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■春封(4)

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9月29日(木)、和実が住んでいるアパート(胡桃のアパートに希望美と一緒に居候中)にふらりと千里がやってきた。
 
「千里、凄く忙しそう」
「先月でオリンピックが終わって、Wリーグは来月開始だから今月中は動けるんだよ。でも北海道に2回行って沖縄とか大阪とか富山とか飛び回って結構忙しかった」
 
「お疲れ様!」
 
「これ1ヶ月経っちゃったけど、リオのお土産」
 
と言って、リオで買っておいたサントスコーヒーを渡す。
 
「おお!本場物だ!早速煎れてみよう」
と言って、豆をミルで挽き、ペーパーフィルターでいれる。
 
「美味しいね!」
「さすが本場ものだね」
「それプラス和実が入れ方のプロだからね。でも買ってから1ヶ月経っているからどうかと思ったんだけど」
「挽いてなければわりと大丈夫」
「そうかそうか」
「1年経ったらさすがに辛いけどね」
 
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「だけど希望美ちゃん、だいぶ大きくなったね〜」
「なんかようやく落ち着いてきた感じ。まだ夜泣きは酷いけどね」
と和実は言っている。
 
「そうだ。赤ちゃんいると、買物とかにもなかなか思うようにいけないでしょ?なんか必要なものがあったら買ってくるよ。あるいは私が希望美ちゃんを見ている間に和実が買物してくるのでもいいけど」
 
「どちらかというと後者が良い」
 
といって、千里が留守番している間に和実は3時間掛けて買物をしてきた。
 

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買ってきたトンカツでお昼ごはんにする。
 
「このトンカツ美味しいね〜」
「そうなんだよね。普段はなかなか買わないけどね」
 
などと和実は言っている。
 
「そういえば、喫茶店を開く場所決めたって聞いたけど」
と千里が言う。
 
「うん。先週から基礎工事をしてもらっている所なんだよ。見る?」
「見る」
 
それでお昼ごはんが終わった後で、千里のアテンザにベビーシートをセットして、希望美を乗せ、一緒にそちらに行く。現場では実際に多数の作業員が入って基礎工事を始める前の土木作業をしていた。
 
千里はしばらくその様子を見ていた。
 

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「そうだ。メイドさんの衣装ができたら千里にも1着あげようか?」
「ああ、ちょうだい、ちょうだい。私もファミレスで結構可愛い服を着ていたけど、ここのには負けそうだし」
「うん。凄く可愛いよ。これまだデザイン画だけど」
と言ってスマホで見せてくれる。
 
「可愛い!女装するのに使おう」
と千里。
 
「女装もいいよね」
といってから、ふたりはまだしばらく工事の様子を眺めていた。
 

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「ねえ、千里。今もしかして何かしてる?」
と和実は訊いた。
 
「ちょっとお掃除」
と千里は答える。
 
「なるほどね〜」
 
「和実、良かったらさ。この龍の置物を土地の四隅に埋めてくれない?この土地って、四方に対して斜め向いているから、角はだいたい北、東、南、西に来るよね。その端っこがいい」
 
と言って、千里は銅製?の小さな龍の置物を4つ出した。四色に塗られている。あるいは塗装ではなくメッキだろうか?と和実が“考えたら”
 
「真鍮に亜鉛メッキした上にエボキシ樹脂加工している。ちょっとプラスチックっぽいでしょ。でもこれで60年は持つんだよ」
 
などと千里は答える。こちらは考えただけなのに!
 
これがあるから、千里や青葉には嘘がつけないと思う。
 
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「南の角の所には朱雀にする池を作るんだけど」
「南にはこの赤いのがいい。池を作るなら、その池の南側の縁の地面の中に。水の下は火を表す赤と相性が悪いから」
 
「了解。だったら東に青いの、西に白いの、北に黒いのだね」
「分かっている人と話すのは楽だ」
 
東=青龍=青、南=朱雀=赤、西=白虎=白、北=玄武=黒、というのが東洋占術での基本のシンボリズムである。
 
「どのくらいの深さがいい?」
「人が掘り返したりしない程度。可能なら工務店の人に頼んで基礎工事の下に埋め込んでくれるといいかも」
 
「それで守られるんだ?」
「まあ霊道とかは避けて通ると思うよ」
 
「ありがとう。助かる」
「ううん。こちらもメリットがあるから」
 
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和実はしばらく考えていた。
 
「何となく分かった。これって、ギブ&テイクなんだね」
「そういうことなんだよ」
「了解。私自身が見ている所で、工務店の人にやってもらうよ」
 
「うん。よろしく〜」
 

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それで和実は工務店の社長さんに声を掛けると、その件を頼んでいた。その分の代金は本来の工事代金と別に即金で払うと言うと、社長さんは「結界ってやつですか?」と言って、すぐやらせると言い、結局その場で、現場監督さんとも話して、土地の四隅に行き、各々の龍を埋め込んだ。
 
