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■夏の日の想い出・東へ西へ(5)

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(C)Eriko Kawaguchi 2016-12-23
 
少し時を戻して11月26日。青葉が北海道からいったん東京に寄った日のことである。
 
青葉はケイのマンションを出ると、恵比寿駅方面に歩き始めた。
 
ところが少し歩いた所で後ろから来た赤いインプレッサが停車してクラクションを鳴らす。窓を開けて顔を出したのを見ると千里姉である。
 
「ちー姉!?」
「北海道からこっちに戻って来たの?」
「うん。冬子さんからの依頼だから、その結果報告に来た。ちー姉は?」
 
「冬の所に行くつもりだったんだけど、青葉が出てきたの見たから。どこに行くの?ホテルまでなら送ろうか?」
「新宿に出て夜行バスで高岡に戻るよ」
 
「今夜帰るんだ!?」
「だって学校あるし」
「一週間休んだついでに明日も休めばいいのに」
「できるだけ授業出たいもん」
 
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「じゃ私が高岡まで送って行くよ」
「え〜〜!?」
 
「今から高岡まで走れば・・・・」
と言ってカーナビを操作している。
 
「到着予定時刻は3:55になっている。約5時間かな」
「ちー姉、そのカーナビの速度設定おかしくない?」
「毛布も布団もあるから、それかぶって後部座席でずっと寝てていいし、トイレ行きたくなったらいつでも休憩するし、この車には非常食もたくさん積んでるし。お湯を沸かすための設備もあるからカップ麺やレトルトカレーも食べられるよ」
 
「まあいいか。ちょっとちー姉と話したい気分だったし」
と言って、青葉はインプの後部座席に乗り込んだ。荷室から毛布と布団を引き出し、それを身体に掛ける。車は発進し、Uターンしてから近くの首都高のランプを目指した。
 
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その千里の赤いインプの後をつける青いインプがあった。2分も走っている内に青葉がその車に気付く。
 
「ちー姉、もしかして後ろの青いインプ、ちー姉を尾行しているということは?考えたらさっき私が車のそばに立ったまま話していた時、少し後ろの方に停まってスモールランプにしてたよ。そしてこちらが出たらすぐ向こうも普通のライトに切り替えて発進してUターンして同じ方向に来ている」
 
「うん。先週の月曜日に北海道から戻ってきたあと、ずっと尾行してるよ」
「誰がそんなことしてるんだろう?興信所か何か?もしかして細川さんの奥さんの依頼とか?」
 
「あれは冬子のお友達だよ」
「え〜〜!?」
 
「確か小山内さんじゃなかったかな。冬子が、私の生活実態に疑問を感じて尾行させているんだと思う。こないだも大阪往復に付いてきたけど、今夜も高岡までの往復、付いてくるかな?」
 
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「うーん・・・私もちー姉の生活実態に疑問を感じてる」
 
「大したことしてないけどなあ。大学に行って、ファミレスと神社のバイトして、ほかにちょっとバスケとか作曲とかしてるだけだよ。後はまあ身体を鍛えるのに日々の基礎トレーニングかな。冬の間は1日40kmのウォーキング」
 
「その時点で既にちー姉が3〜4人居ないと不可能だと思うんだけど」
「ああ、あんた双子でしょとか、よく言われたね」
と言って千里は笑っている。
 
しかし青いインプは高樹町の入口から千里の車が首都高に入ろうとした時、ランプの直前で進入をやめ、脇に停車してハザードを焚いた。
 
「どうしたのかな?」
「冬子から、もうそろそろいいよという指令が出たのかもね」
「ああ」
 
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「でも今回の織絵ちゃんのヒーリングの件も助かったけど、こないだの胚移植の件もありがとうね。今のところ順調だよ」
 
「だったら良かった。ああいうのは初めての経験で緊張した」
 
「まだ本人は基本的に絶対安静。トイレに行く以外は寝てなさいということにしている。実は私の友だちに頼んで買物とかも行ってもらっている。私が前面に出ると彼女も気にするだろうから、貴司が買物していることにしてね」
 
「3ヶ月目に入るくらいまではそれで行った方がいいと思う。あの人、本当にホルモンの分泌が不安定なんだもん。男の娘並みの不安定さ」
 
「実際私や青葉の女性ホルモンの方がよほど安定して分泌されてるだろうね。実はお医者さんも安定期に入るまで入院しててもいいという意見なんだ。本人がずっと病院にいるのは気が滅入るというから自宅に置いているけど。それで悪いけどさ、出産に到達するまで月1回でもいいから、リモートであの人のホルモン分泌のメンテをしてあげてくれない?」
 
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「いいよ。それはやる。今夜は私も疲れてるから、取り敢えず明日1回リモート掛けておく。もっともこの件についても色々聞きたいことはあるんだけど」
 
