広告:まりあ†ほりっく 第2巻 [DVD]
[携帯Top] [文字サイズ]

■春封(15)

[*前p 0目次 #次p]
1  2  3  4  5  6  7  8  9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 
前頁 次頁目次

↓ ↑ Bottom Top

12月20日。
 
和実は先日の福島県の家具屋さんに連絡すると、明日にもこちらにテーブルと椅子・花瓶を持って来てくれるということであった。
 
仙台市内の調理器具卸業者さんで買って配送を保留してもらっていたフライパンやターナーなどの類いは、連絡すると、22日の配送でいいか?と言われ了承した。
 
コーヒー関係の器具はまた別の専門店に頼んでいたのだが、こちらも連絡するとやはり22日に配送してくれるということだった。
 
メイドさんのユニフォームも取り敢えず30着分を先月時点で頼んでいたので、これも連絡して持って来てもらうことにした。
 

↓ ↑ Bottom Top

この日は新居で使用する寝具、調理器具、食器、洗剤、トイレットペーパー、タオルなどなど、それに食材を買出しに行った。寝具などはスペースを食うので、結局ショッピングモールとの間をプリウスで6回くらい往復した。
 
また石巻の胡桃のアパートに置かせてもらっている物、主として衣類などをこれも2回プリウスで1往復半して移動させた。この時、母と希望美も一緒に運ぶが
 
「こんなにお店広いの?」
と母は驚いたように言い
 
「あんた、これの建設費、返せるの?」
と言った。
 
「まあ何とかなるんじゃないかなあ」
 
この日は夕方、胡桃もこちらに来てくれて、4人でささやかな新築祝いをした。
 

↓ ↑ Bottom Top

21日(水)の午前中には、福島の家具屋さんで買ったテーブル・椅子が届く。家具屋の社長さんが自分で4トン・トラックを運転して持って来てくれた。こちらが女2人と赤ん坊だけなのを見て、親切にもホール内に配置までしてくれる。申し訳無い気分だったが
 
「いやあ、100万円買ってもらったおかげでこちらは年が越せますから」
と社長さんは言っていた。
 
テーブル10個と椅子40個を頼んでいたのだが、数えてみるとテーブル12個と椅子48個ある。それを言うと
 
「サービスです」
と言っていた。
 
代金は半分の50万円を買った時に払い、残金をこの受け取り時に現金で払ったのだが、和実が50万円を払って領収書をもらった後で
 
「これ子供さんにおやつでも買ってあげてください」
と言って母が1万円渡したら
 
↓ ↑ Bottom Top

「じゃクリスマスケーキでも買ってあげようかな」
などと言っていた。
 

この日は午後から淳がハイエースを運転してきて、電子レジと管理用パソコン、およびLANケーブルの設置などをしてくれた。
 
「へー。ちゃんとイーサーケーブルを通す穴があったのか」
「ちゃんとそれ工事の明細で指定してたじゃん」
「そうだっけ?覚えてなかった」
 
また会計ソフト、店舗ソフトなどもインストールする。これらのシステムは淳が淳の会社から実は仕入値で買ったものである。淳は何%か会社の利益分を上乗せして払うつもりだったが、専務が「いいよ。いいよ。仕入値で売るよ」と言ってくれたので、好意に甘えた。
 
「ところで淳、いつ東京に戻るの?」
と和実は訊いた。
 
↓ ↑ Bottom Top

「こちらに居て欲しい?」
「欲しい!人手が足りない!」
 
それで淳は結局このあと年末まで会社を休むことにしたが、専務はシステムの導入サービスによる出張の扱いにしてくれた。
 

↓ ↑ Bottom Top

淳がシステムの設定作業をしている間に、和実はTKR仙台支店の山崎さんに連絡し、支店に置かせてもらっていた楽器類と食器を取りに行く。ハイエースで6往復することになったが、ヴィブラフォンやドラムスなど大きな楽器は山崎さんが自身で運んでくださった。和実は恐縮するが
 
「大丈夫です。こちらはケイさんにたくさんお世話になっていますから」
と彼は笑顔で言っていた。
 
しかし結果的に冬子たちに頼っているよなあ。政子の親切を最初拒否するようなこと言ったのにと、やや自己嫌悪に陥るが、まあこちらに主導権のある範囲では使わせてもらってもいいよね、と思い直す。
 
