広告:オトコの娘コミックアンソロジー恥ぢらひ編 (おと★娘シリーズ4)
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■春封(18)

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青葉と千里も来たが彼女たちは
 
「夕方まではすることないから手伝おうか?」
と言ったので、
 
「頼む」
と言って、予備に持って来ていたメイド服を着せて手伝ってもらった。ふたりとも料理がうまいし、鉄のフライパンで卵を焼けるので、これを代わってもらった。
 
「おふたりはミュージッシャンさん?」
とライムが尋ねる。
 
「そうそう。ふたりとも笛の担当。主として龍笛といって日本の伝統的な笛」
と千里が言っている。
 
「ふたりは笛も上手いけどいい曲も書くんだよ」
と和実が言う。
 
「作曲家さん?」
「たぶん作曲の印税の方が多いよね」
 

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「ちなみにお名前は?」
「こちらのお姉さんのように見える方が実は妹で、大宮万葉」
と和実が言うと青葉は苦笑している。
 
「槇原愛とか、スイート・ヴァニラズとかにけっこう曲を提供しているけど、最近はかなりアクアの曲を書いているね」
 
「すごーい!」
 
「こちらの妹のように見える方が実はお姉さんで、鴨乃清見」
と和実が言うと
 
「え〜〜〜!?『ブルーアイランド』とか『門出』の?」
「彼女はマスコミにほとんど露出していないから、顔が知れてないよね」
「まあね」
と言って笑いながら千里は卵をどんどん焼いていた。
 
「あのぉ、先日YS大賞を欠席した理由って訊いてもいいですか?」
とコリンが尋ねる。
 
「当日私は宇都宮で試合やってたんだよ。だから試合が終わった後急行しても赤坂の##放送には間に合わなかった。淳、そこの私のバッグの中から黄色い名刺入れ出して、この子たちに配って」
 
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と言うので淳が出して千里の名刺を配る。
 
「バスケット選手だったんですか!」
「あ。この名前知ってる。オリンピックに出ましたよね?」
「うん」
「すごーい!」
 
「オリンピックに出るほどの選手だったら、そりゃ抜けられないわ」
 
「でも人には言わないでね」
と千里は笑って言っていた。
 

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前座に出る女子高生ユニット、ボニアート・アサドも来てくれた。
 
「ハートマーク可愛い!」
「オムライス美味しい〜!」
 
などと言って喜んで食べてくれる。彼女たちにはミルクと砂糖を1人3個ずつ付けてあげた。
 
「うん。このくらい甘いのがいい」
などと言っている。
 
お店でライブ演奏者も募集中と言うと、
 
「私たちも出られるかなあ」
などと言っている。
 
「それは構わないけど、メジャーデビューするのでは?」
「メジャーデビューしたからといって、そんなに仕事があるとは思えない」
「なんかレコード会社の担当さんも、やる気無さそうな顔してたし」
 
などと言っている。
 
「そちらの契約書に書かれている事項とかに違反しなければ、来てくれるのは大歓迎」
と和実は言う。
 
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彼女たちに付いているプロダクションのマネージャーさんは
 
「契約書には違反しませんよ。たくさんプロモーションしないといけないし、その一環ということで」
と言っていた。
 
「ところで出演したら、オムライスをタダでもらえたりしません?」
などとメンバーのひとり奏和(そな)が訊く。
 
「うーん。。。じゃ1人1食までなら。コーヒー付き」
と和実。
 
「やった!」
「オムライス食べに来よう」
 
そういうことで、ボニアート・アサド(スペイン語で「焼き芋」の意味)はクレールとの契約第1号アーティストになったのである。彼女たちは結局、毎週土曜日に登場することになり、集客に大いに貢献することになる。
 

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15:00に開場する。
 
お客さんが入ってくるが、前座が始まるまでもまだ2時間45分ある。場内各所にあるモニターにはローズ+リリーの過去のPVなどが流されていて、CDやDVD, 写真集やグッズなどの物販も行われている。
 
しかし暇なので、出店を回っている人たちもいる。
 
また特に初期段階で入って来た人達は、会場の外でずっと待っていたりしてお腹が空いている。それで出店を物色する。
 
寒いこともあり、会場内で一番売れていたのは、おでん、ラーメン、焼きそばであるが、コーヒーの強烈な香りに誘われて、またはメイド服のビジュアルに惹かれて、クレールの所にも人が集まり始める。多くの出店が2−3人。多くても5-6人でやっているのに。ここだけは狭いテントの中に17人ものメイド服の女子(+男性2人)と人口密度が異様に高い。
 
