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■夏の日の想い出・南へ北へ(12)

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もう夜遅いので、東名もかなり空いている。その道を千里の赤いインプが爆走する。そしてその後を佐野君の青いインプが追うように走る。佐野君はもうこれは追尾しているのは絶対バレてると思ったという。
 
麻央が目を覚ましたのはもう2時半頃である。
 
「ごめーん。ちょっと寝過ぎた。ここどこ?」
「さっき名港中央をすぎた」
「伊勢湾岸道?」
「うん」
「ね、まさかノンストップ?」
「そう。もう3時間走っている。さすがに1回休憩すると思うんだけど」
「トシ眠くない?」
「眠いけど頑張る。コーヒーどっかに無い?このあたりにある奴は全部飲んでしまった」
 
「荷室にあったと思う。取ってくる」
と言って麻央はシートベルトを外し、後部座席に行って、荷室にあるコーヒーを4本持って来た。1本開けて佐野君に渡す。
 
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「さんきゅ」
 

千里のインプは東名をずっと走り、豊田JCTから伊勢湾岸道に入っていた。そしてやがて東名阪・新名神と進む。ずっとノンストップである。佐野君が眠らないように麻央はたくさん話しかけ、また膝を揉んだり、腕をつねったりしていた。
 
さすがに1回くらい休むだろうと思っているのに、千里のインプは休まずにひたすら走っている。
 
「いったいどういうバイタリティなんだ?本当に女か?」
と佐野君が言っている。
 
「でもガソリンだいぶ少なくなってきたよ。もし岡山とか福岡とかまで行かれたらやばいね」
「いや。向こうもこちらと同じインプなんだから、こちらがガス欠になるなら向こうもガス欠になる」
 
「そっかー」
「たださ」
「うん」
 
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「あいつ物凄く上手いんだよ。スピードが安定していて、加速度をできるだけ使わないように走っている。凄く燃費のいい走り方」
「わあ」
「だからこちらも加速度が掛からないように頑張ってる。でもガソリンタンクのギリギリくらいまで走られたら分からない」
「うーん・・・」
 
「でもそこまでギリギリになる前に給油すると思うんだよね」
「だよねー。高速でガス欠したら切符切られるもん」
 
インプは草津JCTから名神に戻り、桂川PAでやっと休憩した。羽田を出たあと4時間ノンストップであった。
 
「助かった!もう俺限界に近かった」
「交代する」
「頼む」
と言ってふたりは運転席と助手席を交代した。
 
千里が降りてトイレに行く。
 
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「俺トイレ行ってくる!万一先に出たら俺は置いたまま後を追ってくれ」
「分かった」
 
大量にコーヒーを飲んでいるのでトイレも辛かったはずである。麻央もトイレに行きたいが、行っている間に向こうが出たら困る。佐野君はもう体力限界である。幸いにも千里より先に佐野君は戻ってきた。
 
千里のインプは千里が車に戻ってから10分ほどしてから発車する。麻央はこんなに停まっているのならトイレに行きたかったと思ったが仕方ない。こちらも出る。麻央の運転でフォローするが佐野君はあっという間に睡眠に落ちた。
 

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千里のインプはその後、吹田ICで一般高架道路の大阪中央環状線に移った。そしてしばらく行った後、千里(せんり)ICで下道に降りた。少し行った所にある月極駐車場に入ってしまう。
 
麻央は寝ている佐野君を起こした。
 
「ここに入って行ったの?」
「ここ月極だからボクたちは入れない」
「たぶん車を置いて出てくると思う。俺が見てるから、マオ、車をどこかに駐めてきて」
「分かった」
「あ、待って。ガソリン満タンにしてきてくれ。俺のカード使って」
と言って佐野君がクレカを渡す。
「ラジャー」
 

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麻央が給油&駐車に行っている間に千里が出てくる。ロングヘアが特徴的でこれなら、見間違わないなと思う。きれいにお化粧している。そうか桂川PAで10分停まってたのは、化粧するためだったのかと思い至る。
 
佐野君が後を付ける。千里は近くのホテルの早朝から開いているラウンジに入った。麻央に今居る場所をメールで報せる。ふたりもラウンジに入り、少し離れた場所に座る。
 
千里はこのラウンジで同じくらいの年齢の男性と落ち合った。
 
「彼氏かな?」
「なんかそれっぽいね」
 
ふたりは朝食を取っているので、麻央たちも朝食を取る。
 
今日は月曜日である。ラウンジには会社勤めっぽい人が結構いる。しかしさすがにホテルのラウンジで朝食を取ろうという人たちは、みんな良い服を着ている。
 
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やがて千里たちが席を立つ。ふたりはホテルの玄関向かい側にある駐車場に駐めていたアウディに乗り込む。
 