なお、エレクトーンとグランドピアノ・アップライトピアノは、専門の配送業者にやってもらわなければならないので年明けの搬入になる。
 
↓ ↑ Bottom Top


なお楽器類・食器類はとりあえず和実の自宅1階の洋間に運びこんだ。フローリングを傷つけないように養生シートを敷いている。
 
またこの日はメイドさんのユニフォームも配送されてきたので、こちらは取り敢えず自宅2階の部屋Aに運び入れる。
 

 
この家には1階と2階の間にエレベータを設置している。これは自宅を倉庫代わりに使うことが多々あると考え、大型の物品を2階にストックしやすいようにするためであったが、早速大いに活躍していた。
 

↓ ↑ Bottom Top

22日(木)。
 
この日は朝から、エヴォンの永井オーナーの奥さんで元同僚でもある麻衣(メイド名もも)が、例の誤発注で余ったモカコーヒーの粉を持って来てくれた。東北方面に仕入れに行くついでに持って来てくれたらしい。
 
「ももちゃん、その仕入れっていつまでに行かないといけないの?」
「仕入れるのは今日回るけど・・・・東京に戻るのは明日の昼まででもいいから、何なら帰りにまた寄って少し手伝おうか?」
 
「助かる!頼む!こちらは全然手が足りなくて」
 
それで麻衣は夕方くらいにこちらに戻って来てくれることになった。
 
「でもそんなに手が足りないなら『暇だ暇だ』と言っている子を呼び出そう」
と言って誰かに電話していた。
 
↓ ↑ Bottom Top

なおコーヒーは1袋だけ残して残りは全部冷凍室に放り込んだ。
 

日中に調理器具などが配送されてくる。
 
淳にフライパンの炭素層作りをしてもらうことにする。フライパンはテフロン加工“されていない”鉄製のものを買っているので、野菜屑を油で炒めて真っ黒にしていく。これで卵などを焼く時に、くっつきにくくなるのである。
 
で、これをしようとして、野菜もサラダオイルもキッチンタオルも無いことが判明。自宅用に買っていたものを持って来て使用する。
 
午後、コーヒーの用具関係が配送されてくるが、これはとりあえず段ボールのまま積み上げておく。
 
夕方、麻衣が戻って来るが、麻衣の車(いすゞコモ)と一緒にマツダRX-8もお店の駐車場に駐まる。
 
↓ ↑ Bottom Top

「は〜い。いつオープンするの?」
などと言ってRX-8から降りてきたのは、若葉である。
 
「若葉!?お腹大きいのに大丈夫?」
「平気平気。3月11日までは産まれないから」
などと本人は言っている。
 
若葉に続いて降りてきた人の顔を見て、和実はかぁっと顔が真っ赤になってしまった。
 
若葉の元彼で、現在若葉のお腹の中に入っている子供の父親でもあり、そして和実の元思い人(完全な和実の片思いで交際はしていない)でもある紺野君であった。
 
「何か大変そうだと聞いたから、若葉のお守り役も兼ねて一緒に来た」
と言っている。
 
「紺野さん、お仕事は?」
と淳が心配して尋ねる。実は少し嫉妬しているが、それは表面には出さない。淳は紺野君が若葉と既に別れていることを知らない。知られるとややヤバい面もある。
 
↓ ↑ Bottom Top

「今日は半日有休取って早退してきた。日曜日まで付き合うよ」
「わざわざ申し訳無い!」
 
この後、明日23日は祝日、24-25が土日である。
 

↓ ↑ Bottom Top

しかし、何とかまともな人数が揃った感じで、食器を洗っては乾燥機に掛け、乾燥が終わったものは、どんどん食器棚に並べていく。
 
ここに至って、お冷やを入れるガラス製タンブラーと、コーヒースプーンが無い!ということに気付く。淳に買出しに行ってもらう。
 
ところが、その間、こちらで和実・麻衣・若葉の3人で、食器を洗い終え、コーヒー用の器具まで洗っていると、用意していた食器棚に入りきれないという問題が出てきた。要するに厨房工事業者さんに指示した容量が全然足りなかった訳で、これは完璧に和実の計算ミスである。
 
