広告:オトコの娘コミックアンソロジー- ~強制編~ (ミリオンコミックス75)
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■春封(17)

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(C)Eriko Kawaguchi 2017-08-27
 
紺野君は28日の夜に戻って来たが、26-28日の3日間は男手が伊藤君だけになったので、彼にはけっこうな量の力仕事をしてもらうことになった。むろん和実の父も手伝っている。
 
29日にメイドさんのクロミ、コリン、ルシア、リズが来てくれる。早速若葉が彼女たちにコーヒーの入れ方を指導する。取り敢えず今回抽出担当になっているのはクロミだけだが、他の子も現場での状況次第ではコーヒーの方に回ってもらう可能性もある。コーヒーの抽出器具は20セットほど持って行く。
 
「これって豆の種類によっても蒸らす時間とか変わるんですか?」
 
「うん。粗挽きか中挽きか細挽きかによっても違う。豆の種類、煎り方によっても違う。器具によっても違う。概して粗挽きはゆっくり抽出しないといけないし、細挽きは速くてもいい。でも敢えてゆっくり抽出して味の深みを出す方法もある。速い抽出はカフェインを多く含み、ゆっくりした抽出はタンニンが出てくる。実は安いコーヒー豆でもゆっくり抽出することで、まるで高い豆で入れたような味になる場合もある。有名なのではサントスのスロードリップをやると、トアルコトラジャに似た味になる」
 
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「うっそー!?」
「それキュウリに蜂蜜でメロン味みたいな?」
 
「うーん。やや違う話のような気もするけど」
 
「ただのショートパンツでも、可愛い男の娘が穿くとキュロットに見えるような?」
とマキコが茶々を入れる。
 
「えっと・・・」
とコリンが悩んでいる。
 
「まあそれでともかくも、モカブレンド中挽きで今回使う器具では蒸らし時間は15秒、抽出速度はあふれさせない速度でいいから、まずはこれを覚えて」
 
「分かりました!」
 
なお、マキコやライムはコーヒーの入れ方も上手いのだが、彼女たちは他の作業で謀殺されていた。
 
この日の午後は、彼女たち4人には、ペットシュガーとコーヒーフレッシュ、マドラーをセットにしてビニール製小袋に入れる作業も進めてもらった。セットにしたものはどんどん段ボール箱に放り込む。
 
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「複数くれと言われた場合は1人最大3個までということにしてね。あまりに大量に欲しがる人は、それ絶対自宅用にキープしようとしてるから」
 
「ごめんなさい。砂糖4個入れて飲んだことあります」
「それ健康によくないよ〜」
「だってコーヒーって苦いんだもん」
 
「じゃ4個までは認めることにしよう」
「了解!」
 
「あと、現場でも再度言うと思うけど『砂糖要らないから』とか言われて、お客様からこの袋が返された場合、それは再利用せずに廃棄してね。万一、悪意のあるお客様が変な加工をしたものを返したりしていたら大変だから。これは安全のため」
 
「安全のためだけどエコじゃないんですね」
 
「仕方ないね。普段のお店でなら、しっかり見ているから大丈夫なんだけどね」
 
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「ところでここの人間関係がよく分からないんですが」
とルシアが質問した。
 
「20歳くらいの感じでよく動き回っている人が店長さんですよね?」
「そうそう。はるかちゃん。この店でいちばん偉い人」
と若葉は答える。
 
「エヴォンの神田店と銀座店でチーフしてましたね」
とエヴォンに在籍していた子が言う。
 
「ハーミーさんは、お友達ですか?」
「うん。エヴォンで一緒だったし、実は大学も一緒だったんだよ」
「へー!すごい」
 
「はるかさんのお母さんみたいな人が2人いるけど」
「赤ちゃんを抱いているのは、店長の本当のお母さんで、若い方の人は店長の旦那さんだよ」
 
「え〜!?旦那さんって、まさか男の人なんですか?」
「もう事実上女になっていると思うよ。おっぱい大きいし、たぶん玉も取ってるんじゃないかなあ。最終的な工事はまだみたいだけどね」
と若葉は言っている。
 
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「最終的な工事というと・・・・」
「ゴムホースを撤去してグランドキャニオンと鍾乳洞を作る工事かな」
「おぉ!」
「そしたらほとんど女ですね」
「いや、それが目的の工事だから。工事が完了したらもう天然の女性と見分けが付かないと思うよ」
 
「女にも天然物と人工物があるのか」
「養殖ものという人もあるよ。女性ホルモンで長年掛けて改造してるし」
「養殖女かぁ」
 
「元はマスだけど、サケ用の餌を食べさせていればサケに成長するよ、みたいな感じかな」
「それ、どこかで本当にやってそうで、ちょっと怖い」
 

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「でも旦那さんが女装して、女みたいな身体になってしまっても構わないんですか?」
 