「わっ!」
「この展開は考えてなかった!」
 
AUDI A4 Avantはあっという間に走り去ってしまった。
 
「どうする?」
「そのまま報告するしかない。でもさ。たぶん夕方くらいには戻って来たりしないかな」
 
「あり得るね」
「じゃ俺たちはどこかで仮眠しよう」
「そうしよう」
 

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佐野君たちは状況を冬子に報告したところ
 
「お疲れ様!」
と言い、千里がインプに戻った所からをまた付けてもらえばいいと冬子は言った。
 
昨日冬子が振り込んでくれたお金をコンビニのATMで降ろしてから、ふたりは郊外のモーテルに車を駐めてベッドの上でセックスもせずにひたすら寝た。そしてお昼過ぎに千里がインプを駐めた月極駐車場の所まで戻った。お昼用に運転しながらでも食べられるおにぎりやハンバーガーを買い、缶コーヒーとクールミントガム、更に凍結されたジュースも買っておいた。
 
「中に入って見てきた。赤いインプが駐まってた」
「じゃ待つか」
 
外でずっと駐まっている訳にはいかないので、30分交代でひとりが立って見ている間にもうひとりが運転してその界隈を適当に周回しておくというのを繰り返すことにする。これを夕方くらいまで続けないといけないかもと麻央たちは思っていたのだが、千里は意外に早く戻って来た。
 
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午後1時すぎ、千里が1人で歩いて戻って来て、中に入っていく。
 
「もう戻って来た!中に入った。たぶん出す」
と佐野君が麻央に連絡する。
 
「すぐ戻る」
 
麻央が車で戻ってきたので、佐野君が助手席に乗り込む。それからすぐに千里のインプは出てきた。追尾していくと、向こうは近くのガソリンスタンドに入った。こちらは道路脇に停めてハザードを焚いて待つ。
 
向こうが給油終わって出る。追尾する。
 
千里のインプは千里ICを昇って大阪中央環状線に乗った。少し離れた所で車の行方を見ていると、吹田IC方面に行ったようである。
 
「東京に帰るのかな?」
「たぶん」
「だったらまたノンストップかも。俺が運転する。代わろう」
「うん」
 
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麻央の体力では東京までのノンストップ運転は無理である。
 
それでふたりは大急ぎで運転席を交代した。
 

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停まっていたのでかなり距離が離れたものの、佐野君の青いインプがどんどん前の車を追い越して行くと、やがて千里の赤いインプが見えてきた。
 
「追いついた」
「良かった良かった」
 
それで佐野君のインプが千里のインプを追いかけていく。今度は千里は新名神には行かず、ひたすら名神・東名と走って東京に戻ってきた。今回はどこでも休憩しなかった。そして、首都高に入り、錦糸町で降りた。
 
「なんか高速料金がすげー」
「デートするために車で大阪まで往復したのかな」
「だとしたら凄い体力だぞ。夜中に5時間車を運転して午前中いっぱい彼氏とデートして、その後昼間に6時間ノンストップ運転して戻って来て」
 
「デート中はひたすらマグロになって寝てたりして」
「さすがにそんなデートは寂しい!」
 
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やがて赤いインプは大きな体育館の駐車場に駐まった。佐野君もそこに駐める。
 
「ごめん。俺寝てる。見てきて」
と佐野君。
「OK」
と麻央は言って車を降りた。麻央は途中少し仮眠しておいたのである。
 

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麻央が体育館の中に入っていくと、中ではバスケの練習をしている人たちがいた。麻央は2階席に上がってみた。すると黄色いユニフォームを来た10人ほどの女性たちがバスケの練習をしていたが、やがてそこに同じユニフォームをつけたロングヘアの千里が加わり、一緒に練習を始めた。
 
しかし・・・・6時間ノンストップで運転した後、そのままバスケの練習ができるって、一体どういう体力してるんだ!?
 
麻央は練習はしばらく続くだろうと考え、体育館のトイレを借りてから車に戻った。佐野君はいなかったが、すぐに戻って来た。彼もトイレに行っていたらしい。彼は近くのモスまで行って来たということで、ふたりでモスバーガーを食べ、ホットコーヒーを飲んだ。
 
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近くのGSで満タン給油してきた後、体育館の駐車場で2時間ほど毛布をかぶって待つ内に選手たちが出てくる。地下鉄や電車で帰るのか表通りの方に歩いて行く選手もいる。駐車場に駐めた車に乗って帰って行く選手もいる。
 
やがて千里が赤いインプに乗り、車を出すので麻央はその後を追尾した。千里のインプは首都高を通って、千葉市内の駐車場まで行き、その後千里は車を降りて近くのアパートの一室に消えた。麻央はそこが冬子から聞いていた、千里の住居であることを確認した。
 

