羨望で代用して我慢しているんです」
と青葉は言う。
 
「だから女の子にはなりたいけど、おちんちんはできたら無くしたくないという微妙な子もいるよね」
 
「います。特に小さい内はそういう傾向があるけど、女の子になりたいという気持ちのほうが勝るから、やがてはおちんちん無くすのは仕方ないか、とそちらは諦めるんですよ」
 
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「そういう子は、積極的に自分の意志でおちんちん無くすのは抵抗があるから、誰かに拉致されて強制的に性転換手術されちゃったりしないかなあ、と妄想する」
 
「ですです。無理矢理取られちゃったら、まあ仕方ないかという感覚なんですよ」
 
「もしかして両性体が理想?」
と政子が訊く。
 
「両性体が理想という人はいますね。男でもあり女でもありたい。おっぱいはある前提で、おちんちんがあって、ヴァギナもあるという身体に憧れている人いますよ」
 
「無性体が理想の人もいるしね」
「そうなんですよ。そういう人はおちんちんとタマタマが無くなればいいんです。ヴァギナは欲しくないんです」
 
「その人たちの中でも、割れ目ちゃんは欲しいという人と、割れ目ちゃんも要らないという人がいるよね」
 
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「いますね〜。ほんとこの付近って、微妙なんです」
 
「ネット上の有名人で、性転換手術して女の形にしたのに、男性ホルモンを取っていて、射精能力を維持していて、自分は男だと主張している人がいるよね」
 
「あの人ですね。やはり色々な人がいるんですよ」
 
「ちんちん無いのに、どうやって射精するの?」
「クリちゃんをぐりぐりしていると射精する」
「え〜〜!?」
「だって性転換手術で睾丸は取っても、射精するシステム自体は除去しないから射精は可能なんだよ。男性ホルモン優位の状態にある前提で」
 
「それって性転換手術したことを後悔して男性ホルモン取り始めたの?」
と政子が訊く。
 
「違うと思います」
と青葉。
「うん。あの人は元々意識が男だったけど、おちんちんもたまたまも要らないと思ったんだと思う」
と私も言う。
 
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すると政子は
 
「全然分からん!」
と言った。
 

夜10時頃、政子がお腹が空いたというので(焼肉をたっぷり食べてきたはずだが)ピザを焼いて食べた。
 
「青葉は今夜帰るの?」
「新宿を0時に出て、高岡に7時半に着くバスがあるので、それで帰ります」
「今夜泊まって、明日朝の新幹線で帰ればいいのに」
「それだと高岡到着が10時半になって、3時間目までを欠席することになるんですよ。一週間休んだから、できたら今日は1時間目から出たいので」
 
「上野発の夜行列車とか無かったんだっけ?」
「4年前に無くなっちゃったんですよね〜。夜行特急『北陸』と急行『能登』ですね」
「それは残念だ」
 
「新潟乗り継ぎの夜行急行とかも無かったっけ?」
「それ一時期随分使っていたんですが、昨年無くなったんですよ。夜行急行『きたぐに』。あれがあると、東京を21:40に出て長岡で乗り換えて高岡2:35着だったんです」
 
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「でも深夜バスが営業しているってことはJRでも需要あると思うのに」
「需要あると思います。バスより電車の方が寝やすいもん。座席の質は悪くても」
「関越で起きた事故みたいなのあったら怖いもんね」
「それもあるんですよね〜。絶対電車の方が安全率高いし」
 
そんなことを言いつつ、青葉は11時前に帰って行った。
 

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青葉が帰って少し経った後、私のスマホに麻央からメールが届く。少し前に届いたメールも私は見落としていたようだ。順に見て行くと、千里が今日の試合には勝ち、そのあとチームメイトと居酒屋で打ち上げした後、恵比寿に向かったので、もしかしたら私のマンションに行くのかもと思ったということ。ところがマンションの近くで女子高生を拾い、マンションには寄らずに北へ走り出したとあった。
 
拾った女子高生というのは青葉だろう。
 
私は青葉を高速バスの出る新宿まで送って行くのかなと思ったのだが、麻央が「首都高に乗ろうとしている」というので、麻央に直接電話をして
 
「追尾はもうやめていい」
と言った。
 
一応昨日の時点で尾行はもういいよということにして、報酬なども払っているのだが、最初一週間という約束だったしということで今日までは尾行を続けると言っていたのである。
 
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「たぶんそれ高岡往復だと思う」
「高岡って・・・富山県か金沢県あたりだっけ?」
「うん富山県」
 
「きゃー」
 
「こないだ大阪までノンストップで往復したんだったら、今回も高岡までノンストップ往復するつもりなんだと思う。追尾する側の体力が大変だし、それで事故でも起こしたらいけないから中止しよう」
 
「分かった」
 
それで麻央たちはマンションに呼んで、お疲れ様でしたということで、お酒とお夜食で1時間ほど休んでもらい、今夜はそのまま泊まってもらった。ふたりは翌朝“私と”一緒に朝御飯を食べ、10時頃帰って行った。(むろん政子が朝御飯の時刻に起きているわけがない)
 

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ところでこの時期08年組でXANFUSの他に、私たちが心配していたのがAYAのゆみである。彼女は2月にシングル『雨の恋人岬』を発売、そして4月にヌード写真集『Saintes-Maries-de-la-Mer』を大手新聞に全面広告を出すという大胆な宣伝で発売して日本中を驚かせた後、メディアから姿を消した。
 
