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■夏の日の想い出・東へ西へ(17)

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(C)Eriko Kawaguchi 2016-12-26
 
利尻島ではタクシーをチャーターして、オタトマリ沼、姫沼、ペシ岬などの景勝地を見てまわった。もっとも、多くの景勝地が、10月末で資料館などの営業は終わっていたらしい。
 
「あと少し早く来るべきだったのかな」
「まあ資料館といっても、そう大きな期待はしない方がいいと思いますが」
「ああ」
 
礼文島では、理歌の伯父・芳朗さんの家でたくさんの海の幸をごちそうになった。
 
「ホッケの刺身なんて初めて食べた!」
「ごくごく新鮮なのでないといけないんですよ」
と理歌。
「寄生虫がいるから、分かっている人がさばかないといけないのよね」
と芳朗さんの奥さん・鶴子さんが言っていた。
 
お酒も勧められたが、自分があまりお酒に強くないのは分かっているので遠慮しておいた。
 
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「うん。お酒は拒否した方がいいです。でないと、アルコール抜けるのに数日掛かるくらい飲まされますから。稚内に4−5日滞在するはめになるかも」
と理歌が言う。
 
「あははは」
 
この家でも、ゆみは自分が「普通の人間」として、扱ってもらえていることを実感していた。モデルのお仕事を始めた中学生の頃から、自分は同級生たちからも「特殊な人」という目で見られ、接するのも(常に緊張が必要な)他のタレントさんや、自分をまるで神様のように崇拝しているファンの人たちとかばかりであった。
 
ゆみは自分が人間であることを忘れていたよなあ、というのを考えていた。
 
考えてみれば『08年組』の仲間、XANFUS, KARION, ローズ+リリーの子たちがいちばん警戒心無しで接することができていた。
 
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翌日は午前中から昼過ぎまで、鶴子さんが車に理歌とゆみを乗せて、礼文島内の景勝地、桃岩・猫岩、礼文滝、北端の須古頓(スコトン)岬などに連れて行ってくれた。
 
そして夕方の便(礼文17:10-19:05稚内)で稚内に戻り、その日は稚内で泊まった。
 
翌11月19日(水)は理歌とゆみで交代しながらカイエンを運転して留萌に入り、理歌の実家に寄せてもらった。ゲーム好きのお祖母ちゃんと対面したが、お祖母ちゃんが「私AYAのファン。ティンカーベル以来聞いている」と言ったので、びっくりした。その『ティンカーベル』のCDにサインを書いてあげたら物凄く喜んでいた。
 
「でもこのCD、インディーズだから普通のレコード屋さんには売ってなかったのに」
 
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と言う。これは実はAYAが、あすか・ゆみ・あおい、という3人組だった時代の最後のCDである。このCDが12万枚(最終的には40万枚)も売れたのでAYAはメジャーデビューが決まった。もっとも最初に売れた12万枚とその後大手の販売ルートに乗って更に売れた28万枚はCD番号は同じでも実はパッケージが異なる。ここにあるのは最初に売れた初期版である。
 
但しそのメジャーデビュー前に、あすか・あおいが離脱してしまった。
 
そして・・・『ティンカーベル』の“本当の”作曲者は醍醐先生だ。このことはごく少数の関係者しか知らない。名義上はロイヤル高島作詞・アキ北原作曲とクレジットされているが、むろん印税は醍醐先生に支払われているし、その印税のおかげで、自分はあの年、日本代表での活動を含めてバスケをたくさん出来たと先生は言っていた。
 
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「当時ラジオで偶然聴いて気に入ったから、取り寄せたんですよ」
とお祖母ちゃんは言っている。
 
「すごーい。私自身、このCDすごく久しぶりに見ました」
とゆみは本当に驚いたように言った。
 
「うちのお祖母ちゃんってミーハーだからなあ」
と理歌が言っていた。
 
しかしゆみはこういう場所にも自分の古くからのファンがいるんだなあというのをまた再認識していた。
 
20日は留萌市内の黄金岬などを見た上で理歌と一緒に札幌に出て、この日はホテルに泊まった。理歌は自分のアパートにいったん戻ったのだが、翌日21日(金)の朝、またホテルに来てくれて、一緒に玲羅のアパートを訪れた。
 

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「おお、久しぶり」
と言って、ゆみが音羽と抱き合う。
 
「なんかこのまま押し倒してやっちゃいたいくらい」
と音羽が言うので
 
「私、レスビアンの趣味は無いから勘弁して〜」
とゆみは言っておく。
 
「落ちこぼれ同士、くっついちゃうのもありだと思うけどなあ」
「落ちこぼれかあ」
「私は首になっちゃったし、ゆみちゃんも首寸前でしょ?」
「うん。そんな気はする。今のままだとたぶん4月に契約を更改してもらえない」
 
