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■春根(4)

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そして岬の父は岬の性別問題について、ゆりこたちに説明した。しかしゆりこは
 
「半陰陽くらい全然問題ないです。デビュー以来ずっと性別疑惑が言われているアクアだって平気なんですから、治療も終わって性別の訂正まで済んでいるのなら何も問題はないですよ」
 
と即答で明言した。
 
「でも実は半陰陽ということにはしたんですが、ここだけの話ですが、実は普通に男の子だったのを誤魔化して変更してしまったのですが」
 
「そんなの言わなきゃバレません」
と、ゆりこは平然として即答する。
 
「そ、そうですよね!」
 
「でもあの子、まだ女の子になりたてで、おっぱいも全然無いんですけど」
と岬の母が言うが
 
「おっぱいで歌を歌うわけでも無いし、おっぱいの無い女の子なんていくらでもいますから、それも問題ないです」
 
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ゆりこが笑顔でそういう回答をするので、両親もホッとしたようであった。
 
それで岬の両親も茜の両親も芸能活動許可証を書いてくれた。またゆりこは岬も茜もひじょうに優れた才能を持っているので、もしオーディションで上位に入らなかった場合でも、ぜひ信濃町ガールズに入ってほしい、信濃町ガールズの場合は、金沢市内の提携音楽スクールでもレッスンを受けられますからと言った。
 
そして歌手デビューする場合の契約書(A契約)、研修生(B契約)・練習生(C契約)の契約書のひな形も双方の両親に渡して、契約条項に関する説明と、よくあるトラブルの例なども説明した。A契約・B契約については、実は∞∞プロ系列の共通契約書であることも説明した。
 
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「まあ個別のアーティストの事情によっては多少の条項の変更・追加・削除もありますけどね。たとえば男性のアーティストの場合は、妊娠・出産の禁止条項はありません」
 
「それはそうでしょうね!」
 
「あのぉ、岬の場合は妊娠能力はないのですが」
「そうですね。でも一応女性アーティストなので、よければその条項はそのままにさせてください。万一ということもありますし」
「そうですね。万一ということはあるかもですね」
「私の知る範囲で、元は男の子だったはずが妊娠出産した例が3件ありますから」
「そんなのあるんですか!?」
 

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そして翌6月23日の北陸ブロック予選では、石川県予選の1−3位がそのまま北陸1−3位になった。この3人が優秀すぎたのである。
 

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啓太は6月10日に診察を受けてから新幹線で石川県に戻り、学校に復帰したのだが、週に1度、東京まで診察を受けにいかなければならない。病院の診察は基本的に平日なので、
 
6月16日(日)に出て行き17日(月)に診察を受けて夕方の新幹線で帰る。
6月23日(日)に出て行き24日(月)に診察を受けて夕方の新幹線で帰る。
6月30日(日)に出て行き7月1日(月)に診察を受けて夕方の新幹線で帰る。
 
ということをしたものの、これは体力的に辛い!ということになる。
 
それで折角こちらの学校に復帰したものの、取り敢えず病状が落ち着くまではしばらく祖母の家に居たほうがいいのではということになる。それで7月以降、祖母の家に母と2人で移動し、そちらの学校に転校して、そこから東京の病院に通院することになった。啓太は7月5日(金)に今の学校に挨拶だけして転校手続きを取り、7月8日(月)に診察を受けた後で埼玉の中学校に行って編入手続きをした。
 
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治療終了後石川県の学校に戻るかどうかは現時点では未定である。
 
しかし結果的に茜とは離れ離れになって暮らすことになる。
 
「いつもネットで話せるよ」
 
とは言い合ったものの、お互いこの時点ではふたりの関係を維持していく自信は啓太にも茜にも無かった。中学生にとって石川県と埼玉県という距離は厳しすぎる。転校直前、茜は「セックスさせてあげるよ」と言ったが、啓太は「俺当面勃起禁止だし」と答えた。実際今セックスしてしまったらそれが最後になってしまいそうな気がしたのもあった。
 

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今井葉月(天月西湖)は5月頃から、映画『ヒカルの碁』の一部の先行撮影をしていたのだが、できたら本格的な撮影に入るまでに10級程度までは力を付けておいてねと言われた。
 
それでまずはオモチャ屋さんでプラスチック製の碁盤・碁石のセット(碁盤は折り畳めて、その中に碁石を収納できるタイプ)を2500円で買ってきて、アクアに教えてもらった playgo.to というサイトを見て基本中の基本から勉強しはじめた。
 
