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■春茎(13)

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(C) Eriki Kawaguchi 2019-06-28
 
その内、幸花が
「あんたおっぱい大きいね」
と言われる。
 
まずい。まずい。その話題は無茶苦茶まずい。
 
それでどうしようと思った時のことだった。
 

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突然グラグラっという揺れがある。
 
「きゃー!」
「地震!?」
 
「裸のままでは逃げられない。あがらなくちゃ!」
ということで、5人とも即あがって脱衣場に移動した。
 
幸いにも青葉たちとおばちゃんたちはロッカーがちょうど裏側になっていた。それで明恵はさっと身体を拭くと、急いでブラジャーを着け、パンティを穿く前にTシャツをかぶってしまう。これでバストがないことがバレにくくなる。どんなに急いでいてもブラは省略できない。その後、パンティとジーンズのパンツを穿いた。青葉たちも急いで服を着る。
 
そこに女将さんが飛び込んで来た。
 
「お客さんたち大丈夫?」
「大丈夫です!」
「取り敢えず庭へ」
 
というので誘導されて庭に出たが、揺れはやんだようである。神谷内さんも浴衣姿のまま寄ってくる。
 
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「かなり大きかったね」
「速報では震度4だよ」
「きゃー!大きいとは思った」
「S波とP波の時間差がほとんど無かったと思うのですが」
と青葉が言う。
 
「うん。震源地は能登半島と書かれているから、直下型かも」
「わぁ」
 
実際この地震は震度4はこの界隈だけだったのである。輪島市・珠洲市・能登町・曲木町・穴水町の中心観測点ではみんな震度2〜3であった。要するに青葉たちが泊まっている地区の近くに震央があったのだろう。
 

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やがて旅館の従業員さんたちが旅館のあちこちをチェックした結果、どこも壊れたりした所はないということで、みなさん食堂に入って下さいということになる。
 
ここで準備中だった夕食の食材の一部が地震で床に落ちてしまい、刺身などが使えなくなったので、冷凍のお肉を解凍して提供したいと旅館の主人から説明があり、客たちは「いいですよー」と声を掛ける。「お肉の方が好き」と言っている人もいる。
 
それでその日の夕食は本来ならお魚尽くしのような料理になるはずだったのが、唐揚げ、トンカツ、すき焼きなどというメニューになった。花火職人さんたちのグループからは歓声が上がっていた。
 
「若い人はきっとお魚よりお肉のほうがいいですよね」
「男の人は特にそうだろうね」
などと幸花も明恵も言いながら、トンカツにかじりついていた。
 
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「でもこれ通常の食事の量より多い気がする」
「やはり地震があったからサービスでしょ」
 
しかしこの地震騒動のおかげで、明恵は騒がれずに自然にお風呂からあがることができた訳で、運の強い子のようだなと青葉は思った。
 

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食事が終わって部屋に戻るともう布団が敷いてある。川の字に3枚である。
 
「奥が幸花さん、真ん中が私、出口側が明恵ちゃんというのでどう?」
と青葉は提案したが
 
「私、トイレ近いから入口側でいい?」
と幸花が言うので
 
「では奥側が明恵ちゃんで」
と青葉は言い、寝る場所は定まった。
 
「私の布団と青葉さんの布団の間に荷物を置きましょう」
と明恵が言うと
 
「ああ。青葉が明恵ちゃんを襲わない用心ね」
と幸花は言っていた。
 

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2019年3月24日(日).
 
翌朝はお魚のフライや煮魚の入った朝食が出てきた。やはり昨夜の夕食でお魚が使えなくなったので、きっと急遽調達してきたのだろう。
 
朝8時半頃精算して宿を出た。
 
この日は最初曲木町にある曲木丘陵にある、天狗岩・饅頭岩を見に行く。これが分かりにくい場所にあるということで、いったん曲木町の役場に行き、そこで場所を知っている人に案内してもらってそこに行くことにする。
 
曲木町役場では、観光課の黒田さんという人が対応してくれた。
 
黒田さんに助手席に乗ってもらい、神谷内さんが運転して現場に向かう。明恵・青葉・幸花が後部座席に座る。
 
役場を出てから2kmほど走った時のことであった。
 
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ヴィッツが走るすぐ前を何か黒く大きな動物が横切っていった。車との距離は推定2-3mという至近距離である。
 
