広告:まりあ†ほりっく 第3巻 [DVD]
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■春茎(16)

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少し休んでから、神谷内さんが運転してまずは国道249号を北上する。15分ほど走った所に特徴のある岩が見える。駐車帯があるのでそこに駐める。
 
「トトロ岩にも見える権現岩」と書かれている。
 

(2019.6.19撮影)
 
「確かにトトロと思えばトトロにも見えるけど、普通に杖を突いた権現様に見えるよ」
と幸花は言った。
 
ここで車は折り返す。今度は幸花が運転して今来た国道249号を南下。関野鼻方面と書かれた所を右に分岐する。ここは県道49号だが、結構狭い道である。やがてコインパーク関野鼻というところがある。有料駐車場になっているので駐車券を取ってゲートを通る。
 
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ここはかつて関野鼻パークハウスという観光施設が建っていたのだが、2007年の能登半島地震で建物が崩壊。閉鎖されてしまった。そのパークハウスを含めて関野鼻全体が私有地だったので、一時期は関野鼻自体を見ることができなくなっていたのだが、現在は有料駐車場(1台500円)として運用されている。駐車場を利用することで、関野鼻も見学できることになっている(車をここに駐めない場合は入場不可)。
 
「ヤセの断崖が見えている」
と神谷内さんが言った。
 

(2019.6.19撮影)
 
ヤセの断崖はそばまで行けるが、そばからは断崖全体の様子は見えない。この関野鼻がヤセの断崖のグッド・ビューポイントなのである。
 
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遊歩道を先に進むと、階段を降りて更に登った所に展望台のようなものがある。
 
「あそこまで・・・行くんですよね?」
と幸花が遠慮がちに訊く。
「もちろん」
と神谷内さん。
 
「やはりこれは霊界探訪ではなくて肉体運動だ」
と幸花。
「今のはヒネリが足りない」
と青葉は言った。
 
それで階段を降りていくが途中から《義経一太刀岩・弁慶二太刀岩》が見えた。
 

(2019.6.19撮影)
 
昔義経と弁慶が力比べをして、義経は一太刀で岩を切ったが、弁慶は二太刀で切ったというものである。どちらが義経でどちらが弁慶かよく分からないが、左側の岩はハッキリ切れ目が2本見えるので、そちらが弁慶か?
 
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その左手の海上には《くぐり岩》も見える。
 

 
《かぶと岩》というのもあるということだったが、どれがそのかぶと岩か分からなかった。あるいは↓か?
 

 
あるいは↓の方がかぶと岩かも知れない。

 
この《かぶと岩》の解説板はボルトが腐食したのか、倒れていた。多分誰も保守する人がいないのだろう。
 
なお駐車場から展望台までの道の高低差はむしろ展望台から帰り道を撮った↓のショットの方がよく分かる。
 

 
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取材じゃなかったら、あそこまで行くかやめるか5-6秒悩むような道である。
 

充分見学してから車に戻る。500円の料金を入れて出口のゲートを出る。
 

(写真を撮りに行った時の駐車券)
 
県道49号を更に南下し、ヤセの断崖の駐車場(無料)に到達する。
 
こちらは遊歩道もきれいに整備されているようである。駐車場から100mの掲示がある。そして↓が現在のヤセの断崖である。
 

(2019.6.19撮影)
 
ここは松本清張「ゼロの焦点」の舞台となった高さ53mの断崖絶壁なのだが、(しばしば福井県の東尋坊と混同される)ここも2007年の能登半島地震で崖が10mにわたって崩れてしまい、かつての面影が無くなって、観光客も激減したらしい。つまり昔はこの先に更に10m突き出ていた。
 
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ここから《義経の舟隠し》までは遊歩道を300m歩いていく。
 

 
細い入江というより谷間である。義経がここに舟を48艘隠したというのだが、さすがにここに48艘入れるのは無理という気がした。せいぜい10艘くらいだろう。
 
舟隠しという名前の場所は昨日泊まった能登町宇出津(うしつ)にもあるのだが、こちらなら48艘入りそうである。今回の青葉たちの旅では寄っていないが↓は参考写真である。
 
(入江の入口付近)

(入江の奥:現在は湿地だが昔はこの付近まで海だったものと思われる)