「好きなら性別はわりと超越するかもね」
 
「なるほどー」
「でもセックスはどうやるんだろう」
「レスビアンと同じだと思うよ」
 
「そうか。レスビアンになってしまうのか」
「男の人と結婚したつもりがレスビアンになってしまうって詐欺みたい」
「まあ男を装っていた部分の方が詐欺だよね。中身は元々女だったんだから」
「なるほどー!」
「もっともあのふたりの場合はそれを承知で結婚したみたいだからね」
「へー。そういうのもあるんですね」
 
「22-23歳くらいの凄く格好いい男の人は?」
「あれは私の元カレで、このお腹の中の赤ちゃんの父親」
「元カレって、今はカレじゃないんですか?」
「うん。別れた。でも今回は協力してもらっている」
 
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「へー」
「ちなみに彼は店長の元恋人でもある」
「うっそー!?」
 
「私と店長が元々親友だから、その縁で私と彼は知り合ったんだよ」
「そうだったのか」
 
「でも店長があの人を見る時、かなり意識してますよね」
「あの2人恋人なのかと思った」
 
「やはり女になってしまった旦那より、男のままの元彼の方がいいとか?」
「あの赤ちゃんはあの人と店長の子供ですか?」
 
ああ、この子たち色々面白い想像をしているみたいだな、と若葉は思った。
 
「違うよ。旦那がまだ精子がある内に冷凍保存していたのを使って妊娠したんだよ」
 
このあたりの話は、実は若葉は和実たちの話と桃香の話を混同しているのである。
 
「なるほどー。冷凍保存か」
「そうか。男の人は、必要なものさえ冷凍保存しておけば、ノズルとポーションの素は撤去してもOKか」
「ポーションの素の方は冷凍保存しておけば後で使えるかもね」
 
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「そういえばアクアってそれを取り外して冷凍保存してるらしいね。だからもう15歳にもなるのに声変わりしてないけど、結婚する時は解凍して身体に戻すんだって」
 
「私は男の子になりたかった女の子の身体に移植したと聞いた。だからアクアの子供が作りたい場合は、その人から精子を採取すればいいんだって」
 
「いや確か必要な数の精液の冷凍ストックを作って除去したと聞いたけど」
「あ、それがいちばん現実的っぽい気もする」
 
なんか無茶な噂が広まっているなと若葉も思う。ただどっちみちアクアには既に睾丸が無いということでファンの見解はほぼ一致しているようだ。
 
「アクアはあの声を維持しないといけなかったし、ファンもそういう運動をしたから仕方ないけど、ふつうの男の人は撤去したくないだろうけどね」
などとコリンは言っていた。
 
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「暴力男はむしろどんどん去勢すべきかもね」
という意見も出て。みんな腕を組んで考え込んでいた。
 

「ところでマキコさんは副店長さん?」
「うーん。。。あの子、何か偉そうにしてるよね。今回参加するメイドの中では唯一の未経験者なんだけどね」
 
「うっそー!?」
「凄い貫禄あるのに!」
「ちなみに23-24歳くらい?」
「19歳だと思うけど」
 
「うっそーーーー!!?」
 

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31日の早朝(というより30日深夜)から御飯を炊き、それを予め冷凍しておいた具と混ぜ、調味料とバター・ケチャップも入れて混ぜる。
 
この作業は、和実と淳、それに胡桃まで動員して3人で行った。時間帯が時間帯なので他の人には頼めない。この作業をするため、和実と淳は30日の夕方から仮眠していた。
 
できあがったケチャップライスはポリエチレンのラップを敷いた保温容器に詰め、それをハイエースに積み込む。ハイエースにはこの他大量の卵、コーヒー豆、紙のコップと皿、プラスチック製フォーク、紙ナプキン、ペットシュガーなどのセットを入れた段ボール、5升炊きのジャー、コーヒー器具、フライパンなど、を積み込んだ。水はこのハイエースだけでは乗りきらないので、麻衣が東京から持って来てくれたコモにも積み込んだ。ガスボンベとコンロ、テーブルや椅子などは、淳がレンタルした軽トラに乗せて運ぶ。そちらには和実の父も同行した。
 
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ハイエースとコモに2人ずつ、プリウスに4人、RX-8に4人、伊藤君のフリードに4人、乗って現地に入る。到着したのは10時くらいである。淳と和実の父、伊藤君と紺野君の4人でテントを立て、テーブルと椅子を配置する。ガスボンベとコンロを設置する。女子たちは物を車からテントまで手分けして運ぶ。
 
(和実の父は設営の時だけ居て、準備ができた所でいったん帰った)
 
電源は線を引いてきてもらっているので、そこにジャーをつなぎ、最初の1個の保温容器からケチャップライスを移した。2つ目はもっと開場時間が近づいてからにする。
 

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現時点で来ているのは★★レコードやイベンターのスタッフと、一部の出演者のみである。会場の外に来ているお客さんもまだパラパラの状態。
 
