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■春封(10)

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それで青葉は3人を乗せて大船渡まで走った。10時半頃に、山麓にある青葉の自宅に到達する。
 
ここで彪志と合流する。彪志は昨日の最終新幹線で盛岡に移動して、今朝からお父さんのグレイスを走らせてここに来ていたのである。車の乗車人数の関係で彪志には先行してもらっていた。
 
ここで「お迎え」の準備状態を確認する。
 
「なんか既に物凄く強烈な結界が張られているけど」
と瞬高が言う。
 
「床も張り替えて新しいしっかりした床に変えて本棚やパソコンの重みに充分耐えられるようにしています」
と青葉。
 
「おふたりさん、送り出し側を見たらびっくりするよ」
と瞬法は言っている。
 
それで2台の車で海岸近くの佐竹家に行く。
 
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「何じゃこりゃ〜!」
と瞬高が声を挙げた。
 
「明らかに震災前の結界とは別物だろ?」
と瞬法。
「人間業じゃねぇ」
と瞬高。
 
「そうなんですか!?」
と青葉が戸惑っている
 
「何かこれって**院を思い起こさせない?」
と瞬法。
 
「恐ろしい。ひとりでこれやれと言われたら、俺は逃げる」
と瞬醒も言っている。
 
「これ4人で同時にやらないといけないだろ?」
と瞬法。
 
「それで4人揃えた訳か!」
と瞬高。
 
「実際問題としてこれできるのって、日本国内ではこの4人しかいないなんてことはない?」
「瞬花(菊枝)にもできる」
「済みません。瞬花さんは今かなりシビアな案件の山場に入っていて動けないらしくて」
 
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「瞬嶺はできるけど、ここまで来られるかって問題があるな」
「かなり健康状態が悪化しているみたいだからなあ」
「瞬海は微妙だよなぁ」
「醒環はひょっとしたらできるかも」
「少し心配だ」
 
「瞬葉(青葉)ちゃんのお姉さん(千里)でも行けると思うけどね」
と瞬醒が言う。
 
「済みません。姉はこの時期は毎週末、バスケットの試合なもので」
と青葉。
 
「バスケット?」
と瞬高が訊く。
「プロバスケット選手なんだよ」
と瞬法。
 
「へー!それで霊的な能力も凄いんだ?」
と瞬高が訊く。
 
「少なくともここにいる4人よりは凄いと思う」
と瞬醒。
 
「分からん。俺にはあの子の力量が読めない」
と瞬法。
 
「一度会ってみたいな」
と瞬高は言うが
 
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「去年の3月に一度そちらのお寺に一緒に行っているんですけどね」
と青葉は言う。
 
「え?あの時、そんな子いた?」
と瞬高。
 
「あの子は、全然霊感があるように見えないんだよ」
と瞬醒は言う。
 
「本人も自分には霊感は無い。素人だといつも言っています」
と青葉。
 
「うーん。。。。。」
と瞬高は悩んでいた。
 

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1人ずつ佐竹家の風呂場を借りて潔斎する。白い法服に着替える。
 
危険なので慶子さんには家の外に出てもらう。彪志も遠くで見ている。ふたりは先に潔斎を済ませていた。
 
「全員時計を合わせよう」
 
瞬高と瞬法は電波時計を使っているので正確である。瞬醒は時計を持っていない!ことが分かったので、彪志が腕時計を貸した。これも電波時計である。青葉のが電波時計機能が付いていなかったが、青葉は合わせ方を忘れていたので、瞬高が他の3人のに合わせてあげた。
 
「12:00ジャストにやるぞ」
「よし」
 
4人が家の四隅に行く。慶子と彪志は少し離れた所から見ている。
 
12:00。
 
その瞬間、彪志はこの家が一瞬浮き上がったかのような感覚を覚えた。慶子も「うっ」という小さな声を挙げる。
 
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町内放送で正午の時報の音楽『野バラ』が流れているが、白い法服を着た4人は無言で敷地内から出てきた。この『野バラ』の音楽が彪志の所には歪んだ音になって聞こえてきた。この付近の空間が歪んでいるのである。
 
彪志がフリードスパイクに瞬法と青葉を乗せ、慶子がグレイスに瞬高と瞬醒を乗せて、車は出発する。誰も口をきかない。20分ほど走って山の中にある青葉の自宅に到達する。車が駐まる。全員無言で降りる。
 