「ゆみちゃん、月給とかもらってるの?」
「無いよお。印税・著作権使用料の9割、テレビ出演のギャラの7割をもらうだけ。ライブはまあ適当に」
 
「それでも、結構な収入があったでしょう」
「うん。CD出してないのに、これまでのCDをファンの人たちが買ってくれているんだよ。本当にありがたい」
 
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「ゆみちゃん、貯金してる?」
「少しはしてるけど、大した金額ではない。ひょっとすると春から路頭に迷うかもという気はしてた」
 
「AVのお誘いとか来たりして」
「既に来てる。音羽ちゃんは?」
「実家にたくさん来てるらしい」
 
「やはり!」
 

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「でも昼間は観光地とか景勝地とか見てまわって、夜はどうしてたの?」
と織絵はゆみに訊いた。
 
「なんか長いこと、夜型の生活してたから、夜2時くらいにならないと眠れないんだよね」
とゆみ。
 
「あ、私もそんな感じ」
 
「テレビとか見る気にもならないし、夜になったら、妄想したり、詩を書いたりしてた」
 
「どんな妄想するの?」
「内緒」
「ふふふ。でもどんな詩を書いたの?」
 
「これなんだけどね」
と言って、ゆみは帯広の雑貨屋さんで買った少女趣味なノートに多数書き綴った詩を見せた。
 
「ずいぶんたくさん書いたね」
 
「私、作詞家になろうかなあ」
「ああ、それもいいと思うよ」
 
などと言って織絵は見ていたのだが、その中の一篇に目を留める。『Take a chance』という詩である。実は桃川さんの身の上話を聞いたあとインスパイアされて書いた詩だ。全てを失った人がどん底から復活していく姿勢を様々な比喩表現で書いた詩である。
 
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「これなんか凄くいい詩だと思う」
「あ、それは自分でもいい出来だと思った」
 
「よし。これに曲を付けよう」
と織絵は言った。
 
「お、すごい」
「落ちこぼれA子作詞・落ちこぼれB子作曲、ということで」
 
「それもいいかもね〜」
 
それで織絵は玲羅の電子キーボードを借りて1時間ほど掛け曲を書き上げた。
 
「この電子キーボード、あちこち出ない音があるね。まあ作曲に使うのには支障が無いけど」
 
「これお姉ちゃんが小さい頃に使ってたキーボードなんですよ」
「おお、醍醐先生が使っていたものなら、プレミア物だ」
 

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理歌と玲羅で協力して、お昼、そして夕食を作ってくれた。理歌は夕食まで一緒に食べてから帰って行った。
 
織絵とゆみは、玲羅・理歌もまじえて、色々話していたのだが、織絵が言い出した。
 
「ねえ、玲羅ちゃん、青葉ちゃんに、ゆみちゃんのヒーリングもしてもらえないかなあ」
「ああ。それ聞いてみます」
 
それで玲羅が千里に連絡したところ、明日こちらに来てくれることになった。
 
青葉は翌22日朝、小松8:20-9:55新千歳という便で飛んできてくれた。そしてゆみのヒーリングをしてくれたのだが、ゆみは青葉のセッションでぼろぼろ涙を流していた。
 
ふたりはふすまを閉めた奥の4畳半でセッションをし、織絵と玲羅は六畳や台所にいてクラシック音楽を流し、ゆみたちの会話が向こうには聞こえないように配慮してくれた。
 
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「これって金属疲労みたいなもんですよ。長年タレント活動できる人って、概して忍耐力が物凄いんです。でもどんなに忍耐力のある人でも、厳しいスケジュールで動き、無茶を言われ、売れてないタレントさんからやっかみを受け、勘違いした有名男性芸能人からセクハラされたり、頭のおかしなファンから変なことされそうになったり、そういうのに日々耐えていくのは大変ですよ。その長年の疲労がここで一気に吹き出してきたんです」
 
と青葉は言った。
 
「ああ、そうかも知れない気はする」
 
「でもかなり気も晴れたでしょ?」
 
「実はそんな気もする!」
 

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ゆみはこの春に起きた“できごと”について、初めて人に語った。これまで誰にも言わなかったことである。青葉はそれを静かに聞いていたが言った。
 
「ちょっと《修正》作業をしましょうよ」
「はい?」
 
青葉はゆみを半覚醒状態に導いた。そして彼女にその時のことを思い出させた。ゆみが涙を流しながら、そのことを再度語った後、青葉は彼女を完全に眠らせた。そして彼女の夢の中に自分も入り込み、別のシーンを映画でも見るように見せた。
 