神谷内さんがブレーキを踏み掛けたが、黒田さんが
 
「停まらないで!そのまま走って!」
と言うので走り去る。
 
青葉は後ろを振り向いたが、動物はそのまま脇の林の中に入ってしまったようである。
 
「熊に見えた」
と明恵が言う。
 
「間違い無く熊です。役場に連絡しなきゃ」
といって黒田さんが連絡していた。
 
「停まってしまうと、熊から攻撃される危険がありますから、走り去る一手です」
と黒田さん。
 
「あれ轢いてたらどうなったんでしょう?」
と幸花が訊く。
 
「熊は大型トラックとぶつかったって平気です。でもこちらはヴィッツくらいなら、衝突の衝撃で走行不能になる危険があります」
 
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「それ無茶苦茶やばくないですか?」
と幸花が顔をしかめて言う。
 
「まあぶつからなくて良かったですね」
 

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青葉は腕を組んでいた。明恵と目が合う。どうも彼女も同じ事を考えているようである。
 
やがて車が大きな小屋のようなものがある所に着く。駐車場があり5台ほど駐められる。
 
「ここはこの付近の道路工事をした時の作業小屋なんですよ。崩すにもお金がかかるからそのままにしているんですけどね」
 
トイレがあるので、使わせてもらってから登山道に入る。今日も昨日千体地蔵に行った時と同様の、軽登山の装備である。全員登山靴・軍手に、杖代わりの傘を持っている。むろん長袖・長ズボンで色も黒は避けている。例によって機材は明恵と青葉で持ち、神谷内さんはカメラのみ、幸花は手ブラである。
 
でも黒田さんは半袖に革靴である! よく革靴でこんな道を歩くものだと思って青葉は眺めていた。
 
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登山道自体は整備されているようで、危ない場所にはロープも張ってある。急な所には階段も作られていて、わりと歩きやすい。ただ途中いくつか分かれ道があり、案内板などがないので、知らないと迷うだろうと思った。
 
それで山林の中の登山道を20分近く登った所で、木の無い場所に出た。
 

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「この先に天狗岩と饅頭岩が並んでいるんですよ」
と言って黒田さんは取材班を案内して、小さな木立を通り抜ける。そこも土の地面だった。
 
青葉は緊張した。明恵と目が合う。
 
饅頭岩はすぐ分かった。半球形の岩が2個並んでいる。
 
「饅頭というよりおっぱいみたい」
と幸花が言った。
 
しかし天狗岩らしきものが見当たらない。
 
その時黒田さんが声を挙げた。
 
「大変だぁ!天狗岩が折れてる」
 
「もしかしてそこに転がっている岩のかけらが天狗岩の残骸ですか?」
と神谷内さんが言った。
 
そこに2mほどに渡って岩のかけらが並んでいるのである。
 
「そうです。去年の秋に来た時はたしかにちゃんと立っていたのに」
「昨夜の地震で崩れたとか?」
「そうかも知れない。これ緊急に町で対処を考えなければ」
 
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「崩れた天狗岩を接着して復元するとか?」
「そういうことになるかもしれません」
 
「でもその天狗岩の根元の部分が不思議な形になっていますね」
「ああ、まるで丼のふたみたいだ」
と黒田さんは言ったが、幸花と明恵は顔を見合わせた。
 
「丼のふたというよりむしろ女の子の形だったりして」
「確かにそのようにも見える」
 
天狗岩の根元の丸い部分の中心に凸型の盛り上がりが2本並び、結果的にできている間の窪みがまるで割れ目ちゃんのようにも見える。更にはその先の地面に穴まで開いている。
 
「天狗岩の崩れる前の写真とかありますか?」
と神谷内さんが訊く。
 
「あ、たぶん私のスマホの中に」
というので探してもらうと、昨年4月の日付の天狗岩の写真があった。これはあとでコピーさせてもらうことにする。
 
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「天狗の鼻というより、おちんちんに見える」
と幸花は言った。
 
「そっちの饅頭岩がおっぱいに見えるから、一種の陰陽石かも」
と明恵が言うと
 
「確かにそういう説はありました」
と黒田さん。
 
「それで天狗岩が崩れて、まるで女の子みたいな形になっているから、陰陽石というより、もう性転換してもらって、女子(おなご)岩でいいかも」
と幸花。
 
「うーん。それはちょっと困るかも」
と黒田さんは言っていた。
 
そういう訳でこの天狗岩・饅頭岩の取材は、その天狗岩が崩壊した所に出くわすというとんでもない事態になったのである。
 

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幸花たちがそのような会話をしている間、青葉は無言で緊張した面持ちで周囲に警戒していた。実は明恵も会話に参加しながらかなり緊張している。
 
青葉は雪娘と蜻蛉に神谷内さんと黒田さんをガードさせている。正直この2人を同時に使うのは辛いのだが、ここはやむを得ない。
 
ちなみに、青葉自身や幸花にはガードは必要無い。そして多分・・・明恵にもガードは必要無い。むしろ影響が出ても構わない!?
 