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千里の尾行が大変だったのは初日だけで、その後は大学に行ったり、ファミレスのバイトに行ったり、神社のバイトに行ったりの繰り返しであった。麻央は、この子、一体いつ寝てるんだ?と疑問を感じた。大学のあと神社で2時間奉仕し、それからバスケの練習をした後、ファミレスで朝までバイト。バイトが終わるとまた大学に行って、などという恐ろしいことをしている。
 
この一週間、千里は毎日夕方には江東区の体育館に行ってバスケの練習をしていた。そのバスケの練習を見ているうち、麻央は彼女らが今週末の10月26日、大会に参加すると言っているのを耳に挟んだ。
 
そのあたりまで報告した所で冬子は
「ありがとう。大変だったね。ここまででいいよ。報酬は2人で40万くらいでいい?」
と言った。
 
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「え!?うそ?」
と麻央は驚いて言う。
 
「ごめーん。少なかった?やはり100万くらい?」
 
「いや、あまりにも高額で驚いた。でもくれるなら50万くらいもらってもいい」
 
麻央はこの時、今回の調査費用が高速代とか途中で休憩するのに泊まったホテル代とかで10万くらい掛かったし、2人とも普段のバイトを休んでいるから、そのくらいはもらっていいかもと思った。
 
「うん。じゃ50万振り込むね」
「これで結婚資金ができる」
「それは良かった」
 
「じゃそれ受け取ったら、こないだの仮払い20万は返すね」
「あれは純粋な経費だから、そのままで。もし不足していたら追加で振り込むけど」
「え!? あれは高速代が3万くらいと駐車場代1万くらいに食費3-4万、ホテル代4万くらい、ガソリン代5万くらいで、えっと、だから16万くらいしか使ってないと思う」
 
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「それって結構ギリギリだったね!」
「言われてみればそうかも!」
「余った分はそのまま取っておいていい。でももし再度計算してみて赤が出てたら言ってね。その分も渡すから」
 
「うん。念のため再度計算してみる!」
 
結局、麻央は再度計算してみたら純粋な費用として18万使っていたほか、着替えを洗濯している余裕が無かったので下着やトレーナーなどをカードで4万くらい買ったんだけど、と言ってきたので、私はそのオーバー分を含めて55万、麻央の口座に振り込んだ。
 
しかし麻央たちが追跡の純粋な費用として1週間で18万使ったということは千里もどう見ても10万は使っている。何だか恐ろしい生活をしているなと思った。そして千里のインプもかなり酷使されているし千里自身の体力が凄まじい。麻央も言っていたが、いったいいつ寝ているんだ?
 
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この麻央たちの体力の限界まで使った調査のおかげで、私はバスケは数年前に辞めたと聞いていた千里が、実はバリバリの現役であったこと、そして大阪に男性の恋人がいることを知った。それは先日からの千里の話の中に出てきていた「不義の子」の父親なのだろうと私は判断した。
 
もっとも卵巣も卵子を持っていないはずの千里が、どうやって男性との間に「不義の子」を作ったのか(現在代理母?のお腹の中で妊娠中らしい)、私はこの時点ではどうにも不可解だった。
 
桃川さんといい、千里といい、最近は男の娘でも子供が産めるのか!??しかしそんな話が政子に知れると、おもしろがられて、私まで無理矢理妊娠させられそうだ!
 

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私は11月3日、千里が出ている大会・東京都バスケットボール秋季選手権(オールジャパンの東京予選)を見に行った。
 
千里たちの40 minutesは決勝戦で敗れて残念ながら関東予選への進出はならなかったものの、ここで千里から思わぬことを頼まれる。
 
「私、今千葉のローキューツと、この東京40 minutesの両方のオーナーになっているんだよ。元々競合しないようにと思って、千葉と東京に分けて登録していたんだけど、どちらも強くなっちゃって、関東大会で両者が激突する可能性が出てきたんだよね。それでローキューツの方、もし可能だったら冬がオーナーになってくれないかな?ローキューツは結構上位の大会に進出するから、ローズ+リリーの宣伝に使ってもいいよ」
 
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ローキューツには今年の苗場ロックフェスティバルに協力してもらっている。またキャプテンの歌子薫さんには制作中のアルバム『雪月花』の中の1曲のPVに出演してもらっている。
 
それで聞くとローキューツの年間の維持費は200万円くらいということだったので、そのくらいならいいよ、と言って私は引き受けることにした。それで私(正確にはサマーガールズ出版)が千葉ローキューツのオーナーになったのである。
 
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■夏の日の想い出・南へ北へ(12)

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