古いサイトのようで flash が使用されており、普段使用している Chrome では見ることができない。誰かこのあたり分かる人がいないかなと思い、クラスメイトの紀子にラインしてみたら Edge なら見られるよということだったので、そちらで開いてみたら何とか見ることができた。
 
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サイトに書いてある内容は目で見るだけではなく必ず実際の碁盤で石を並べてみるようにした。対局例がある場合も最初から最後まで自分で実際に打っていく。
 
これを3日で仕上げて、とりあえず34級認定である。
 
その後どこか対戦サイトがないかと思い、yahoo!に囲碁があるのに気付いて入ろうとするが、まさかの Flashサイトである。それで他に探してみると囲碁クエストというサイトがあり、パソコンでもスマホでもできるようであった。無謀にも(怖い物知らず)九路盤で対戦してみたら、1分で負けた!
 
どうも人との対戦はまだ無理みたいと思い、自宅にいなくてもできるスマホの囲碁入門アプリがないかなと思って探すと『みんなの囲碁』というアプリがあったのでスマホにダウンロードする。
 
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それでコンピュータの強さを14級、更に9子置き(つまり23級相当)にして対戦してみる。こちらの頭の中にあるのは
 
・二眼を作れたら安心。
・自分の石がつながるように打つ(相手の石を切るように打つのはまだ無理)。
・ツケにはハネよ。
・ハネにはノビよ。
 
ということだけである。
 
10分ほどの対戦でコンピュータが投了した!
 
初勝利に気を良くする。それで一週間ほどかけてコンピュータのレベルを少しずつあげていくと、10級まで行ったところでどうにも勝てなくなった。そこから一週間ほど格闘するもどうにも勝てない。
 

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気分転換しようと思い、今のより、もう少しいい碁盤・碁石を買うことにする。
 
山村マネージャーも囲碁は強いと言っていたが、あの人に相談すると絶対変なのを勧められると思った。
 
それで忙しそうにしているのに申し訳無かったがアクアに相談する。すると入門段階が終わったのなら、この付近のクラスかなというので、碁盤は新桂(アガチスあるいはナギモドキという輸入材らしい)の折り畳み!、碁石は硬質ガラスの厚さ9mm、碁笥はプラスチックという1万円ほどのセットを購入した。
 
ガラスの石は、プラスチックの石とは置いた時の音が全然違う。わりといい感じの音がした。
 
「上達してきたら蛤(はまぐり)の碁石を買えばいいよ」
とアクアは言った。
 
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「それどのくらいするんですか?」
「日向産はほぼ枯渇していて入手困難だけど、メキシコ産の“実用”なら2〜3万円で買えるよ」
 
「ああ、そのくらいならいいですね」
 
西湖も高額所得者である。
 
ちなみに蛤(はまぐり)で作るのは白石だが、一般に黒石は那智黒(那智地方で採れた粘板岩)製のものをオマケ!で付けてくれることが多い。白碁石は品質(主として貝の成長線の美しさ)により、雪・月・実用・徳用などに分けられる。2〜3万で買えるのは“実用”だが、雪ランクの場合この10倍の値段がする。
 
(最近ではほとんど“本物”が存在しない日向蛤で作られた碁石の雪ランクだとメキシコ蛤の雪の更に10倍、数百万円以上するらしい−こんな物を買う場合は“目利き”のできる人と一緒に買いに行かなければダメ)
 
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ちょうど番組の待ち時間があったので、アクアが一局打ってくれたが、最初に碁石の持ち方を注意された。
 
西湖は碁石を親指と人差し指で持って碁盤に置いていたのだが、それが違うと言われる。
 
「碁石は碁笥(ごけ)から取り出す時は親指と人差指(または親指と中指)で取り出すけど、碁盤に打つ時は、人差指と中指ではさんで打つんだよ」
 
と言って手を取って教えてもらう。
 
「なんか持ちにくいけど、すごく格好いい!」
「持ちにくいのは慣れたら平気だよ」
 
これが6月初め頃だったのだが、アクアは葉月と対戦して「たぶん11-12級くらい」と言った。
 
「実は『みんなの囲碁』でどうしても10級のコンピュータに勝てないんです」
 
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「その付近にちょっと壁があるんだよね。入門本とかだと14-15級くらいまでしか行けない。でも囲碁の問題集とかは、4級くらいから上のしかないし、指導碁とかもその程度より上の人が対象」
 
「龍さんはどうやってそのあたり勉強したんですか?」
「ともだちに囲碁の強い子がいて、その子にかなり教えてもらったんだよ。その子はおじいちゃんが強かった」
 
「お友だちですか!」
 
「お金が掛かるから免状は申請していないけどボクより強いよ。四段レベル。西湖ちゃんの空く時間帯がもう少し常識的な時間なら、あの子(彩佳)に行ってもらえると思うんだけどなあ。寮生活だから夜8時以降外出禁止なんだよ」
 
