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■春根(15)

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青葉は、8月1日から東京辰巳水泳場で、FINAスイミングワールドカップ2019東京大会に参加した。これは短水路(25m)の大会である。それで青葉たちはここ3日ほど、郷愁村ではなく深川アリーナの25mプールで練習していた。
 
8月1日は公式練習日なので辰巳に行ってきたが、混んでいるので、この日は短時間で切り上げ、また深川アリーナに戻った。ところが
 
「済みません。循環装置が故障して修理中なのですが、今日は無理かも」
と言われる。
 
仕方ないのでジャネ・筒石と3人で郷愁村に行き、50mプールでこの日は泳いだ。筒石は「大会前だから早めに上がる」と言って、午後には帰ってしまったが、青葉とジャネは翌朝まで休憩を取りながら泳ぐ。この日は映画撮影中のアクアも来ていた。きっと誰かが撮影している間に、空いている子が気分転換に泳ぎに来ているのだろう。冬子と政子が見学に来ていたが、集中して練習したいので、軽く会釈しただけで練習を続行させてもらった。。
 
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夕方には、プールのロープを横向きに変更してもらい、25mプールの状態にして朝まで練習した。50mプールは2.5m×10レーンなので横向きに使うと25mプールになるのである。
 
「あんた朝まで泳いで、競技は大丈夫?」
とジャネから訊かれる。
 
「400m程度泳ぐ体力は新幹線で東京まで移動している間に回復しますよ。でもジャネさんは疲れないんですか?」
「交替で泳いでいるからね」
「ああ・・・」
 
つまりマラが練習した分もマソにプラスになる!?
 

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ワールドカップ東京大会で、青葉が参加した競技は下記である。
 
8.2(金) 400自由形(予選・決勝)
8.3(土) 400iM(タイム決勝)青葉は夕方の決勝時間帯
8.4(日) 800自由形(タイム決勝)同上
 
結果はこのようであった。あまり波乱は無かった。
 
400自由形 1.ジャネ 2.青葉 3.金堂
400個人メドレー 1.青葉 2.金堂 3.竹下
800自由形 1.ジャネ 2.青葉 3.竹下
 
世界選手権に行けなかった竹下リルが800m自由形で金堂をかわして3位に入ったのは大健闘である。“ドルフィン少女”もだいぶ体力がついてきたようだ。身長を伸ばすため毎日牛乳飲んで牛肉食べています、とか言っていたが、お母さん(の財布)が大変そうだ。お父さんは「もうこれ以上背が伸びなくてもいいのに」などと、ぶつぶつ言っているらしいが!竹下リルは春の段階で身長175cmと言っていた。
 
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4日の夕方、競技が終わって青葉とジャネ・金堂・竹下・南野・永井の6人で食事にでも行こうか?と言っていた時のことであった。
 
神谷内さんから電話が入る。
 
「金沢ドイルさん、今東京だっけ?」
「はい、そうですが?」
「緊急事態が起きていて、X町まで来られないよね?」
「もしかして今からですか?」
 
「どうも神様系のトラブルのようなんだよ。ご神木みたいなのを切ってしまった後、その切株の所が、人が近寄れない状態になっているようで。僕も簡単にしか話を聞いていないのだけど、取り敢えず今熊が1頭死んで、獣医さんが倒れて、近所の住人が避難している所なんだけどね」
 
ちょっと待って。そんなの私にもできないよぉと思う。しかし放置はできない。
 
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「私にできるかどうかは分かりませんが、取り敢えずそちらに向かいます」
と青葉は答えた。
 

それで急用ができたから言ってジャネたちと別れる。
 
駅に向かいながら、千里たちのスケジュールをチェックする。
 
2番か3番か空いてないかな?
 
千里3は8月1-5日、日本代表の合宿中だ。31日に会った後、合宿所に入ったのだろう。2番は・・・LFBは10月5日から始まる。だから今は動けるかも。
 
それで青葉は新木場駅から千里2のガラケーに電話した。
「それは下手すると青葉死ぬよ」
「だから手伝ってくれない?」
「瞬法さんに頼みなよ」
「それは必要な気がする」
 
「それと私より1番の方が今は使える」
「1番さん、秩父三十四ヶ所をするとか言ってなかった?」
「8月2日に終わった」
 
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「もう終わったんだ!封印は?1番さんの暴走の件、31日に3番さんから聞いた」
「あれは被害者多数なんだよね。巡礼に期待したんだけど封印は掛からなかった。だからまだ暴走中。しかも巡礼で更にパワーアップ」
 