「たぶん私が正直に答えても青葉は満足しないと思う。実際、私にもよく分からないことが多すぎるんだよ」
 
「まあいいけどね」
と言って青葉は目を瞑って取り敢えず身体を休めることにした。結局青葉はそのまま熟睡し、明け方、有磯海SAで休んで千里と一緒に早めの朝御飯を食べた後、4時半頃、帰宅した。
 
千里は自宅で1時間ほど仮眠してから「帰るね」と言って帰っていった。朋子が「慌ただしいね!」と言っていた。
 

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11月5日(水)朝。私たちは東京駅に集合した。
 
この日集まったのはこういうメンツである。
 
龍虎、上島先生夫妻、長野支香、田代夫妻、志水さん。 
村山千里、佐々木川南、白浜夏恋、若生暢子。 
私と政子、それに§§プロの社長名代として龍虎の先輩になる秋風コスモス。 
以上14名である。
 
今日はアクアのデビュー前に、亡き両親への報告と慰霊をしようという趣旨なのである。
 

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東京駅6:00の《のぞみ》に乗り、7:36に名古屋駅に到着する。在来線に乗り換えて8時過ぎに尾張一宮駅に到着する。
 
高岡さんのお父さんは現在さいたま市に住んでいるのだが、一族が元々一宮市の出身なので、お墓も一宮市にあるのである。一宮近郊には現在隣の稲沢市内に高岡さんのお父さんのお姉さん(龍虎の大伯母)が住んでおり、その人がお墓の日々の維持をしているらしい。
 
尾張一宮駅からは4台のタクシーに分乗してお墓のあるお寺まで行った。お墓の場所を知っている上島先生、支香、田代父、志水さんの4人が1人ずつ別れて乗っている。
 
上島夫妻、冬子・政子 
支香、夏恋、暢子 
田代夫妻、龍虎、川南 
志水、コスモス、千里 
 
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お墓を掃除し、花を立て、線香に火を付けて墓の前に置く。
 
「この中でお経が唱えられる人?」
と支香が訊く。
 
「僕は怪しいな。海原なら般若心経を暗唱できるんだけど」
と上島先生が言う。
 
「千里は唱えられる」
と若生暢子が言う。
 
「ではぜひ」
と上島先生。
 
「いや、私の般若心経はちょっと問題があって・・・」
 
「いや、他ではまず聞くことのできない般若心経だから、ぜひやってもらおう」
 
「でも、死者への冒涜になりそうで・・・」
と千里が渋るが
「多少つっかかり、つっかかりでもいいよ」
などと上島先生が言うので
 
「では失礼します」
と言って、千里は《般若心経》を唱え始めた。
 
上島先生がポカーンという顔をしている。志水さんが可笑しさをこらえきれずに笑い声が出ないように口をげんこつで押さえている。アルトさんも一所懸命笑いをこらえている。政子はあからさまに笑っているが、さすがに笑い声まではたてない。
 
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凄いと思ったのがコスモスで、彼女はいっさい表情を変えずにずっと合掌していた。
 

千里の《祝詞風般若心経》が終わる。
 
「お粗末様でした」
と千里。
 
「いや、これは凄かった」
と上島先生は言った。
 
「まあ凄いとしか褒めようがないな」
などと若生暢子は言っていた。
 

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火の始末をする。燃え掛けの線香は全部袋に入れて持ち帰る。お花はそのままにしておいて良いと高岡さんの伯母から言われている。
 
お寺の前で待ってもらっていたタクシーに再度分乗して尾張一宮駅に戻った。名古屋まで行ってから《のぞみ》に乗り継ぎ、11:43に東京駅に戻った。そのまま東北新幹線乗り場に向かい、12:20の《はやぶさ》に乗る。車内で駅弁を食べた(例によって政子は3個食べた)。13:52に仙台に着く。
 
ここで龍虎の祖母(支香の母)と合流する。今回の慰霊会は物凄いハードスケジュールなので、祖母は体力を考えて今回ここだけの参加になった。実は高岡さんのお墓には数日前に支香とふたりで泊まりがけで行ってきている。1月3日の公式慰霊会には出席予定である。
 
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それで15人でタクシー4台に分乗して仙台市郊外にある長野家の墓に行った。
 