幸花が気付いた。
「ドイルさん、何か緊張してます?」
 
「そこのですね、天狗岩が倒れた後に穴が開いている所がありますよね」
「はい」
「その穴だけでも、応急処置で塞げませんか?」
 
「この穴が何か?」
「そこからよくないものが流出しています」
と青葉は言った。
 
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「ガスか何かですか?」
 
山の中ではしばしば有毒ガスが噴出して危険な場所がある。
 
「妖怪の元のようなものですね」
と青葉は言った。
 
「霊的にやばいものですか?」
と幸花が言う。
 
「これは特に男性に悪影響があります。今ここにいる男性おふたりは私が取り敢えずガードしていますが、これを見に来た男性の観光客が男性能力に影響が出るかも」
 
「それはやばい!」
と黒田さん。
 
「穴を塞げばいいんですか?」
「はい。でもこの周囲に漂っているものをどうするかな?」
 

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と青葉が言った時のことだった。
 
青葉の脳内に千里の声が響く。
 
『“姫様”のチャンネルを使って、操作するから、端末になって』
『分かった!お願い』
 
青葉は神谷内さんに
「カメラを停めて下さい」
と言うと、もっともらしく、数珠を取り出して穴の前で合掌し、光明真言を唱えた。すると唱え終わった瞬間、《姫様》のチャンネルから何かとてつもなく大きなものがやってくる。
 
巨大な気球というより飛行船のようなものがその付近に作られた気がした。それはこの饅頭岩・天狗岩の周囲推定100mくらいの範囲を覆うと、急速に縮んでいく。そして全ての物を穴の中に押し戻してしまった。
 
青葉は言った。
 
「すみません。その岩でこの穴を塞げますか?」
 
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「やってみよう!」
 
それで黒田さんと神谷内さんの2人で何とか天狗岩の一番下の破片と思われる石を持ち上げ、穴の上に置いた。実は青葉は海坊主にもこの作業を手伝わせた。
 
「何とか持てた」
「あんた結構腕力あるね」
 
と黒田さんと神谷内さんは言っている。岩の重さは推定140-150kgくらい。黒田さんは若い頃漁船にでも乗っていた感じだが、神谷内さんは肉体労働の経験が無い。しかし海坊主がひとりで100kg近くを引き受けたので動かせたのである。
 
「凄い!全部穴の中に押し込んで封印できた!」
と明恵が言った。彼女も何が起きているか自体は認識出来ていたようだ。
 
『千里の奴、また勝手に妾(わらわ)の力を使いおって』
と《姫様》が文句を言っている。
 
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「何か気温が少し上がった気がする」
と幸花が言う。
 
「ネガティブな気が体感温度自体を下げていたようですね」
と青葉。
 
「処理出来ました?」
「できました。修復工事をなさる場合も、その岩だけは動かさないようにして下さい」
 
「分かりました。何か凄い処置をしてもらった気がするのですが」
「まあ取材のついでということで」
 
「多分500万円かひょっとすると1000万円くらい取る仕事ですよね?」
と明恵が言った。さすが相場が分かっている。
 
「済みません。町の予算があまり無いんですが」
と黒田さんが言うが
 
「取材のついでですから無料ですよ」
と青葉は笑顔で言った。
 
しかし青葉は、この取材にカメラマンの森下さんもドライバーの城山さんも欠席することになった理由を理解した。彼らの守護霊が回避させたのだろう。それに青葉としても守れるのは2人が限界だった。ここに黒田さんと神谷内さん以外の男性がいても、とてもガードしきれなかった。神谷内さんももしかしたら何か妨害するような出来事があったかも知れないが、参加したのは番組責任者としての使命感だろう。
 
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そして熊の目前横断は、青葉たちへの強い警告だったのだろう。あれで青葉も明恵も「この先に何かある」と気付いたのである。
 
しかしここに青葉が来ていなければ、“被害”が出ていたかも知れない。
 

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