4人が家の四隅に散る。既に穴が掘ってある所に4人が持って来た宝玉を埋める。彪志と慶子がスコップを使ってその上に土をかぶせる。4人はその上に目印を兼ねて杉の苗木を植えた。
 
通常、杉は屋敷内に植えてはいけないというのだが、この場合は特別なのである。
 
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瞬法が真言を唱え、他の3人も唱和した。
 
確かに何かが『収まった』感覚がした。
 
「終わったぁ!」
と瞬高が声を出す。
 
「お疲れ様でした。ありがとうございました」
と青葉が言った。
 
「私、まだ状況を把握できないのですが、元の家の結界はどうなったんですか?」
と慶子が質問する。
 
「あちらは元のまま」
「こちらの結界はあちらの子供」
「パワーとしては100分の1くらいかな」
「向こうの結界はなぜああいう状態になったのか、後日検討させてもらえない?」
「はい。いつでも起こし下さい」
 

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「本のほうは、少しずつ運び込めば良い」
 
「大手出版社から刊行された普通の本以外は1度に10冊以上は動かさないこと」
「瞬葉ちゃんが赤い★のシールを貼っている本は1冊だけで動かすこと」
「そのあたりの区分けは、あんたでもできるよね?」
 
「分かると思います。迷ったら10冊制限の本と同様に扱います」
と慶子が言うと
 
「うん。それがいい」
と瞬高も言う。
 
「本を並べる順序は現在の順序を乱さないこと。あれはかなり巧妙に配列されている」
と瞬法。
 
「暴れん坊が隣り合わないようにしてるね」
と瞬醒。
 
「現在の並びの写真を撮っておきます!」
と慶子が言うが
「写真が写る訳無い」
と瞬高。
 
「じゃメモします」
「それがいいね」
 
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「その順序問題があるから、現在の本棚に並んでいる順序通りに動かしていくこと。飛び飛びに動かすのは危険」
「分かりました!」
 
「ということでちょっと大変なんですけど、後はお願いできますか?」
と青葉は慶子に言う。
 
「頑張って移動させます。春までには終わるかな」
「うん。そのくらい掛かるだろうね」
「毎日10冊動かして100日というところか」
「まあ制限の無い本もあるから」
「ムーとかエルフィンみたいなのはそのまま動かして良い」
「でも1冊単位で動かさないといけないものもあるから」
「1年くらい掛けるつもりが必要かもね」
 
なお、電子化している書籍の入ったコンピュータシステムに関してはいつもここのシステムのメンテを依頼している人に、データのコピーを取ってもらって、青葉宅にも同じシステムを構築し、両者をパラボナアンテナを利用した高速回線で結んでデュアルで動かすことにしている(実は両者の間の空間にはそれを遮るものが存在しない)。
 
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「お食事は、精進料理がよいですか?それともしゃぶしゃぶにしますか?」
と青葉は訊く。
 
「しゃぶしゃぶだな」
「俺たちは生臭坊主だから」
 
「この作業は無茶苦茶エネルギー使った」
「ハーフマラソンくらい走った気分」
 
「三種の浄肉だよな?」
 
「もちろんです。スーパーで買ってきたお肉ですから、皆さん殺す所を見ていないし、殺したことを聞いていないし、皆さんのために殺した疑いはありせん」
 
「よしよし」
 
「ちなみに特選前沢牛ですよ」
「それは素晴らしい」
 

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冬子は“その話”を聞き、和実に電話した。
 
「私の知り合いの人が経営している録音スタジオでね。改装に伴って録音用の機材を更新するんだよ。それでもし、その古い機材とか和実要らないかなと思って」
 
「欲しいです!それProtoolsに使えますよね?」
「うん。今Protoolsで運用している」
「幾らくらいで譲ってもらえるんですか?」
「購入価格としてはマイク10本とモニタースピーカーとかまで含めて1000万円くらいなんだよ」
「そのくらいの水準の機材が欲しいと思っていました」
「それを帳簿上の残存価格100万円でどう?という話なんだけど」
「買います!」
 
それで和実はスタジオ用の機材を安価に入手することができたのである。むろんこれ以外にマッキントッシュ本体や、データ収録用のハードディスク、DAWソフトProtoolsなどの購入が必要である。
 
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「でも何か物凄いペースで凄い金額を使っているので最近金銭感覚がおかしくなりつつありますよ」
と和実は言う。
 