北側は和実の住居を建てるのだが、そこは玄武にしたいという意図もあるので70cm程度底上げをしている最中なのだが、その底上げ部分より下の元の地盤の中まで到達する深い穴を掘ってそこに埋めた。この付近はこれからコンクリートで覆うので、その後では掘り返すのは困難になる。
 
(8x14間の店舗の基準面を40cm掘り下げて、その土を4x16間の住宅部分の基盤上げに使用した。(8x14)x40 / (4x16) = 70 それで土の処理問題も出なかったのである。店舗と住居の間は110cmの段差を上るスロープで結ばれるが、実は店舗内のステージとは高さがほぼ同じなので、住居の庭に駐めた車から段差無しでステージに楽器を運び込むことができる。これは特に重たい楽器の搬入にはとても助かる)
 
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西側に関しては四角形のエリアから端が飛び出しているのだが、千里に尋ねると、飛び出しているその端がいいというので、ここだけ四角形の領域 24 x 16 の部分ではなく、土地自体の端に埋めることになった。
 
「これ誰かが悪意を持って掘り返したりしたらどうなりますかね?」
と社長さんはわざと、作業員の人たちに聞こえるように言った。
 
「まあ普通の人なら、そんな恐ろしいことはしないでしょうね。命が惜しかったら」
と千里が言うと
 
現場監督さんや数人のベテランっぽい作業員さんが首を振っていた。
 
「でもこれがあると、建設作業中は作業員の人たちを守ってくれるんですよ」
「なるほどー」
 
実際この建設工事では1件も怪我人の出るような事故は起きることなく竣工したのである。
 
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なお代金は作業自体に関わってくれた人に1人1000円、現場監督と社長に5000円ずつその場で払ったが、社長は「これみんなの酒代に」と言って現場監督に渡していた。
 

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リオデジャネイロで開かれていたパラリンピックの水泳で女子50m自由形、100m自由形、400m自由形(いづれも運動機能障害S10:一番軽いクラス)で、3つの金メダルを取った幡山ジャネは9月17日に帰国してきた。選手団の多数は22日帰国の予定なのだが、ジャネは「東京パラリンピックではなく東京オリンピックに出られるように少しでも多く泳ぎたい」と言って、早々に帰国したのである。
 
むろん当面は来年の世界水泳が目標で、それに出るためには来年4月の日本選手権で(実質)優勝する必要がある。なお、ジャネは先日のインカレで日本選手権に出場するための標準記録を突破している。
 
ジャネは9月15日(木)の夕方(現地時刻)、最後の出場種目400m自由形が終わると、会場から直接アントニオ・カルロス・ジョビン国際空港に移動し、19:50発のアムステルダム行きに飛び乗った。
 
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GIG 9/15 19:50-9/16 12:15 AMS (KL0706 11:25 787-9)
AMS 9/16 14:40-9/17 08:40 NRT (KL0861 11:00 777-200/200)
 
それで9月17日に成田に到着。そのまま新幹線で金沢に帰還した。
 
成田空港 9:58-10:43京成上野/上野11:30-14:16金沢
 
ジャネにはお母さん(幡山自由はたやま・くろみ:旧姓城金)がずっとリオまで付き添っていたのだが、金沢駅には日本に残っていたお父さん、K大学水泳部のメンバーが大勢詰めかけて日の丸を振って凱旋を祝福した。圭織さんが売り込んでいたので、地元のテレビ局の記者まで来て、撮影・取材していた。ジャネは取った3つの金メダルをまとめて掛けてカチャカチャ音をいわせていた。
 
記者さんが「義足とお聞きしたのですが」と遠慮がちに言うと、ジャネはわざわざ義足を外してみせる。見た目が普通の足に見えるので、近くを通っていた人が一瞬「きゃー!」と悲鳴をあげていた。
 