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そしてコーヒーを飲んでくれた人が
 
「すげー。これ本格的だ」
 
などと言ってくれて、おかげでお客が増えてくる。
 
ハートマークを描いたオムレツも「可愛い!」と言って好評である。初期時間帯では、まだ余力があったことから客の注文に応じて希望の言葉を描いてあげていた。これを何種類か頼み、写真をSNSに投稿しているっぽい人達もある。それで結構紙袋に入れて渡すケースもあった。
 
これは青葉と千里も入っていて戦力に若干の余裕があるので、対応できていたことである。
 
結果的には開場して30分もしない内にクレールはフル稼働状態になった。流れ作業になっているので、きちんと立てたレギュラーコーヒーが本当に6秒で1杯売れていく。会計は紺野君と若葉がコーヒーとオムライスに別れて処理している。梓がコーヒーサーバーから紙コップに注いでどんどん並べて行っているので、オムライスとコーヒーの双方を注文した客には、オムライス渡し係のリズとコリンがそちらからカップを取って一緒に渡している。
 
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作業が効率化されていて提供速度が高いので、列がどんどん進む。それを見てなかなか進まないおでんやラーメンの出店の列に並んでいた人がこちらに移動してくる現象が起きて、こちらはフル稼働状態が続く。
 
開場前に全員交代でトイレに行っておいたので、そのフル稼働にスタッフが充分耐えられる。
 
結局このフル稼働状態が17:45に前座が始まるまで約2時間続いたのである。
 

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前座が始まってからは列に並ぶ人も少し減るので、和実が声を掛けて順番にスタッフを休ませる。青葉と千里は出演の準備があるので抜ける。それでもフル稼働状態の半分程度の結構な速度で、前座1のボニアート・アサド、前座2の金華山金管合奏団の時間帯まで続いたのである。
 
前座トリの姫路スピカの時間帯になるとさすがにゆったりとしたペースになるが、それでもお客さんの列は途切れない。
 
やがて21:45。ローズ+リリーの演奏が始まると、列は消滅したものの、どうも始まる前の段階で列におそれをなしていた人たちがぽつぽつと来て御飯を買っていく姿が見られるようになる。
 
演奏が始まって早々に落雷で演奏が中断され、電気も消えたものの、こちらは電気を使うものはジャーだけなので、電源が落ちてもそう大きな問題はない。調理は全てガスでおこなっている。千里が「これあった方がいいかも」と言って置いていってくれていた大型の懐中電灯を掲げて営業を続けていたら、この雷の直後お客さんが物凄く来て、一時的にはまた列ができていた。
 
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会場は一時真っ暗闇に包まれたものの、イベントスタッフが場内に車を入れ、ヘッドライドで場内を照らす対応で、最低限の明るさを維持した。
 
落ち着くと、コーヒーもオムライスも注文を受けてから作る態勢にするが、コーヒーは2分ほど、オムライスも1分ほどで出来るので、それを待って買っていってくれる。
 
22:35くらいに電源が回復し、場内も明るくなるとともにメインスピーカーが復活する。クレールでも他の出店でも、幕間に買いに来る客のために少し作り溜めをする。
 
予測通り、幕間になると大量の人が来て、また列が出来る。作り溜めしたストックが一瞬ではけた上にフル生産体制で稼働する。幕間が終わって公演の後半になり、そこに並んでいた列が消えた所で販売終了である。最後の方は結構また紙袋に入れて売るケースが多かった。
 
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すぐに撤収に掛かる。和実の父もまた来てくれる。全員で協力して器具や食材を片付け、ハイエースとコモに積み込む。男性3人がガスボンベ、コンロを軽トラに運ぶ。手の空いた女の子が椅子やテーブルを運ぶのにも協力してくれた。紺野君・伊藤君・和実の父・マキコの4人でテントを畳み、それも軽トラに運ぶ。和実・ライム・麻衣の4人できれいに掃除をする。
 
23:25撤収完了。
 
会場には終了時刻まで居ていいことになっているので、みんなで一緒に最後のカウントダウン、とクライマックス・アンコールまで演奏を聴く。幕間に入る少し前に、和実の父を含む数人で買い出しに行って確保していたおでんを食べながら楽しんだ。報酬は現金で和実がその場で渡したが、淳がそれ以外にポチ袋を配った。
 
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「大入り袋ね」
「たくさんお客さん来ましたね!」
 
「どのくらい売れたんですか?」
「コーヒーは4524杯、オムライスは790食出て完売。売上げは228万3600円」
と会計をしていた紺野君が報告する。
「すごー!」
 