「うーん。それなら使えるかも知れないね。それに私は1度1番さんに性転換させられちゃったから、1番さんと身体の接触が生じても、次は1年後までは大丈夫だよね?」
 
「ああ、それがどうも1番が発動させているのは**の法ではないかもしれないという話になってきた」
「嘘!?」
 
「違う法だったから青葉にもガードが掛からなかった。少なくとも回数制限は無いみたいなんだよね。ひょっとしたら桃香は既に性転換しちゃってるかも」
 
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「桃姉(ももねえ)ならちんちんできたら喜んでいるかも」
「ああ、そうかもね。桃兄(ももにい)と呼んであげないといけないかも」
と2人は適当なことを言い合っている。
 

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「でもそれなら、私、1番さんと接触したらまた性転換しちゃう?」
 
「大丈夫だよ。青葉が性転換しちゃったら、私が男に戻してあげるよ」
「男にするのはやめて〜!」
「ついでに2歳くらい若返るよ」
「いや、年齢は別にいい」
 
「でも青葉さ、今自分の性別に不安を持ってる?」
「ううん。本当の女になれたというので凄く満足している」
 
「だったら接触しても平気なはず」
 
青葉は考えた。
 
「そうかも!」
 
それで青葉は瞬法と千里1を呼び出すことにしたのである。
 

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ワールドカップが終わってたのは20時頃だったのだが、長距離の決勝は早い時間帯に行われたので、青葉たち長距離組の6人が会場を出たのは19時過ぎであった。そこに神谷内さんから連絡が入ったのだが、それから千里2に連絡し、瞬法さんも呼んだ方がいいというのでそちらに連絡を取った。千里1も瞬法さんも金沢に行ってくれることになった。
 
「瞬法さんのお寺から金沢行き最終新幹線(21:04)に間に合わないけどどうしよう?」
「明日の朝1番の新幹線にする?」
 
「それが向こうで応急処置をしてくれた自称霊感人間の伊勢さんという女性と電話で話したのでは、取り敢えず抑えたけど朝までもつかどうか微妙らしいんだよ。元々この封印をした霊能者さんは今日はたまたま福岡に行ってたということで、向こうこそ明日の朝にしか間に合わない。今夜中に大阪に移動して、明日朝1番のサンダーバード(大阪6:30-9:13金沢)で金沢に入るから現地到着は10時前になるらしい」
 
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「じゃ私の車で行こうよ」
「ちー姉、運転できる?」
「誰か眷属に運転させるから平気」
 
どうも千里1は霊的な能力を復活させた後、眷属使いが荒くなっているようだ。
 
千里1は今ミラで板橋区のバスケ練習場に来ているらしい。幸いにも今日は由美は桃香に預けておいたという。それで青葉に葛西まで行ってそこに駐めているアテンザを運転して三芳PAまで行って欲しいと言われた。千里1はミラで瞬法さんを拾ってから同じく三芳PAまで行き、そこでアテンザに3人で乗り込んで金沢に向かう。
 
「ミラはどうするの?」
 
高速道路は何日も経ってから降りようとするとETCのゲートが開かない。通行券で乗った場合も、日付を見たら不正乗車を疑われるだろう。
 
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「ミラは眷属に移動させるから問題無い」
 
やはり眷属使いが荒いようだ。
 
しかし青葉は新木場駅に居たので葛西に行くのは好都合である。タクシーに乗って葛西の駐車場まで行く。ここからはほんの7km程度である。アテンザの鍵のコピーはいつも預かっている(青葉もアクアの鍵を千里たちに渡している)ので、それでドアを開け乗り込み、関越の三芳PAを目指した。高速に乗る前にコンビニに寄ってパンとお茶を買ったので運転しながら食べて夕食にする。少し混んでいたが21時すぎに到着し、青葉は車内で仮眠した。
 

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窓がトントンとノックされる。千里1と瞬法さんである。ドアをアンロックする。取り敢えず瞬法さんには後部座席に乗ってもらう。
 
「取り敢えず私が運転するよ。ちー姉、妙高SAで交替して」
「それより、青葉はここまでずっと運転してきたんだよね?」
「うん。でも1時間くらい寝たから」
「それなら、その事件の詳細を向こうの人と連絡して聞いてくれない?」
「あ、それを先にしないといけなかったね。ごめん、寝てて」
「ワールドカップに出た後だもん。仮眠しなきゃ身体がもたないよ」
「まあそうだけどね」
 