「家を建てた人はみんなそう言うよ。千万単位のお金を動かしてたら3万とか5万がハシタ金に思えてしまって気が大きくなってしまいがち」
 
「ですよね〜。グランドピアノも欲しいんですが、コンサートグランドは2000万円でしょ?自分の受けた性転換手術代とか、凄い苦労して150万円貯めたのに」
 
「2000万円あれば10人の男の娘を楽々性転換させられるね」
「そう考えると、物凄い値段ですよね」
 
「グランドピアノも中古が出そうだったら、照会してもらえるようにしようか?」
「助かります」
 
「グランドピアノはどこのメーカー?」
 
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「ヤマハとスタインウェイが1台ずつというのが理想です。ベーゼンドルファーも面白いと思うのですが、慣れてないとあれは弾きこなせないと思うんですよ」
 
「うん。あれはちょっと癖がある」
 
ベーゼンドルファーはスタインウェイ・ベヒシュタインと並ぶ世界三大ピアノメーカーである。このメーカーの最高級グランドピアノModel 290は、通常の88鍵ではなく97鍵あって、他メーカーのグランドピアノより更に低い音を出すことができる。しかし結果的にそれより上の低音が普通のピアノより響きすぎるため、普通のピアノとは高音と低音の指の力のバランスの取り方が変わってしまうのである。日本国内に存在する台数自体がかなり少ない(多分200台以下)が、この独特の性質と、そもそも数が少なくて習熟するのが困難であることから、弾ける人が少なく死蔵されている個体も多い。
 
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「だから本番用としてはやはりスタインウェイ。でもヤマハの方が安心という演奏者もいるので、その2つを1台ずつかと」
と和実は言う。
 
「了解了解。知り合いに声掛けておくよ」
 
「ありがとうございます。よろしくお願いします」
 
「それ以外にも楽器とか要る?」
 
「ええ。標準的なものは一通りそろえたいんですよね。ドラムスは生ドラムと電子ドラムを2個ずつ。ベース、エレキギター、アコスティックギターは各種10本くらいずつ、津軽三味線も10本くらい。和太鼓少々。他にヴィブラフォン、グロッケンシュピール、シロフォン、マリンバ。電子キーボード各種メーカーで10個くらい、エレクトーンはSTAGEAを4台くらい」
 
「そういうのの中古も出る話があったら紹介しようか?」
「どんどん紹介してください。どんどん買います」
 
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冬子は、その中古楽器をたくさん探しているというメールを知人に一斉同報したようで、そのメールは和実の所にも送られて来た!
 
そして・・・この結果多数の音楽関係者から照会が有り、和実はかなり充実した楽器ストックを安価に得ることができたのである。中には「あげるよ」と言ってタダでくれた人もかなりあった。あまりたくさん集まるので置き場所に困り、結局TKRの仙台支店に一時的に置かせてもらうことにした。
 
和実も多数の照会にノリで応じていたので、バラライカも3本もらったし揚琴(Yang-Qin, Hammered Dulcimer)とかドンブラ、カーヌーン、などといった珍しい楽器まで揃ってしまった。これらの楽器は元の所有者が買ったものの練習する時間などが取れず放置していたものらしかった。
 
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ミュージシャンには概してその手の、ノリが良くて冷めやすい人が多い。
 
なおハンドベルの特定の音用の鈴が欠落しているものを2セット《タダ》でもらってしまったが、不足している音の鈴を冬子の知り合いの楽器メーカーの人が安価で提供してくれて、ちゃんと全音揃えることができた。
 
集めるつもりは無かった管楽器(クラリネットやサックス・ホルンなど)までかなり集まってしまった。これはマウスピースさえ各自用意してもらい、毎回きちんとクリーニングと消毒をすれば貸し出すことができる。マウスピースを使わないフルートは管内クリーニングの上、歌口をアルコール消毒である。
 
ピアノもアップライトピアノの古いのを「あげる」と言われて2台もらったのでこれは控室に練習用として置くことにした。グランドピアノは和実が希望していたスタインウェイとヤマハの良品を各々1000万円(定価の半額)でゲットすることができた(数年間放置されていたので再調律が必要)。
 
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「和実ちゃん、ひょっとして楽器のレンタル屋さんができるくらい揃ってない?」
と、それを見た友人の麻衣(エヴォンのオーナーの奥さん)が言っていたが
 
「ああ、それやってもいいです」
と和実は乾いた笑いで答えていた。
 

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