「実は現金が240万円ほどあるから、本当は4800杯ほど出たのかも」
「まあ過不足が出るのは仕方ない」
 
「最後はマリちゃんに頼まれたという★★レコードのスタッフさんが残りのオムライス全部買っていったからなあ」
 
「でもそれ事前に計算していた、上限を超えてない?」
と若葉が言う。
 
「越えてる。どうやって生産できたのか分からない」
と紺野君も言っている。
 
「みんな頑張ったんだね〜」
とマキコ。
「だから大入り袋だよ」
と淳。
 
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「いくら入っているんですか?」
と言って中身を見た子が
「凄い。1万円札だ!」
と言って喜んでいる。
 
「年末ジャンボも1枚入れているよ」
「当たったら5億でしたっけ?」
「それは前後賞まで当てた場合。1枚だけなら4億円」
「でもこれ誰かが4億当てたら、その前後賞も誰か取るのでは」
「まあ当たることを夢見よう」
 
アンコールの最後まで聴いてから会場を出た。駐車場はスタッフと出店業者だけなので、わりとスムーズに出られる。お店まで戻り、和実の自宅の2階になだれ込んで寝た。男性部屋だけは強調して《男》と書いたでっかい紙を貼り付けておいたので、紺野君たちはちゃんとその部屋に入ったが、女性陣はもう入り乱れて寝ていた。当初入ったはずのメンツと朝起きた時のメンツがかなり入れ替わっていた。
 
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ライムなど朝起きた時は男部屋に寝ていて、しかも下着姿だったので身体半分のしかかられて目が覚めた紺野君がガウンを着せて「向こう行って行って」と追い出していた。
 
「ライムちゃん、もしかして実は男の娘だったり?」
と話を聞いた他の子に言われる。
 
「え〜?おちんちん付いてたかなあ。自分の性別の自信が無くなった」
と彼女は言っていた。
 

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朝食にお屠蘇・雑煮・おせちを
 
「買ってきたものでごめんね〜」
 
と言ってふるまう。和実と麻衣が話し合い、エヴォンでの研修は半数ずつ1ヶ月程度にしようということになる。昨日のオペレーションで全員かなりしっかりお仕事ができていることが分かった。
 
それで本人達の希望も出させた上で、1.04(水)-1.31(火)にライム、クロミ、コリン、2.01(水)-2.28にマキコ、ルシア、リズが行ってくることにする。ライムとマキコは別の日程にしないと、こちらでライブやパーティーの予約が入った時に、ふたりのどちらも居ないと対応できないということで、和実・麻衣・若葉の《首脳陣》の意見が一致した。
 
「じゃその2人がリーダー?」
「うん。年齢が上のライムちゃんがチーフで、マキコちゃんがサブチーフということで」
と言って、和実はライムに青いリボン、マキコに黄色いリボンを渡した。
 
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「ライムさんが27-28歳くらい?マキコさんが25-26歳くらい?」
とエヴォンのアヤメが質問する。すると
 
「私まだ19歳なんですけど〜」
とマキコが言うので
「うっそー!?」
という声があがる。
 
「ちなみに私もまだ24歳だけどね」
とライムは苦笑しながら言っていた。
 

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なおチーフもサブも居ない時に一時的に中心になるチーフ代行はグリーンのリボン、店長の和実は紫のリボンを付ける。一般のメイドはペールピンクのリボンである。このシステムは、エヴォン・ショコラ・マベルと共通にすることにしている。
 
「それでよかったら、みなさん1月1日付けの雇用ということにさせてもらえませんか?4月からの予定だったけど、そもそもグランドオープンが3月に前倒しになっちゃったし」
と和実は言った。
 
「1月1日付け雇用ということはお給料ももらえるんですか?」
「うん。とりあえず3月までは1ヶ月6万円で勘弁して。グランドオープン後は勤務時間に応じて時給1200円で計算するから」
「4月以降の方が受取額が減ったりして」
「それはシフトの入れ方次第だな」
 
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「そういえばみんなの通勤手段は?」
「私はバスかな」
「私、車使いたいんですけどいいですか?」
「いいよ。バスの人には定期券代相当、車の人にはガソリン代相当を払うからあとで書類渡すから申請してね。但しガソリンは1800cc車相当で」
 
「私、バイク使いたいんですけど、いいですか?」
「いいよ。それもガソリン代払うから自宅からの経路地図提出してね。バイクのガソリン代は400cc車相当で計算。それから車もバイクも私の家の庭に駐めてね。お店の駐車場はお客様に全部提供したいから」
 
「私、自転車使いたいんですが」
「それもいいよ。じゃ消費カロリー相当のお金を払おう」
「あ、それいいな」
 
この日、お昼には、ホットプレートを4枚出して焼肉!を食べてから解散とした。お肉が8kgも無くなった。平均1人500g食べたことになる。
 
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