 
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もっとも宇出津のものは、義経ではなくそこにあった棚木城の防御のため伏兵を忍ばせておくのに実際に使用されていたものらしい。
 
(ちなみにこの宇出津の舟隠しでは1977年9月19日に東京都在住の日本人男性が北朝鮮の工作員に拉致される事件が発生している:“宇出津事件”。当時捜査は不思議な圧力が掛かって打ち切られている)
 

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取材一行は、義経の舟隠しからヤセの断崖まで戻り、駐車場に戻って今度は青葉が運転席に座り、県道49号を戻る。やがて国道249号に出るので、ここをまた南下する。富来町の中心部を通過し、更に南下していると「→機具岩」という案内がある(物凄く見逃しそうな案内である)ので、右手に分岐する。その岩はこの分岐点からすぐの所にあった。
 
(手前:男岩側から見た写真)

(ほぼ真正面から見た写真)

 
織物の神様、渟名木入姫命が機具(はたご:織機)を抱えてこの付近を歩いていた時、盗賊に襲われ、驚いた女神が機具を放り投げたら海に落ちて機具岩になったという伝説がある。その機具が化したというのは、この2つの岩の内左側の岩であろう。これは↑の写真では分かりにくいが近くから撮ると↓のような形になっている。
 
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確かに機具の形にも見える。この2つの岩は夫婦岩(めおといわ)とも言われるが、こういう伝説もあるため、左側の大きな岩が女岩で、右側の小さな岩が男岩である。
 
「夫婦岩で男岩の方が小さいってのは珍しいですね」
「でも確かに機織りの道具なら、それを使うのが女なんでしょうね」
と幸花と青葉が言っていたら、明恵が大胆なことを言う。
 
「穴があいているから女岩なんじゃないんですか?」
 
幸花が頭を抱えている。
 
「あんたね、これテレビで放送するんだからね」
「今の所はピー音で消しましょうか?」
などと言っていたが、実際はこのまま放送された!
 
さすが深夜番組である。
 
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しかしこの発言のお陰で、明恵はしばらくネット上で“穴あき女”の異名がついた。
 

明恵が運転して南下する。
 
この道をそのまま突き抜けると国道に戻るが、すぐに右側、県道36号に分岐する。分岐してすぐの所にクリフパークというトイレ・“プライベート駐車場”付きの公園がある。このプライベート駐車場というのは、↓の図に見るように、個別の駐車枠の間に強制的に3mの空間が作られていて、プライバシーが保たれた状態で車中から夕日が見られる作りになっている。
 

 
「あのぉ、プライベート駐車ゾーンって・・・」
「テレビでその先まで言っちゃまずいよ」
「まあ邪魔されずにカップルが夕日を楽しめる駐車場じゃないの?」
「そうそう。夕日を楽しむためのものですよね」
 
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何だかかなりヤバいことを言ってしまっている気はする。なお、これ以外に普通の駐車場もある。また、この公園の先端からも機具岩の遠景が見られる。
 

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今日はこの公園には停まらず、通過して少し先に行く。右手に巌門入口という所がある。ここの道を入って行き、能登金剛センター前の駐車場に駐める。ここで遅めのお昼ごはんを食べることにする。
 
「今回の取材の最後の食事だからドーンと行きましょうよ」
などと幸花が言う(逆パワハラ)。
 
「分かった、分かった。海鮮能登金剛丼にしようか」
と言って、神谷内さんが1600円の海鮮能登金剛丼を4つ券売機で買って注文する。取材費で出るかどうかは微妙である。
 
しかしこれが1600円もするだけあって、本当に豪華だった。
 
「美味しい〜!」
と言って、幸花・明恵・青葉が食べている所を神谷内さんは撮影している。
 
「ディレクター食べないんですか?」
「僕が食べている所を撮っても絵にならないから。やはり若い子が食べているところを放送しなきゃね」
 
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それで女子3人の食事シーンを主として撮影したのであった。
 

食事の後は遊覧船に乗ることにする。食事のすぐ後で船に乗って、胃の中身が揺れないか心配したが、そんなに揺れる船ではないということで乗り場まで降りていって乗船する。乗り場は2つ(能登金剛センターそば・旅の駅そば)あるが、今回は旅の駅そばの乗り場から乗ることにした。この降りて行く所がまた関野鼻みたいに急な階段だった。
 
降りて行く途中から猪ノ鼻崎が見えた。
 

(2019.6.19撮影)
 
2つ並んだ海食洞が猪の鼻のように見えるのでこの名がある。
 
船着き場の近くにも大きな海食洞がある。
 

 
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これが巌門かと思ったら違った!
 