ゆみは30分ほど深く眠ってから起きたが、
「私あの出来事、忘れられない気がしていたのに、記憶が曖昧な気がしてきた」
と言った。
 
「元々記憶なんて、思い込みが紛れ込んでいるものなんですよ」
「本当はどうだったんだろう。本当私分からなくなって来た」
 
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「誰もそれ見てなかったんでしょ?だったら、ゆみさんが覚えているものが真実ということでいいんですよ」
と青葉は言った。
 
「そうですよね。そう思っちゃおう」
と言って、ゆみはまた涙を流していた。
 

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「心の中のつっかえがだいぶ取れたと思います。体内の“気の流れ”があちこち滞っていたのが、かなりよく流れるようになりましたよ」
 
「そうそう。滞っていたのが流れるようになった感覚!」
「特に子宮や卵巣の付近が酷かったです。最近、生理も乱れてたでしょ?」
「6月から8月まで一度も来なかったんですよ。私妊娠した?と思って思わず妊娠検査薬まで買ってきちゃった」
「反応はどうでした?」
「陰性だったからホッとした。その時期、妊娠するようなことした覚えは無かったんだけどね。あれ、男の子とセックスせずに自然妊娠ってことあるのかな?」
 
「そうですね。2000年ほど前に中東の地でそういうこともあったらしいですけど」
「ああ。。。。たまにはあるかもね」
 
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「そうですね。実は処女生殖で生まれている人も時にはいるかも知れませんけど、大抵はセックスしたから出来たんだろうと思っちゃうから」
 
「そうか。実はそういうことあるかも知れないのか」
「その可能性はありますよ。だってコモドドラゴンとか処女生殖しますよ」
「そうだよね!なんか女って凄いね」
「ええ、女性は偉大です」
 

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青葉とゆみのセッションは長時間続いた。ゆみはかなり気分が楽になってきたと言った。
 
「ゆみさんの悩みはもうほとんど解消しかかっていました。私が今日したのは最後の一押しです」
 
「そうかも知れない。私、北海道に来てから、どんどん気分がよくなってきた。もっと早く来ればよかったのかなあ」
 
「北海道に来たら解決するくらいの所まで、ゆみさんが自分で回復していたのだと思います。仕上げをするために北海道に来るのが良かったんですよ」
 
「あ、そうなのかも」
 
「後は無理せず、もう少しのんびりと休養していれば、その内、何かしたくなりますよ」
 
「無理しなくていい?」
 
「今無理すると、また2年くらい浮上できなくなりますよ。今のままなら、まああと数ヶ月で立ち直れる気がします。自然に何かしたくなった時に何かすればいいんですよ」
 
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「そういえば昨日、織絵ちゃんとふたりでこんな曲を書いたんですよ。それで歌ってみたいねと言っていたんですけど、私はDTMとかしたことないし、織絵ちゃんも、遙か昔にやったことがあるだけで最近のソフト分からないと言うし、大宮万葉さん、もし良かったらこれを編曲してMIDIとか作ってもらえないかなと思って。依頼料はヒーリングと別に払いますから」
 
と言って、ゆみが手書きの譜面を見せる。
 
青葉はそれを黙読してみたが、物凄く良いできの曲だと思った。
 
「これ私がしてもいいけど、姉の方が作業早いです」
「おっ」
 
それで青葉は千里に連絡して、その曲の編曲をしてMIDIを作る作業をしてもらうことにした。千里は特急で作業してくれて、翌日にはCubaseのデータとそこから落としたMIDI,mp3を送って来た。
 
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そして千里が「お勧めのスタジオがある」と言って、旭川市内のスタジオを紹介した。ゆみにしても織絵にしても、人の多い札幌で動き回るとどうしても目立ってしまう。それなら旭川の方がまだ目撃されてネットなどに書かれる確率は低いと考え、玲羅のセフィーロ・ワゴンに4人で乗って旭川のスタジオに移動した。
 

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スタジオでは、荒木さんというベテランの技師さんが対応してくれたが、荒木さんは、単に録音作業をするだけでなく、ゆみと織絵に様々な歌唱指導もしてくれた。ふたりともこういう指導をされるのは久しぶりだったので、原点に帰るような新鮮さを感じた。
 
作業が終わった後で、荒木さんは意外なことを言った。
 
AYAのメジャーデビュー曲『スーパースター』をこのスタジオで鴨乃清見さんが調整作業したというのである。
 
そして今回の仕事を依頼してきたのが、鴨乃清見さんだと彼は言った。
 
今回織絵たちは醍醐春海(千里)に紹介されてこのスタジオに来た。ということは鴨乃清見というのは醍醐春海だったということになり、ゆみや青葉はその事実に驚愕した。
 
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■夏の日の想い出・東へ西へ(17)

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