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ジャネは再度その義足を装着して、その付近を軽く走ってみせたが、義足でそんなに“普通に”走れるのが、驚きだったようである。岐阜の会社が開発した高機能義足の試作品だというと
 
「日本のハイテクは凄いですね!」
と40歳くらいのレポーターさんは感心したように言っていた。
 
週明けの20日には県知事にも報告に行くことになっており、それも取材させて欲しいと記者さんは言っていた。
 

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そのままK大学のキャンパスに移動し、祝勝水泳大会!をする。
 
「青葉、かなりゴールタッチがうまくなった」
と彼女は褒めてくれた。
 
実はこの時期、布恋が
「私はスピードでは青葉に全く勝てないけど、これなら私も指導できる」
と言って、高岡市内のプールで、ゴールタッチの練習にかなり付き合ってくれたのである。
 
この日の水泳大会では、400m,800mの自由形でジャネが青葉に大差を付けて圧勝し、ゴールドメダリストの貫禄を見せた。自由形は、50m,100mでは圭織、200mでは青葉が優勝した。男子では長距離は筒石さんが優勝を独占したものの、50m, 100mで新加入の奥村君が優勝し、
 
「君、凄い!これで男子は来年から女子に馬鹿にされなくて済む」
などと諸田さんが嬉しそうに言っていた。
 
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大会の後は、祝勝会と称して市内のお寿司屋さんに行く。顧問の角光先生が
 
「お寿司は好きなだけ食べて。ビールとかは各自自腹でね」
 
と言うと、筒石さんが物凄い勢いで食べていて、先生が少し悩んでいる風であった。
 
最初は焼肉もいいかな、などと言っていたのだが、ジャネが
「日本のお米が食べたい」
と言ったので、お寿司にしたのである。
 
「でも筒石さん、安いのばかり食べてる」
と布恋が言う。
 
「たぶん、高いの食べたことないのでは」
などと圭織は言っている。
 
ここはメニューが120円から780円まであるようだが、筒石さんは甲イカ、ふくらぎ(ハマチ)、メバチマグロ、しめさば、サケ、マグロすきみの軍艦、いなり寿司、などと、見ていると120円や180円のを主に、せいぜい280円くらいまでのしか取っていないようである。もっともその皿が最初の20分で既に30枚ほど積み上げられている。あまりの高さに店員さんが途中でカウントに来て回収していった。
 
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「まあ筒石さんは極端だけど、やはり男子はみんなペースが速いね」
「なんか女子とは胃袋の構造が違うんじゃないかね」
「構造が違うというと、胃が4つあるとか」
「それは牛だよ!」
「でも女子はごはん食べる胃とおやつ食べる胃が別だという説もある」
「それは結構感じる。男子はごはんでお腹いっぱいだとおやつが入らないみたいね」
 
「男と女で胃袋の数が違うなら、性転換する時に胃袋の増設や減数が必要になるね」
「それはまた大変そうだなあ」
 

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「そういえばうちの弟は最近よく女装しているけど、食べる量が少し減っている気がする。お母ちゃんは、体調でも悪いんじゃないかと心配しているけど多分あれは女装の影響」
 
などと布恋が言っている。
 
「布恋の弟さんって、女装男子?」
と同学年の幸花訊く。
 
「本人は否定しているけどね。彼女もいるから、女の子になりたいとかじゃなくて、純粋に女の子の服が着たいんだろうね」
 
「いや、それは百合男子ってやつかもですよ?」
と杏梨。
 
「男子で百合?あ、そういう意味か」
と幸花は言っていて、途中で理解したようで何だか納得している。
 
「最近の日本語って難しいね」
と3年生の奈々が言う。
 

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「数ヶ月前から何度か朝、起きてきた時に女の子の服を着ていたって。女物の下着はかなり使っているみたいと、お母ちゃんが言ってたし」
 
「ああ、それはハマりつつあるのかも」
「本人は変な夢見た時に、こういう格好になっているんだと言ってたけどね」
「夢で女装するの?」
 
布恋が「変な夢」と言った時に、青葉は背中がゾクゾクっとする感覚があった。
 
これは・・・霊障絡みの問題があった時に感じる感覚である。詳しい話を聞きたいと思ったが、あいにくちょうど青葉はチェリーツインの桃川春美に関わる問題の作業の大詰めに入っている所で、この日はこの問題については特に突っ込むことはしなかった。
 
 
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