それで青葉は助手席に座り、千里姉が運転席に座って、アテンザは出発する。
 
「そうだ、青葉、ワールドカップで金メダル1個、銀メダル2個おめでとう」
「ありがとう。なんかメダルとか賞状が増えて行って収拾がつかなくなりつつある」
「あれは段ボール箱に放り込んで乾燥剤入れておけばいいんだよ」
「それでいいんだっけ?」
「それともガラス窓の陳列棚でも買って飾る?」
「そういうの好きな人もいるだろうけど、私の趣味じゃない」
 
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青葉は助手席から夕方少しだけ電話で話した伊勢さんという女性に再度電話をして、詳しい状況を聞いた。すると、このような経緯だったらしい。
 
●元々そこには大きな杉の木がある古い祠があった。いわれは不明だが、その界隈で数百年前(戦国時代?)に戦いがあり、たくさん死者が出たので鎮魂のために祠が作られたともいわれる。但し杉は実際には樹齢百年くらいと思われ、もしかしたら何代か代替わりしているのかも。
 
●近所のお年寄りが毎日祠に水と米と塩をあげ、お参りしていた。しかしそのお年寄りが3年前に亡くなった後、誰も世話する人がなくなり放置されていた。しかし元々祠自体がかなり傷んでおり、落書きされたり、小学生で小便を掛けたりするものまであり、子供が遊んでいる最中に崩れたら危険だから取り壊すべきではという声がずっとあった。
 
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●この地区に下水道が来ることになり、工事するのに、その荒れた祠と杉の木が極めて邪魔な位置にあった。そこは町有地なので、町側と自治会で話し合った結果、祠は取り壊して更地にしようということになった。神主さんを呼んできて神上げと廃社の儀式を行った。それで祠を取り壊し、その後杉の木も切った。
 
●ところが、その木を切った作業員2名と現場監督さんがその日の夕方、急死した。儀式をした神主さんまで翌朝死亡しているのが発見された。祠の撤去を決めた自治会長さんは責任を感じたのか数日後自殺してしまった。
 
(つまり事実上犠牲者が5人も出ている)
 
●下水道工事は中断され、誰もその残った切り株の所には近づかない(正確には近づけない)状況になる。野良猫とかカラスとかがしばしば切り株の近くで死んでいるが、近寄れない。遺体はたいてい数日以内に消えているようだが、誰が(何が)持ち去っているのかは分からない。
 
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●自治会では何とかしなければというので、最初近所のお坊さんに来てもらい、お経をあげてもらったが、効果は無かった。お坊さんも効果が無かったことが分かったようで「お経より祝詞が利くかも」と言う。それで、金沢の大きな神社の宮司さんに見てもらったら「私の手には負えない」と言われた。一応心当たりに聞いてみるとは言われたが、その後、連絡が無い。
 
●伊勢さんのお母さんの知り合いの風水師さんに相談したら、その風水師さんのお師匠さんで東京在住の風水師さんと、その風水師さんの知り合いで倉橋さんという霊能者さんが来た。そしてその倉橋さんが中心になって密教の護摩を焚き、どうも**明王の封印をした感じだった。締めに銅剣を地面に刺したのだが、確かにその剣の少し手前までは行けるようになった。
 
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●自分(伊勢さん)の個人的な見解だが、封印は不完全だったと思う。そもそも悪霊とかが暴れていたのなら封印でよいが、神様系を封印しようとしたら更に怒る気がする。
 
●今日の昼間、熊がやってきてこの付近の民家を荒らした後、封印の剣を抜いてしまい、熊自身は死亡した。熊が出たので警察に通報したのだが、警察はここまでの事情を知らないので、猟友会や動物園の人なども呼び、獣医さんが熊の近くに寄って死んでいるかどうか確認しようとした。その獣医さんは熊の所まで行く前に倒れた。
 
●「ここまで来ちゃだめ!」という声を発して倒れたので、機動隊が出動し、鈎(かぎ)のついたロープを投げて獣医さんの服に引っかけてこちらに引き摺り、それで救出して病院に運んだ。幸いにも2週間くらいの入院で済みそうである。
 
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●警察は有毒ガスが出ているか、何か地面に高圧電流でも流れているかと考えたようで、立入禁止にして対策を練ろうとしているようである。
 
●このままでは更に犠牲者が出かねないので、自分が倉橋さんから預かっていた予備の剣を封印の位置から1m手前に刺したら、何とか一時的に鎮まった。しかし自分は霊能者とかではないので、この封印はおそらく半日程度しかもたないと思う。
 
●倉橋さんに連絡したら今九州の福岡に居るので、すぐ向かうが明日のお昼くらいになるかもということだった。この事件を取材していたテレビ局の人の中に『金沢ドイルの北陸霊界探訪』の神谷内ディレクターがいるのに気付いたので、金沢ドイルさんに来てもらえませんか?と依頼した。
 
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