この3月には、マスコミ等にその関係は公開していないもののゆみの妹世都子が遠上笑美子の名前でデビューしており、私や和泉などは、それとも何か関わりがあるのだろうかとも思ったが、私たちもゆみとは全く連絡が取れなかった。あまりに露出が無いので死亡説まで出ていたが、事務所側は「ちゃんと生きてます」と言明した。
 
「AYAは休業中なのでしょうか?」
という質問に事務所は
「休業している訳ではないのですが、ただ活動予定が入っていないだけです」
と答えた。
 
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テレビ番組の出演に関して、AYAが出演予定だった所を同じ事務所の麻生まゆりやLLL, 田代より子などが代替出演したケースがあったことをテレビ局の関係者が匿名を条件に語ったという情報も一部週刊誌が報じていた。
 

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そのゆみが10月27日の朝、唐突に私のマンションを訪れたので、私は驚いた。(麻央たちが帰ってすぐである)
 
車で来たというので地下駐車場のシャッターを開け、来客用駐車場の場所を教えた。5分ほどで上まで登ってくる。
 
「ゆみちゃん、どこに居たの?」
「ずっとマンションに居たけど」
「マンションで張っていても姿を見ないからどこか外国にでも行っているのではなんて言われていたけど」
「ああ。どこにも出てないし。食料は通販で取り寄せたり、事務所の人とか友達とかが持って来てくれたし。私、マンションでずっと映画のビデオ見たり、本を読んだりしてた。源氏物語、宇津保物語、平家物語、それに宮本武蔵、徳川家康、大菩薩峠とかも読破した」
 
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「随分読書が進んだね!」
 
「源氏物語は涙が止まらなかったよ」
「あれは若い内に1度読んでおくべきものだって、ゆきみすず先生が言ってたよ」
 
「ゆき先生とも先月1度会った」
「へー」
「先生、何も言わなくてさ、美味しいケーキあったからって持って来てくれて1日中ずっとおしゃべりだけして帰ったの」
 
「優しいね」
「うん。先生が帰ってから、私涙が出た」
 
「涙は出してしまえばいいんだよ。出るだけ出しちゃう」
 
「そうだね。。。でさ、これローズ+リリーで歌ってくれないかなあ」
と言って、ゆみは譜面とUSBメモリーを差し出す。
 
タイトルは『Step by Step』と書かれており、クレジットは水森優美香作詞・戸奈甲斐作曲となっている。水森優美香は、ゆみの本名である。
 
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「これトナカイって読むの?」
「そうそう。実は本名にひっかけたシャレなんだけどね。古い知り合いなんだよ。実は色々なアーティストの制作に関わっている人」
「へー」
 
USBメモリの中にはCubaseのデータ、MIDIのほか、mp3が2本入っている。
 
「そちらの1は純粋にCubaseから落としたデータ、2の方が私が仮歌を入れたもの。自宅で録音したからノイズとかごめんね」
 
「ううん。問題無い」
 
それで仮歌の入っているものを聴いてみたが、凄くいい歌である。ゆみも半年休んでいた割には、しっかり歌っていると私は思った。
 
「これ、ゆみちゃんが自分でリリースすればいいのに」
「まだあまり表に出たくないんだよね〜」
「だったら、私たちと一緒に歌わない?私からも前橋社長にお願いしてみるよ」
「そうだなあ。まあコーラスくらいなら入れてもいいよ」
 
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「じゃボーカル収録の準備が出来たところで呼ぶね」
「ああ。そちらはスターキッズが伴奏するんだよね?」
「そそ。ゆみちゃんはいつも打ち込みだね」
「うん。うちはそういう方針みたいだから。生バンドで歌うのも気持ちいいんだけどね」
「そのあたりも社長にお願いしてごらんよ。ゆみちゃんほどの子なら、ある程度のわがままもきく筈だよ」
 
「そうだなあ。私のやる気スイッチがオンになったら」
「ああ、オフになってるね」
「今そのスイッチの場所を探しているというか」
「分かる分かる」
「いっそ性転換でもしたらスイッチ入るかもと思ったんだけどね」
「スイッチ壊れたりして」
 

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そんな話をしている内に、千里が来訪する。
 
私は昨日までの一週間(20-26日)、麻央に頼んで千里を尾行してもらったので、やや後ろめたい気分になった。昨夜はたぶん青葉を自分のインプで高岡まで送って行ったと思うのだが、もう戻って来たのか。高岡まではノンストップでも6時間掛かるから、23時に出て向こうに着くのは5時。今11時だから、ほとんど休んでない計算になる。
 
「千里車で来たの?」
「うん。マンションの下まで来たけど、友達に頼んで自分の駐車場に回送してもらったから大丈夫だよ」
「ああ、友達と一緒だったんだ?」
 
その友達と交代で運転したのだろうか??
 
そのあたりも聞こうかと思った時、千里が、ゆみに声を掛ける。
 
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「ゆみちゃん、おっひさー」
「わっ、醍醐先生、おはようございます」
 
私は驚く。
 
「前から知り合いだったっけ?」
「まあ某所でね」
と千里。
 
ゆみは千里に自分の運勢を占って欲しいと言った。すると北の方位で運が開けると出る。
 
「北かあ。北海道にでも行ってこようかな」
「ああ、旅に出るのはいいことだと思う」
 
「そうだ。北海道に行ったら、札幌に寄ってここを訪ねてくれない?ごはんくらいは食べさせてくれると思うから」
と千里が言った。
 
「村山玲羅?妹さんか誰か?」
「うん。2つ下の学年。ついでにそこにXANFUSの音羽ちゃんが今滞在しているから」
「うっそー!」
 

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