和実たちが作業のシミュレーションをしていたら、政子と風花がやってくる。
 
「やっほー。和実たちも出店してたんだ?」
「1軒、事情で出店を中止した所があって、その代わりに出させてもらったんですよ」
 
「取り敢えずオムライス2つとコーヒー2つ頂戴」
「はい!」
 
手順通り、型押し係の照葉が御飯を型に盛り、紙の皿に乗せる。溶き卵係の淳が溶いた卵を、卵焼き係の和実とマキコが卵を焼き、ごはんの上に乗せる。
 
「本当は今日は完熟にするんですが、まだ本番前だし、マリさんだから半熟にしますよ」
と和実は言って、半熟の状態で卵を乗せた。
 
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「お絵描き何か希望の言葉がありましたら?」
とお絵描き担当のエルムが尋ねる。
 
「じゃ、ケイのバカ〜!って書いて」
「え〜〜〜!?」
 
それでも希望通りの言葉を描く。風花は「RL2017」と希望したのでそう描いた。
 
「美味しい!!」
と政子が言う。
 
風花も
「いやこれほんとに美味しいですよ」
と言っている。
 
「良かった。マリさんに褒めてもらえた」
「これ気に入った。取り敢えずあと3個ちょうだい」
「はい、他の方へのお土産ですか?」
「ううん。私のおやつ」
 
それで紙の皿にプラスチックのカバーを掛け、3個入れて紙袋の大に入れて渡した。
 

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そして・・・これをきっかけに、ローズ+リリーの伴奏者さんたちで早めに来ていた人たち、更には★★レコードの社員さんや、イベンターのスタッフさん、更には他の出店の人まで偵察を兼ねてかやってきて、オムライスやコーヒーを注文した。
 
「お客様を入れた後は卵は完熟にしますが、まだオープン前なので本来の仕様の半熟で提供しています。すぐにお召し上がり下さい。すぐ食べない方は、言ってくださったら完熟にしますので」
 
と和実たちは呼びかけた。
 
「コーヒーをその場で立てるとは」
と驚いていた人たちもいた。
 
「最高速度で6秒に1杯提供できることをシミュレーションして確認しました」
「すげー! ちょっと俺たちには真似できん」
 
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「でも400円頂いていますし」
「俺たち作り置きのコーヒーで500円取るつもりだったのに」
「ごめんなさーい!」
「いや俺たちも400円にしよう。500円は取り過ぎじゃないかという意見もあるにはあった」
 
このあたりはこちらが“ほぼ全員女子”でしかも可愛いメイド服なので、向こうも強く出ず、揉め事にならずに済んだのではという気もした。
 
そういう訳で、観客を入れる前に、オムライスが120食とコーヒー200杯が売れてしまったのである。
 
取り敢えず今日の労賃分は出た!
 
このイベント開場前にはまとめ買いする人が多くて、手提げ袋を50枚ほど使用した。
 

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「君達のユニフォーム、すっごく可愛いね」
などと言う人たちもある。
 
「東京のエヴォンというお店と同系列なんですよ。グランドオープンは3月ですので」
と言って、興味を持ってくれた人には用意しておいたお店のパンフレットを配った。
 

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パンフレットでは外観の写真、許可を得て掲載したエヴォン銀座店のライブパフォーマンスの写真、メイド服を着た和実とマキコの写真を掲載。出演してくれるアーティスト募集中、女性スタッフ募集中というのも出している。
 
(メイド服を着て写っている2人が、どちらも生物学的には女性ではない!しかし伝説のトンデモ本『メディア・セックス』によれば女の子のモデルより男の子の女装モデルの方がポスターなどでは人目を惹くという話だった)
 
裏面には「3月30日(木)16:00グランドオープン」「駐車場30台完備」と表示した上で地図と営業時間、メニューなど、それにホームページのURLも掲載している。
 
なお、ホームページは鋭意、淳が作ってくれた。
 
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パンフレットには「グランドオープンまでの間も数日前に予約して頂ければパーティー、仕出し、ライブ公演(最大、椅子席で250人,立見で470人収容)、などに応じます」とも書いておいた。グランドオープンはアールヌーボー調のテーブル等を入れ、内装工事を終えるまでは出来ないものの、日銭稼ぎである。
 
また、募集中の女性スタッフについては「女性用ユニフォーム(7-11号)を無理なく着られる人なら生物学的な性別は不問」とわざわざ書いておいた。
 
「それ男の娘がたくさん応募してきたりして」
「可愛ければ問題無い」
 
「男の娘がたくさんいると、お店の趣旨が変わったりしてね」
 
などとマキコが言っていた。完璧に開き直っているようである。
 
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