「そもそもボクたちの空き時間って、非常識ですよね?」
「全く全く」
 
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それでプロの対局を並べてみるのも勉強になるよと言われて、深夜帰宅してからタイトル戦の棋譜などを見ながら自宅で並べていたら
 
「あんた囲碁するの?」
と言って、可愛いキツネの女の子が出てきた。
 
このアパートにおキツネさん、狛犬さん、などがやってくるのは日常茶飯事なので、最近西湖も全く驚かない。昨年はそのおキツネさんたちに箏を習ったり、サックスを習ったりした。みんな“きょうへい”さんというおキツネさん?のお友だちらしい。
 
それで取り敢えず1局打ってみた。彼女は“千代(ちよ)”と名乗った。
 
千代さんは物凄く強い感じだった。
 
「うん。だいぶあんたの実力と癖が分かった」
と言って、千代さんは今の一局を碁盤の上で最初から並べながら問題点を指摘する。ここはこう打つべきだったというポイントを教えてくれて、この日だけで西湖はかなり勉強になった気がした。
 
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「ここの打ち方はおかしい。こういう打ち方をする子を何度か見たことあるけど、あんたもソフトとかアプリとかいう魔人かなにかと、ずっと対局してたでしょ?」
 
「魔人(まじん)というか、マシンかな」
 
「人間やキツネ・猫や獺とかはこういう打ち方をしない」
 
色々な動物の種類がいるんだなと思う。
 
「だからこういう打ち方をすると、こうされて即負ける」
と言って、攻略の仕方を見せてくれる。
 
「すごーい!!」
「人間とかなら、簡単に思いつくやりかただよ」
 

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その日、千代さんは西湖のレベルで取り敢えず覚えるべきいくつの定石や、初期段階の布石の打ち方なども教えてくれた。そしてその後、彼女は毎日出てきては、1時間くらい西湖の指導をしてくれるようになったのである。御礼について尋ねたら「稲荷寿司でいい」というので、西湖は毎日帰宅する前にコンビニで稲荷寿司を買ってから帰るようになった。
 
それで西湖の実力はどんどん上がっていった。
 
スマホアプリの“みんなの囲碁”でも勝てなかった10級のコンピュータに勝てるようになる。9級にも勝てるようになった所でスマホの人対人対局サービス、囲碁クエストにも再戦するが、最初に対戦した相手に勝つことができて、とても気を良くした。
 
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学校で昼休みにパンを食べながらスマホで“みんなの囲碁”をしていたら、クラスメイトのエリカが近づいてくる。
 
「聖子ちゃん、囲碁するの?」
 
と聞かれる。“聖子”は西湖の学校での“生徒登録名”である。
 
「今、勉強してるんだよ」
「私と打ってみない?」
「エリカちゃんも囲碁するの?」
「私、囲碁部」
「知らなかった!」
 
「まあ、聖子は放課後まで学校にいることないから部活には無縁だよね」
とそばで紀子が言っていた。
 

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それでエリカが持っていたポータブルの碁盤で対局を始める。
 
「級位は?」
「“みんなの囲碁”で9級のコンピュータに勝ったり負けたりする程度」
「なるほど。実質10級くらいかな。私、初段だから、聖子ちゃん9個か10個くらい置き石する?」
 
「じゃ9個で」
「OKOK」
 
(10個の置き石ってのもあるんだっけ?どう置くんだろう?と西湖は考えていた)
 
「ではお願いします」
「よろしくお願いします」
と挨拶して打ち始める。
 
西湖は打っていて、エリカちゃん、強いーと思う。ふと気付くと大石が逃げられなくなっていて一挙に7-8個石を取り上げられてしまうなどというのが続く。最初にもらった置き石9つ分のハンディはあっという間に消えてしまった。
 
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だめだー!と思った所で「負けました」と言って投了した。
 
(実は「負けました」という言葉を発したのは初めて!前回アクアと打った時は投了のタイミングも分からなかったので最後まで打っている)
 
「ありがとうございました」
「ありがとうございました」
 
「でも聖子ちゃん、実際には6級くらいの実力あると思ったよ」
「そんなに?」
 
「最初の付近でこれは8級や9級の相手ではないと思ったから、私けっこうマジになったもん」
とエリカ。
 
「うん、エリカちゃん容赦無いなと思った」
と観戦していた童夢も言う。彼女は囲碁が“少し分かる”程度と言っていた。
 
「次は置き石6個にしようよ」
「うん。よろしく」
 
 
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