「なんで夫婦なのにお墓が名古屋と仙台に別れてるの?」
とタクシーの中で政子が訊いた。
 
このタクシーに乗っているのは、上島先生夫妻、私と政子の4人である。
 
「正式に結婚してなかったから」
「正式に結婚してなくても夫婦なのに。龍虎ちゃんの両親なのに」
 
この問題について上島先生が言う。
 
「籍が入ってないから、夕香の骨を高岡家の墓に入れる訳にはいかないし、ふたりの関係を高岡のお父さんがずっと認めていなかったんだよ。だけど昨年明らかになったワンティスの著作権問題(実際には夕香が書いた詩を高岡作詞として公表し、印税の処理がされていたことが明らかになり、その是正処理がなされたこと)以降、少しお父さんも軟化していてね。実は三宅が間に入って話をまとめて、高岡家・長野家で一緒に親戚の杯を交わさないかという話も出てきている。そして高岡と夕香の骨を各々分骨して、双方の墓に入れてはどうかという案も出ている。ただ、ここで龍虎の問題で、まだ高岡のお父さんが頑なでね」
 
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「何かあるんですか?」
「高岡のお父さんはまだ龍虎を高岡の息子と認めていない」
と上島先生。
 
「そんなのDNA鑑定とかすれば分かるんじゃないんですか?」
と政子。
 
「DNA鑑定ならもう龍虎の戸籍を作った時に1度している。本人たちが死んでいるから、高岡の弟さんと支香さんに協力してもらって鑑定した結果、高岡と夕香の子供である可能性は高いと出ている。でもその結果を受け入れてくれないんだよ。だから、龍虎の母の欄には長野夕香の名前が入っているけど、父の欄は空白のまま」
 
「DNA鑑定の結果が出ているなら、戸籍に記載できないんですか?」
と政子は更に訊くが
「法的には承認を取る必要は無いけど、一応お父さんの承認の上で記載したいと支香が言うし、僕もそれに賛成している。だからそのままになっている。その問題もあって親戚の杯の件と分骨の話もなかなか決まらないんだよ」
 
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「難しいなあ」
と言ってから、政子は私に訊いた。
 
「私と冬って死んだらお墓は別々なのかなあ」
「各々の夫と一緒の墓になると思うよ」
と私は答える。
 
「それ寂しいよお。一緒のお墓に入りたい」
「骨なんてただの物質だよ。死んでも気持ちがひとつであればいいと思うよ」
と私が言うと
 
「うーん。。。。私はそこまで割り切れない気がする」
と政子は言っていた。
 
「各々の子供に、遺言で一部お互いに分骨して相手の墓にも入れて欲しいと書き残しておけば、もしかしたら対応してくれるかもね」
とアルトさんが言った。
 
私の子供ね・・・。私、子供産めないからなあ。
 

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長野夕香のお墓は高台にあるお寺の中にあった。
 
「ここは高台にあるので津波の被害を免れたんですよ。平地にあった墓地はもう悲惨なことになったみたい」
と龍虎のお祖母さんが言う。
 
「津波は生きている人も死んだ人も全部飲み込んでしまった」
とコスモスが厳しい顔で言う。
 
あるいはコスモスの知り合いもあの津波で命を落としたのだろうかと私は思ったものの、そのことを訊くのははばかられた。
 
ここでも千里が般若心経を唱えてみんなで合掌したが、龍虎の祖母がかなりおもしろがっていた。
 

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仙台駅に戻ったのが15時半くらいである。ここで龍虎の祖母とは別れる。
 
また新幹線に乗って東京に戻るが、その車内での出来事である。
 
私たちはグランクラスに乗っているのだが、グランクラスという座席はそもそもE5系新幹線にわずか18席(3席×6列)しかなく、その内の5列15席を確保しているので、事実上買い占め状態である。仙台行きの新幹線では上等なドレスを着た外国人の観光客っぽい女性3人と一緒だったが、東京に戻る新幹線では他に客がいなかった。
 
すると身内だけなのをいいことに政子が言い出す。
 
「今日はアクアが学生服で楽しくない」
 
「だって、うちのお父さん・お母さんの追悼だから。皆さんも喪服だし」
と龍虎。
 
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「まさか学生服で参加するとは思わなかったからなあ。そうだと知っていたら、私がアクアに合いそうな可愛い喪服を買ってきてあげたのに」
と政子が言うと
 
「実は持って来ていたんですが、拒否されたんです」
と佐々木川南が言う。
 
「おお、あるのなら、それを着よう」
と政子。
 
「え〜〜!?そんなあ」
「芸能界の先輩として命令するから、この後はそれを着なさい」
「勘弁してくださいよぉ」
 
「取り敢えずお墓参りは終わったし、いいじゃん」
「でもこの後、行く所が」
 
政子が上島先生の顔を見るが
 
「じゃ着てみて変だったら学生服に戻るということで」
と上島先生も言うので
 
「じゃお着替え決定」
と政子が言う。
 
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「うーん。。。。じゃちょっと試着するだけ」
と龍虎も妥協する。すると、川南が「よし」と言って、
 
「じゃ着替えよう。こちらにおいで」
と言い、龍虎を座席の後ろの方に連れていく。
 

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■夏の日の想い出・東へ西へ(5)

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