淳に連絡し、タンブラーなどは明日に回すことにして、ホームセンターに行って食器棚を4個買ってきてもらうことにした。
 
↓ ↑ Bottom Top

厨房工事の段階で作ってもらっていた食器棚は天井から吊るタイプだったのだが、そんなのは専門業者でもないと作れないので、普通に床に置くタイプを使うことにする。この場合、衛生上の問題で、膝の高さより上にしか食器を置くことができない(ついでに上端は目線より下でなければならない)ので、かさ上げ用にスティールラックも一緒に買ってきてもらうことにした。
 

↓ ↑ Bottom Top

その日は和実の自宅に、麻衣も若葉と紺野君も泊める。
 
1階の洋室、2階のA室が物で埋まっているので、和実・淳・希望美・母がB室、麻衣にC室、若葉と紺野君にD室を使ってもらった。若葉は男性恐怖症だが、紺野君との布団の距離を10cm以上開けていれば平気らしい。ふたりは一応別れているのだが、この日は「お休みのキス」と「おはようのキス」をしたらしい。麻衣は翌朝、朝食後に東京に戻っていった。
 
23日は主として客席の設定をした。テーブルクロスが無いことに気付き、淳がタンブラーとシルバー類(スプーンなど)を買った後、ホームセンターに回ってそれも買ってくることにする。掃除用品が無いことにも気付き、午後からはそれを買いに行ってもらう。
 
↓ ↑ Bottom Top

紺野君には午前中は自宅洋室に置いている楽器類を店舗2階倉庫に、メイドさんのユニフォームを女子更衣室に移動してもらった。
 
「紺野君もメイドさんのユニフォーム試着してみる?」
と言ったが
「女装の趣味にハマったら怖いからやめとく」
と答えていた。
 
しかし若葉は
「吉博の振袖姿は可愛かったけどなあ」
などと言っていた。
 
「メイド服は着せたことないの?」
と若葉に訊くと、その返事はせずに笑い転げていた。
 
午後からは紺野君と和実で客席のテーブルにテーブルクロス(フッ素樹脂加工された透明なタイプ)を掛けていった。
 

↓ ↑ Bottom Top

和実がこのような「すぐにも開店するかのような」作業を進めているのは、早めに保健所の営業許可を取っておきたいというのがあった。これを助言したのは胡桃である。
 
もうお店がほぼ使える状態になっているのだから、それなら営業許可を取っておいた方が、何かあった時に対応しやすいと言ったのである。内装を最終的に変更した場合は再度検査してもらえば済むことである。
 
そしてその胡桃の助言が、とても役に立つことになるのである。
 
和実は工務店からの引き渡し日が12月19日に決まった時点で、だいたい一週間もあれば準備はできるだろうとと踏んで、12月16日に保健所に申請を出した。そして12月26日(月)に検査に来てもらえることにしていた。
 
↓ ↑ Bottom Top


ローズ+リリーのツアーは続いていたが、12月23日の名古屋公演を終えた所で、東京の森元課長からツアーに同行している氷川さんに連絡があった。
 
「あらぁ、そうですか。どうしましょうかね。今からあらためて募集しても準備が間に合いませんよね」
 
などと言っているので、冬子は氷川さんに
「どうかしました?」
と訊く。
 
「あ、いえ。大したことないのですが、カウントダウンライブで出店する予定だった出店のひとつが、食中毒起こして営業停止くらっちゃったらしいんです」
 
「あらら」
 
「でも今から追加募集しても対応できる所ないだろうし、空いた枠はそのまま空きということで処理するしかないですよね」
と氷川さんは言ったのだが、冬子は、ひらめいた。
 
↓ ↑ Bottom Top

「お返事、30分、いえ20分待ってもらえません?」
 
「はい?」
 
それで冬子は和実に電話した。
 
「12月31日に、うちがM市でやるカウントダウンライブでさ、出店(でみせ)をたくさん出す予定なんだけど、出店(しゅってん)する予定だったお店のひとつに事故があって、枠が1個空いちゃったんだよ。和実やらない?」
 
「やる!」
と和実は即答した。
 
それで冬子は氷川さんに和実の店クレールが出店したいと言っていることを伝える。氷川さんは森元さんに連絡していた。本来なら色々審査があるのだが、冬子の“コネ”ということでノー審査で出店枠を割り当ててくれた。
 

↓ ↑ Bottom Top

↓ ↑ Bottom Top

前頁 次頁目次

[*前p 0目次 #次p]
1  2  3  4  5  6  7  8  9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 
春封(15)

広告:ここはグリーン・ウッド (第6巻) (白泉社文庫)