遊覧船はこんな感じである。

 
運行時刻とかは定まっていないようで、適当にお客さんが溜まったら船を出すという方式のようである。青葉たちが行った時は誰も居なかった。そのまま10分ほど待つが誰も来ない。
 
「平日だからなあ」
 
それで結局、この4人だけなのに船を出してもらえることになった。
 
「すみませーん」
と言って4人分4400円を船頭さんに支払って乗船する。
 
船は前半分が船室、後ろ半分がデッキになっているが、デッキの方が見えやすいですよというのでそちらに乗る。しかし船は確かに大して揺れないのだが、どこかに捉まっているか、あるいは腰でバランスを取っていないと安定を保てない。荷物は落ちたら困るので全部床に置いた。
 
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すぐに巌門(がんもん)に到達する。
 

 
この海食洞を小舟なら向こうまで突き抜けられるのだが、遊覧船のようなサイズの船では(船底が海底にぶつかるので)無理である。それで遊覧船は途中まで入って引き返すことになっている。
 
その先はまず鷹ノ巣岩の傍を通る。

 
高さは30mほどある。頂上に鷹が巣を作っていたので鷹の巣岩という。途中にある窪みの所に見える白いものは海鳥の糞である!
 
そして碁盤島に行く。↓で右側が碁盤島で、それに向かい合う左手にあるのは虎岩である。遊覧船はこの2つの間を通り抜ける。

 
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この付近の岩石は縦横にヒビが入るので、碁盤の目のようになる。そこで義経と弁慶がそれを利用して碁を打ったのだという。この島の頂上には窪みがあり、そこには碁石のような小さな石がたくさん入っているらしい。
 
これでだいたい遊覧は終わり、船着き場に戻った。青葉たちは船頭さんたちに御礼を言って船を降り、《旅の駅・巌門》まで登って戻るのだが・・・
 
幸花は途中4回も休んでいた。
 
「この3日間で無茶苦茶身体を鍛えられた気がする」
「まあ今回は霊感より体力が必要だったね」
「私は手ブラにしてもらって、こんなにきついのに、ドイルさんも明恵ちゃんもよくその重そうな機材を持ったまま、スイスイ登っていくね」
「鍛えてるから」
 
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「疲れたぁ!」
ということで、旅の駅で海の塩ソフトクリームを買って食べた(お金は青葉が3人分出した)。これがまた美味しかった。
 

 
3人がアイスクリームを食べる所を神谷内さんが撮影して、今回の取材旅行は終了した。実際にはこの後、遊歩道を歩いて巌門の裏側も見たのだが、放送時間の都合でこの部分は丸ごとカットしてしまった。↓はその裏側から見た巌門である。
 

 

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なお、今回の取材に明恵が同行することになった経緯として、金沢に戻ってから再現ドラマを撮った。杜の里店では彼女の家に近すぎるので、代わりに〒〒テレビに近いイオンタウン示野を使用し、そこでドイルと幸花が待ち合わせしていた所にちょうど明恵が買物をするのに通りかかり、幸花にキャッチされて、
 
「助手の青山さんが退職したから人手が足りないのよ。あんた知り合いのよしみで手伝って」
と言われて“臨時雇用”されることになったという設定にした。
 
神谷内さんが書いた台本ではあるが、ほとんど事実通りである!
 
しかし視聴者は明恵はリポーターとして採用されて、登場にあたってこういうシナリオのドラマを撮ったのだろうと思うであろう。
 
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なおこの放送は6月に放送される予定なので、明恵もそれまではきっと平穏な日常を送れるだろう。なお明恵が次回以降も登場するかについては次の取材までの間に明恵本人が決めて、ということになった。神谷内さんとしては大いに歓迎と言っていた。
 
 
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